【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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2度目のテッセン戦。
新たに仲間になったくわまん、そして進化したばかりのひそひそは倒れた。
そして今相手の大将ライボルトが再び戦場の場に立っていた。
ライボルトはその得意のでんげきはでひそひそを斃し、続いてゴソソソと対峙していた。
一度戦いを見ていたゆるすぎにとっては相手の情報はアドバンテージであった。
相手の行動を予測、制限し、アイテムを最大限利用することでライボルトを搦めていく。
恐らく純粋に力だけの……自分の力だけの勝負であればゴソソソがライボルトに太刀打ちできる要素はなかっただろう。だがしかし、蓄積した知識、人類の英知たるアイテム、仲間がつないだ状態異常はゴソソソの牙をライボルトに届かせることに成功した。
「くそっ!なんなんだテメェら!お前みたいなゴミカスの雑魚がなんで俺に太刀打ちできる」
「不思議ですか?不思議でしょうね。あなたにとっては戦いはその時の点としか見ていなかったでしょうから。私達の戦い方は、私だけでない、仲間の皆、そしてゆるすぎさんが紡いで行った線で戦っていますから」
「何を、訳わかんねぇ事言ってんだぁあああ!」
ジムが揺れるほどの咆哮。轟き。人間が聞けばそれは遠吠えに聞こえているだろう。
その叫びは脳内のアドレナリンを分泌し、意図的に興奮状態を引き起こし運動能力を高める。
「良いだろう……お前らみたいなやつに本気を出すのはシャクだが。やってやるよ。今までの俺と思うなよ」
前回の戦いでも使っていたでんこうせっか。と同じ技だが、速さが段違いだ。
破壊力というのは質量✕速さの二乗と言われている。
その速さが増えるという事は破壊力は飛躍的に上昇する。恐らく通常時の二倍以上、三倍にはなっているだろう。
その爪はゴソソソを刈り取った。
すかさず交代したのはマクノシタのツッパリ。
「俺はお前に恨みはねぇんだけどよ!俺のダチのダチの仇って言うじゃねぇか。だったら俺の敵だ!悪ぃな、倒させてもらうぜ」
入場の勢いに気圧されたのか、先に打たれた電磁波による麻痺がうまく作用しライボルトは身を硬直させる。
そこを見逃さずにツッパリの両手はライボルトの目の前でバチンと音を立て合わせられる。ねこだまし。その際に発声した衝撃は多少のダメージをライボルトに与える。
そして反射的に目をつぶり、身がこわばる。麻痺に加え、目をつぶり筋肉は硬直。ここに完全な無防備が産まれることになった。
俺にチャンスがあるとすればここしか無いだろう!
ツッパリのねこだましはライボルトを追い詰めることに成功したが、あと一撃。あと一手届かなかった。
どれだけ精神が未熟であろうとジムの大将を務めているだけはある。負けられないという意地で立っているのかもしれない。
だが、その意地から発せられたでんこうせっかの爪はツッパリの体を袈裟に引き裂いた。あまりの速さで動きを目視するのは困難ではあったが、ライボルトが通過した後の傷口からは骨の断面や臓器が見える。
「しまっ……ぐわぁ!」
ゆるすぎが慌てふためきしょうぐんとの交代を指示する。
だが、どう見てもツッパリの傷は致命傷だ。
普通に考えたら立つことすら許されない傷だがその傷を押さえ、なんとか退場する。
すれ違うように入ってくるしょうぐんの足は震えている。
「僕じゃ無理だよ……」
傷口を押さえていたツッパリの右手がしょうぐんに叩きつけられる。
叩かれた場所にはツッパリの手のひら型の血の跡がベッタリとついていた。
「何言ってやがる!お前がやらなくて誰がやるんだ!お前が負けたら俺たちは全滅だ!ココ姉ぇに勝利を届けろ!」
「でも……僕じゃ……ツッパリさんでも無理なのに」
「いいか!お前は強い。お前が強いと思ってる俺が、お前を強ぇと思ってる!だから信じろ。お前の力を……行けっ」
「……分かった。やってみるよ。でも駄目だったら、ごめん」
ヨロヨロと退場したツッパリはゆるすぎの横で倒れているひそひその横でドサリと座る。
その目には既に光は無く、いや、或いは既に攻撃を食らった時点で肉体は死んでいたのかもしれない。
(こんな事ならココ姉ぇの尻なでときゃよかったな。あぁ……すまねぇなひそひそ。守ってやれなかった。ゴソソソ、お前……かっこよかったぜ。入ったばっかだったのに気の毒だったな、くわまん……俺達に目をつけられたのが運の尽きだったな。くそっ、白星一つくらいかっこよく飾りたかったな。なぁ、しょうぐん……俺の分も勝ってくれ。じゃあな……あとは頼んだぜ。)
座った姿勢のまま、目をしょうぐんの方に向けたまま、ツッパリはその動きを停止させた。
しょうぐん、新人なのによく頑張ったな。
後は、俺の最後の仕事か。
「よししょうぐん!」
「え?その声は……?」
「あぁ、R・Tに頼んで少しだけお前の精神にリンクさせてもらった。とは言っても俺もR・Tももう限界だからな。これ以上ここにいることはできない。居るだけなら地縛霊のようにずっと居れたんだろうけどな、力を使ってしまったからもう1分もいられないだろうな。
だから手短に言うぞ!
お前の全力の体当たりをぶつけてやれ。
俺とR・Tでこいつの麻痺を強めておいてやる。勇気のないお前のことだ、どろかけでもしようとしてたろ?
ツッパリも言ってたろ?お前は強い。
最期なんだ、見せてくれ。お前の本当の力を。俺と、R・Tと、ツッパリに」
「分かったよ……分かったよ……ジャック」
「あぁ?さっきから何をブツブツ言ってやがる。この木っ端が。お前が戦ってるのは俺だろうが!ぶっ潰すぞ。……なっ、足が……!?」
「我が身既に鋼なり。我が心既に空なり……やります!ジャック!」
しょうぐんの足元の地面が爆ぜる。鋼でできたその足による衝撃を反作用にし、しょうぐんの体は弾丸のようにこちらへ、ライボルトの方へ突き抜ける。
流石だ、しょうぐん。俺との同期だからな。強くなってもらわなきゃ困るもんな。
ただの体当たり。だがその勢い。気持ちがその技を必殺技へと昇華させ、敵の体を弾き飛ばした。
二度三度地面で跳ね、地面に横たわるその体の中央には大きくくぼみができていた。
「ごめん、R・Tさん。死んだ後だって言うのにこんなにも仕事してもらって」
「ふふふ、何言ってるんですか。しょうぐんさん達生き残った者は私達の仲間なんですよ。それに嬉しいんですよ、私」
「え?そうなの?てっきり早くアッチに行きたいかと思ってた」
「んもう、なに言ってるんですか。ほら……好きな人と一緒の共同作業ですよ。こんな事女の子から言わせないでください!だから、ジャックさんからこの提案受けた時に本当に嬉しかったんですから」
「あ、そうなの?ごめんごめん。ほら、俺は今までさ、ずっと自分がカッコつけることばっか考えてたからさ。他人が何考えてるかってのは苦手でさ」
「んもう~、バカぁ!そんなんじゃ女の子からモテナイぞ」
「それは別に良いかな。俺は、R・Tさんさえいれば」
「……バカっ」
「じゃ、行こっか。皆を待たせすぎてる」
「はい」
これから先、生き残ったしょうぐんの方が辛いんだろうな。
飛び去るなかしょうぐんは勝利を得て、それをツッパリに報告しに行くのが見えた。
「やりました!僕!
勝ちましたよ、皆のおかげでやりましたよ!
ツッパリさん!!
………………ツッパリ………さん………?」