【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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フエンタウンのジムリーダー、アスナとの激闘が終わった。
私達は勝つには勝った、しかし私達の被害はあまりにも大きすぎた。
イシツブテのジミヘン
エネコロロのココ
バネブーのスブタン
敵の放ったオーバーヒートは日本晴れの日差しの中その威力は想像を絶するものだった。
その火力はただの一度の技でその命だけでなく肉体、骨すら消し去った。
なんとかあとに残った灰だけを集め、しょうぐん、アーティスへの報告をすることになった。
何を言うまでもなく全てを察したしょうぐんはよしはるの元に大股で歩いていき、鋼鉄の爪を出しながら大きく振りかぶる。
その腕が何のためらいもなくしょうぐん目掛けて振り下ろされる。
よしはるは避けようともせずにその爪が自分に当たることを否定しようとしなかった。
が、その爪がよしはるに触れることはなかった。
繰り出されたメタルクローはよしはるに当たる直前でしょうぐんの意思で止められていた。
「……やれよ。止めるな」
よしはるの言う事は分かる。私もいっそ殴られた方が、責められた方が楽になれる。
私は新参者だから分からないのだが、きっとこの者たちは共に死線をくぐり抜けたのだろう。
僅かな間ではあったがそれは感じた。かけがいのない者たちだったんだろう。
「ここでよしはるさんを傷つけても、誰も喜びません。ジミヘンもスブタンも、そして何よりココ姉も。ココ姉だったら怒るかな……。だから、この爪は降ろさない。
それに……殴られたらあなた達はすっきりしてしまう。僕は余計に心に淀みが生じる。そんなの嫌だ。
僕は何度もその気持を抱えて来た。今は一緒に抱えてもらいます」
しょうぐんは厳しいな。そう感じた。
しょうぐん自信殴ったほうが私達が楽になれるのを分かっているのだろう。だが、それをしなかった。
「ココさんの最期は立派でした。決して敵に臆すること無く、最後の最後までその闘志を萎えさせること無く立ち続けました。その姿があったから、私達は鼓舞され、あの長い死闘を戦い続けられた」
そう、アスナの率いるバクーダ、コータスとの戦いは余りにも長い戦いだった。
相手の一撃は常に自分の命に届きえる綱渡りの状態で戦い続けた。
きっと、少し前の私達であれば心が折れていただろう。
だが、ココさんのあの姿を見てしまったら、弱音なんて吐くわけにはいかなかったのだ。
「ココさんが居なければ、私とよしはるはここに帰ってくることはできなかった。それは断言します。彼女は最後の最後まで私達の為に戦ってくれた。彼女の強い心が私達の背中を支えてくれた」
「まお……」
「そう、思えばその呼び方もココさんから与えられたんですっけ。ゆるすぎさんから与えられた私の名前はきんたまお。正直呼び名なんてなんでも良い私にとってはそれでも良かった。しかし、ココさんは、
それじゃあんまりだから……アタシらはアンタの事を、そうだね、「まお」って呼ぶことにするよ
と言ってくれました。会って間もない私にそんな気遣いを。今になって思えば、彼女は本当に我々全員を見てくれていました。まぁ、こんなことあなたには言うまでもなく分かりきっていることでしょうけど」
「大丈夫……分かってるよ。僕もいつまでも落ち込んでは居られないのは分かってる。そして、まお……その名前を大切にしてください。その名前はココ姉の最後の贈り物なんだから」
言われなくても、こんな短い期間で私はココさんに惹かれた。
この名前があなたから与えられたものならば大事にしない理由はない。
残されるものというのはこんなにも辛いのですね。しょうぐんは何度もこんなにもつらい思いをしてきて……。
「しょうぐん、あなたの気持ちが少しだけ分かりました。だからこそ、私達は一緒に戦いたいと思う」
本当に、心からそう思う。