【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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今、ゆるすぎさんはお友達から預かったポケモン、ゴロゴロさんの背中に乗って海の上を泳いでいます。
ゴロゴロさんは波乗りという特技を使えるらしく、これから先の目的地に行くための海超えに必要なことということでした。
サラサやしょうぐんさん、ユバーバさんは水に弱いので泳いで渡る羽目にならなくて本当に良かったです。
サラサたちはゆるすぎさんのモンスターボールに入った状態で腰のホルスターで待機です。
間違えて落ちたら海に真っ逆さまなので少し怖いですが、でも波に揺られる感覚は今までに感じたことが無いので新鮮で楽しいです。
海の水面はキラキラと輝いてまるで宝石のきらめきのようです。波の合間からは色々なポケモンが見えます。
サラサは今まで砂漠に居たからどのポケモンも見たことが無く、全てが新鮮です。
そんなゆらゆらと揺れる水面の輝きの中で異彩を放つものが一つ。
赤くきらめいたその光は水の輝きではなく、独自の虹彩を持つ目が放つ色。
よく見るとその異様な赤色の周りには海の色が迷彩となるような体の色をした何かが居た。
異様な赤はその何者かの目であり、そしてその目が殺意を込めた死線をこちらに投げかけて来た。
それに気づいた時には、何もかもが手遅れでした。
水面から伸びてくる鞭のような触手は、私が今から飛び出てももう間に合わない。
触手はゴロゴロさんの上に乗っている私達、つまりゆるすぎさん目掛けて伸びています。
人間のようなヤワな体にこの鞭が当たったら致命傷になってしまいます。
そんな高速で伸びてくる鞭はゆるすぎさんの体に……当たることはありませんでした。
この攻撃に誰よりも先に気づいたのはしょうぐんさんでした。
しょうぐんさんは恐らく内側からモンスターボールをこじ開けて飛び出していました。
なのでその攻撃がゆるすぎさんに当たるより……つまり、ゆるすぎさんが攻撃に気づくよりも先にしょうぐんさんはボールから飛び出してその攻撃を代わりに受けました。
その高速の鞭がしょうぐんさんを絡め取ると海の中から、一匹のポケモンが出てきました。
鞭の先についていたポケモンは青い風鈴のようなポケモン、メノクラゲでした。
鞭はメノクラゲの触手で、しょうぐんさんの胴体を絡め取り動きを制限しています。
ゆるすぎさんもメノクラゲに気づき、絡め取られたしょうぐんさんを交換しようとしていましたが、メノクラゲにより絡め取られたその体をモンスターボールに再収納する事はできません。
なので、いつもどおりゆるすぎさんはテンパっていました。
しょうぐんさんはゴロゴロさんの背中でなんとか踏ん張ってなんとか海に引きずり込まれるのを防いでいます。
「あ~、なるほど……。皆も……こんな気持だったんだな……。なぁ!皆!聞いてくれ!!僕は多分次の攻撃を耐えられない。というか、この力は……多分今の皆でも無理だ!今からゴロゴロさんを蹴り飛ばすからその勢いで逃げてくれ」
「そんな……見捨てろ……ってことですか!?」
私はお腹の底から声を出してるけれども、ボールの中からではしょうぐんさんに私の声は届かない。
「いいかい皆!僕は後悔だらけの一生だった!だけどね、今こうして君たちの命を守るきっかけが自分で作れたのは本当に嬉しい。この一瞬だけで僕は、救われたかも知れない。皆ありがとう!
最後に一つ、皆も絶対幸せに生きてくれ!」
それだけ言って、しょうぐんさんはゴロゴロさんの背中を思いっきり蹴っていた。
ゆるすぎさんはそのキックの勢いを利用して脱兎のごとくメノクラゲの元から去っていく。
待って、しょうぐんさんを助けて。
と叫びたい気持ちはあった。喉まででかかった。けれど、今しょうぐんさんを助けに行くことは彼の気持ちを踏みにじることです。
どちらにしろ、全力で逃げている今の状況で飛び出したらサラサは溺れるだけで、二次災害です。
サラサはただ、しょうぐんさんの方を見ていることしかできませんでした。
そこでは無数の泡が弾けていました。
しょうぐんさんはしょうぐんさんの幸せを求めて、彼の信念を持ってサラサたちを助けてくれた。生かしてくれた。
だったらサラサたちは……生きて幸せにならないといけないのだと、そう思うのです。
だからサラサは美味しいものもいっぱい食べるし、強くもなるし、いっぱい恋愛もして……でもずっとこの日を、しょうぐんさんを忘れてあげません。