【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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カクレオンのいぶしぎんさんが仲間になった。
仲間になったとは言ってもいぶしぎんさん的にはそれは同意しているのだろうか。
半ば強引に捕獲した。そういう風に私は感じる。
だって……カクレオンさん達は隠れていたのだから。
デボンスコープという道具を使って隠れてるカクレオンさんは見つけられた。
ゆるすぎさんは最初見つけたカクレオンさんを殺していた。正直このままついていって良いのだろうかと悩んだ瞬間だった。
だってカクレオンさんは隠れてはいたけど、本当は、橋を塞いでいた。
人が橋を渡らないようにしていたのだ。
その先に仲間や家族のカクレオンがまだまだ隠れていたからそれを守っていた。
人間たちはその、ただ隠れて生きているだけのポケモンを……人を襲うことをしないポケモンを一方的に見つけて気の向くまま攻撃し、気分によって捕獲する。
どうしてそんな身勝手なことができるのだろうか。
私という命もやはり人間の都合によって作られたのであろう。
私の記憶の最初は自然の中ではなく研究所の培養液の中だった。
それから私は人間によって色々な場所に連れて行かれた。
日の降り注ぐ砂漠。雨の降り注ぐ海原。吹雪が吹き荒ぶ雪山。
その場所場所で私はその天候に合わせた体の変化をもたらす。
それが人間たちの研究の対象だったらしい。
今にして思えば、相手の攻撃に応じて自分の意志と関係なくタイプが変化するカクレオンさんの特性は、私に通じるところがある。
もしかしたら私の中にはカクレオンさんの細胞も入っているのではないだろうか。
攻撃でなく、天候に対して意思とは関係なくその形質を変化させる。
それが果たして何の意味を持っているのかは私は知る由もない。
ただ……静かに生きていたいだけの私は、同じく静かに生きていたかったであろういぶしぎんさんに一種の仲間意識を感じている。
私の命が何の為に生み出されたのかは知らない。知らないけども、人間の思い通りになってたまるかという意思が少なからずある。
けれどもモンスターボールという枷は厄介で、そのボールによって捕らわれた者はボールとの紐付けを操作者、私の場合はゆるすぎが自分の意思で紐付け登録を解除しない限りボールの枷を振りほどいて逃げることはできない。
命令に逆らおうとしたこともあった。
けれど彼が付けているバッジから特殊な電波が出ているのだろうか。
彼の言葉が絶対であるという認識が私の思考に紛れてくる。
つまるところ命令に逆らうことはできず、私はただただその指示に従って動くだけだ。
他のポケモンもそうなのかと聞いてみたが、戦おうという意思を持っているものはある程度自分の意思で動けるらしい。
私のような消極的な者にはバッジが脳に働きかけて無理やり戦わせるようだ。
人間とはどこまで業が深い生き物なのだろう。
そりゃあ多くのポケモンは戦うことが好きなように設計されている。
けれども……人工の生命である私はその理から外れている。
それを無理やり戦わせるとは……あまりにもちぐはぐすぎて滑稽にすら思えてくる。
この悲劇のような喜劇で私はどのように役を演じて見せようか。