【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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僕は……戦うのは苦手だ。
強いか弱いかで言えばおそらくは強い方だとは思う。だけど強いからと言って戦うのが好きというわけではない。
まず、生きるため……つまり食べるために戦うわけでもない戦闘というのが僕にとっては意味を感じられない。
勝っても優越感を得られるだけなのに、負けたら命がなくなるってあまりにも釣り合ってないと思うんだ。もしも負けてしまったら死んじゃうんだよ。いくら強くてもそれはやっぱり……怖いよ。
僕が臆病だと言えばそれまでだけど、でもそんな臆病な性格だから今まで生きてこれたんだ。この性格は僕は気に入っている。
人間たちの中でもわざわざポケモンたちを戦わせなくても良いじゃないかという意見の人たちも居るらしい。
そんな人達が新しく美しさやかっこよさを見せつけ合うことでポケモンを傷つけることなく競い合わせるというコンテストを新しく設立したようだ。
そんなコンテストにサイカさんが出場した。
ゆるすぎさん的にはサイカさんは美しいポケモンになるらしい。この辺りの美的感覚はポケモンと人間で大きく異なるのかもしれない。
僕としてはサイカさんは美しい、とかかっこいいとはならない。サイカさんは……かわいいかな、と思う。僕はそんなにかっこいいタイプのポケモンではないので一緒に居ていつも「釣り合ってないな」と劣等感に苛まれる。
「いやぁ、しかしサイカのやつはコンテスト全然パットしなかったなぁ」
僕の隣で言いにくいことをズバズバと言っているのはメガロニア君。
彼はなんでもかんでもズバズバという。きっと思ったことをすぐ言ってしまうのだろう。
それは良いことでもあると思う。表裏が無い。付き合っていて気持ちいい。戦い方も思った行動をまっすぐ相手にぶつける超超正統派だ。最短距離を最速で撃ち抜く。
僕もあんな迷いのない生き方をしたい。
それはそれとして、
「メガロニア君……そうかもしれないけどさぁ、サイカさんも頑張っていたじゃなか」
「あぁ頑張っては居たよ。けどそれだけじゃ駄目だろ?それはコンテストでも戦いでもそうだ。頑張って居たからと言って評価はされねぇ。結果がすべてだよ。サイカはまだ届いていなかった」
厳しい言葉だが真実ではある。
努力が評価される世界は無い。結果が全てだ。
そしてメガロニア君はよく見ている。
まだ届いていなかった。という言葉。そう、まだなのだ。
サイカさんはまだまだ美しさやかっこよさに伸びしろがあることを見抜いている。
僕もそう思う。実際コンテスト後にポロックというお菓子を食べたら目に見えて毛艶が変わった。
きっと原石のようなポケモンなのだろう。
彼女を磨ききった時、もしかしたら彼女はその美しさ故に進化するのではないかと思えるほどにその美しさには可能性を感じられた。