【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
youtube:https://www.youtube.com/watch?v=WornW9nWn-8
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm43111234
おくりびやま。すべてのポケモンの魂が眠る山、と呼ばれている。
私は霊といったものは信じない。人間も科学により生きているのでそういった物は信じないと思っていた。
だが、私はこのゆるすぎ率いるチームに入ってから様々な別れを経験してきた。
別れていったものは二度と出会えない。ノアの羽ばたく翼は私の固く冷たい翼と違い柔らかく温もりに満ち溢れていた。それが今はもう感じられない。ユバーバさんの笑顔にはいつも元気をもらえた。いつだって私は仲間に色々な物をもらっていた。それらが私の手の中からこぼれ落ちていくのは……元より持っていたものが無くなった。もとに戻っただけだというのに、心にポッカリと穴が開くような感覚だった。
仲間との思い出はもう私の一部であり、私にとって何よりも大事なものになっていたのだ。
それが無くなってほしくない。あるいは亡くなったものが幸せであってほしいという気持ちは、今の私ならば分かる。そうあってほしい。
分かっている……それは科学的ではない。ポケモンの私にですら分かるのだからそれを人間が分かっていないはずはない。
それでもそうあってほしいのだ。ただ、それだけ。だからそういう場所があっても良い。
そしてそんな死者の魂が集まる場所でも、トレーナー達は戦う。
だけど分かる。
こうして戦う私達を見せることで伝えるのだ。
「私達は生きている」
「はぁ?あんたいきなり何言ってんの!?」
隣に立つサイカが目を丸くして言う。
ダブルバトルということも忘れてつい思いを口にしていた。
「すみません、驚かせてしまいましたね」
「あぁ……まぁ驚いたね。いつも戦闘の最適解をつぶやくアンタが」
「ふふ、私も感傷的になることはあるんですよ」
「なんだか詳しいことはよくわからないけど……ここがおくりびやまだから何となく分かるよ。アタシは入ってまだ日は浅いけど、どれだけのものが紡がれてきたか」
サイカさんの闘争心がみるみると増していくのを感じる。
「だから、新参のアタシと一緒にソイツ等に見せてやりなよ。成長したアンタと!ソイツらが紡いだ結果の一つであるアタシを!行くよ!!」
「ふふ……普段は感情だけが先に走るあなたの戦い方は感心していませんでしが……今は思います」
「あぁ、アタシも思うよ。冷静沈着すぎてマシーンみたいなアンタは合わないって。でも今は思う」
(隣に立つあなたが頼もしい)(隣に立つアンタが頼もしい)
バトルにはいつだって少なからず不安があった。不確定要素がある以上負けの可能性はいつだってある。
だがしかし、今この場に限ってはそれがまったく感じられない。こんなにも頼もしかったのか。背中を先輩たちのあなたに見られ、横には頼もしい仲間がいるというのは。