【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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マグマ団のアジトの奥深くにそいつは居た。
見た瞬間にソレをポケモンだと認識する事はできなかった。
火山に流れる溶岩の中にそびえ立つソレは、溶岩の元……つまりはマグマを思わせる圧倒的なエネルギーと存在感を放ってそこに居た。
人間はかつて自然の事象を神と呼んだ。
雨、雷、地震、それらが科学によってメカニズムを判明するまではそれらは神によるものとされ、その事象そのものが神とされていた。
今ならばその昔の人間の気持ちが分かる。
今目の前にある絶対的エネルギーは神と呼ぶ他ないほどの存在感と圧倒的な力を感じる。
生き物の格が違うなどという生易しいものではない。同じ生き物なのかという疑問がまず真っ先に思い浮かぶ。
マグマというのは火、あるいは地面、岩のいずれかのタイプに属すのだろうが……今目の前にいるソレが水の技が本当に弱点なのか?
俺の放つなみのりは果たしてソレに届くのか?
圧倒的なエネルギー、熱であるソレに触れる前にすべての水は蒸発するのが感じ取れる。
そもそも俺の放つなみのりは俺の身長プラスアルファの高さ、つまり2m程の高さの波を相手にぶつけるのだが、ソレの大きさは2mどころの大きさではない。
恐らくは3mを超えている。
そうなると、もしソレの内包するエネルギーにより蒸発されずに波がソレの体に届いたとしてもせいぜい首下までにしか波は届かない。
それでダメージを与えられるのか?
どういう予想を立てたところで俺が勝てるビジョンが一切見えない。
だが、たとえ勝てないとしてもその時が来ればおそらく俺は戦うだろう。
マグマ団の目的が陸地を増やすことってのなら、俺は戦う理由は大きい。
なんせ陸地が増えるということは俺のホームである海を減らすわけなのだから海棲生物である俺達が黙っているわけがない。
海が減れば俺達海の生き物が大きく数を減らされる。みすみすジェノサイドを見過ごせるわけがない。
もしこいつらの目的を潰せるというのであれば命を賭けるのもまぁやぶさかではない。
それに最近はゆるすぎが海のシャケから金のイクラを回収するというバイトをしているらしい。
バイト、ということは俺達の生活費を稼いでいるのだろう。
海が減ってしまってはその海辺の生態系が来るってバイトにも支障が出るだろう?
そうなると俺もまぁ……困るからな。だからよ……命を賭ける理由がいくつもあるんだ。
そりゃあ死ぬのはもちろん嫌さ。だけどよぉ……戦わなきゃ無条件に死ぬしな。
海がなくなりゃ俺の家族や仲間が死ぬ。
ゆるすぎがバイトできなきゃ俺達の食事が無くなってやっぱり遠くない未来に死ぬ。
だから無条件に戦う必要があるわけだ。
勝てるからやる、勝てないから逃げるとかそういう勝負じゃあないんだよ。
と、意気込んではいたけど、藍色の玉を掲げた瞬間ソレはポケモンという肉を得た生命体となりどこかへ消えた。
その速度はあまりにも凄まじく、最初に見た印象、つまりエネルギーの塊が形を得たという印象そのものであった。
ただただ、エネルギーがそこにあり善も悪もなくその力の前に畏怖するしかなかった。