【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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「マグマ団か……今のアタシは気が立ってるんだ。憂さ晴らしさせてもらうよ」
隣に俺のパートナーとしてたったポケモンが開口一番相手を威嚇する一言を放った。
随分と気が立っているようだが、ここはなだめるべきだろうか。
そもそもダイゴもなぜこんな相手にわざわざ助けを求めたのだろうか。
俺ならばこんな雑魚がいくら束になったところで物の数ではない。
むしろこんなじゃじゃ馬のような制御不能のパートナーはこちらにとって不利ではないか。
あんなに頭に血が登っていては勝てる戦いも勝てなくなってしまう。
相手はバクーダとグラエナ。
幸いアブソルが不利を取られる相手ではないが……。
「おいおい憂さ晴らしぃ?死んだ目をしたポケモンが何言ってんだぁ?」
見え見えの挑発だが、俺の横でその見え見えの挑発にまんまと乗っかっている奴がいた。あまりの怒りで我を忘れている。自傷しなければ良いのだが。
普段はどうだか知らないが、本当にこんなやつならば役に立たないから俺独りで戦わせて欲しいものだ。
まぁいい、俺は俺の戦い方を実行するだけだ。
俺の放つサイコキネシスはバクーダに深く入ったはずだ。おそらくもう一度は耐えられないだろう。
だがここで奇妙な反応を示すものがいた。
俺の横で今まさに混乱しているアブソルだ。サイコキネシスを見るなり、恐怖と怒りの感情を宿した目をした。何かを思い出しているようだが……。
「アンタ……アタシの目の前でそんな技使うたぁいい度胸だね!アンタが敵だったらまっさきにその喉笛を噛み切ってやるよ」
物騒な事を言いながらアブソルはその角のような触覚を刀の居合の要領でバクーダに向け放たれる。上から放たれた斬撃はスバメの起動のように途中で瞬時に向きが変わりとっさに身を捩ったバクーダに直撃する軌跡を取った。つばめがえしと呼ばれる技だ。
つばめがえしはバクーダに十分な傷を与え撤退に追い込んだ。
続いて繰り出されたのはグラエナ。二匹による威嚇は生物であるアブソルには十分に効果があるようだが、俺のようなコンピューターのような鋼の心を持つ俺には効果はない。
しかし、このアブソル、混乱しながらも殺意だけは凄まじい。
どうやら俺のサイコキネシスが彼女の怒りに火をともしてしまったようだが……。
「大した力量のようだが、貴様のソレは制御の効かない暴力だ。信念なき力は悪以外の何者でもない。俺はその悪を憎む」
そう、信念なく自分の私利私欲のために振るう力を認めてなるものか。
俺の力の全ては俺の信じるもの、ダイゴの信じるものにのみ使う。
それが俺の正義だ。
俺の爪に闘志が宿る。鋼鉄の爪はグラエナに最短距離に突き出す。
爪が相手を捉える時の感触が好きだ。己の鍛えた技が相手に通じていることを実感する。
今も俺の爪はグラエナの脇腹に突き刺さり、指先にはアバラ骨の感触が伝わってくる。俺の攻撃がマグマ団の力なき正義を凌駕している。
そう、マグマ団の掲げる正義は陸を増やすというもの。
大層なお題目だが、そんな物を人間が実行して良いはずが無い。
陸と海のバランス。そのバランスは神のみが制御することが許される。
そんな無秩序を許してはならない。
だから今ここで俺はこのマグマ団のポケモンを殲滅する必要があるのだ。
もしかしたらこの狂犬のようなアブソルともいずれ戦うことがあるのだろうか。
もしその時が来たとしたら……そうだな、今のまま何も成長してないのであればものの数ではないな。
制御できないただの暴力。
だが、こいつがもし信念を宿したというのであればその時はもしかしたら俺の戦うべき存在となりうるのだろう。