【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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キナギタウンの民家のベッドで目が覚めたらのは今から数時間前。
どうやら私はゆるすぎを追っている最中に遭難し、この付近に打ち上げられていたらしい。
どうやら数日ほど高熱で倒れていたらしい。
グラードンとカイオーガの覚醒によりこの辺りでは天変地異が起きている。
私もその急激な気温の乱高下などにより体が耐えられなかったのだろう。
ようやく熱が引き、なんとか体を起こせるようになるまで数日の時間を必要とした。
そして今、キナギタウンからも観測可能な位置にグラードンとカイオーガが対峙していた。
両者はかつてのライバルであったのだろうか。
思えばその命の声質も互いを否定している。
大地を増やすというのは海を減らすということ。海を増やすということは大地を減らすということ。
お互いを睨んだまま動かないのはその力を認めているということ。
自分が動いたら何が起きるかを知っているからうかつに動くことができない。
その膠着が数日続いているという。
このまま膠着が続けばここに起きている大気の乱流が周りの気圧を少しずつ巻き込み、この異常気象はおそらくどんどんと範囲を広げていくだろう。
大気の流れはこの一帯だけの話のように感じるが大気自体はこの世界全てを覆っている。
ここでの流れはその隣に影響し、その隣は更に隣をという風に全ては繋がっていく。
蝶の羽ばたきも少しずつ大気をうねらせ街を襲うほどのトルネードになるという話もある。
まして蝶の羽ばたきでなく、伝説にのみ伝えられたポケモン二匹のぶつかり。
そこから引き起こされるバタフライエフェクトがどれほどのものか。
その世界の影響を視てみたいという好奇心は少なからずある。
サーカスに行く人間はショーを見たいという気持ちの奥底に、少なからずその失敗を期待している。
不謹慎だと分かっているが誰もがソレは少ならからず思わずにはいられない。
だが、その世界の異常気象を見る事はなさそうだ。
もし今この二匹がぶつかればこの辺り一帯に生命はなくなるだろう。
それほどのエネルギーがあのポケモンの中に介在しているのは誰の目から見ても明らかだ。
言うなれば大量のTNTが対峙し、今まさに発火直前と言ったところだろうか。
そこで空に異変が起きた。
厚い雲に覆われた空に一筋の光が走る。
angel's ladder(エンジェルズラダー)……天使の梯子と呼ばれる現象だ。
日常であればさして驚くほどのことではない。
だがこの異常なほどの上昇気流で発生した雲の暑さは入道雲を凌駕するほどの厚さになっている。
そこを割るほどの何かが迫っていた。
天使の梯子は一本、また一本と増えていき、お互いが合体し段々と大きな一つの穴となっていく。
その先に見えたのは、日本神話の龍のようなポケモンだった。
空に座する神
そのポケモンを目の当たりにした時に思い浮かんだ言葉だ。
古来の人間が見ればあの存在は神以外には見えなかっただろう。
圧倒的な存在感と静寂。
そう、そのポケモンの周りは静寂に包まれていた。
翠色の龍はその周りの大気の流れを静止させているのか。あるいは大気の側がその龍を避けているのか。
神が自然現象を説明したものである由来を考えれば、このポケモンが大気を操作するといっても納得がいく。
そのポケモンは眼下で対峙している赤い大地の王と青い海の王を見つけると一直線に空から舞い降りる。
まっすぐのその姿は一本の槍を思わせる。
日本神話に天の沼矛(あめのぬぼこ)というものがある。創生時代にイザナギとイザナミが空から大地をかき混ぜるために使った槍だ。
その際に生まれたのがオノゴロ島と言われている。
一節では天の沼矛が南あわじ島の天の御柱(てんのみはしら)と呼ばれる岩になったとも言われている。
……もしかしたら人間が伝えられる程度の昔にも、彼らはぶつかりあったことがあるのでは無いだろうか。
その際に生まれた島がオノゴロ島なのか淡路島なのかはわからないが何か大きな事があったのだろう。
そしてそれを止めたのは天からの槍、天の沼矛、翠の龍、大気の支配者。
伝説に残るその名前は
レックウザ。
今まさに神話の再現が目の前に。
え?ポカチョウ死んだの!?
しかもミリ残しからの反撃だったからそれなりにドラマチックに書けそうだったのに!?