【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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「てるてるさん……進化して足が生えたんですね」
そう言ってくれたのはリリーラのおおあなさん。
進化できたことは嬉しい。手も足もなかった体は驚かすことには便利だったのですが、力はあまり出ませんでした。
ですが今はぬいぐるみという肉体を得ることで霊対峙には無かった物理的な力がある。
「あはは、ありがとう。でも手足が生えたってわけじゃなくてね、これは私がぬいぐるみに憑依できるようになったって感じなの」
そう、ジュペッタという種族はカゲボウズがぬいぐるみに憑依した形なのです。
ですので、カゲボウズの飼い主はカゲボウズを手に入れたその時からいつ進化してもいいように憑依用のぬいぐるみを購入しておく。
ウチのご主人のゆるすぎさんもいろいろなぬいぐるみを持っていました。
男の方にしては珍しいなと思っていたのですが、ウチらとしては憑依先がたくさんあるのは望ましいことでした。
そのぬいぐるみの中でエネコのぬいぐるみがあったので、エネコかわいいなぁ~これにしようかなぁ~、って感じで候補にしていました。
ですけど、そのぬいぐるみは私が憑依できないほどの感情が詰まっていて……。よく見るとご主人の持っているぬいぐるみはどれも気持ちが詰まっていました。
カゲボウズはできれば忘れられた人形、捨てられた人形に憑依したいのです。その方がより多くの恨みの力を発揮することができるので。
なのにご主人は男の方なのに人形に思い入れが強く、このまま憑依しては忘れられた人形でもなんでもなく、急にお気に入りの人形が動き出したなんていうゴーストポケモンの風上にも置けぬ事になってしまうのです。
だから、なるべく忘れられた人形、できれば捨てられた人形に憑依するのです。
私の場合は海に流れていたお人形を利用させてもらいました。
先のグラードンとカイオーガの激突で流れてきたのでしょうね。とてもとても悲しい念で満たされていました。憑依先には打って付きです。
「に、しても」
普段はめったに口を開かないおおあなさんが会話を続けてくれた。
「その人形……ボロボロなのに嬉しそうですね」
「え?」
虚をつかれた。あんなにも悲しい念で満たされた人形に憑依したのにまるで逆のことを言われたのですから。
「いえ、なんと言えば良いんだろ。感情全体の総量でいうと悲しいの方が多いんですけど……その中で、今までは無かった嬉しいという感情が少しずつ大きくなってるような」
……そうか、持ち主を失った人形が、また新しい人生を見つけてこうして仲間に囲まれてるから……かな。
「おおあなさんって、ふふ、詩人なんですね」
「いやその……こちらの時代の感覚や言葉にまだ慣れてなくて……だからいつも心を見ようとしてるから……心なら昔も今も同じだから」
「そっか……そうなんですね」
「でも、少しずつですけどこちらの時代独自の言葉も覚えてきました。今のてるてるさんの姿は、かわいいですね」
「なっ!?」
人形の形状がかわいいというのは少し考えれば分かりましたけども、急に言われると流石にアタフタしてしまいますそんな言葉。ゴーストの私には、相応しくないから。
でも……
「ありがとう。とっても嬉しい」