【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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人間の勝手で封印されて、長い間岩の中に閉じ込められて……んでもって今は勝手に寝蔵を暴かれて戦闘か。
あんたらも大変だねぇ。
でも、アタシのリーダーはあんたの力をご所望みたいだから悪いけど、捕まってもらうよ。
アタシの目の前には、鉄の塊のようなポケモン。そもそもこいつはポケモンなのだろうか。
どちらかというと人間が作った……機械に近い印象を受ける。
だが確かに自分の意志を持って動いているようだから生命体ではあるのだろう。
球状の胴体は金属そのものだ。だがその球体の真中は縦に割れ目が入って割れているような形状で、割れ目の部分には昆虫を思わせる複眼のようなものがついている。
球体の下側は土台のようになっており土台部分には足のようなパーツが付いている。
接合部には隙間が見えるのでおそらく足をスライド・回転させて移動するのだろう。
また金属球体の胴体の横の部分には関節の無い腕がついている。その腕はグニャグニャと自在に動いているがその腕が空を切る音は腕そのものの質量の重さを伝えてくる。
おそらく見た目以上に密度の高い腕なのだろう。更にその腕の先には金属の爪がついていた。
そしてその腕は今、ぶらぶらと時計の振り子のように揺れる。
腕の先の爪がキラリと光ると同時に液体金属のような腕がしなりアタシめがけて飛んでくる。
この爪がキラリと光る独自の攻撃は恐らくは鋼ポケモンが使うメタルクローだろう。
だが、その速度は今までに見たことが無いほど速い。速い……なんてものじゃなかった。見えない。
アタシは速さが自慢だったが……この攻撃速度はアタシを上回っている。
直撃は避けようと身を捩らせた。もちろんすべてをかわすことはできず、金属の爪はアタシの胴を引き裂く。
かすっただけなのに随分と切り裂かれた。とんでもない威力だ。
切れ味……というよりは金属の密度が為せる破壊力だろう。
その両腕のメタルクローはそのままの勢いのまま地面へと突き刺さる。
たっぷりと50cmは突き刺さっているだろうか。
あまりの威力にあっけに取られるが、これほど埋まってしまってはもはや自由に動くことはできない。
アタシはリーダーの指示通り捕獲用のボールを咥えて、金属のポケモンへと駆け寄る。
今ならば両手がふさがっているので手による攻撃は怖くない。
足は短いので攻撃射程の外からボールを当てることができるだろう。
先程のメタルクローの射程よりやや近い位置に一足飛びで近寄る。
と、その時足元に異様な感触が伝わってきた。
地面が小刻みに震えている。
地震……とは揺れ方が違う。
そして揺れの正体を知った時には既に運命が決まっていた。
目の前のポケモンの腕が大きく撓っているのが見えた。
まるで矢を放つ前の弓のように大きく撓ったその腕は、見ているだけでそのエネルギーがあまりにも破壊的であることを伝える。
大地の僅かな揺れはその腕が今か今かと打ち放たれるのを押さえつける抵抗だった。
「この腕の力に大地のバネを加えるってわけかい…!?なんて馬鹿ぢか」
ドゴン!という轟音と共に腕は大地から放たれる。
いや、放たれたのだろう、という予測だ。
音の瞬間アタシは空を舞っていた。
一瞬遅れて両のアバラあたりに激痛を感じる。
今目の前にいたはずの金属のポケモンはあっという間に小さくなる。
今までに体感したことのない速度で空を舞っている。
アバラの激痛の数瞬後に今度は背中に激痛を感じた。
幸か不幸か、その激痛はすぐに収まった。
どうやら脊髄が損傷したのだろう。体中に感じてる痛みは脳に届くことはなくなった。
多分てるてるやハコワレが青ざめた顔で駆け寄ってくるのが見える。
多分、となったのは既に目がぼやけてるからだ。
音は背中をぶつけた時の衝撃でおそらく鼓膜ごとだめになったのだろう。既に何も聞こえない。
アイツラが何かを叫んでるようだがもう何も聞こえない。
視界もみるみるまにぼやけていき何も見えなくなってくる。
あぁ……助かりたいな。もっと皆と旅を続けたいな……。
進化もしたい。恋だってしてみたかった。
皆……大好きだよ。だから、もう少しだけ旅を続けさせてくれよ。
神様……。