原作知識を駆使してシロナさんを釣ろうとする前に全然違うヤツが釣れる話 作:鹿頭
210番道路にコダックがいて、そいつらどける為にシロナさんから《ひでんのくすり》貰うんだから、クロガネシティ方面からヨスガシティに行ってもシロナさんに会える訳がないんだよね!!!!
どうして忘れていたんだ!!!
今からでも210番に行くかっ!?
でもその前にコウキくんのジム戦あるから時間潰さないとネ!
「さて、コウキくん。ヨスガシティで見て欲しいものがあってね」
「なにをですか」
「《いぶんかのたてもの》の中にある絵さ」
「それとシェイミ、ボールに入らないのは良いが頼むから黙っててくれよ、喋ったら大変な騒ぎになるから」
「しかたないでしゅね、あとでおいしいものをよこすでしゅよ」
確かヨスガシティにはポケモンだいすきクラブなる進化前の小さなポケモンを好むコンテスト狂いの集会所があったはず。
そこでポフィンが作れた筈だから、それを食わせてやるとしようか。
と考えている間にお目当ての建物に着いた。
───《いぶんかのたてもの》だ。
奥には、テンガン山になにか光のようなものが描かれている。
「この絵はね、かつてヒスイ時代に起きた時空の裂け目を描いているんだ」
「時空の裂け目…ですか?」
「ああ。ある男がギラティナと手を組んで時空の裂け目を開けてね。時と空間を狂わせて創造神を降臨させる為らしいが……結果的に、アルセウスは現れなかったみたいだ」
「この絵が……」
コウキくんは感心したように絵を眺めた。
「ま、どうやらこの絵の意味は失われているみたいだけどね。良い事なのか、悪い事なのか」
ここには絵を見に来ただけで、特に何かある訳でもないので、割とすぐに建物から出た。
「さて、ジム戦だろうコウキくん。ふれあい広場でいつものを探してるから、先に行くと良い」
「いえ、手伝いますよ」
む、メリッサ戦には正直あまり興味ないからその間で探しておきたかったのだが。
だが、コウキくんがこういう時はテコでも動かないだろうというのを最近薄々感じている。
「そうかい? じゃあ、行こうか」
───プレート自体はあっさり見つかった。
「なんか……踏み石にされてますね」
「みたいだね。ま、気にしない気にしない」
道の踏み石にされてるのをコウキくんから借りたスコップで土を除き、掘り出した。
「空いた穴はシェイミに花でも咲かせてもらおうか。頼めるかい?」
「いやでしゅ」
「ポフィン美味いぞ?」
「……うそじゃないでしゅね?」
「うん、美味しいよ、シェイミ」
コウキくんの言葉を聞いたシェイミがけふん、と咳払いをする。
すると瞬時にそこは花が咲いていた。流石だぜシェイミ!
「きたいしてるでしゅよ」
「はいはい……これは《もののけプレート》か。
《そのものの あらぶる ぶんしん せかいの うらがわを あたえられる》……これはギラティナの事を指している」
「世界の裏側…って言われても、いまいちピンとこないですが」
「世界の裏側……《やぶれたせかい》とでも言うべき所だね。もし仮にギンガ団か何かの仕業でギラティナが再び暴れる事があれば行く事もあるかもしれないね」
「!」
もしここがプラチナ時空なら確定で行けるからな。
「まあ今気にしたって仕方ないけれど。さて、ジム戦か。観客席で見守っているから、早い所バッジを取ってきなさい」
「はい!」
◆◆◆
ゲームでは観客席はジムには基本無かったが、アニポケよろしく、ちゃんとあるらしい。
メリッサは度々居なくなる事もあって、なかなかジム戦が行われないからか、割と観客が多い。
もっとも、ポケモンコンテスト会場もあるから、そこの客と被っている可能性はあるが。
観客席に座り、キャモメとシェイミを隣に並べて座らせる。
二匹とも小さく、一つの座席に収まるので他の人に迷惑をかけにくい。
もっとも、人の少ない後ろの方の席なので、あまり影響は無いが。
さていよいよコウキくんとメリッサがポケモンを繰り出し、会場が盛り上がりを見せる中だった。
「順調のようですね!」
「うわっ!?」
背後から大きな声で呼びかけられた。
予想しているはずも無く、驚き声が出る。
「驚きましたか? 驚きましたよね。だって驚かせたのですから」
「………久しぶりですね」
かつてミオ、クロガネ炭鉱で出会った例の哲学者……まぁ、名前を聞いていないから、あの人とは限らないんだけども。
「ハイ、久しぶりです。隣に座りますね!」
そう言って了承する間もなく空いていたもう一方の席に、背後から跨ぐように足を伸ばし腰掛けた。
実に太々しいヤツ。シェイミと良い勝負だ。
「あの子とは一体どう言う巡り合わせで?」
「ま、色々あったんですよ」
どうやら男は二人旅をしている事を知っているらしかった。
「そういえば、アナタはジムには挑戦しないんですか?」
「今更ヨスガからジム戦参加する気はないですね」
「ふむふむなるほどそうですか。まあ、そういうジブンもバッジは一つも持ってませんが」
哲学者はそういうと笑みを浮かべた。
「ところでプレートは何枚集まりましたか?」
「6枚ですね」
「6枚! いやはや素晴らしい! アヤシシを駆りプレートを集める! まるで古代の英雄の様!」
事情を薄々知っている分、なんと触れたら良いか微妙な気持ちになる。
「強大なポケモンとは闘った覚えはないですけどね」
「ほう、古代の英雄の伝承もご存じでしたか」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「そういえば見ましたよ!アナタ方がアヤシシに乗っているの。よく見つけましたね!どこで見つけたんですか?」
「カンナギタウンの長老から貰ったタネをオドシシに食べさせてしばらくしたら進化した」
「カンナギ……ああ、そうですか」
先程のテンションとは打って変わって冷たく、興味を失った声だ。
なんかそれはそれでムカつくので、少し深掘りすることにした。
「おや、知り合いで?」
「知り合い…ええ、そうですね。知り合いですよ。───しかし強いですね。まるで昔のシロナのよう」
「昔のシロナさんを知っているんですか? シンオウに来たのは最近なんで、知らないんですよね」
ロリシロナ、あるいはシロナリリィ。
彼女の事は僅かしか知らない。
フカマルとは幼い頃に貰ったと思われるタマゴの頃からの付き合いで、その頃にヒンバスを釣り上げていた事くらいしか知らないんだよ!!!!
「ええ。あの子は昔からポケモンをつかう…といいますか。トレーナーとしての才能に溢れていましてね」
────うん?
もしかしてコイツ始末した方がいい感じか?
「気まぐれにタマゴを与えた頃はチャンピオンになるとは思っていませんでしたが」
───なるほど、コイツを今から殺せば良いんだな!!!
ついでにプラターヌ博士*1も始末しておこうか!!!
「それにしても……シェイミとは珍しい。図鑑の上では見た事ありますが……ジブンも見たのは初めてですよ」
「みぃ?」
アレだな、お前?
たまにしか会わない何やってるかわからん怪しい親戚のおじさん概念だな?
実に危ない。
此処で始末しよう。
よしシェイミ、力業でシードフレア…だめ?
そっか。まだ何も言ってないけど。
「おや、見てください勝ったみたいですよ!」
「おお」
コウキくんが土壇場でポッタイシから進化したエンペルトでムウマージを撃破していた。
瞬間、歓声に沸くヨスガジム。
メリッサからバッジを受け取るとこちらに手を振るコウキくんは、アレ?と首を傾げる。
いつのまにやら知らんヤツがいるんだもんな。無理もない。
「───さて、ジブンはこの辺で失礼します。またシンオウのどこかでお会いすることもあると思いますので、その時また」
そういうと哲学者は去っていった。
もう二度と会いたくないぞ。
………さて、コウキくんの所へ行くとしようか。
◆◆◆
「やあ、おめでとうコウキくん」
「はい!ありがとうございます!」
ジムバッジを見せつけ、屈託なく笑うコウキくん。
うん、実にいい笑顔だ。
「そういえば、さっき誰と話していたんですか?」
「うーん…知り合い……?」
今は殺意が湧いているがな!!!
「なんで疑問形なんですか?」
「さっきの人も神話に詳しくてね。その関係で知り合ったんだけど。ぶっちゃけ名前も聞いてないし、偶然会った時くらいしか話さないからね」
「なんですか、それ」
「ま、なんにせよおめでとう!さて、次は先にノモセに行くか、それともズイ経由でトバリに行くか、だけど」
「プレートが近いのはどこですか?」
即答だねコウキくん。
そんなにプレートが気になるか。
「ズイだね」
「じゃあ、ズイに行きましょう」
「わかった。ああ、その前に約束だからね。ポフィン作ってから出発しようか」
シェイミと約束しちまったしな。
やっぱりお前黙っていれば可愛いからそのままずっとみぃみぃ鳴いててくれねぇかな。
ダメかな?
ダメか。
「みぃ」
「きゃ!」
お前もかキャモメ。
仕方ねぇ、アヤシシの分も含めて作るか。
材料なら探せばあるからな!
◆◆◆
作ったポフィンをまぁまぁといいつつもっと寄越せと抜かしおるクソ生意気なみぃ畜生と、それに便乗するキャモメの裏切り者に振り回されたのは記憶に新しかった。
これでなけなしの金はなくなった。
絶対に許さない。
殺してやるぞ哲学者。
あの場では黙々と食べていたアヤシシだけが味方だった。
ありがとう、これからも乗り回します。
道中の209番道路には《ロストタワー》やおんみょーんが出る《みたまのとう》があったが、ロストタワーは森の洋館で懲りたのか、行かなくて良いとコウキくんが言うので、無視して先に進んでいた。
しかし、ミカルゲを一体どこでシロナさんは捕まえたんだ……?
謎である。
まあ合流したら聞けば良いか。
「さて、ここがズイの遺跡だ」
そんなこんなでやって参りましたズイの遺跡。
シェイミは土っぽいのは嫌だとボールに入って行った。そうしてくれ。
「ヒスイ時代にはすでに遺跡としてあったけど、特にシンオウ神話とは関係がない」
「え、そうなんですか?」
そうなんだよね、残念ながら。
「古代シンオウ人は一度衰退したのか、シントだったり*2ジョウトだったり、もしかしたらイッシュもかな。ま、他の地方に渡った勢力があってね。そこの出戻り組が作ったんじゃないかな、ここ」
「出戻り組……ですか」
実際ユウガオさんに文字の伝承があるし。
少なくとも開拓以前のシンジュ団は関わりありそう。
「そう。ま、ヒスイ時代には自分達が本家だってデカい顔してたみたいだけどね。自分達が何を崇めていたかも忘れた癖に」
コンゴウ団にシンジュ団な。
そういえば姿も形も伝承も無いけど、探せばあったりするだろうか?
それに結局、シンオウ様は元々違う存在だったって知った筈のヒスイの皆様はまたまた忘れちゃうんだよね。
もしかしたら伝承するのにロックでもあるのかね、アルセウス。
やはり邪神だったか。
「あとは、シンオウ神殿──槍の柱に行く事が有ればわかるが、様式が違うね。ま、ズイの遺跡には文字が書いてあるから読んであげるよ」
そう言うと遺跡の入り口に入る。
と言っても、ほぼ洞窟みたいな感じなのだが。
正面には、ミオ図書館で読んだ本が正しければ、《アンノーン文字》と呼ばれる文字が書いてあった。
「まずはここだ。《みぎうえ》」
「はい?」
「《みぎうえ》」
実際そうなのだ。
「じゃ、右に行こう」
「は、はい」
「うん、《ひだりした》」
「………ボク、ここのズイの遺跡にはとてつもない秘密が眠ってるって話をテレビで見た事あるんですけど」
「そんなものはないよ。残念ながらね」
残念ながら本当にないのだ!
他にもこの広い世界には思わせぶりにしといて盛大に投げっぱなしの遺跡があるからな、海底遺跡とか。
「えぇ……」
いかん、コウキくんのやる気が急激に下がっている。
「キッサキ神殿にはちゃんと凄いポケモンが眠ってるから……」
「え、本当ですか!?」
コウキくんは元気を取り戻した。
うんうん、やはりポケモンが好きなんだねぇ。
「うん。国引き神話に出てくる巨人。あるいは創造神に戦いを挑んだ巨人の王。一説によると、プレートは元々その巨人たちの力だったとか」
「へぇー!」
そんな邪神に挑んだ大英雄レジギガス、あるいは材料不足でレジドラゴを仕上げちゃうレジギガス。
もしかしたら独創的なセンスの持ち主かもしれないレジギガス。
そんなズッズッさんの事をコウキくんに語っていると、いよいよ最後の部屋だった。
「さて────と。ここで最後かな」
《FRIEND すべて のいのち はべつ のいのち と であい なにか をうみだす》
正面の壁画には、そう書いてあった。
「フレンド……ガラル語*3ですか?」
「さぁ? FRIENDはヒスイ時代には無かった文字列だしね。何なら、ヒスイ時代にはこの部屋しかなかった」
「……どう言う事ですか、それ?」
「ひょっとしたらアンノーン文字が読める人がイタズラで付け足したのかもね!」
「えー! なんですかそれ!」
実際そうなのだ。
ヒスイ時代にはこの一室だけなのだ。
それがシンオウ時代になると増築されてたりするしアンノーン文字で案内が書かれているわで何かと謎なのである。
「ま、プレートをここに置く為に遺跡を延長したのかもしれないけど、FRIENDは単なるお茶目だよねぇ」
そういうと振り返り、プレートが眠る場所へと移動する。
「さて。お目当てのプレートは、と。《ふしぎのプレート》か。《うちゅう うまれるまえ そのもの ひとり こきゅうする》うん、アルセウスの誕生だね。我々の宇宙を創る前に発生したと言う伝承だ」
これで7枚目、順調だ。
「しかし、一度集まった筈のプレートがどうしてこうも散り散りになってしまったんだろうかね?」
「あ、確かに。それは不思議です」
「ヘイ、シェイミ。何か知ってたりしない?」
知ってるかと思ってシェイミをボールから出して聞いてみる。
「ミーはしらないでしゅ。そんな事で土っぽいとこでださないでほしいでしゅ」
あ、そう。
これだから花畑は。
「………ま、プレートを手に入れたらもう用はない。行くとしようか」
次はトバリシティかなぁ近いし。
───ギンガ団の本部、かぁ。
コウキくん
ズイの遺跡のしょぼさにガッカリしている。
シロナさんが唱え、今日最も有力視されているシント遺跡の由来をサラッと否定した事は気づいていない。
哲学者
もののけプレートが置いてあった場所だから現れた。
シロナのめちゃ離れた叔父様概念好きよ僕。
キャモメ
4キロ説と9.5キロ説と12.5キロ説が浮上している。
シロナ攻略大正解ルートはそのうち番外編で書くかな…
ちょっと気になるからアンケしますね