原作知識を駆使してシロナさんを釣ろうとする前に全然違うヤツが釣れる話 作:鹿頭
「おっ……ストライクだ」
ヨスガシティから、トバリシティへ向かう道中、210番道路での事だ。
ここにはストライクが居る、というのは知っていたが。
アヤシシに跨ってる今、どうしてもバサギリの事を思い出す。
「ストライクがどうかしたんですか?この辺でしか見られないポケモンなので、珍しいと言えば珍しいと思いますが……」
「バサギリというポケモンが昔いてね」
「!」
「ハッサムが、ストライクに《メタルコート》って特殊な金属の膜をアレして進化するという話があるが……バサギリは《くろのきせき》と言う石が必要なんだ」
実際どうしてるのかは知らないんだよね!!!
まぁきっと常識なんだろうからその辺は誤魔化させて貰うけど。
「ただ、今日バサギリはただの一匹も居ない。単純に《くろのきせき》が枯渇したか、ハッサムとの生存競争に敗れたのかは判らないけどね」
まぁ多分両方なんじゃないかな、と。
だってバサギリ空飛べねぇじゃん。
「じゃあ…《くろのきせき》ってのが有れば…?」
「そ。ま、どこにあるかだよね」
お手上げです、と言わんばかりに肩をすくめてみせる。
「それってどういうものなんですか?」
「割ると鋭い切れ味のガラスに似た性質の黒い石、かな」
多分黒曜石だけどふしぎなちからでなんか違う石なんだと思う。
「石なら…クロガネジムのヒョウタさんなら…何か知ってるんじゃないんですか?」
「それも考えてね」
実際ヒョウタさんなら知ってそう。
ダイゴさんもワンチャンあるかもしれないが。
「だけど、クロガネ炭鉱で発掘作業していた時は、見当たらなかったんだよね」
「え、そうだったんですか?」
実際、掘れども掘れども化石や石炭ばっかだったのを覚えている。
《くろのきせき》があったら拝借しようかとも思っていたからな。
「うん。ま、クロガネ炭鉱はヒスイの地層どころかもう海より深い所まで掘ってるから仕方ないのかな」
「じゃあ見れないんですかね、もう」
そう…と言いかけてふと思い出したことがあった。
「ノモセ大湿原……」
「?」
「ノモセは湿原を保護する為に自然と形作られていった街だから…もしかしたらまだ掘れる可能性もある、けど……」
紅蓮の湿地がある程度残っていると考えて良いだろう。
そういえばノモセに列車が通ってるけど、あれまさかノボリさんが関わっているとか言わないだろうな?
イッシュに帰ったと信じているぞ。
帰ったよね?
「でも、サファリゾーンじゃないですか、ノモセ大湿原」
「そこなんだよね。ま、プレートの為にある程度は無視するけど。どこにあるかもわからない《くろのきせき》ばっかりはホントにどうしようもないね」
「あるんですかプレート…」
「うん」
あるんですよね、プレート。
ホントなんであんなとこにあるんだか。
「地面に埋まってる物を探し出すのが得意なポケモンに心当たりはあるけど、そいつも絶滅しちゃったし。ま、仮にいたとしてもサファリゾーンだから持ち込みも出来ないんだけどね」
「ダメじゃないですか……」
「でも一応捕まえとくか。損はしないし」
もしかしたらカンナギタウンで《かいでんのたね》を持ってた長老がいらっしゃった様に、誰かが持っているかもしれないからな。
「あ、捕まえるんですね」
その辺の泥団子をシュート!
そしてモンスターボール!
ゲットだぜ!
ストライクを つかまえたぞ!
「じゃ、先を急ごう。途中、215番道路でいつもの探すけどね」
「はい!」
という訳で例の如くアヤシシを酷使しバトルをコウキくんに任せて大移動。
こぶしのプレートを てにいれた!
「《こぶしのプレート》だね。《せかいのうらがわ みだれるとき じくうのさけめ しょうじる》。これはヨスガシティで一度話した事だから特に解説は要らないかな」
「はい、大丈夫ですよ」
「よし。本題のトバリシティだけど、ここはギンガ団の本部があってね」
「!」
「だけど、表向きはあくまで彼らは地元に根差したエネルギー開発企業だ。テレビで広告を見たこともあるだろう」
「じゃあ…」
「まずはジムバッジを取りに行くといい。確かに被害は報告されているけど、今の今まで警察が踏み込んでいないという事は、明確な証拠がないんだろう。今はまだ泳がせる時だよ」
実際問題どのくらい癒着してるのかわからないんだよね、ギンガ団。
だってアカギがこの世界にサヨナラバイバイ、俺は一人で旅に出るした後も普通に企業が存続してる位だし。
歴代最高の福利厚生は伊達ではないということか?
「……わかりました。頑張ります!」
まあ、今はコウキくんのジム戦を見守ろうではないか。
◆◆◆
コウキくんは特にハラハラする事もなくスモモを撃破した。
所で後何枚なんだろう、聞いてみるか。
「残りのジムは?」
「ノモセ、キッサキとナギサです」
「うんうん、順調だね。いい事だ。じゃあ次はノモセだ。途中、リッシ湖に寄るよ」
「リッシ湖…!」
「意思の神、アグノムの坐す湖さ」
まぁ実際中に入れるかどうかわからないし、入るつもりもないんだけど。
ただリッシ湖にはぁ…そう、シロナさんがいる!!!!
何だか知らんが通れなかったリッシ湖のほとりでシロナさんに会えるのだ!!!!
そしてついでにコダックの薬ももらえる。
勝ったなガハハ!!!
すまないがここでお別れだコウキく───
刹那、僅かに身体を揺らす様な衝撃と、響き渡る轟音。
「な、なんですか今のっ!?」
「リッシ湖の方からだね」
あークソがよ!!!!ギンガ団イベントって事はシロナさんいないじゃねぇか!!!!
「行きましょう!」
コウキくんが急かす。
仕方ないな、とアヤシシを出すと跨り、リッシ湖の方へと駆けていく。
トバリシティの中を駆け抜け、214番道路を駆け抜け、リッシ湖に着いた先には、すっかり干上がった湖───だった場所。
辺りには未だ噴煙が立ち込め、水の代わりに埋め尽くすかの様なギンガ団の群がいた。
「うーわ居るよギンガ団。最悪だね」
「っ……湖がっ!」
「派手にやったねぇ」
いやホント。
何なんだよ湖一つ吹き飛ばす威力のギンガ爆弾って。
そんなんあるならポケモンの力とか必要ないだろ。
どうなってんだこの世界は。
「何だお前らは!!!」
「通りすがりの考古学者さ!【さいみんじゅつ】!」
近くにいたギンガ団のしたっぱが誰何してきたのを、アヤシシの技を以て返答とした。
「人に使って良いんですか!?」
「今は緊急事態、って事で」
「うわぁ!コイツ人にポケモンの技を使ってくるぞ!!!」
「なにっ!? クソッ! やっちまえ!」
え?ダメなの?
ジョウトじゃワタルさんがカイリューにはかいこうせん撃たせたってのに?
野生のポケモンだって攻撃してくるじゃん。
「よしわかった、シェイミ」
「とつぜんなんでしゅ……」
辺りにはまだ噴煙が若干残っている。
「ふぁ…ふぁ……」
「アヤシシ、【バリアーラッシュ】のバリアーだけ張って!」
え?そんな事出来るんですか?みたいな顔で振り向くアヤシシ。
いや、してもらわないと困るんだけど。
「【シードフレア】」
───くしゅん。
瞬間、あたりが再び爆発に呑まれた。
暫くすると、爆心地になったシェイミの元気そうな姿と、呻くギンガ団員達の姿と、気絶するそのポケモン達。
「生きてるな!ヨシ!」
「なにさせるんでしゅか!」
「ホントにいいんですかコレ!?」
「ジョウトでは人に向かってはかいこうせん撃ったチャンピオンだっているからね。ワタルって言うんだけど」
「そんなの知りたくなかったです!!!」
ポケモンは恐ろしいものなのだよってラベン博士も言っていたからね。
それに一体一体相手してる暇なんてない。
「っ……何だこれは!?」
「居ないと思ったら……」
湖の中心に位置する洞窟から猫耳みたいな独創的な青い髪型をしたギンガ団の幹部が出て来た。
───サターンだ。
「お前らがやったのか!? よくも……!」
「湖を吹き飛ばしておいてよく言う」
実際ロストタワーにはギンガ団にポケモンを殺された遺族だって来ている。
それだけの事を彼らギンガ団はやっているのだ。
だからこそなんでお咎めなしみたいな顔で再出発できたのかマジでわからない。
やっぱりインフラ握ってる組織はダメだな。
「で、アグノムは見つかったかい」
「……そうか。我々の邪魔をするなら潰す!」
「【さいみんじゅつ】」
「ドーミラー!」
サターンが叫ぶと淡く光ったドーミラーのよく分からない力で【さいみんじゅつ】が無効化された。
「なるほど……よし、頼むぞコウキくん!」
「えぇ!!?ここでボクですか!?」
「戦力はキミの方が充実してるからね! 大丈夫! キミなら勝てる!」
シェイミはいう事をマトモに聞かないだろうしね!
「え、ええぇ…? わ、わかりましたよ!」
そう言うとエンペルトをくり出すコウキくん。
一対一の、尋常なポケモンバトルが始まった。
お行儀良くしている間に、新たに捕まえたストライクを繰り出し、ホントに誰も死んでないか確認していく。
「おい貴様ッ!」
「死んでないか確認するだけさ。寝覚めが悪いからね」
「………ならいい」
素直だな、コイツ。
いや、責任感が強いんだっけサターンは。
プラチナだとアカギがいなくなった後のギンガ団の面倒を見ているからな。
とは言っても、コウキくんに勝てる筈もなく。
暫くすると普通に3タテされて終わっていた。
「さて、サターン。キミは負けた訳だ」
「クッ……アカギさま…ッ」
「うーん、どうしようか。アグノムさえ無事なら、君たちの計画は粉砕できるからね」
「おのれ知っていたか考古学者め!」
取り敢えずアグノムの無事を確認して──出てくれるかちょっとわからないけど。
その後今来ている警察に引き渡す──警察?
「大丈夫ですかサターンさん!」
「え?」
警察がサターンの安否を確認している、と言う事は───
「ふ、フハハハハ!トバリの警察は全て我々の影響下にあるのだ!」
「そんな……!」
「そんなアホみたいな事ある?」
いやでもそれなら国際警察のハンサムとか言う某が下手に動けない訳だし、国際警察という地方を超えて悪の組織を捜査する機構が必要な訳だ。
───仕方ない。
「コウキくん、鞄頼むよ」
「え───」
「おっと動くなァ!コイツらがどうなっても良いのかぁ!?」
プレートの入った鞄の中から一枚だけ抜き取ると、鞄をコウキくんの足下に転がし背後から首を腕で拘束する。
「先せ───もがっ」
「すまないがここでお別れだコウキくん」
関係を気取られる前に別れる。
コウキくんならきっとこの後ギンガ団を潰してくれるだろうから。
「なっ!サターンさんと少年が人質に取られているぞッ!!!」
「はーっはっはっは! おいサターン、お前はついて来い」
「わっ、何をす───」
アヤシシにサターンを背中に放り投げてもらい、また自分もアヤシシの背に跨ると、ポケモンをしまう。
「さらばだ諸君!!!【さいみんじゅつ】」
コウキくんを眠らせると、クレーターの段差を駆け上がり、警察の包囲網を高く飛び上がり越えていく。
「待て!!!」
待たない。
そのままリッシ湖を飛び出ると、森の中へと駆け抜けていった。
◆◆◆
いやこれ、どうしよう。大分面倒な事になった。
ただでさえ一回捕まっているんだが。
「お前……わたしをどうするつもりだっ」
「いや、ホントどうしよう。トバリシティ丸ごとギンガ団の傘下とか予想してなかったんだわ。まぁ良いや。サターンだっけ? なんでアカギについていってんのさ」
サターンのスタンス次第で、大体ダイパなのかプラチナよりの世界なのかがわかるからな。
重要な事だ。
「はっ、誰がお前なんかに教えるものか」
「えぇ……」
状況わかってんのかコイツ。
ポケモンは全員ひんしの癖して。
一応人質なんだけどな。
「じゃあ質問を変えよう。ディアルガとパルキアを従えても宇宙創世なんて出来ないけどそこんとこどうなのさ」
「……は? お前…何を言っている」
「やっぱ知らないかぁ」
「まて、答えろ! 何を知っている!?」
レインボーロケット団に合流したアカギも、ディアルガとパルキアにより宇宙が創造された……と思った瞬間にギラティナにやぶれた世界にご招待されたからな。
更にその瞬間にレインボーロケット団に転移したんだけど。
ま、何にせよディアパルだけでは逆立ちしても世界は創造出来ない。
「何をって…シンオウ神話? 神話の知識ならシンオウ地方の誰よりも……いや、三本の指には入ると自負があるよ」
「……そうか」
サターンは得心を得た様な素振りを見せた。
「ロト〜!」
「わ、何だよお前。付いてきたのか」
突然懐のポケモン図鑑から飛び出したロトム。
「ロト!」
「いや、でもちょうど良かったかもしれないな」
ここでプレートを一枚だけ抜いたのには訳がある。
抜き取ったそれをアヤシシに持たせて、ひたすら森を駆け回らせた果てにたどり着いた現在地───送りの泉。
「ここからは賭けになるけど───」
このまま逃げ続けるくらいなら。
「ま、なんとかなるさ」
───打破してやろうじゃないか。
………いややっぱつれぇわ。
助けてシロナさん!!!!!
しゅじんこう
おたずね ポケモン
とうとうお尋ねものになってしまったヤツ。
その内ギンガ団をコウキくんが潰してくれると信じて待とうとも思ったが、サターンに余計な事を喋られるとおじゃんなので、ギンガ団警察をひきつける為にサターンを拉致したのでプラン変更。
コウキくん
ポケモンセンターで目が覚めると全てを理解し泣きじゃくった。
怖い目にあったんだね可哀想にと思われている。
《もののけプレート》だけ無いのをふしぎに思っている。
ギンガ団は草の根書き分けても絶対に駆逐してやろうと思っている。
サターン
しゅじんこうに拉致られてしまった。
このままだとドバッとシンオウ真実に触れる事になるが果たして。
アンケート接戦すぎて笑うんだわ