原作知識を駆使してシロナさんを釣ろうとする前に全然違うヤツが釣れる話   作:鹿頭

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六話

りゅうのプレート を てにいれた!

 

 シンオウ様の像の裏側に埋まってるかもしれないりゅうのプレートは、コウキくんのポケモンウォッチに内蔵されてたダウジングマシンにより無事発掘する事に成功した。

 

 

 とは言ってもコウキくんは町の敷地を掘るのは流石に抵抗があったらしく、「なんで探しているんですか?」と聞かれたので、「シンオウ神話の真実を解き明かすためさ」と答えたら掘ってくれた。やさしい。

 

 プレートの文字を読み上げたらコウキくんは非常に感心していたので、きっとコレからも協力してくれるだろう。

 

 集めた所でアイツに会えるかは知らんが。

 別に何が何でも会いたいわけでもないし。

 

 カンナギタウンに行く前に、森の洋館でプレートの確認、有るんだったら回収をしておきたいが……

 そんなとこに行っても会えるのはせいぜい容疑者ナタネさんくらいで、シロナさんには会えない。

 

 これは後回しにする事にした。

 

 でもコウキくんがいる内に回収しておきたいから、理由を付けて行きたいと思う。

 

 あんな所に一人で入るとか怖くて無理だから。うん。

 

 さて、ハクタイシティからカンナギタウンに行くには、211番道路を通る必要がある。

 

 渓流に架かる橋を超え、テンガン山を貫く洞窟を渡らなければならない。

 ヒスイ時代にそんな痕跡は見られなかったから、きっとシンオウ地方になってから成立したルートなのだろう。

 

 そんな事を道中コウキくんに語りながら、歩いていた。

 

 

「そろそろカンナギタウンですね」

 

 

「ああ、コウキくんが居てくれて助かったよ。一人じゃ野生のポケモンは厳しかっただろうからね」

 

 おかげで図鑑埋めも捗った。

 

 すべてのポケモンにであえ なんてアホみてぇな事言われてないし、殿堂入り図鑑とか無いから、埋める意味はないと言えば無いんだけれど……

 やはりね、図鑑埋めは楽しいからね。

 

 

「そうですか? ならよかったです!」

 

 うっ、眩しい!

コウキくんはそんな悪い大人の事情なんか知らないとばかりの光を放っている。

 

 ───さ、さて。

 ぶっちゃけノリと勢いでカンナギタウンに来たものの、その実シロナさんのイベントは存在しない───だが、今は違う!

 

 ここは現実だ!ゲームではないっ!

 ならば必然、シロナさんが実家に帰ってきても全くおかしくはない!不自然ではない!違和感はない!!!

 

 里帰りシロナさんがいる可能性にゼロはないのだ!!!

 

「さて、ここがカンナギタウンだ。かつてはこの辺にはカミナギ寺院と呼ばれる礼拝所があってね」

 

 小規模な、盆地の中に収まっている様な村。

 ヒスイのカミナギ寺院付近は山岳地帯ではあったものの、こんな地形では無かったから、やはりシンオウ地方時代にかけて出来た大地なのだろうか。

 

「今となってはその痕跡は壁画しかないが──おや」

 

「アレは……!」

 

 宇宙服みたいな銀色を基調したデザインに、水色の変な髪型の連中───ギンガ団。

 そのしたっぱ達が、壁画に通ずる道を塞いでいた。

 知っているのより人が多い気がするが──

 この時期は確かアカギがいる。

 当然の措置だ。

 

 と言うかなんで原作はしたっぱの数が少なかったんだろうね?

 

 どうやら、期せずしてこの時期に居合わせていたらしい。

 

「知っているのかい?」

 

「ハイ、ギンガ団です! アイツらここで何を!」

 

 コウキくんはどうやら度々こいつらに出会しているらしい。

 流石の主人公力、と言った所だろう。

 

「それはわからないが……このままだと遺跡の中に入れないが───ちょっ、コウキくん!?」

 

 コウキくんは持ち前の正義感からか、したっぱの下へと駆け出していく。

 慌てて追いかける様に着いていくと、ギンガ団のしたっぱ達はケヒャヒャと笑っていたのを見た。

 

「こんなひなびた町、ギンガ爆弾で吹き飛ばしてやるぜ〜!」

 

「うーん悪者だねぇ」

 

 お約束じみたセリフに思わず苦笑する。

 

「そうはさせない!やりましょう!」

 

「ポケモンバトルはあまり得意じゃないんだけどねぇ」  

 

 そう言うと今いる手持ち───総勢二匹を繰り出す。

 

「キャモメ、【ちょうおんぱ】オドシシ、【さいみんじゅつ】よし、決まったな。いまだ、コウキくん!」

 

「はい!」

 

 普通、ポケモンバトルといえば一対一、二対二が暗黙の了解かつ、公式戦でのルールなのだが、相手は悪の組織なのでヒスイ式でボコボコにすることが推奨される。

 

 もっとも、向こうも複数繰り出してくる事は当然あるのだが。

 

「おぼえてろよ〜!」

 

 三下じみたセリフを吐き捨てて逃げ去るギンガ団のしたっぱ達。

 いや、ボス置いていくなよ。

 しかし悪の組織とは上に行けば行くほど強くなるから、むしろ邪魔か?

 

「ふぅ」

 

 一息ついて、キャモメとオドシシをボールにしまう。

 いつになったらキャモメはペリッパーに進化するのだろうか。

 ライドポケモンに仕立て上げたいんだけどなぁ。

 いや、ペリッパーだからライドじゃなくてボーディング…?

 

「───さて、コウキくん。入り口の向かって左側がディアルガ。右がパルキアだ」

 

 全く、ヒスイ時代にあった像は何処に行ったんだろうね?

 よく考えたら、ギンガ団本部庁舎も存在しないから、もしかしたら、文化財破壊マンみたいなのがこのシンオウ地方にも居たのだろうか。

 

「この絵が……」

 

 コウキくんはほえー、と口を開けて感心を見せる。

 

「さて、中に入ろうか」

 

 突っ立ってるコウキくんに中に入る様促した。

 

「……中、意外と広いんですね」

 

「そうだね。あの奥に見える壁画が、シンオウ神話に伝わる感情の神エムリット。知恵の神ユクシー、意思の神アグノム」

 

 そういやこの壁画、ヒスイ時代の出来事──邪神に拉致られた一般被害者がディアパルを鎮めるために《あかいくさり》を作った場面なのではないか?と言う説があったな。

 

 だとしたらこの壁画、歴史浅くね?って話になってしまうが。

 

「あの、中央にある赤い球みたいのはなんですか?」

 

 ああ、それは───と言いかけて、口を噤んだ。

 

「悪いけど、ポケモンセンターで話すよ」

 

「? 良いですけど…」

 

 そう言って出口に向かう。

 外に出ると、少し離れた所に、男が立っていた。

 

「どうも下らない争いがあったようだ」

 

「ええ。実に下らない争いですよ。シンオウを開拓したギンガ団の名が泣いてしまう」

 

 この位は言いたかった。

 

 いや別にヒスイ時代に居たわけじゃないけれども、どうしてあんなんなったんじゃろ、と思う一人のプレイヤーとして。

 

「………わたしの名前はアカギ」

 

 話を聞いたか聞いていないのか、現ギンガ団のボス、アカギは自らの名を名乗った。

 

「下らない争いを無くし、理想の世界を創る為の力を探しているが……ここには無さそうだ」

 

「ええ、ここにあるのは、古代の人々のわずかな痕跡だけです」

 

 今になってちょっと怪しく思えて来たけど。

 

「………キミは、随分と考古学に明るいみたいだが。何か神話に纏わる力を知っていないか」

 

 いやこっちに振ってくるなよ。

 いいから早く帰ってく───いや待て。

 

 ギンガ団は最終的にシロナさんとも対立する訳だから……?

 縁は結んでいても損はない、か?

 出来る大人という物はあらゆる方面に根を下ろしておく物だからね!!!!

 

「おや、ギンガ団の記録に有りませんでしたか? ああ、と言っても。開拓団の方ですよ」

 

 実際持ってなければ、ディアルガとパルキアを利用しよう、なんて発想にはならないだろうな、とは思う。

 目の前の男はシマボシにそっくりだし、少なからず伝わってはいると思うんだが。

 

「キミは……何を知っている?」

 

「───ヒスイを」

 

 何となくキメる意味深ムーブ。

 コウキくんも見てるからね、カッコつけさせてもらうよ。

 

「………そうか。何か分かったならば、教えて欲しい。それが新しい世界を産み出すのに必要なのだ」

 

「そうですか」

 

 いや、教えなくても辿り着くやんお前。

 

「では、失礼する」

 

 そう言うとアカギは踵を返し去った。

 

「あー、疲れた」

 

「あの人は…? 知っているみたいでしたけど」

 

 人の話に割って入らない良識を持つ少年、コウキくん!

 君への好感度が上がっていくよ。

 

「ギンガ団のボスさ」

 

「あの人が!?」

 

「うん。今のコウキくんじゃ逆立ちしても勝てない実力者。それこそシロナさんを連れてくるべきだね」

 

「だから壁画の話をやめたんですか!」

 

「そういうこと。強そうな気配がしてたからね」

 

 いやそんな気配してないが。

 わからないが。

 

「……きっと彼らは《あかいくさり》を探していたのだろう」

 

「《あかいくさり》…?」

 

「そう。あの壁画の赤い丸さ」

 

「!」

 

「曰く、神すら縛る神器。そんな物が本当にあるのならば、悪人の手に渡ってしまえばどうなることやら」

 

 まあ、ギラティナ居るしどうもならんと思うけど。

 あーいや、レインボーロケット団のアカギは成功したんだっけ?

 

「ほぉ、随分と詳しいの」

 

「!」

 

 嗄れた声が割り込んだ。

 

「おお、驚かせてすまない。あたしはここの長老と呼ばれていてね」

 

 長老……即ちシロナさんのお祖母様ッ!!!

 

 アニメじゃカラシナ博士とか言うナナカマド博士の門下だか同僚だかが祖母だったが、目の前の老婦は確かにシロナさんの面影を見てとれるが、カラシナ博士には似ていない。

 

 でも祖母なんて二人いますからね、父方か母方かは判りませんが長老と博士両方祖母の可能性ありますからね!!!

 

 

「先程の件は礼を言う。あの通り遺跡を通せんぼされてのう」

 

「いえ、悪いやつをやっつけるのは当然です!」

 

「……おお、そうか。頼もしいのう」

 

 長老はコウキくんの返事に微笑んだ。

 勇ましい事だ。

 こう言う少年が世界を背負っていくんだね。

 ホントに背負うんだったわ。

 

「───ああ、長老。一つお伺いしたいのですが、あの社には何を祀っているのですか?」

 

 これは、この世界に来る前からの謎。

 カンナギタウンの中央にこれみよがしに置いてあるけど実際何も起きない*1あの建物。

 今ここで解き明かすのも悪くないだろう。

 

「ああ、アレは春の神を祀っておってな」

 

 ───イッシュ地方に全く同じ様な建物が建っていると言う理由でそう言う考察がなされていた。*2

 

「春の神…ですか?」

 

 コウキくんが尋ねた。

 

 春の神───と言う事は。

 

「───ラブトロス」

 

「む、よく知ってるなお主。そうじゃ。ラブトロスじゃ」

 

 いや名前伝わってるんかい。

 凄いな長老。

 流石シロナさんのお祖母様だっ!!!

 

「ラブトロスって…なんですか?」

 

「冬の終わり頃に、昔よくシンオウに来ていたヤツでな。近頃はとんと見ないから、何処ぞで捕まえられたのかもしれんが」

 

 長老がコウキくんの疑問に答えた。

 

「加えるなら、《ほうじょうのやしろ》って目の前のこの社に良く似た建物がイッシュ地方にあってね。そこにはランドロスと言うポケモンが、豊穣の神として祀られているそうだ。事実なら、イッシュ地方とシンオウ地方の古くからの交流が示唆される訳だが───」

 

「へえ 本当に詳しいな。わらわもそこまでは知らなんだ」

 

「流石、なんでも知ってますね!」

 

「考古学は専門だからね」

 

 そう言っておけばシロナさんへと繋がる栄光のロードが切り拓けるからな!

 

「なるほど。シロナと話が合いそうじゃな」

 

 YES!!!!そうだっ!!!

 こうやって外堀を埋めていくものだよ!!!

 そうですお祖母様。

 ですからシロナさんにご紹介をですね。

 

「所で……お主のオドシシ。アレは何処で捕まえたものなのじゃ?」

 

「え? ああ、クロガネシティからハクタイに行く途中ですが…」

 

「ほぉ……まだ生きとったのか。そうかそうか」

 

 長老は懐かしむような表情を浮かべた。

 まあ、希少種だからね。

 きっと長老の若い頃にはもう少し居たのだろう。

 

「ふむ……ならそなたにこれを渡すとしようか」

 

 そう言うと長老は懐から何かを取り出した。

 

「……種?」

 

「これは、かいでんのタネと言ってな」

 

「!!!!??」

 

 えっ!!!!

 カイデン=ナタネ!?じゃなかった、皆伝のタネ!?

 何故ここにあるのだ!?

 まさかこの長老、早業と力業を伝承していると言うのか!?

 いやまあシロナのお祖母様。長寿であってもおかしくはないが……

 

「お主のオドシシに食わせるといい。いつか面白い事が起きるかもしれんぞ」

 

 かいでんの たねを てにいれた!

 

 オドシシに かいでんの たねを つかった!

 

 オドシシは 早業と力業を 覚えた!

 

「おお、そなたにはこれをやろう」

 

 コウキ は なみのり を てにいれた!

 

「あの子のものじゃが使わんから良いじゃろ」

 

「わぁ…ありがとうございます!」

 

 おい……待てぇ、つまりそのわざマシンはシロナさんのお下がりって事だろ貴様ァ……!

 やっぱりそっちが良いぞ!!!

 

「すみません、貴重な物を」

 

「良い。物は使ってこそじゃ」

 

 長老は微笑んだ。

 

「では、近ごろ物騒だからな、気をつけてな」

 

「はい!ありがとうございました!!!」

 

「すみません、色々と」

 

 長老はゆっくりと去っていった。

 うーん、帰省したシロナさんに紹介してくれると嬉しいんだが。

 

「───さて、コウキくん。この後はトバリシティかな?」

 

「いえ、一度ハクタイに戻って、そこからクロガネ経由でヨスガシティに行こうと思います」

 

「おや、まだヨスガシティのバッジは手に入れてなかったのかい?」

 

「はい、カンナギタウンの方が近かったので、先に……行ってみようかと」

 

「なるほどねぇ」

 

 寄り道は楽しいからね、仕方ないね。

 

「ハクタイシティか……少し寄りたい所があるんだよねぇ」

 

「え、どこです?」

 

「───森の洋館」

*1
ポケモンにはよくある事

*2
グラの使い回しじゃね?とは言ってはいけない





しゅじんこう
道中のポケモンはコウキくんが蹴散らしてくれた。
図鑑なしにタイプ相性を即答するので感心するコウキくんは寄生されている事に気づいていない。

コウキくん
溢れる主人公力は女主人公よりもより濃くギンガ団との闘いに身を投じる運命を引き寄せる。
女主人公はその頃イモモチを食べている。

アカギ
改心ルートが微妙に開拓されかかっているロト。
いややっぱ満足していなくなるかもしれない。

長老
そう呼ばれているだけでカンナギタウンの長老とは言っていない。
ついでにシロナの祖母とも一言も言っていない。
勝手に一文無しが思っただけである。
めちゃめちゃ長生き。
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