原作知識を駆使してシロナさんを釣ろうとする前に全然違うヤツが釣れる話   作:鹿頭

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今回はコウキくん視点で。
(タグを追加すべきか考える顔)

作劇の都合上オリ主に固有名詞を付しました。



七話

 

「森の洋館……ですか?」

 

「ああ」

 

 先生がそんな事を言った。

 ──と言っても、先生、ってのはボクが勝手にそう呼んでるだけなんだけど。

 

 前に先生、って言ったら、『そんな大層な人間じゃないよ』*1って言われたから、心の中でだけ。

 

「うーん、特に歴史的な謂れとかはないよ。あるとしたら……殺人事件?」

 

「さ、殺人!?」

 

 そんな所に、どうしていく必要があるんだろう。

 

「噂だけどね。廃墟になって久しいけど、旧家だからもしかしたらプレートがあるかも知れないからね」

 

「……ホントにあるんですか?」

 

 流石のボクも、適当な事を言ってるって、わかる。

 今までのプレートだって、埋まってたんだから、そんな所にある訳ないじゃないか。

 

「コウキくん、プレートは価値の分からない人から見たら、まな板にちょうど良さそうな石板だよ」

 

「えぇ…? うーん…」

 

 じゃあ、価値がわかる人が、もう拾ってるかも知れない。

 そう言おうとしたんだけど。

 

「それに、ゴーストポケモンが出るみたいだからね。図鑑埋めは大事だろう?」

 

「そうなんですね、行きましょうか」

 

 先生は、そうやっていつもボクの為になることに誘ってくる。

 

 

「───ホントに入るんですか?」

 

 いかにも何かでます!って大声で言っている様な、古くて大きい家。

 そんな雰囲気に気圧されて、入りたくない気持ちがふつふつと湧いてくる。

 

「まず、外、探してみようか」

 

「は、はい」

 

 ダウジングお願いね、と先生が頼む。

 

 先生はどう言うわけかお金もなければ物も持っていない。

 

『最近はバトルするようになったから、本当の意味で一文無しって訳じゃないんだけどね』って先生は言うけど、あまりバトルをしないからポッポの涙の量しかない。

 

 

「反応、ありましたよ」

 

「お、あったか。スコップ貸して」

 

「はい!」

 

 カバンからスコップを取り出して、先生に渡す。

 先生がザクザクと掘り進めていくと、何か固いものに当たったらしく、慎重に土を退けていく。

 

「あったねぇ、プレート」

 

「えー!」

 

 そんなあっさり見つかるのが信じられなくて、驚いた。

 

「お、これは…《たまむしプレート》かな」

 

「なんて書いてあるんですか?」

 

 先生は、昔の字を読める。

 チャンピオンすら読めない様な、古い字が読める。

 どうして読めるのか、と尋ねたら先生は、『読める人は他にも居るからね』とだけ答えた。

 こないだの、カンナギタウンの時もそうだ。

 

 テレビで、チャンピオン・シロナでも、シンオウ地方にある遺跡のことは解明できてない、って言っていたのに、先生は当然の様に何が描かれているのかを知っている。

 

「ええとね……《うちゅう うまれた ばしょ そのもの はじまりの ばしょ》だってさ」

 

「前の《りゅうのプレート》にも《そのもの》って出てきましたよね」

 

「うん、創造主たるアルセウスの事だね」

 

 アルセウスの話をするときだけ、先生は苦いコーヒーを飲んだ様な顔になるのは、どうしてなんだろう。

 いつか、わかる時がくるのかな?

 

「───よし、入ろうか」

 

 先生はプレートをしまうと、洋館の玄関扉に歩いていく。

 でも、ボクはまだ心の準備が出来てない。

 

「怖いかい? 気持ちはわかるよ」

 

 そう言って先生は苦笑した。

 

「鍵は…開いてるか」

 

 ぎぎぃ、と擦れる様な音を立てて、大きな扉が開く。

 外はまだ明るいのに、中はうす暗くて。

 とても前に進めるようなものじゃないし、それに、奥に置いてある像が──。

 

「ほら!もう!何で像が片っぽしか無いんですか!!!」

 

 見ている様な。

 

「気にしちゃいけないよ。元々そう言うものかも知れないし。一階から見ていこうか」

 

 先生は気にせずズンズン前に歩いていく。

 置いていかれるのが怖くて、慌てて先生の後を追いかける。

 

 像の横を通り過ぎて部屋に入ると、そこは広い、大食堂。

 向かい側の席に、おじいさんが───

 

「い、いいいいいま、いま、いまっ」

 

「お、ゴースだ、ほれっ」

 

 先生はゴースに向かってボールを投げつける。

 

「うん、ダメだねコウキくん。君が捕まえるかい?」

 

 ……いつも思うんだけど、取り敢えずポケモンを見たらボールを投げるのは、なんでなんだろう。

 欲しいなら弱らせてから捕まえれば良いのに。

 

「そっか。オドシシ、■■で【バリアーラッシュ】」

 

 ボクが答えると、先生がオドシシでゴースを倒す。

 

「うーん、ただの食堂みたいだね」

 

 先生があちこちをウロウロしてから、そう言った。

 

「さ、二階に行こう」

 

 先生が食堂から出ていくのを、追いかけた。

 

「おっ、ゴースト。ゲンガーも探せばいるかも知れないね」

 

 部屋から出るとまたポケモンがいた。

 

「ゴーストポケモンの数が多すぎやしませんか…?」

 

「ま、曰くつきだからね。そういう話に惹かれるんだろうさ」

 

「ひえぇ…」

 

 ボクはこんなに怖いのに、先生は何も怖くないようだった。

 こうしてる間にも、先生はオドシシでゴースたちを蹴散らしながら、進んでいく。

 

「ハクタイ銘菓《森の羊羹》……まだ食べられるな、ヨシ」

 

 ある部屋に、羊羹が置いてあった。

 羊羹には賞味期限がないから!とか変な事を先生はいって、持って帰ろうとする。

 

「もー、やめましょうよ! 新しいのなら買ってあげますから!」

 

「いやいや、流石に悪いよ」

 

 えー、という先生の声を無視して、ボクは部屋の外に引っ張っていく。

 

 大きな踊り場の向こうに、もう一つ扉があって、そこに入ると、横に長い廊下。

 部屋が何個か並んでいるのが見える。

 

「うん、左端から行こうか」

 

 先生はそう言って一番左の部屋に向かっていく。

 扉を開けて、中に入ると先生の動きが止まった。

 

「先生?」

 

 何があったんだろう、と思って近づいてみると、そこにあったのは。

 

「プレート……ありましたね」

 

「あったね」

 

 そう言って先生は苦笑いした。

 

「《こわもてプレート》か。《2ひきに もの 3びきに こころ いのり うませ せかい かたちづくる》」

 

 また、先生はスラスラとプレートに刻まれた字を読んでいく。

 

「2ひきってのは、ディアルガとパルキア。3びきは…エムリット、アグノムにユクシーの事だね。壁画で見ただろう?」

 

「あの……」

 

「何かな?」

 

「そもそも、本当に居たんですか」

 

 神話のポケモン。

 時を司る神、空間を司る神。

 そんな、神様みたいなポケモンがいるなんて、ボクには到底信じられなくて。

 

 つい、そんな事を口にしてしまった。

 

「……ギンガ団の目的は、そのディアルガ・パルキアの捕獲でね」

 

「!」

 

 そうしたら、先生は驚く様な事を話した。

 

「昔……大体百年以上は前かな。一度このディアルガ・パルキアが顕現したという記録が残っていてね。恐らく今のギンガ団……アカギはその記録を手に入れたんだろうね」

 

「そんな…!」

 

 それは、放っておいたらマズイ事なんじゃ?

 

「じゃ、じゃあ───」

 

「コウキくん」

 

 先生が話を遮った。

 

「なん、ですか?」

 

「さっさと部屋を確認しようか。話は外でさせてくれないかい?」

 

「あっ、はいじゃあそうしましょう!」

 

 先生も、本当はここにいるのが怖いってわかって、なぜだか少し、安心した。

 

「次はボクが開けますね」

 

 そういってボクは部屋から出て、隣の部屋を開けると、見えちゃいけない物を見た気がした。

 

「なんで……テレビが?」

 

 独りでに動くテレビに、ボクは動けなかった。

 

「テレビの中になにか……」

 

 ボクの後から入ってきた先生がそう呟いたその時。

 

「ロト〜!」

 

「わっ!」

 

 テレビの中から何か飛び出してきた。

 

「へえ、ロトムだ」

 

 先生はその正体を知っているようだった。

 

「知ってるんですか!?」

 

 先生は、ボクが知らないポケモンのことでも、詳しく知っている。

 これでジムリーグ戦はやったことがないって言うから、驚きだ。

 

「ああ。《ラベン博士のポケモン図鑑》に載ってたよ。読んだことないかな?」

 

「あ、あはは……」

 

 ラベン博士ってのは、昔のシンオウ地方にいた、ナナカマド博士みたいな人らしい。

 でも、その人が作ったっていう図鑑は、ボクは見たことがなくて、笑って誤魔化していた、その時。

 

「え、わっ──」

 

 ロトムが、ボクの持っていた図鑑に飛び込んできた!

 

「────ほう?」

 

「ロトロト〜!」

 

「図鑑に……!」

 

 ボクの図鑑と合体した形になったロトム。

 凄い、そんなポケモンいたんだ!

 興奮していると、先生が声をかけてくる。

 

「コウキくん」

 

「なんですか?」

 

「この子、ボールに入ると思うかい?」

 

「え」

 

 先生が真剣な顔で問いかけてくる。

 それって、つまり。

 

「ロトム。ちょーっとだけそこから出てもらえるかな」

 

 先生がロトムに声をかけると、ロトムは図鑑から飛び出る。

 それを見たボクはカバンからボールを出すと、ロトムにぶつけると、何もなく落ちて行った。

 

「……入らない」

 

「このロトム、捨てられてない可能性が高いね」

 

 ひとのポケモンは捕まえられない。

 ───それは常識だから。

 

「じゃ、じゃあっ! この洋館の住人はまだ生きてるんですか!?」

 

 だとしたら、どこに、だれが。

 怖くなったボクは、この部屋の外に、だれかがいる様なきがして───

 

「それは分からない。そもそも、このポケモンが外から迷い込んできたのかも知れないからね」

 

「あ、そっか……」

 

 先生の声が、ボクを現実に戻す。

 確かに、その通りかも知れないって、思った。

 

「ま、とにかく連れてってあげようじゃないか。もしかしたら、トレーナーが見つかるかも知れないし。取り敢えず、図鑑に入れとこうか」

 

 先生の言葉にボクは頷いた。

 

「ロトム、図鑑にはもっかい入れるか?」

 

「ロトー!」

 

 そう言うと、ロトムは図鑑に入って行った。

 

「よし、他の部屋、さっさと見てハクタイシティに戻ろうか」

 

 

◆◆◆

 

 

 ───外に出ると、何故だか夜になっていて。

 

 怖くなったボクは叫びながら一目散に駆け出して行った、らしい。

 らしい、と言うのは正直なところ無我夢中で覚えていないからだ。

 

 ハクタイシティにいつ着いたのかも、ちょっと覚えてなかった。

 

 

「───うーん、この子を探している、って話は届いてないですね…」

 

「そう、ですか……」

 

 ポケモンセンターで、ジョーイさんにロトムを探している人がいないかを調べてもらったけど、見つからなかった。

 

「まあ、ダメで元々だったからね。気を落とさないの」

 

 肩を落としたボクを、先生が慰める。

 

「どうします? こちらで保護することも出来ますが…」

 

「いえ、それには及びません。こちらで()()()()()

 

 ボクが答える前に、先生が答えた。

 その時に、ウインクをしたから、先生は多分諦めていないみたいだ。

 

「それでよろしければ、大丈夫ですよ」

 

「ありがとうございました」

 

 そう言って、カウンターから離れた先生は、近くの掲示板に目を留めていた。

 

「何みてるんです?」

 

「うん? ああ、コレだよ」

 

《シンオウ写真コンテスト 佳作 サザレ》

 

 その写真は、一面の花畑だった。

 ボクはこの光景を見たことがあった。

 

「ソノオの花畑ですね」

 

「へぇ、これが……」

 

「え、見たことないんですか?」

 

 ふぅん、と頷く先生に、ボクは驚いた。

 

「うん、無いよ」

 

「わっ、それは勿体無いですよ!」

 

「そうかい? ま、今度行ってみるとするかな」

 

「え、近いんですから行きましょうよ」

 

 カラカラと笑う先生に、ボクは思わずこう言っていた。

 

「キミ、ヨスガのジムに行くんじゃなかったのかい」

 

 確かに、そうだ。

 

 ヨスガジムに挑戦するつもりで、いたんだけれど。

 

「大丈夫ですよ。ちょっと遠回りになるだけです」

 

 今はもうちょっと、先生の話を聞いてみたかった。

 

「………コウキくんが良いなら構わないが」

 

 先生の知識に触れてみたかった。

 

「よし!じゃあ行きましょう! 善は急げですよ!」

 

 だから、ちょっとだけ。

 ちょっとだけ、我儘を言って。

 ボクは遠回りをする。

*1
ブルアカをやっていた





コウキくん
ロトム図鑑を先取りした。しただけ。
ルートによってはロトム元気でな!の可能性がある。
もはや手遅れと化してしまったかわいそうな子。
果たしてポケモンリーグに辿り着くことが出来るのか。
女主人公は今日も元気にイモモチを食べている。

ふえぇ…勝手に動くよこの子…助けてショウ先輩……

しゅじんこう
じあん ポケモン
シロナさんには会えてないけどプレートは順調に集まっている。
シロナさんに出会える日はいつになるのかはアルセウスのみぞ知る。


そろそろ女の子(ヒロインになるとは言っていない)をだね…



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