原作知識を駆使してシロナさんを釣ろうとする前に全然違うヤツが釣れる話   作:鹿頭

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九話

 

 

 ソノオタウンでクソガキを渋々仲間にし、グラシデアの花を町の住民から頂き。

 そんなこんなで久しぶりのコトブキシティに着いた。

 

 コトブキシティの空気はいくらシンオウ地方とは言っても都会とあって悪い。

 そのせいあってかシェイミも『しかたないでしゅね、ボールに入ってあげましゅ』とか言いながらボールに収まっていった。

 

 それと反比例する様に、コウキくんの図鑑に入り込んでいるロトムが元気に活動を始めていたが、周りの人達もなんか見たことないポケモンだなぁ位の反応だった。

 

 ここから将来一人に一匹ロトムの時代が来るんだよなぁ。

 どうやって増やしたのか知らんけど。

 

 これが黒いゲーフリか…!

 

「コトブキシティに来るのは久々だよ」

 

「そう言えば……どこ出身なんですか?」

 

「うん?ここに来る前はミオにいたよ*1

 

「へぇー、ミオなんですね」

 

「ま、図書館くらいしか思い出はないけどね」

 

 と言うかそこ以外の施設を利用した覚えがない。

 

「あ、やっぱり図書館で勉強を?」

 

「まあね。一文無しだったし」

 

「あ、あはは…」

 

 本当、字が読めて助かっている。

 

 これが無ければ一般常識を得られないどころか、図書館にも行くこともなく。

 そして彼からモンスターボールを手に入れて、旅に出ることもなかったろうから。

 

 それだけは、かの神に感謝しても良いと思える。

 いややっぱりアルセウスが呼んだ保証も確証もねぇから保留だ保留。

 

 

「さて、どうしようか? このままクロガネシティに向かうか……息抜きでもするか」

 

「息抜きって言われても…何するんですか?」

 

「なけなしのお小遣い*2で博物館に行くけど……どうする? 時間決めて各人自由でも良いけれど」

 

「いやいや、一緒に行きますって。どうせなら話を聞かせてくださいよ」

 

「そうかい? じゃ、行こうか」

 

 と、以前にお金がなくて入れなかった博物館に行くことにしたのだ。

 

 展示内容は───

 

「ヒスイ時代の展示がメインか」

 

 観光客で賑わっているこの博物館は、静かな雰囲気ではないものの、豊富な資料を眺めることができた。

 かつての───ヒスイ地方の続きとも言えるそれに僅かでも触れることが出来るとあって、興奮を隠せない。

 

 コトブキシティとは、山を切り出して造った都市である。

 その際クロガネに先に入植し開拓していた人たちとポケモンの力を借りて───云々。

 

 他にもたくさん見るものはある。

 

「あ、ナナカマド博士そっくり。ご先祖様みたいですね、当時の団長って」

 

 デンボクさんの写真だ。

 隣にナナカマド博士の写真も貼ってあり、血の濃さをありありと目にすることができる。

 

「そういえば、コウキくんはナナカマド博士からポケモンを貰ったんだったね」

 

「はい。ボクの大切な相棒です」

 

 真っ直ぐな瞳だった。

 相棒と呼べるのは良い関係だ。

 手持ちにいるのは最近加入したクソガキにオドシシ、そして肩に乗りたがるキャモメだ。

 早い所ペリッパーに進化させて空中移動がしたいんだが。

 

 

「この人がラベン博士ですね」

 

 ふむふむ───かつてタマムシ大学のニシノモリ博士がポケモンの研究を体系立てて初めて行った、ポケモン学の祖とされていた。

 

 しかしある日、シンオウ地方のとある旧家からこのラベン博士のポケモン図鑑のいわゆる抄本が見つかった事により、ニシノモリ以前にもポケモン学とも言える体系が成立していた事が証明された。

 

 ───更にかつてタイプ分類学の祖とされていたオーキド・ユキナリ博士以前に既にタイプによる分類が為され、加えて近年新たに発見された《フェアリータイプ》と思しきタイプ分類もされていたことから、かの博士の功績は絶大であると言える。

 

 名前をお借りして申し訳ございません! いつも助かっております!*3

 

 なおそのオリジナルと言うべき原本は未だ発見されていない───え、普通にヤバくない?

 

「でも原本はまだ見つかってないんですね」

 

「………みたい、だね」

 

 ───どうしよう。

 コウキくんに散々ラベン博士のポケモン図鑑に載ってたよって話してるのに……?

 

 

「でも、おかしいですね。ポケモン図鑑の完成に貢献した、調査隊の人の写真がないなんて」

 

「写真嫌いとかじゃないのかな。昔の人って、いるだろう?」

 

「あー」

 

 ショウとテルのどっちがそうだったのかは解らないけど……確かにそこに居たんだろうな…。

 可哀想に……身一つであんな危険な所に放り出されるだなんて…!!

 ラベン博士が居たから良いものの!

 

 全く許せねぇよなアルセウス!!!

 

 

 

「へえ、イチョウ商会なんてのがあったんですね」

 

 ウ、ウォロさんの写真……現代まで残ったのか……。

 

「なんかこの人、チャンピオンに似てますね」

 

「確かにそうだね」

 

「案外御先祖様だったりするかもしれませんね!」

 

「おかしくはないね」

 

 おかしくはないんだよな!

 確かにウォロさんでもおかしくはないけど、だとしたら一体どこで何してるんですかアンタって話になるけど。

 コギトさんが先祖、って可能性もなきにしもあらずだが。

 

「あ、見てくださいこの掲示。ミオ図書館でシロナさん監修のヒスイ時代の展示だそうですよ」

 

「シロナさんの!」

 

 なんだって!? シロナさん監修!!!?

 つまり! つまりは!!!

 来る可能性があるんじゃあないか!!!?

 

「講演会!!」

 

 来た!!!! ついに来た!!!!

 これで勝てる!!!

 すまないコウキくんここでさよならだ!!!!

 

「……行きたいんですか?」

 

「ああ、当然だよね」

 

「むー……ミオジムは突破したしなぁ…」

 

 コウキくんがそんなことを言うので、ふと気になった事を尋ねた。

 

「そう言えば、ジムって順番あるのかい? ガラル地方とかだと、明確に決まってるけど……」

 

 うーん、ガラルに行くのも悪くないな。

 飛行機に乗る金はないから、ポケモンに乗せてもらうことになるだろうけど。

 ………不法入国の概念とかってないよな?

 

 うん、やっぱりシロナさんと一緒に来ようか!!!

 

「え? いや、バッジの数に応じて手持ちが変わるので、そういうことはないですね」

 

「へえ、そうなのかい。それは知らなかった」

 

「あ、でも。最強はデンジさんって言われてますね」

 

「ナギサシティのか」

 

「はい。でも一時期、バッジを誰にでも配ってる時期*4があったみたいですから、本当かちょっと疑ってるんですけど……っと、ミオの話でした」   

 

 コウキくんが話を切り上げた。

 そうだね、そろそろミオに行かねばならないからね。

 申し訳ないがここでお別れだ!!!

 ついでにシェイミも引き取……あー…?

 

 シロナさんに同行するならポケモンリーグに行くことも有り得る……な。

 いややっぱ引き取ってくれ。

 もしも目的地が花の楽園じゃなかったら大面倒だ。

 

「近いですし、行きましょうか。ミオシティ」

 

「今更なんだけど、ヨスガは良いのかい」

 

 コウキくんがそんな事を言い出した。

 

「大丈夫です。いつでも挑めますから」

 

 ええー! ついてくるのかいコウキくん!

 

 あーだけど計画ではシロナさんの講演会に出席して質問よろしいですか? からの流れで会話していけばその知見の豊かさに気づいてくれて助手として採用してくれるはずだから、別に付いてくる分には構わな───あれ。

 

「あ、シロナさん来てたのは昨日なのか……じゃあいいや」

 

「えっ!?」

 

 それならミオに用はないな。

 

「さ、ヨスガ……の前にクロガネだね。そろそろ行くとしようか」

 

「本当に行かなくて良いんですか?」

 

「シロナさん居ないなら見ても別に……」

 

「えー!? シロナさん目当てですか!?」

 

「うん、そうだよ?」

 

 そうだよ?

 むしろそれ以外あると思っているのかねコウキくんは。

 

「一度だけ幼馴染のみんなで一緒に、講演聞いたことありますけど……よくわかりませんでしたよ? それに、本当のことかどうかも」

 

 シロナさんの講演を聞いたことある!!?

 なんだと貴様っ!!!!

 どうしてそんな経験をしていたんだ!!!!

 羨ましいぞ!!!!

 

「……それを言ったら今までコウキくんに話してきたことも本当のことかわからないじゃないか」

 

「いや、実際に現物あるじゃないですか! シェイミだってそうだし」

 

「………そうだね」

 

「まあ、行かないって言うなら良いですけど」

 

「うん、ミオには行かない。じゃ、クロガネへ向けて出発しようか」

 

 

◆◆◆

 

 

 オドシシ は アヤシシ に しんかした!

 

 203番道路をトレーナーやポケモンを蹴散らしながら進んでいると、その時は唐突に訪れていた。

 

「オドシシって進化するんですか!!?」

 

「するよ?」

 

「ボク今までそんな話聞いたことありませんよ!?」

 

「ミーはひさびさにみたでしゅね」

 

 お前やっぱりヒスイ時代から生きてるだろシェイミ!!

 だから全然言うこと聞いてくれないのかお前!

 

 やはり、早い所トレーナー力の上がるコウキくんに託さねばならないという決意を新たにする所だ。

 

「オドシシが自力で進化するには過酷な環境と特殊なエスパー技が必要だからね。今のシンオウじゃまず見られない」

 

「えっいやっ、シンオウじゃ確かに珍しいですけど、ジョウトにもオドシシは沢山居ます。でも、そんな話聞いたことないですよ!?」

 

「ヒスイ時代ではシンオウ様の加護を受けた特別なポケモンの末裔でもあったそうだよ、アヤシシは。ありがたいポケモンじゃないか」

 

「話がズレてます!」

 

「なんだいコウキくん。やけに熱心じゃないか」

 

 進化したアヤシシが『え、自分のことで揉めてるんですか?』みたいな顔してるだろ!

 そろそろやめて差し上げろ!

 

「ボクの図鑑でも未登録のポケモンだって出てますよ!? これが熱くならないでいられますか!?」

 

 ロト〜! と同意する様に鳴き声を上げるロトム。

 ふむふむ、ということはコウキくんは進化に興味があるのかね?

 そう言えばナナカマド博士はポケモンの進化における権威だったけど、何か関係があるのだろうか。

 

「アヤシシは昔のシンオウ地方にはいたんだ。ただ今は見られなくなったってだけ。ほら、ラベン博士のポケモン図鑑にも載っていたよ」

 

「そのラベン博士の図鑑はどこにいったんですか!? ボク見ましたよ!?《ラベン博士のポケモン図鑑》は原本が失われているって! 今あるのは写本で一部が伝わるのみ、と」

 

 そ、そんなことを言われても。

 知らないものは知らないのだ。

 

 最後に見たのは、Switchっていう板の中での事なんですもの。

 答えられようがないのだ!

 

 ど、どうする。

 このままだとちょっと不味い!

 シロナさんと合流した後シェイミを押し付けることが出来なくなってしまう!!!

 

 ───よ、よし。

 

「いいかい。考古学はね。失われた歴史を、神話を。過去の先人達の遺した過去を紐解くことで今に蘇らせることができるのさ」

 

「話を逸らさないでください!」

 

「けどね、コウキくん。悪意を持って利用すれば、大変な事に繋がる。今のギンガ団の様に、ね。だから、博士の図鑑が無いのにも理由があるのさ」

 

 今見当たらないってことは燃えたか湿気で崩れたか、価値なしと思われて捨てられたか。

 それか未だ後生大事にこっそり抱えている奴が居るかだ。

 

 抱えてそうなヤツに心当たりはあるけどまぁそれはそれ。

 

 でも取り敢えずこの場を切り抜ければ良いのだ!

 

「───!」

 

「これでもね、責任は感じているんだ」

 

 勝手に名前を使ってごめんなさいラベン博士。

 これからもちょくちょく利用させていただきますラベン博士。

 

 なのでこれからもよろしくお願いします博士。*5

 

「───そう、だったんですね」

 

「さて。アヤシシになったおかげでライドポケモンとして背にまたがることが出来るから、先を急ごう。クロガネゲートにも少し寄りたいしね」

 

「あ、おわったでしゅか? ミーはおなかすいたからはやくなにか食べさせてほしいでしゅ」

 

「………ご飯にしようか」

 

「きゃー」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「プレート、ありましたね」

 

「うん。《だいちのプレート》だね。《うちゅう うまれしとき その かけら プレートとする》と書いてある」

 

 クロガネゲートの地下にあるプレートを回収しに来た。

 途中、なみのりする必要があったが、そこはコウキくんの──ポッタイシに頑張ってもらった。

 おかしいな。

 ポッタイシ…いや、ポッチャマといえばヒカリだと思うんだけど、コウキくんがポッチャマを選んだのか。

 

 まあそういう事もある、か。

 

「………あの、もしかしてプレートの場所…わかって、ますよね?」

 

「ネタバラシをすると、ある程度はね。ざっくりこの辺、ってだけで厳密な位置はわからないけど」

 

「それもやはり……?」

 

「ああ」

 

 ボクはそんなこと書いた覚えはないのです……という幻聴が聞こえた気がした。

 いつもありがとうございます。

 

「プレートを集めると、何がある…いや、何が起きるんですか?」

 

 コウキくんのいつになく真剣な眼差し。

 それをじっと見据えてから、「本当に知りたいかい?」と問う。

 

「───はい」

 

「前回は……創造神の拝謁を賜ったらしい」

 

「創造神……って、その」

 

「そう」

 

「………と言っても。同じ事をしても叶うかどうかはわからない。それで明かされる謎があるなら、と思って集めているだけだよ」

 

 実際会えた所でどうしようって話なんだが。

 お前がこの世界に呼んだの?位かな。

 

 元の世界に帰りたい───かどうかは実際その時になってみないとわからないし。

 いやそうなるともうきっとシロナが嫁だからそんな気は全く起きないか。

 愚問だったな!

 

「…………もしかして、ボクってとてつもない話に立ち合ってるんじゃ」

 

「別に、降りても良いんだよ、コウキくん。プレート集め自体は自己満足に近い。悪用を防ぐ為だけなら、一枚押さえているだけでも充分だからね」

 

 あーいや、《つらら》《こうてつ》《がんせき》が集まるともしかするとレジギガスが目覚めるかもしれないか。

 

「ま、創造神を御することなんて出来るとは思わないけど。シンオウ神話の三龍に三湖を生み出したこの御業。アルセウスがそもそもポケモンかどうかも怪しいね」

 

 なんか本体は多元宇宙規模の存在っぽいし。

 ひとがその存在をアルセウス、と呼んでるだけで、ポケモンじゃねぇだろお前!!! ってなったのは懐かしい。

 

 しかし少年/少女拉致って身一つで異世界にほっぽり出すのは邪神の所業なんだわ。

 

「無理をする必要は無いんだよ」

 

 シロナさんと合流したとき困るからね!!!!

 

「フタバを出た時──どんなワクワクした旅になるんだろうって、思ってました。

 ポケモンと一緒に、旅をして、バッジを集めて、シンオウリーグに挑戦して、チャンピオンを目指す。多分それでも充分だったんだと思います」

 

「コウキくん───」

 

「けど、今こうして、ボクの目の前にある道は、神話から繋がる歴史の冒険! こんなに凄いことはありませんよ! 何言われたってボク、絶対ついて行きますからね!」

 

 別に神話の冒険に出たいわけじゃないんだけどなぁ!!!!

 シロナさんにね! シロナさんに養ってもらいたいだけなんだけどなぁ!!!!

 

 ぐぬぬ…くそっ、おのれ……!

 

 仕方ない、業腹だがシロナさんに出会うまでその運命力を精々利用させてもらうとしよう……!

 

「なら、もう遠慮はしないさ。良いね?」

 

「────はい!」

 

 ヨスガシティ…ヨスガシティはシロナさんのイベントがあった…!!!

 ここで決める、ここで決めるぞぉお!!!

*1
嘘は言っていない

*2
たんぱん小憎から巻き上げた

*3
そろそろやめといた方がいいと思うのです

*4
アニメではマジで配ってた

*5
ボクはよしたほうが良いと思うのです





しゅじんこう
コイツの話に脳を灼かれた結果コウキくんは《ラベン博士のポケモン図鑑》を宝の地図か何かだと思っている。
原本は悪人の手に渡る事を防ぐ為に已む無く燃やしてしまったんだろうなぁって思っている。
今更正直に煙に巻く為に図鑑の内容を騙ってたと告白しても信じてもらえないとこまで来てしまった。
なお原本を破棄(してない)した事がシロナさんにバレるとそらもうエラい事になる

コウキくん
当面の人生の目標が出来てしまった子。
ジュンにへへーんお前バッジ幾つ集めたよ!?とか煽られても動じない。
神話を解き明かしかつ神話のポケモンを悪用しようとする悪人を粉砕する大義の前にはジムバッジは軽いのだ。
女主人公は最近笛を吹くのが上手くなったらしい。

アヤシシ
見たらナナカマド博士が卒倒する
シロナさんも当然来る、オーキドも来る。
正解ルートはコウキくん連れてナナカマド博士の所に凸する事だった。

シェイミ
なんでもいいからミーをお花畑につれていくでしゅ
そのためならすこしくらいはちからをかしてやってもいいでしゅよ?
悪の組織やオヤブンレベルの野生のポケモン戦は戦ってくれるが基本言う事を聞かないだろう。

キャモメ
一向にペリッパーに進化する様子がない。


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