鶏胸肉を包丁で整えて、平にしていく。平になったら、フォークで満遍なく突き刺し、柔らかくしていく。フライパンの上には先に薄く切ったニンニクを乗せて、油と共に加熱。油にニンニクの香りを移したら、フライパンに鶏胸肉を皮目を下にして乗せる。皮目が狐色になったら、次にひっくり返す。
両面がこんがり狐色になったら、醤油、みりん、酒、砂糖で作った甘辛ダレを上からかける。火を弱火に落とし、中へと味が浸透するようにスプーンでフライパンの上のタレをかけながら、煮詰めていく。
タレにとろみが出たら、鶏肉をフライパンからおろし、食べやすいようサイコロ上に切る。それをマヨネーズと混ぜたスクランブルエッグ、野菜と共にパンへと挟む。パン、マスタード、千切りにして水に晒したキャベツ、照り焼きチキン、タレ、スクランブルエッグ、パンの順で挟めば…照り焼きチキンサンドウィッチの完成だ。
「はいよ。スグリ。」
「うわっ…美味しそう。頂きます。」
サンドウィッチを頭からかぶりつくスグリ。
「わやじゃ…こりゃ、うんめぇ…!!」
天真爛漫な笑みは大人の嫌な考えを忘れさせてくれる。近々、あの人が来るとなると…また話し合いが拗れるな。…あぁ、想像すると頭が痛い。
「ん?ヤブ兄ちゃん…元気ない?」
心配そうな顔で此方を見るスグリ。…おやおや。
「ふふ。口元にマヨネーズつけてるぞ?」
備え付けのティッシュでスグリの口元を拭ってやる。スグリは少し照れたようにえへへ…と笑っていた。まぁ、子どもに聞かせる話でもあるまいし。
「そういや、ゼイユ、どうしたんだ?」
「…えっと…なんか、わかんないけど…わや怒ってる…。ヤブ兄ちゃん、姉ちゃんになんかした?昨日帰ってきてからおかしいんだ。」
「いや、なんにも。」
昨日といえば、あれだ。
サザレさんが食べにきた時だな。アイツもアイツでスパゲッティ食べたかったのかな?
「ヤブ兄ちゃん、姉ちゃんのこと、どう想ってる?」
…色々考えていた時に、スグリは急にそんな話をふっかけてきた。キュウコンやファイアローが聞き耳を立てている。
「どう思ってる…ねぇ?」
皿洗いの片隅で考える。
よそ見ごとしてたら皿ごと飛んでいきそうな悲劇が起こりそうではあるものの、まぁ、なんとかなるだろう。スグリの顔を見たら、これ、ふざけちゃダメなやつだってのが一目瞭然。
「…“五月蝿い”?」
「…他には。」
「よそ者嫌いだし、すぐキレる。無茶ばかりするし…まぁ、世話のかかるやつだな。」
完璧な回答だったろう?
と、周りを見渡すとスグリ含めその場にいた全員がため息をついていた。おいおい、スグリはともかく、なんでキュウコンたちまで呆れてやがんだよ。
「そういうんじゃなくて…。じゃ、じゃあさ、ヤブ兄ちゃんって…恋人って居たことある?」
「お?なんだぁ?スグリ…好きな人でも出来たか?」
「うっ…うへへ…そんなところ…。本当は姉ちゃんで相手は…ヤブ兄ちゃんなんだけど…。」
なるほど。照れながら取り繕う感じ、スグリもおませだねぇ。学園で好きな女の子でも出来たのかな。
「残念ながら、特定の場所に居座るのはこのキタカミが初めてだし。他の場所に行っても親父についていってたから、数ヶ月から一年くらいでお暇だしな。そんなん作ってる暇なかったよ。」
「そ、そっか…。んじゃ、どんな子がタイプなの…?」
「タイプ〜?」
ど直球だな。これまた。
ここでふざけて炎タイプとか言ったらそれはそれで冷めそうだし。とはいえ、女友達はいるが、そういうの考えたことなかったしなぁ…。キュウコンの姉貴よ…助けてくれ。と見てみるが、キュウコンも俺が困っているのが面白いのか、ニヤリと微笑をたたえている。おめぇ、狐鍋にしてくれようかッ!!
「タイプねぇ?…顔がいい女とか?」
「ヤブ兄ちゃん…俺でも最低なの、わかるよ…?」
「違うって。」
自分を擁護するが、子どもに言える範囲で言葉を選んだだけ。…いや、それはそれでダメだな。スグリのジトーっとした睨みが俺の心に突き刺さる。
「好みねぇ。俺のことをまっすぐ見てくれたらそれで良いんじゃないの?」
「…え?」
「お互い好きだってなったら盲目だろう?そうしたら相手の綺麗なところも汚いところも見えてくる。そういうのも全部共有しあって、時には直しあってするのが大人ってんだ。ポケモン勝負と一緒。俺はポケモン達を愛してるから、ポケモン達は信じてくれてるし、俺の良くないところがあったら直してくれる。…案外そういうもんだと思うけど。」
…適当言ったがまぁ、なんとか言葉にできたようだ。キュウコンにはバレてるけど。そんな目で見るんじゃない。惨めじゃないか。
スグリの方もポカンとしている。子どもにゃちと難しい話だったかな。っと、皿洗いも終わって皿をあとは乾かすだけ。余分な水分は拭き取り、乾燥機に入れる。
「そういうのは姉ちゃんに聞きなさい。」
「…やだ。姉ちゃんに聞いても意味ねし。…ヤブ兄ちゃん、姉ちゃんのこと、好き?」
「あん?そりゃあ…「来たわよ〜っ!!」好きだけど。ゼイユは。」
ガラガラという音と共にゼイユがやってくる。キレていたというわりにはひどく元気な声が聞こえてきたものの…。何故か、硬直するスグリとゼイユ。スグリの、あっ、やっちまったみたいな顔は気にはなるが。
「な、なななな…!?なに急にそんなっ!?いや、嬉し…じゃなくって!?なんでそんなはな…話して、あぁぁあッ!!」
もどかしくなったのか、頭を掻きむしるゼイユ。顔が真っ赤で少し涙を浮かべている。しかしまぁ、そのぐらいなら。
「別に周りのみんなも知ってんだろ?」
「そうなのッ!?スグッ!?」
「んげぇっ!?」
ゼイユの手がスグリの肩を掴む。
アカン、スグリが赤べこみたいになっとる。…やべ。つい、ジョウトの言葉が。とにかく、ゼイユが揺らすせいでスグリの首が飛んでいきそうになっている。
「ね、姉ちゃ…じぬ、じぬぅ…!!」
「アンタ、どこまで言ったのよッ!!えぇ?出るとこ出るわよッ!?」
…これで顔がりんごみたいに真っ赤で半泣きじゃなければ、姉弟喧嘩でゼイユが悪いんだが。
「そのくらいにしとけ。」
「ひゃっ!!」
…流石にスグリが死んじまう。止めるためにゼイユの手を握ったわけだが、なんかめちゃくちゃ熱いな。顔も真っ赤だし。数秒、固まっていたゼイユだが、すぐに俺の手をびゅっと払うと自分の胸にその手を抱いて、少しよそを向いていた。
「さ、さっきまで…なんの話をしてたのよ…。」
少し上擦った声でそういうゼイユ。スグリの方を向けば青ざめた顔で首を横に振っていた。言うなってことか。
「いや、特になんも。」
「へぇ?…で、なんも話してないのに、わたっ…私が…好きって話…あぁっ!!こっち見ないでっ!!」
…頑なに顔も見せてくれない。キュウコンや、なんだその安心したような笑みは。勘違いさせちゃ悪いから言った方がいいかな。
「いや、俺が好きって言ったのは…「言ったのは?」…そういうんじゃ…ない。」
なんか、声の圧がすごかったぞ。ゼイユ。
此方が緊張して上擦ってしまった。
そう言うとゼイユはピクッと身体を震わせる。と同時に、此方に向けたのは般若のような顔…ではなく、無表情だった。
「…わ、わかってたし?うん。…ほら、ポケモンバトルやるわよ。なに?今日はキュウコンなの?」
「…え?いや、キュウコンだとお前、負け…「良いから来なさい」…わかったよ。行こうか。キュウコン。」
キュウコンじゃあ手加減できないんだけどなぁ。しかし、勘違いさせたせいか、ゼイユがちょっと怒ってたような…。今度埋め合わせでなんかしてあげようか。そんなことを思いながら、店を出た。
スグリ「…姉ちゃん、わや…めんどい…。」
キュウコン♀(色違い)
ヤブサとゼイユとの関係をめんどくさいけど見守るべきだと思ってる。ポケモン達のお姉ちゃん。バトル狂。
ウィンディ♂(ヒスイ)
甘えん坊でちょっぴり引っ込み思案。ポケモン達の弟系。一番体はでかい。ヤブサのことが大好きでゼイユのことも大好き。
アップリュー♀
何にも考えてない。ご飯大好き。ご飯作ってくれるヤブサ大好き。優しいからゼイユ好き程度。
ファイアロー♂
渋い漢って書く感じの硬派男子。キュウコンに次ぐしっかり者。荒くれだったヤヤコマだった頃にゲットされている。忠誠心で動いている。
と、誰得情報。そのうちポケモンサイドも書くかも。こっちはこっちでわちゃわちゃしてる。
ちなみにヤブサくんはジョウト弁…コガネ弁?も使う。色んな場所行ってるから、標準語に慣れてるだけ。