「うーわ」
ボースでの暴徒未然鎮圧の翌日、ナギトはロレントに向けて出発した。徒歩である。各都市を結ぶ定期飛行船は戦時中という事もあり運休しており、軍用艇で送ってもらう択もあったが物々しい上に工作員の警戒を促すという意見で却下された。
ジョン中尉として潜伏する移民工作員を拘束する際も軍服は着込んでおらず、実働部隊となる選抜メンバーらも私服警官のような立ち位置となっている。
そんなわけで、ナギトは歩いてロレントへ向かっていた。その最中だった。
「よお、《剣鬼》じゃねえか」
街道の向こうから現れたのは黒スーツを着崩した男───結社《身喰らう蛇》執行者No.Ⅷ《痩せ狼》ヴァルター・クロンであった。
確かにヴィータ・クロチルダから執行者数名がリベール入りして、その中にはヴァルターがいると聞いていたが、まさか鉢合わせるとは思っていなかった。
「あ、お久しぶりですー。お疲れ様ですー」
「待てやコラ。そんなんで逃げられるとでも思ったか?」
ナギトは会釈して通り過ぎようとしたが、あっさり阻まれてしまう。
「んだよ、なんでいるんだよ。転移とかあるだろうが。悠長に街道歩いてんじゃねえよ」
「ああ?……暇つぶしだ暇つぶし」
ヴァルターはナギトの記憶の姿と違い殺気だってはいない。ナギトの執行者という立場がそうさせるのか、状況がそうさせるのかはわからなかった。
「暇つぶし。……今回の戦争に当たりリベールの調査なんかをしてるって聞いたけど?」
「まあな。ま、手がかりらしいもんはなしだ。そもそもリベールは俺ら“蛇”にとっちゃ終わった国だ。《福音計画》が完了したって意味でな」
それもクロチルダから聞いている。《身喰らう蛇》が現在進めている──オズボーンに奪われたのは《幻焔計画》。帝国とクロスベルに跨がる大規模な事業だ。そこには《福音計画》で関わったリベール王国は含まれていない。それを確認する目的もあって執行者はリベールに派遣されたらしい。
「そっか、了解。じゃ俺はこれで」
ピッ、とハンドサインをして再度ヴァルターを通り抜けようと試みる。
「だから待てや。んなあっさり行かれちゃ味気ねえだろうが」
今度は肩を掴まれて、ヴァルターから絶対に逃さないという意志を感じる。
「なんだよー、お互いこんな事やってる暇じゃないだろー」
ナギトは駄々っ子のように語尾を伸ばして抗議するがヴァルターには全く効かない。
「いいじゃねえかよ。オメーも負けたままでいられる性分には見えねえけどな」
「あ?…あー………」
ヴァルターに言われて思い出すトールズでの思い出。3度目の特別実習。ノルド高原に現れたヴァルターはナギトをボコボコにしたのだ。ぐうの音もでないほどの敗北だった。
「今度は俺のリベンジマッチだってか?……誘うのが上手いねえ」
そんな風に挑発されては引けないのがナギトの性分。流儀。弱点。
「乗ってきやがったか。……チョロいじゃねえか」
「チョロいとか言うな。けど条件がある」
☆★
そんなこんなで、ナギトとヴァルターは街道から逸れて森に入った。ちょうど良い広場を見つけてそこで構える。
街道でバトろうとしたナギトだったがヴァルターの「知らねえやつに邪魔されても面倒だろうが」という言葉により人目につかない場所に移動した。変なところで常識があるのだと感心したのも束の間、ヴァルターの闘気が膨らんでいく。
《痩せ狼》の異名が想起される。痩せた狼の貪欲を身に纏うヴァルターの闘気は、荒々しくも研ぎ澄まされていた。
「無縫真気統一」
ナギトもまた己が絶招で能力を高めた。
風が吹く。樹木の枝から葉が離れ、舞い、落ちる。
それが合図だった。
2人の姿が刹那消え、衝突する剣と拳。
無数に交わされる刃と殺人拳。いずれも致命傷を避けてはいるが、ナギトは拳の風圧で、ヴァルターは斬撃を受けて皮膚が浅く削られる。
「ラァッ!」
ヴァルターの大振り。カウンターを誘った一撃だ。ナギトは太刀で大振りを受けるとその衝撃を利用して距離を取った。
「さすがに乗ってこねえか」
「ナメんなよ《痩せ狼》」
2人は言葉を交わしながら、次の戦技に取り掛かっている。
「喰らえや!」
“ヴォルガークロウ”。扇状に広がる狼爪を思わせる一撃。
ナギトは跳躍して回避し、空中で太刀を振るった。
「緋空燎原───」
“緋空斬”が幾重にも放たれて地上のヴァルターを釘付けにする。そこにトドメと言わんばかりの──
「───雷神烈破!」
雷鳴が森に響き渡った。雷光は地面に影を貼り付け、雷撃は木々を薙ぎ倒す。
巻き上げられた土砂と木々から発生する煙に視界を覆われ───地面が隆起した。沈黙していたヴァルターの闘気が爆発して、さらにもう一度地面が突き上げるように盛り上がった。
「コォォォ……」
その向こうから聞こえる独特の呼吸。これは、とナギトは構えを変じた。隆起した地面を打つ。
一瞬のうちにひび割れて砕け散る隆起した地面。ヴァルターはサングラスの奥で目を見開いていた。
“アルカトラズブロウ”──ヴァルターのSクラフトのひとつだ。地面を隆起して攻撃、目隠しし、寸頸にて壁となった地面を通じて相手に威力を伝播させる絶技。
ナギトはそれを同じく寸頸で相殺していた。全く同量の威力をもってヴァルターのSクラフトを。
ヴァルターが戦慄していた頃、ナギトは笑みを顔に貼り付けていた。冷や汗を隠すための作業である。ヴァルターの奥義を理解したナギトは上回ってやろうと全力で寸頸を放ったわけだが、威力としては互角だった。さすがに無手の技術においてはヴァルターが上回っていたようだ。
「閉ざせ、緋浴の檻。拓け、緋天の庭」
略式詠唱。
本来、複雑な工程を経て発動する戦技を言葉と共に自身に刻みつける事によって、詠唱すると自動的に戦技を発動させる技法。
「万里一空、我が足元に裏返れ」
ナギトから緋いオーラがドーム状に広がる。展開されたその領域の名は。
「周天・緋浴連理の陣」
「なんだ……そりゃあ………」
言いつつ、ヴァルターはそれが高密度の闘気の結界である事を理解。その仕様を確かめるために、
「オラオラオラァ!」
“レイザーハリケーン”。蹴りにて放つ斬撃をいくつも放つ。しかしそれらは虚しくもナギトの領域に当たると消えていった。
「相殺……いや」
「考えてる暇あんのかよ!」
ヴァルターの考察を阻むようにナギトが接近する。その最中にいくつもの“緋空斬”を撃ち、ヴァルターを足止めする。
ヴァルターもまた気弾や拳でそれらを砕いていき────、その右拳に絶大な闘気が込められる。
「オラァアア!!」
“アルティメットブロー”。ヴァルターのもうひとつのSクラフト。
「───!」
期せずして“周天・緋浴連理の陣”の正攻法を実践したヴァルターにはやはり戦闘の才能があるとナギトは思った。
ヴァルターの拳が領域に侵入する。
“周天・緋浴連理の陣”は闘気で組まれたナギトの結界。それに刻んだ命令はただひとつ。“結界内のものに斬撃を浴びせ続けろ”だ。
先の“レイザーハリケーン”はそれによって霧散した。しかし、斬撃を浴びせ続けてもなお健在であれば、その攻撃はナギトに通る。
“周天・緋浴連理の陣”の正攻法とは、まさしく力押しなのだ。領域の斬撃力を上回る鉄壁で貫く───ヴァルターはそれをやっていた。
裂帛と共に放たれた拳は領域に入ると共に斬撃を浴びせられる。しかし絶大な闘気を内包するゆえに斬り刻まれて霧散する事はない。
ヴァルターの拳がナギトの腹部にめり込んだ。
「気を取られ過ぎたな」
だが。だが、だが─────
ヴァルターの“アルティメットブロー”は“周天・緋浴連理の陣”により大きく威力を減衰させている。加えて領域を破るほどの力のある攻撃は大技しかない以上、ナギトはそれがどこから来てどこを狙っているのかわかりやすい。
つまるところクソゲーだ。“周天・緋浴連理の陣”を破るには大技しかなく、そんな大技はナギトにとって見切りやすい。
ヴァルターの拳が腹部を狙っている事を見て取ったナギトは腹部に闘気を集中させて防御力をアップした。よってダメージは軽微なものとなった。
「緋技」
ナギトが言うと、上段に構えた太刀に闘気が集束していく。先程ヴァルターに砕かれた“緋空斬”の残骸を吸収し、“周天・緋浴連理の陣”を構成する闘気すら飲み込んで。
「摩天洸葉・一振重────」
振り下ろす。それだけで終わる─────
ピピピピ、と場違いな音が鳴った。
☆★
それは勝負前にセットしていたタイマーのアラームだった。
ナギトはヴァルターを斬りおろす直前だった太刀を翻して鞘に納める。
1分。それがナギトの提示した条件だった。1分間だけの勝負。それなら互いに致命傷まではいかないだろうという見積もり。
ヴァルターは不服としたが、ナギトが全力を出すという確約を引き出して受け入れた。
「チッ……もう終わりかよ」
ヴァルターもまた拳を引くと悪態を吐いた。
「いやあ、危ない危ない。1分間で良かったよ」
ナギトは「はっはっは」と気軽に笑いながら言う。全力を出すと約束したからそうしたが、あと1秒でもあったらヴァルターを両断してしまっていた。
同じ結社の執行者である以上、命のやり取りまでしては、また上司に叱られてしまう。
そんなナギトの内心を読んだのかヴァルターは舌打ちする。しかしアラームに助けられた以上、そこから先は負け犬の遠吠えになってしまう事を理解して口を噤んだ。狼から犬にジョブチェンジするのはごめんだ。
「そろそろ出てきたらどうだ?」
ヴァルターはいたたまれなくなった心境を誤魔化すために、この勝負を覗いていた人物に声をかける。
ナギトもそちらに視線を向け、観念したのかその男は木陰から姿を見せた。
「バレとったみたいやね。一応気配は殺してたつもりなんやけど」
出てきたのはケビン・グラハム。緑髪を逆立てた神父。七曜教会が誇る星杯騎士団12人のトップのひとり。第五位《千の護り手》だ。
「いやー、俺にはわからなかったなー」
「そこ、下手なフォローはせんでよろしい!君もこっち見とったやろ」
ナギトのフォローする気のないフォローにケビンはしっかりツッコミをいれ───それから視線を鋭く変化させた。
「俺が見とったのは途中からやけど……お二人さんは何しとったのかな?仲良く組手……みたいにも見えたんやけど?」
口調こそ穏やかだが、その質問はナギトが結社に通じているのか試している。
ヴァルターに視線を配ると気を使ってくれたようで、この場はナギトの弁舌に任された。
「ま、ちょいと因縁がありましてね。リベンジマッチという所ですよ。ただこんな状況だ、結社の連中と潰し合っても意味はない。だから1分間の制限を設けてバトってた…ってなわけです」
おためごかしと真実を織り交ぜて。嘘は言わない。
「ふーん……」
ケビンは意味ありげに受け取る。その見極めの程を待つほどナギトはお易しい相手になるつもりはない。
「ケビンさん」とその名を呼ぶ。戒めるような口調で。
「疑うのはわかりますよ。でも結社とすらいがみ合うべき状況じゃない。……なら教会はなおの事、協力すべきじゃないですか」
これ以上ない正解の言葉のはずだ。ナギトに協力をもちかけたのは教会。ならば疑うより信じてこの事態を打開するべきだ、という主張。
「……なんや、えらい口が回るなナギトくん」
「おっとっと。……こりゃ参ったな」
ケビンの疑いの目は晴れない。それどころか饒舌なナギトにさらに嫌疑を深めた様子だった。
「……でもま、言う通りやね。悪かったわ。疑うのもほどほどにせんと、また総長に怒られてしまうわ」
しかしケビンは引き下がった。己の疑いより組織の一員としての在り方を選んだのだ。
「疑ってもらって結構ですよ、それであなたの気が済むのなら。でもこんな状況ですし、協力していきましょう」
そこにナギトは追い打ちをかける。いかにも自分が善玉みたいな言い方だ。
「ちょいちょい、そんな言われると俺が悪人みたいやん?」
「はっは。オメーの負けだエセ神父」
「あんたにエセ神父呼ばわりされる理由ないんやけど!しょっ引こか、このチンピラ執行者!」
張り詰めた場の空気が和らいだ。ヴァルターの言葉を受けてケビンもまたエセ神父らしい立ち振る舞いに戻った。
ややあってケビンはナギトとロレントまで同行する事になり、ヴァルターとはこの場で別れる事となった。《身喰らう蛇》と七曜教会、直接やり合う事は避けたが、やはり馴れ合うのも違うようだ。
これは口が裂けてもナギトが執行者の新No.Ⅱだとバレるわけにはいかないと思った。
「んじゃあこのへんで。もうかち合わない事を祈るよ」
「おう」
手を振ってヴァルターに別れを告げる。タバコの煙がくゆり、戦意はすでにない様子だったがケビンは柔和な表情を浮かべつつも警戒は解いていない。
一歩踏み出す。二歩、三歩。五歩目に差し掛かったところで「待てや」とヴァルターが呼び止めた。ナギトとケビンは振り返ってヴァルターを見ると、ばつが悪そうに頭を掻いて切り出した。
「こういうのを聞くのは俺の流儀じゃねえんだが………、《剣鬼》てめぇ……強すぎねえか?その歳でその実力……才能や環境だけじゃ説明つかねえ。……ありえねえと思うのは俺だけか?」
なるほど武術に携わった者らしい意見ではある。ヴァルターもまた天才の部類であり、その拳を磨く事に余念のない人生を送ってきた猛者だ。だからこそ生じた疑問。二十歳そこそこで世界最強に指をかけるナギトの強さに秘密があると。
「あ、それは俺も気になるなあ。……何やらウチの第九位も易々と聖痕の力を破られてしまったみたいやし」
第九位。ワジ・ヘミスフィアの事だ。クロスベル独立の事件でナギトは聖痕の力を解放したワジを一蹴した。そのことを言っているのだ。
「ふうむ………」
ナギトは一瞬悩んだが、隠す事でもないと考えて話す事にした。
「超端的に言うと才能」
「ああ!?」
ヴァルターがキレた。
「まあ、なんて言うか…そう望まれて俺は発生したんだよ」
「“そう望まれて”……」
「“発生した”だ……?」
ケビンもヴァルターも共に“?”だ。当然の話。どこまでも正しくないナギトの存在は懇切丁寧に教えてやる事でしか理解できない。
そしてナギトは懇切丁寧に教えるつもりだった。もはやそうしても自身に不利はないと理解しているからだ。
「俺が“特異点”と呼ばれる存在である事は知ってるよな?」
「……使徒の連中が言ってたな。詳しい話は聞いちゃいねえが」
「教会でもそれについては掴んでるなぁ。同じく意味までは知らんのやけど」
おそらくそれを真の意味で正しく知っているのは、ナギトの存在をそう定義したであろう《身喰らう蛇》の盟主のみだ。
「俺はとある人物を死の定めから救うために発生した運命へのカウンター。この世界を観測している者が夢想した物語の変革者。……あいつの生を望む者の願いが人のカタチをとった姿」
言う。言い切る。
「くそったれな筋書きを書き換え得る唯一の存在──それが“特異点”だ」
クロウ・アームブラストの死───それを覆すために“閃の軌跡”という物語に発生したバグが“特異点”──すなわちナギトだ。
「ちょいちょいちょい、待ちや。観測者とか……けっこう聞き捨てならん事言うやんか」
「まあまあ、聞き流して下さいよ。重要な……事ではありますがこの話の根っこはそこじゃないっすよ」
ケビンがナギトの出したワードに食いつくが、この話はヴァルターが切り出した“ナギトの強さの秘密”についてだ。
「聞きたいならあとで教えますから」と言うとケビンはしぶしぶ引き下がった。
「運命を変える──そのためには力が必要だった。力にもいろいろあるが……、特に必要だったのは………」
「武力、だな」
ヴァルターの回答に頷く。
「脳みそ筋肉かよって話だけど。実際シンプルイズベストだな。運命を変えるに足る武力……それを得るための色んな要素が詰め込まれて俺は生まれた。それは才能だったり環境だったり……」
《剣帝》の潜在能力すべて剣に注ぎ込んだかのような剣才。それを遺憾なく育める《剣仙》の養子にして弟子という環境。
「そんな欲張りセットを願われて俺は発生した。……あ、発生したってのもそのままの意味ね。俺は赤子の状態で《剣仙》に拾われた。そうなるようその場に発生した。だから俺には血縁者もいない」
ナギトの身の上を聞かされたヴァルターとケビンは固まってしまった。世間話をするようなテンションでこんな重い話をされては当然だった。
「発生って……いやあ………」
「闇が深過ぎんだろ……納得だぜ」
結社の執行者になるには何かしらの闇を背負っていなければならない。その意味でナギトの背負う闇──この世界が物語だと知っている事実──は特大であった。
そういった意味でヴァルターは納得だと口にしたのだが、この場にケビンがいる以上は失言だ。と言って咎める視線を送るのさえケビンの存在が見逃すはずがなかった。そのためスルー。幸いケビンも衝撃を受けているのか、ヴァルターの失言には気づいていなかった。
「これが俺の強さの秘密。俺は特異点だから強い。そうデザインされて生まれたゆえに。……だから、最初に言った通り平たく表現すれば才能…かな?」
敗北の経験やⅦ組の面々をはじめとする数々の出会いがナギトを今の強さに押し上げたのは間違いないが、それはある種普遍的に得られる強さだ。ナギトの実力は才能ありき。いくら環境が良くても巡り合わせが良くても才能がなければここまでは至れなかった。だからナギトの強さは“特異点”である特別性ゆえなのだ。
冗談チックに説明を終えたナギトにヴァルターもケビンも押し黙った。雑談するように開示されたナギトの背景。ゼムリアという世界の真実の一端。飲み込むには時間が足りなかった。
「真似できるもんじゃねえ……簡単に明かしたのはそれが理由か?」
「そうだね」とナギトは軽々しく答える。
これを教えた事でナギトに不利益な事はない。少なくともヴァルター相手なら。ケビン──教会ならまた話は違うだろうが、それでも対オズボーンの協定を結んでいる以上、今すぐどうこうという事はないはずだ。
「……ただひとつアドバイスするなら」
この戦闘でヴァルターに得られるものがあったかと言えば微妙だ。だからせめてもの手向けに、とナギトは言った。
「百を修めるより一を極めた方が人は強くなれる。………そうすりゃいつかは世界を砕く拳が手に入るかもよ?」
そうしてナギトはヴァルターとの邂逅を締め括ったのだった。