八葉を継ぐ者──A2──   作:クラウンドッグ

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極光は翳り、雷鳴は遠く

 

 

ナギトらが共和国首都イーディスでシェラザードたち遊撃士3名を回収し、リベール王国へ戻っている最中、王都グランセルが猟兵団《北の猟兵》に襲撃された。

 

 

「………」

 

 

その報を受けてナギトは沈思黙考していた。

ヨシュアがナギトとケビンに協力を要請しイーディスに赴いたのが昨日。本来ならシェラザードのみを連れて即リベールに戻る予定だったが、ナギトの提案によりイーディスの暴動を煽る工作員を捕まえるのに12時間の遅れを生じさせる事になった。

それに元々は首都にシェラザードを迎えに行く必要もないはずだったが、共和国各都市で暴動が多発した事によりシェラザードはイーディスで足止めされ、アルセイユで迎えに行く運びになった。

 

このタイミング。偶然ではありえない。

 

 

「《北の猟兵》……高位猟兵団がグランセルを襲撃──こりゃまずい事になったな、ヨシュアくん」

 

 

「ええ、シェラザードさんたちをリベールに戻すために半日費やしたのが裏目に……」

 

 

ケビンの言葉にヨシュアも思索を巡らせる。

 

 

「おいおい、大丈夫なのか?王都では暴動も起きたというし、軍も常駐しているだろうが……」

 

 

「そうね、でも軍の大半は帝国を警戒して国境付近に集まってるのよね……」

 

 

「これはおそらく帝国の仕業………ウィル、お前の意見を聞かせてくれ」

 

 

ジンとシェラザードも心配を口にしている。アルセイユの機関員らは努めて冷静に帰還のルートを再確認した。

アルジュナからナギトに話を振られる。

 

 

「オズボーンの打った手でしょうね。…まあ、違和感はいくらかありますが」

 

 

「違和感?」とアルジュナが先を促した。面々の視線がナギトに集中する。

 

 

「今回の《北の猟兵》による襲撃はまず間違いなく帝国政府代表ギリアス・オズボーンによるものです。《北の猟兵》はノーザンブリアが国家だった頃の正規軍…練度は推して知るべしでしょう。おそらく帝国がノーザンブリアを併合した際に非正規軍として帝国に雇われでもしたんでしょうね。その情報を俺は知らなかったので、軽い情報統制が行われていたものと思われます。とは言っても先の推測を組み立てるのは容易なため、この手は読めたとしても後手に回るようになってますね」

 

 

通信では、停滞した和平交渉を進めるための人物が帝国からリベールに向け進発し、それの警戒に当たっていたためテティス海から急襲してきた《北の猟兵》のステルス機に対応できなかったらしい。

 

 

「今回の戦争…オズボーンは様々な手を次々と打ってきてます。宣戦布告からの即時侵攻、4日目の突然の停戦の申し入れ、和平交渉役をレクターさんがやってるのもその一環ですかね。あとは市民の暴動を煽ったり、それを各国にまで伝播させたり……それに今起きている猟兵の襲撃だってそうです。これらの手をオズボーンはほいほい打ってくる。今は発動してない仕込みはまだまだあるでしょう。……でもここが不思議なポイントで、それらの仕込みを同時多発的に発生させればおそらく1両日でグランセルまで陥落するはずなのに、そうしていない。……ならオズボーンの目的はリベールそのものではない。手の打ち方から類推するに目的は時間稼ぎのはずだけども、これはいったい何のための時間稼ぎなんだろー…ってな感じですね」

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

 

ナギトの語る違和感を聞いて一同は目を丸くした。

 

 

「……どうしました?」

 

 

そんなに変な事を言ったか、とナギトは思い問いかけた。

 

 

「いや……、随分俺たちと視座が違うんだな。今はグランセルが襲撃されてるってのに」

 

 

ジンが答えてナギトはハッとした。

 

 

「あ、あー……確かに。そうか、そうだな、そうですよね」

 

 

今の会話は“グランセルが猟兵に襲撃されて心配だね”という流れであった。ナギトはそれをぶった切ったのだ。

しかしアルセイユで急いだとしてもグランセルまで5時間はかかる。ここで心配したところで何も好転しないのだ。だからというわけでもないが、ナギトはずっと付きまとう違和感をここにいるメンバーに共有したのだ。

 

 

「でもたぶん、大丈夫でしょ」

 

 

ナギトのグランセルを心配する気持ちは薄いが、それは達観や諦観のためではない。

 

 

「エステルたちがいる。王国軍だって精鋭揃い。そう易々とはやられない。そうだろ?」

 

 

「それはそうですが………」

 

 

「それでも心配ね…って話なんじゃない?」

 

 

楽観的とも言えるナギトにヨシュアとシェラザードが突っ込む。そこにナギトは自身の安心材料を開示する事にした。

 

 

 

「それに…カシウス将軍じゃないですが、俺も保険をかけてましてね」

 

 

 

☆★

 

 

《北の猟兵》はリベール王国王都グランセルに2個中隊規模でもって襲撃を仕掛けた。ギリアス・オズボーンの命令であった。

 

エレボニア帝国に併合されたノーザンブリア。《塩の杭》による災害で国軍から猟兵に身を落とした《北の猟兵》はその際に帝国の非正規軍として雇われる事になった。

 

元々《北の猟兵》はノーザンブリアを守るために猟兵稼業に手を出し外貨を稼ぐ事によって故郷を守っていた。帝国に併合された事で復興支援として様々なものが帝国からノーザンブリアに流れてきているものの、未だ民草は貧困に喘いでいる。

そこにつけ込んだのがギリアス・オズボーンだ。民衆の保護を条件に《北の猟兵》を帝国の非正規軍として扱う。そういった契約により《北の猟兵》は《鉄血宰相》の駒と成り下がった。

 

忸怩たる想いはある。しかしこれも故郷ノーザンブリアとそこに住まう民のため。

《北の猟兵》は慈悲を忘れ、命令を遂行する。

 

 

帝国とリベールの和平交渉は特使レクターの無茶な提案や暴動が起こった事で中断されたりと前途多難な様相を呈している。

そこで帝国の人物が立ち上がり、自らがリベールに赴き和平交渉を取りまとめるとしてグランセルに出発する事になった。

 

リベールとしては、そんな追加の交渉役が来る事実に警戒する他なく、加えていつ帝国の侵攻が再開されるとも知れず戦力の大半を国境付近に待機させていた。

 

《北の猟兵》はその隙を突く事で王都グランセルに奇襲をかけたのだ。

追加の交渉役を囮として扱い、テティス海側からレーダーに映らないステルス機能を持つ飛行艇を用いてグランセルに突入。

市街を焼き王城を占拠するミッション開始だ。

 

 

 

リベールの注意は新たな交渉役と国境に向けられている。しかしリベールは《北の猟兵》の襲撃を読んでいたかのように対応した。

 

カシウス・ブライト。リベール王国が誇る影の英雄。《百日戦役》では帝国軍を退かせた稀代の軍略家。

ギリアス・オズボーンは《北の猟兵》による急襲を読まれる事まで理解していた。そのため、王都の現有戦力では対処できない物量で押し込む事を《北の猟兵》に命じていた。

 

 

2個中隊───およそ400人に及ぶ《北の猟兵》の兵。

 

王都の兵数はそれに劣り、また駆けつけた遊撃士などが加勢しても《北の猟兵》は優位に立っていた。

 

リベール王国の兵士は精強だ。練度も気迫も《北の猟兵》に劣っていない。されど戦局は《北の猟兵》優位に運ぶ。それは単に数の暴力ではなく、覚悟の差だった。

 

人の命を無碍に扱う覚悟。躊躇いなく刃を突き刺し、引き金を絞る覚悟。

リベール王国の兵士は精強だ。日々の訓練を乗り越え魔獣とも命のやり取りをする。しかし絶対的に人対人の実戦経験が不足していた。リベールはここ数年戦争がなく、軍人でさえ命を尊ぶ意識が芽生えていた。対する《北の猟兵》は一寸先は闇の中で故郷のために剣を振い続けてきた生え抜き。

 

相対する命を奪う覚悟において《北の猟兵》はリベール王国兵士を上回っていた。

 

 

《北の猟兵》は2個中隊でグランセルに襲撃をしかけた。

グランセル城には団長の部隊が、市街には団のエースの部隊がそれぞれ降下した。

王国軍の優先順位はどうしても王城>市街になってしまうためグランセル市街は大きな被害を受ける事になった。

 

建物には火が放たれ、逃げ遅れた市民の死体が転がっている。

遅れて王都近郊に詰めていた遊撃士たちが駆けつけるが、人数差に押し負けていた。

 

 

 

「よくもこんなに……絶対に許さないんだから!」

 

 

エステル・ブライトもまた駆けつけた遊撃士のひとりだ。その傍らには相棒たるヨシュアの代わりに妹分のレンとその親友のティータの姿があった。

グランセルには他にもクルツ・ナルダンやアガット・クロスナーを筆頭とする遊撃士たちが集っており、彼らはいくつかのチームに分かれ、市街に入り込んだ《北の猟兵》の対処に当たっていた。

 

 

「……許せなどとは言わん。恨め」

 

 

エステルは不幸にも市街を攻める《北の猟兵》のエースとかち合っていた。エステル・ブライトは驚異の速度でB級に登り詰めたリベールにおける若手のエースではあったが、クルツやアガットといった経験豊富な先達より戦闘能力が劣る。そんなエステルは《北の猟兵》ローガンに苦境を強いられていた。

 

 

ローガン・ムガートは《極光のフェノメノン》と呼ばれる《北の猟兵》のエース。32歳という年齢で若手でありながらベテラン。戦闘能力は《北の猟兵》でも指折りのフェノメノン部隊を率いる猛者だった。

 

 

「まずいわね……何とか包囲を抜けてアガットたちと合流を………」

 

 

「でもレンちゃん、この人たち……逃してくれるかなぁ……?」

 

 

レンもローガンの打倒を不可能と思ったのか、やられる前に他のチームと合流を図ろうと考えるが、ティータの不安通りフェノメノン部隊はエステルらを取り逃がす事のないフォーメーションで追い詰めてきている。

 

 

「くっ……せめてヨシュアがいてくれたら………」

 

 

エステルも不利を悟っている。相棒ヨシュアの不在は戦力的にも心境的にも響いている。だが、エステルは決して諦める事はない。挫ける事はない。

《太陽の娘》とも称されたエステルの精神は不屈であった。

 

 

「こうなったら……何が何でも戦い抜いてやるんだから!」

 

 

エステルが決意を固めて得物の棒を構えた。それを認めた《北の猟兵》もそれぞれ武器を固く握る。

 

 

戦闘再開─────

 

 

そう思われた瞬間だった。銃声と共にチュインという不可思議な音が連続し《北の猟兵》の数名が倒れた。

 

 

「こっちだ」

 

 

男の声。ローガンら《北の猟兵》の視線がそちらに向く。

 

 

「──“動くな”」

 

 

先の男とはまた別の声──その命令が《北の猟兵》の精神を乗っ取った。

 

 

「う、ぐ……この異能………貴様、まさか……」

 

 

振り返り男たちを認めたローガンは、その相貌と異能を理解し正体を探り当てた。

 

 

「“武器を捨て腹這いになれ”」

 

 

男の右眼が妖しく輝く。命令が上書きされる。《北の猟兵》の兵士たちはそれに従って武器を捨てると腹這いになった。

 

 

「え……どういうこと?」

 

 

「これはまさか…教授の……?」

 

 

エステルとティータはただ状況に戸惑い、レンは見覚えのある異能に勘繰る。

 

 

「ああ、かの《白面》とは無関係だ。俺のはもっと表面的だ。その分使い勝手は良いがな」

 

 

秀麗な男は簡潔に否定した。隣の銀髪の男は背後に控えた仲間に「拘束しろ」と命じるとエステルらの前に歩いてきた。

 

 

「あなたたちは……」

 

 

ティータがおずおずと尋ねる。ひとまず敵ではないと判断したからだった。

 

 

「此度はナギト・ウィル・カーファイの依頼でリベールを守りにきた。俺はアダム、こっちはエアだ」

 

 

東部最高の傭兵組織《アナザーフォース》。ナギトは結社から与えられた《星辰》の力を使い、彼らに救援を求めていた。これがナギトの保険であった。

 

 

「ナギトって、あのおにいさん……?こんな仕込みまでしていたなんてね」

 

 

「太刀を持ったにやついた男だ。リベールに来ているんだろう?」

 

 

「そうね。でも今はどこにいるのやら……。少し前まではハーケン門にいたみたいだけど」

 

 

レンは眼前の男たち──出立ちから猟兵と察せられる彼らと情報をすり合わせた。腕は立つし頭もキレるのだろうとは思っていたが、よもやグランセルが《北の猟兵》に襲撃される事まで読んでいたのか。

 

 

「アダム、悠長に話している暇はないぞ。主力は押さえたとは言え市街地にはまだ複数の部隊が散らばっている」

 

 

エアがアダムに言った。《北の猟兵》が市街地にばらけさせた部隊のいくつかはまだ活動中だ。《アナザーフォース》はそれを速やかに制圧しなければならない。

 

 

「それならオジさんたちはグランセル城に行ってくれない?私たちがフリーになれたからアガットたちと合流して市街地は守ってみせるから!」

 

 

呆然としていたエステルだったが、彼らの判断に口を挟んだ。それが遊撃士として積んだ経験が導き出した解だった。

グランセル城には国の重要人物が目白押しであり《北の猟兵》の残る1個中隊はそちらに攻め込んでいる。市街地を担当したローガンらの主力フェノメノン部隊を制圧できた今なら仲間たちと合流して残る《北の猟兵》を捌く事も可能と判断しての事だった。

 

 

「その必要はない」

 

 

しかしアダムはそう言い切った。続く言葉はエアが引き継ぐ。

 

 

「あちらには我らの最高戦力が向かったからな」

 

 

 

☆★

 

 

《北の猟兵》首魁グラーク・グロマッシュはリベール女王アリシア・フォン・アウスレーゼと向かい合っていた。

城内はすでに制圧済みで、あとはこの謁見の間を残すのみである。残存するリベールの兵士は数えるほどで《北の猟兵》側が圧倒的に有利であり、女王アリシアの隣に控えるカシウス・ブライトが唯一の懸念ではあるが物量でどうにでもなるだろうと考えていた。

 

そこに、新たなる闖入者が現れるまでは。

 

 

扉が勢い良く開かれ、約20名の兵士たちが雪崩れ込んでくる。リベールの軍装ではない。どちらかと言えば猟兵のそれに近い。

 

目を細めたグラークは兵士らをかき分けて現れた人物を見て目を剥いた。

 

 

「久しぶりだな、グラーク・グロマッシュ」

 

 

茶髪に髭面の壮年。余裕げに葉巻をふかす無手の男。

 

 

「貴様……ゼロか」

 

 

ゼロ。《アナザーフォース》の総司令。かつてはエレボニア帝国の軍人であり、特殊部隊の父とさえ言われた男。帝国を離れ東へ流れたと聞いたが、どうしてこの場に現れたのか。

 

 

「《北の猟兵》が南のリベールまでご苦労な事だな。《北の雷帝》も耄碌したもんだ」

 

 

「耄碌か。これを見ても同じ事が言えるかな?」

 

 

グラークはそう言うと紙切れをゼロに向かって突き出した。見てみると、何やら名前とその横に印が押してある。

 

 

「なんだそれは?」

 

 

「各国高官の印だ。対エレボニア帝国同盟のな。私がかつて構築したエレボニア包囲網──惜しくもノーザンブリアは併合されてしまったが、それ自体は生きている。たった今リベールにもこれに参加してもらう事になっているのだよ」

 

 

グラークにはノーザンブリアを中心にエレボニア帝国を包囲する作戦──野望があった。ノーザンブリア自治州が帝国に併呑された事でそれは打ち砕かれたと思っていたが、グラークは帝国に服従するフリをしながら虎視眈々と機会を狙っていたのだ。

 

 

「ほう。武力を背景にか?」

 

 

だが、そのやり方はあまりにも杜撰であった。ノーザンブリアが併合された全責任がグラークにあるとは言えないが、すでに求心力も落ち込み、リベールへの要請も受諾せねば王都を陥落するという脅しによるもの。グラークの築こうとしているエレボニア包囲網には大きな亀裂が入っていた。

 

 

「ものは使いようだ。それにエレボニアは軍拡を続け世界に敵対しようとしている。今まさにリベールが攻め滅ぼされようとしているように。これを飲む以外にリベール王国に生きる道などない」

 

 

しかしグラークの言にも一理あった。世界は強引にでもひとつにならなければならない。でなければエレボニアの総取りに終わってしまう。

 

 

「そのような同盟、結ぶ事はできないと言ったはずです」

 

 

リベール女王アリシアはしかし、グラークの提案をすでに断っている。賢王と名高いアリシアⅡ世は、その同盟が脆い事を看破していた。

 

 

 

「アリシア女王。この提案を飲まなければこの国は滅びますぞ」

 

 

グラークはアリシアに向き直る。未だ説得できると思っているのだ。

 

 

「矛盾ですね。あなたは提案を飲まなければリベールを滅ぼすと言っています。しかしリベールが滅べばあなたの築く帝国包囲網は瓦解する事は明白です。それに今のあなたはエレボニア帝国の尖兵……その言葉がどれほど信用できるのでしょう?」

 

 

「ッ───!」

 

 

アリシアの指摘は正鵠を射ておりグラークは押し黙った。それを見てゼロは笑う。

 

 

「ふっ、おいおいグラーク……論破されたな?」

 

 

「黙れ…!こうなれば………」

 

 

グラークは王国兵と《アナザーフォース》に挟み撃ちにされている事も忘れて武力で制圧しようとして、気づく。

部下からの定時連絡が途絶えている事に。

 

 

「まさか………!」

 

 

グラークは部隊を率いて通信が途絶した場所に向かう。ゼロは素通りさせた。その方が都合が良いからだ。

 

 

空中庭園に出たグラークが見たのは機甲兵だった。しかしグラークの知る普通の機甲兵ではない。実際に目にしたわけではないが、かの内戦で名を馳せた英雄機ではないのか。

 

 

「少し前に騎神を模したという機甲兵の設計図を入手してな。うちの技術班に複数体造らせてみた。良い出来だろう?」

 

 

呆然とするグラークに背後からゼロが言った。クロスベルでクロウ・ゼネフォードと関わった際に入手したオルディーネ・イミテーションの設計図から《アナザーフォース》はその廉価版とも言える機体を生み出していた。

 

 

「ふむ……どうやら市街地の方もおおかた片付いたみたいだな」

 

 

ゼロは空中庭園から見える王都グランセルの景色にエアやアダムが《北の猟兵》を制圧した事を見てとった。

 

 

「……馬鹿な…………」

 

 

グラークはそう言うしかなかった。形成不利どころか、すでに趨勢が決まった状況だ。

 

 

「投降しろ、グラーク。無駄死にする必要はない」

 

 

前方には機甲兵、後方には《アナザーフォース》。すでに市街地に放った兵は大半が押さえられている。

失敗を悟ったグラーク・グロマッシュは膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

こうしてナギトの保険は正常に機能し、グランセルは危機から脱するのだった。

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