八葉を継ぐ者──A2──   作:クラウンドッグ

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夢破れて剣あり。

 

 

 

オーレリア・ルグィンはリベールで敗走した後にオズボーンと面会を果たした。その際に交わした短いやり取りから彼女は《鉄血宰相》の狙いを看破。リベールにいるナギトにそれを伝えるために苦心していた。

 

そして舞い込んだ好機。皇子オリヴァルトのリベール出立に合わせてパンタグリュエルに乗り込もうと画策した。

しかしこの動きはオズボーンに掴まれており、出発前にオーレリアの行動は咎められてしまった。

 

 

「この仮面をつける事を条件に君のリベール行きを許そう」

 

 

「その方が都合が良いだろう」とオズボーンは続けた。オーレリアはオズボーンから渡された仮面を装着した。目元を隠す仮面。邪悪な意図が見え隠れしたが、そうする他に自分がリベールに行く術はなかった。

 

オーレリア───否、仮面の騎士オーレリーとして彼女はパンタグリュエルに乗艦したまま動きを封じられていた。

オーレリアは理解する。装着した仮面の機能だ。これは役割を押し付ける仮面なのだ。

だからオーレリアは監視のいない今でもナギトと接触しようとすらできないのだ。

 

時が来るとオーレリアは仮面に刻まれた役割の通りに動き出した。パンタグリュエルで密航していた《西風の旅団》がグランセル城で破壊工作を始めたのと同じタイミングだった。

 

 

あちこちに火が放たれ、場内は騒がしくなっている。オーレリアは息を潜めて彼を探していた。

仮面がオーレリアに課した役割は“ナギト・カーファイの排除”だ。

 

やがてオーレリアはナギトを発見した。どうやら《西風の旅団》の団長含む幹部らとやり合っているようだった。役割を果たすべく動き出す肉体をオーレリアは抑え込む。自分とてナギトと刃を交わすのは心が踊るが、今この火急の時にそうしてしまえばオズボーンの狙い通りに事は進んでしまう。

おそらくは世界を巻き込む大異変に。

 

オーレリアがやるべき事はナギトにオズボーンの狙いを伝える事。仮面のオーレリーの役割はナギトを排除する事。

 

オーレリアは躍動を囁く肉体を騙して機を待った。

ナギトと西風3人の戦いはほとんど五分五分だった。しかしダメージを受けたナギトは逆襲に移った。相対する西風のひとりを城から投げて追い出した。自身もそれに追い縋り、続いて残された西風の2人も城を飛び出した。

 

ここだ、とオーレリアは思った。すでにグランセル城内は落ち着いてきている。おそらくカシウスの指揮によるものだろう。《罠使い》や《破壊獣》を欠いた団員たちでは王国兵には対応できない。《アナザーフォース》の強者たちもいる。

オーレリアは自身がグランセル城の攻略に手を貸せばナギトの排除の一助となる事実から目を逸らしつつ、騎士オーレリーを騙してその場を離れた。

 

 

 

☆★

 

 

 

「───よもや」

 

 

ナギトとルトガーの戦いは熾烈を極めていた。互いの一挙手一投足が即座に絶死に繋がる。ひとつのミスが死に直結する。戦いの余波で付近の木々は砕け、技の煽りでヴァレリア湖は荒れた。

凄まじい戦いである。オーレリアとて混ざれば命の保障はない。

オーレリアは待った。ナギトが勝って戦いが終わる瞬間を。《刀神》と《猟兵王》にミスはなく、しかしじわじわとナギトが追い詰めていく。やがて一瞬の差が両者に生じた。ナギトの太刀がルトガーに食い込む直前、それが不自然に止まった。

 

何らかの不調か、異能か、はたまたは躊躇いか。その由は不明だったが、次の瞬間には勝負は決まっていた。ルトガーの武器がナギトを袈裟斬りにした。致命の傷を受けたナギトは倒れ伏す。

 

目の焦点の合わなくなった彼から仲間の名が紡がれた。

 

 

「情か………」

 

 

ナギト・ウィル・カーファイは愛によって立ち上がり、情によって死んだ。

何とも愚かしく愛おしむべき男であろうか。その剣才に果てを見せぬ青年がこんなところで死んでしまった。オーレリアは自身がリベールに来た目的を果たせなくなった事より、この世からその才が失われた事を悼んだ。

 

 

 

「我が愛弟子、我が恩師、我が目標よ」

 

 

オーレリアは仰向けに倒れたナギトに声をかけた。ルトガーはオーレリアの接近に気づいていたようで、何も干渉せず葉巻に火をつけていた。

 

 

「そなたは強く、弱かった。人の強さと弱さを兼ねた狂猛なる剣士だった。───今はただその死を悼もう。そして誓う、私はそなたを超える剣士となる。………それを手向けと、そなたは受け取らぬだろうがな」

 

 

己の言葉にナギトの反応を想像してオーレリアは苦笑した。それから立ち上がると背後で煙をくゆらせたルトガーが声をかける。

 

 

「オーレリア・ルグィンだな?弟子だか師だか言ってたが……今ここで敵討ちを始めるかよ?」

 

 

「…………いや、私の目的はそなたではない。宰相殿からは何も聞いておらぬと見える」

 

 

「あん?……ははあ、あんたもこいつ狙いだったってわけか。宮仕えってのも大変だねぇ」

 

 

ルトガーはオーレリアが自身の意志に反してナギトを討ちに来た事を察した。

 

 

「猟兵のそなたが言う事でもあるまい。これからどうするつもりだ?《罠使い》と《破壊獣》の両輪を失った今、手負のそなたと団員たちだけではグランセル城は落とせまいよ」

 

 

オーレリアはしっかりと言い返して、《西風の旅団》の今後の動向を探った。ナギトが死んだ今、仮面の役割が無くなり自由になったオーレリアは帝国の将兵としての義務を果たす構えがあった。

 

《西風の旅団》が帝国と停戦中のリベールを害するつもりなら迎え撃つのみだ。特にオリヴァルトは今後のエレボニア帝国に不可欠の人物。護衛のミュラーがいるとは言え油断ならぬ相手だ。

 

 

「お前さんの言う通りだな。……ゼノやレオまで喪っちまった西風じゃグランセル城は落とせねえ。だからこのまま撤退させてもらうぜ。最優先目標は果たせた事だしな」

 

 

ルトガーの言葉に確信を深めるオーレリア。西風の彼らがパンタグリュエルで密航できたのはオズボーンの補助があったからに他ならない。そのオズボーンが最優先目標に設定するのは、リベールに戦争を仕掛けた目的でもある彼だ。

 

 

「それは─────」

 

 

確認の意味合いも込めてオーレリアは声を出そうとしたが、お茶を濁したいルトガーは軽口を挟んだ。

 

 

「……しかしどうしたって仮面なんかつけてやがる。せっかくの別嬪が台無しじゃねえか」

 

 

 

───仮面。役割を押し付ける仮面。

 

 

 

「────────!」

 

 

オーレリアは気づいた。

ルトガーの言葉で生じた疑問。

どうして仮面は外れないのか。役割を失った仮面はガラクタと化し何もせずとも顔から剥がれ落ちると聞かされていた。その仮面が未だオーレリアの顔を隠す理由。

 

オーレリアは見た。

そして疑問は氷解した。

仮面が外れない理由。役割を失っていないからだ。役割が果たせていないからだ。仮面の騎士オーレリーの役割は“ナギトの排除”───つまり。

 

 

ゆらり、幽鬼の如く立ち上がる《剣鬼》の姿を、オーレリアは見たのだ。

 

 

 

☆★

 

 

全身に鳥肌がたった。ルトガーは飛び退いた。視線の先には今しがた殺したはずの男が立ち上がっていた。

 

 

「おいおい……嘘だろ………?」

 

 

どの口で、と突っ込まれそうな言葉だがルトガーの反応は尤もであった。

ルトガーの蘇生はあくまで理によって紡ぎ上げた結果だ。乱暴に表現すればルトガー・クラウゼル本人は死んだが、そのコピーが発生したという筋書き。

しかしナギトのこれは違う。明らかに死んでいた。その瞳から光は失われ、心臓は鼓動を止めていた。出血量だってとうに人の失って良い血の量を過ぎている。

 

オーレリアもまた言葉を失っていた。死の淵からの生還に喜ぶと同時に納得する。

 

 

 

 

 

天上天下唯我独尊(ジ・オール)

 

 

 

しかしそれも、立ち上がった彼が何かをつぶやくまで。途端に彼の気配が極限まで薄くなった。気配は消え去り、存在感も希薄に。視認しているはずなのに、その背後の景色すら透けて見えるような感覚。

 

 

「これ、は────!」

 

 

オーレリアは理解した。今、彼は世界に溶けている。世界とひとつになっている。剣を通じて至った極みに、剣を通さず生身で到達している。

 

 

 

 

天上天下唯我独尊(オールフォーワン)

 

 

 

 

しかし、しかし、しかし。その感激も一瞬であった。また彼が何かをつぶやくと次は世界が軋んだ。大地が、空が、海が叫んでいる。“やめてくれ”と。そうオーレリアに聞こえたのは、彼女が“生死流転 / 剣全一如”を受けたからである。ナギトが開発したこの剣技は斬ったものの生命力を奪い与えるもの。あの時はオーレリアの王技に込められた闘気を生命力としてオーレリア本人に注ぎ込んだのだ。その技を受けた際にオーレリアは世界と繋がった。オーレリアの肉体はその時の感覚を記憶している。だから世界の叫び声が聞こえたのだ。

 

 

「なんだ……世界が…哭いてやがる………!」

 

 

ルトガーもまた超一流の猟兵。生死の狭間を何度も渡り歩いた強者。そのためオーレリアほどではないものの、世界の悲鳴を感じ取っていた。

 

 

「ああ……これが生の光……生の風………!素晴らしいものだな………」

 

 

 

世界は未だ軋んでいる。にも関わらず彼は嬉しげに空を見上げた。その体からはすでに出血が止まっていた。ルトガーやオーレリアの目から見てもわかるほどに回復していってるのがわかった。明らかに尋常な回復力ではない。かと言ってそのような異能を持っているはずもない。

 

世界が悲鳴をあげるたびに彼の肉体は力を取り戻している。オーレリアはそう直観した。

 

 

「そなた……何者だ…………!?」

 

 

問いただす。先の言動といい今の現象といい、これまでのナギトではあり得なかった。

 

 

「────特異点」

 

 

端的に、彼は答えた。

ナギトがそう呼ばれる存在である事は知っている。しかし、そのアンサーはこれまでと絶対的にニュアンスが違っていた。その違和感に答えるように彼は言った。

 

 

「まあ、そうだな…………ナウシカ、とでも呼んでくれれば。仮の名としてな」

 

 

その特異点はナウシカと名乗った。

 

 

「ふざけた名前を……!」

 

 

“ナギト”、“ウィル”、“シュバルツァー”、“カーファイ”。それぞれの頭文字を繋げただけの雑なネーミングだ。

 

 

「ナギト・カーファイじゃねえんだな?……だとしたらお前さんは何者なんだよ。繰り返すようで悪いが答えてくれや」

 

 

続けてルトガーがナウシカに問いかける。その存在の本質について。否、よりわかりやすい回答を求めて。

 

 

「俺は……言わばこの男の主人格みてーなもんだ。生まれてこの方ずうっと隠居してたけどな。今回はこいつがポカやったから俺たちが出張ってきたってわけだ」

 

 

「俺たち、だと……?」

 

 

複数形に周囲を警戒するルトガーだったが、ナウシカは「すまない」と訂正する。

 

 

「俺が俺たちなんだ。また別の個体が出てくるわけじゃないからそこは安心していい。……それに、かつての記憶喪失の折に生まれたナギトの人格も今は引っ込んでいるだけ。事が済み次第交代するからそこも心配無用」

 

 

そもそもウィルは、特異点として覚醒する前の、言わば力をつける段階だった。そして1204年に特異点として覚醒し自らの願いを果たすはずだったが、崖から転落して記憶喪失…というシステムの抵抗により特異点としての覚醒は契機を失った。それによりウィルとしての記憶を失った特異点ナギトが生まれたわけだが───それはともかく。

内側からナギトに語りかけていた特異点だが反応に乏しく、まともに対面したのは旧校舎第七層探索時と、煌魔城決戦後、夢幻回廊探索時の3回のみで、その最後に“特異点”たる本質の願いの化身は消え去ったはずだった。

だが、願いの化身──ナウシカは消え去らずこの場に現れた。ナギトのもうひとつの人格の如くして。

 

 

「そうか……正直オジサンにはお前さんがなに言ってるのかさっぱりだ。だが……、死ぬまで殺せばいいってだけだろ?」

 

 

「……脳筋だな。そういうの、嫌いじゃないぞ。ルトガー・クラウゼル……フィーの親父か。親子の対面を見たい気持ちもあるが、ここはナギトの展開優先だな」

 

 

ルトガーの凶暴な笑みにナギトもまた同じように答える。高まり合っていく闘気。世界はまだ悲鳴をあげていて、それを止めねばという使命感がオーレリアを動かしかけたが、

 

 

「引っ込んでろ《黄金の羅刹》。お前さんの出番はまだ先だ」

 

 

ルトガーに諌められて抜きかけた宝剣アーケディアを鞘に納める。

 

そして特異点と《猟兵王》の最後の戦いが始まった。

 

 

☆★

 

 

「太刀は使うなって言われてたな」

 

 

太刀は元来側面からの衝撃に弱い刃物だ。ゼムリアストーンを混ぜた合金性だが、ルトガーほどの相手なら強度が保たないかも、と言われていたナウシカは太刀を納刀すると、空から魔剣を引き抜いた。

 

 

「魔剣レーヴァテイン。……実際手にすると感動だな。あのレーヴェの魔剣の───」

 

 

「余所見してるじゃねえか──!」

 

 

黒金の魔剣に惚れ惚れしていたナウシカにルトガーが踊りかかる。

爆発に似た衝撃。ルトガーが吹き飛ばされる。あまりにも安い挑発に警戒していたルトガーだったが、その警戒の外側を行かれていた。

 

ナギトの戦技“破空”に似た闘気の発散は周囲の木々を蹴散らし大地を揺らして湖の水を弾き飛ばした。

追い打ちをかけるようにルトガーが飛んでいった方向に魔剣を振るった。暴力的な闘気が木々を根こそぎ薙ぎ倒していく。だが───

 

 

「甘ぇなあッ───!」

 

 

ルトガーは回り込んで回避。再度ナウシカに突貫していた。間一髪で感知したナウシカは魔剣を防御に回す。火花が散る鍔迫り合い。

 

 

「なんだぁ……?大層な登場したわりには弱いじゃねえか!」

 

 

弾き飛ばされるナウシカ。「チィ」と舌打ちする。手を前に突き出す。

 

 

「幻造……!」

 

 

像が形を結ばない。刀剣一本すら形にできない。

 

 

「遅ぇ!」

 

 

ルトガーの追撃。ガードしたが踏ん張りが効かずにまた吹き飛ばされた。今度は二度三度とバウンドして体勢を整えた。

前を向いたナウシカの目に映ったのは数多の銃弾。バスターグレイブが火を噴くルトガーのさらなる追撃だ。

 

致命となるものは魔剣で防いだが、弾丸はいくつもナウシカの肉体を抉り取っていった。止まぬルトガーの追撃を躱すためにナウシカは跳躍した。地面に大きく亀裂が入るほどの脚力。空高く舞い上がったナウシカにしかし、ルトガーは容易く追いついた。

 

 

「随分と不細工なジャンプだな!」

 

 

撃ち落とす。空から地面に叩きつけられたナウシカによって大きく土埃が舞った。ルトガーは危なげなく着地するとバスターグレイブを肩に担いでナウシカの動向を注視する。

 

やがて土埃が晴れると、ようやくナウシカは立ち上がったところであり、口元の血を拭いながら苦渋の表情を浮かべていた。

 

 

「くそ………スペックは同じはずなのに……!」

 

 

ナウシカの肉体的性能はナギトの身体を扱っている以上、それと同じである。それがこうもルトガーに圧倒されているのは単純に扱いが下手だからだ。

そもそもナギトの肉体自体は恵まれたものではない。成人男性の平均に及ばぬ上背。筋肉のつきにくい体質。他者より優っているのは闘気の総量と出力。しかしそれはあくまで肉体の補助でしかない。普通に戦えばナギトは一流どころには敵わない。

それを覆しているのはシンプルにナギトの技量をゆえにする。身体の操作、多彩なる剣技、闘気の扱い。それらのすべてを超一流にまで高めたからこそナギトは肉体的性能で己をゆうに勝る相手を敵に回しても生きてこられたのだ。

特に闘気の扱いについてはすでに世界でも有数の使い手となっていて、その集束と体外に留める技術は他の追随を許さぬ域に入っている。

 

ナウシカにはそういった技量はない。例えば地を蹴り跳躍する際もナギトならば地面を踏んだ時に生まれる反作用だけでなく、地を蹴る己の脚力すらを跳躍に利用する。これに足元で闘気を小規模に爆発させる事でナギトのスピードは雷速に至っている。ルトガーも同様の技術を習得していて、大地を踏んで跳躍する際にナウシカが地面が割れるほどに力が分散した事を「不細工」だとなじったのだ。

 

 

「宝の持ち腐れだな」

 

 

「うるせぇよ…!」

 

 

素人にスーパーカーは操れないのと一緒だ。

だが、素人でもアクセルをベタ踏みする事はできる。

 

 

「うおっ!?」

 

 

闘気の爆発。文字通りのそれは衝撃波となってルトガーを襲う。吹き飛ばされた《猟兵王》は着地すると苦笑いした。

 

 

「こりゃあ…凄まじいな……」

 

 

ナウシカから継続して放たれている波動は周辺一帯を刈り尽くす嵐のようであった。観戦していたオーレリアも被害が及ばぬよう離れている。

ナウシカ──ナギトの強みは闘気の総量と出力。とは言え最大出力についてはルトガーの1.5倍程度。化け物じみているのは総量の方だ。

この嵐のような闘気の爆発もルトガーが行えばすぐにガス欠になる。しかしナウシカにはその様子はなかった。いずれ闘気が底をつくにしても、それなりの時間が経った後になるだろうとルトガーは考えた。その間にナウシカが闘気の扱いに熟達する可能性もあれば、ナギトの意識が浮上する可能性もある。

 

ルトガーは勝負を決める段階だと踏んだ。

闘気の嵐を戦技でカッティングしながら、時に堪え忍び、徐々にナウシカとの距離を詰めていく。

やがて攻撃するのにベストな位置に陣取ったルトガーはSクラフトを発動させた。

バスターグレイブから放たれる濃密な闘気を纏った銃弾。闘気を集束できないナウシカでは迎撃不可能だ。継続的に発している闘気爆発も指向性を絞らないため威力に欠けていてルトガーの動きを鈍らせる程度の効果しかない。

 

 

「ギルガメス───」

 

 

万事休すかと思われたナウシカの視界に影が走った。

 

 

ナウシカの視界が反転する。いつの間にか地面に転がっていた。次の瞬間にはルトガーも同じように転がされている。

 

 

立ち上がった2人はそれをやった人物の姿を発見した。

 

 

「死んだと聞いていたが……久しぶりじゃないかルトガー。この勝負、《アナザーフォース》ゼロが預からせてもらう」

 

 

 

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