遊戯王GX 霊術使いに使われて。   作:どるねお

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お気に入りの人数が50名を突破しておりました。
御観覧の皆様に感謝しつつ、ちまちま頑張りたいと思います。


TURN5 vs頭脳派デュエリスト 三沢大地

テスト前日。僕は追い込みをかけていた。所謂一夜漬けではないが、

やはりテスト前日ともなればそれなりに不安が出てくる。

「あの問題もやらないと」とか「こっちはもう解けるかな」とか、

「デッキの調整に不備は無いかな」とか、集中が散漫しやすいのがテスト前日

というものだ。その果てに、部屋の掃除をしてしまったりする人も多いだろう。

ところが、現在の僕の部屋にはもっと集中を削がせてくれる存在がいる。

 

『つまんねぇーつまんねぇーお腹空いたー』

 

「………」

 

後ろが凄く騒がしい。僕はペンを握りながらため息をつく。これは後ろを振り向いたら

負けだ。気にするな、問題に集中するんだ……集中するんだ……

僕は気を落ち着けるためにコーヒーを一口口に含む。と、

 

『無視すんなよな! お腹空いたってんだ!』

「ぶッ!」

 

何故か首筋にチョップを入れられる。そのままコーヒーは口から出てしまい

ノートに大きなシミを作る。

 

「……勉強するから静かにしてって言ったよね! あぁ……ノートがッ!」

 

人が飲んだ瞬間を狙うなんて悪質にも程がある!

 

『だって暇! 暇! 暇!』

 

駄々っ子が始まったか……たまに途轍もなくウザい感じに駄々こねるから困る。

弄り過ぎれば怒るし、弄らないと怒る。やっぱり猫みたいだ。今度猫の飼育の本でも

買ってみようかな。きっと参考になるかも。

 

「分かったよ。僕も少し休憩するから」

 

そう言うと僕はカップを持って立ち上がる。新しいコーヒーを注ぐためだ。

10分ばかり相手になってあげれば大人しくなるだろう。たぶん……

 

「コーヒー飲む?」

『苦いから嫌いだそんなの! それよりなんか芸しろ拓!』

「そんな無茶苦茶な……会社の上司なの? それともウェイ系の先輩なの?」

 

よく飲み会とか、打ち上げで「君、面白い話してよ」とか「一発芸頼む」とか

言う人居るよね? お前がやれよって言いたいけど立場は必ず自分が下なんだよね……

 

『兎に角、ざがく?の勉強はもうやめてさ、デッキの調整とかそっちやろうぜ?』

 

遂にはそんなことを言いだした。いつもなら「お前が勝手にしろ」って言って

自分は寝てるくせに……よほど暇なのかな?

 

『けどやっぱやんね。もう、寝るわ』

「掌返し早! ものの2秒で考え変わったよ、今!」

 

時計を見れば12時を少し過ぎたあたりだった。なら、僕も寝ようかな。

明日早めに起きてやればいいかな。

 

『なに? お前も寝るの?』

「うん。明日早めに起きてやろうかなって」

 

僕は床に布団を広げる。

 

『あーそれ絶対やらないパターンの奴だろ?』

「く、言い返せないのが悔しいッ……ま、でもこれだやれば大丈夫だよ」

 

これは死亡フラグじゃないから。先に言っておこう。

 

 

『それでは始めるニャ』

 

次の日の一時間目に該当する時間。僕たち一年生はオシリス・レッドの尞官である

大徳寺先生の号令で一斉に筆記テストを開始する。そうすると周りはペンの音だけに

支配され、妙な緊張感が辺りを覆う。

 

(よし。勉強したところばかりだ。余裕だ余裕)

 

『ふ~ん。どいつもこいつも必死にやってんなぁ』

 

……

………

…………

 

その調子で筆記は終わる。

 

「それなりに出来たかな」

 

僕が筆記用具を片付けていると、

 

“急げ! 売り切れるぞ!”

“あ、お前! 抜け駆けすんな!”

 

と、罵声を上げながら多くの生徒が購買の方へ走って行った。

 

『なんだありゃ? 昼飯の争奪戦か?』

「いや、それは無いと思うよ……」

 

「――――皆、カードを買いに行ったのさ」

 

「あ、三沢君。それに十代君、丸藤君も」

「おす」

 

三沢君は僕のいるラーイエローの中でもトップクラスの実力を持つ生徒だ。

僕と同じ一年なのに、威厳が違う。十代君と丸藤君はオシリス・レッドの友人だ。

 

「カードってなんで今更?」

「あぁ。皆少しでも午後の実技に向けてデッキを改良しようと考えているんだろう」

 

三沢君はそう答える。

 

「なるほど……三人は買に行かなくていいの?」

 

「デッキの強化は興味ないけど、どんなカードがあるか楽しみではあるぜ」

「そうッス。だから、今から見に行くところだったんだ」

 

「へぇ。三沢君は?」

「俺は今あるデッキこそ最高の状態だと信じているからね」

 

凄い自信だ。

 

『拓はいいのか? 新しいカードだってんだろ?』

「僕もいいよ。2人で作ったこのデッキで十分。でしょう?」

 

それにお金無いし。

 

『そうだ、今更がたがた言ってもしょうがないしな』

「そうだね。今のデッキで、今やれる最高のパフォーマンスをするしかないよね」

『分かってんならそれでいいんだよ』

 

「光井……君は誰と話しているんだ?」

 

三沢君が僕を怪しげに見る。あ、ヤバい……彼には精霊なんて見えないよね。

十代君や、精霊に多少なりとも理解のある丸藤君とは違うんだった。

 

「あ、あぁ……ちょっとね。うん。なんでもないんだ」

「そうか。じゃあ俺は実技前に集中したいから失礼するよ」

 

そう言って三沢君は教室から出て行った。

 

『拓飯』

 

漢字2文字で全てが伝わったよ今……

 

「じゃあ、僕らもお昼に行くよ。十代君、丸藤君も頑張ろう」

 

「おう、じゃな」

 

 

昼食後、いよいよ実技テストの時間がやって来た。

 

『実技テストか。いつも以上にどいつもピリピリしてんな』

「まぁ、成績に関わるからね。たかが月テスト、されど月テストだよ。

レッドの人はイエローに上がれることもあるから皆等しく本気だよ」

『なに他人事みたいに言ってんだよ。私らも勝つんだろ』

「それはそうだけど」

 

むしろこの場に負けるために居る人は居ないと思う。

 

“それでは、実技テストを始めるノ~ネ! 各自移動を開始するノ~ネ!”

 

その合図と共に、皆それぞれの場所へ移動する。

 

「僕の相手は誰だろうか」

『誰だろうと関係ねぇ! とっちめてやろうぜ!』

「そんな悪党退治みたいなこと言わないでよ……」

 

僕は指定されたブロックへ移動する。テストは大きなデュエル場をいくつかの

ブロックに区切って行われる。そして、対戦相手は同じ尞の誰かの筈だ。

 

『やぁ。君が俺の相手か―――――光井君』

「み、三沢君!」

 

よりにもよって相手はあの三沢君だった。

 

『さっきのがり勉マンかよ』

 

「当然君のデュエルも研究させてもらっているよ。僕はこのデッキで相手をしよう!

俺はこれでも君を買っているんだ。入試の時からね。まさか、アイドルカードを入れた

デッキで挑むなんてってね」

「それは、どうも……かな?」

 

褒められているのか、貶されているのか分からないよ。けど、アイドルカード?まぁ、

ヒータのような女性カードを入れるのってそんなにおかしいのかな?

けど、またそんな言われ方したらウチの女王が黙ってないはず……

 

『このがり勉マン! この野郎……』

 

ほら、怒ってる。

 

『だれが、アイドルだよ……だれが……』

 

そこでなんで照れるの!? 

 

「さぁ、始めよう」

「う、うん。よろしく」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は俺だ。俺は《オキシゲドン》を攻撃表示で召喚する!」

 

オキシゲドン

ATK1800 DFE800

このカードが炎族モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、

お互いのライフに800ポイントダメージを与える。

 

「先に言っておくがこいつが炎族モンスターに破壊されれば互いに800ダメージだ。

君のデッキは火だろう?」

 

『敵に手の内晒すなんて余裕だなアイツ。舐めてんのか』

「ん~それは少し違うと思うよ?」

 

でも、少し戦い辛くなったかも。きっと三沢君のデッキは水。

僕の火デッキにメタを貼って来たのだろう。常に相手を研究し、勝つための努力・労力

を惜しまない。流石だ。

 

「俺はさらにカードを1枚伏せてターンを終了だ」

 

「僕のターンだ! ドロー!」

 

僕も全力で行く!

 

「まずは《強欲な壺》を発動だ。カードをデッキから2枚ドローする。三沢君! 悪いけど、

僕の戦いやすい場所へ移させてもらうよ! フィールド魔法発動! 《バーニングブラッド》」

 

周りが火山に変わっていく。勿論ソリッド・ヴィジョンだけどなんか……暑い。

 

『おっしゃ、最高の舞台だぜ! 漲ってきやがった!』

 

炎属性のウチの女王もテンションが上がっている。この《バーニングブラッド》には

炎属性の攻撃力を500上げ、守備力を400下げる効果がある。

 

「なるほど、そうくるか」

「さらに、《火舞太刀》を召喚するよ!」

 

『ガンガン攻めてけ、相手は強ぇんだろ? うかうかしてっと巻かれるぞ』

「うん、分かったよ」

 

火舞太刀

ATK1700→2200/DFE600→200

このカードが破壊され墓地へ送られた時、相手フィールド上に表側表示で存在する

モンスター1体を選択して破壊し、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

ヒータは普段は口うるさいし、容赦ないけどことデュエルの時は意外に的確な

助言をくれる。

 

「バトルだ! 《オキシゲドン》を攻撃!」

「くッこれくらい必要経費だ」

 

三沢大地:3600LP

 

「僕はカードを一枚伏せてターンを終了」

「俺のターンだ。《カーボネドン》を召喚」

 

カーボネドン

ATK800/DFE600

カーボネドン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが炎属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。

このカードの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ1000アップする。

(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。

手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 

カーボネドンは戦闘の時、相手のモンスターが炎属性なら攻撃力が1000上がる効果を

持っている。それでも攻撃力は1800。大丈夫だ。

 

「さて、ここもそろそろ暑いから場所替えとまではいかないが、元に戻させてもらう。

速攻魔法《サイクロン》を発動。《バーニングブラッド》を破壊する!」

 

周りの風景が消飛ぶ。

 

「くッ……」

『……フィールド魔法を破壊して来たか』

 

まぁ、相手に有利ないつまでも残しておく人はいないよね。

 

「さぁ、仕切り直しと行こうじゃないか」

 

試験デュエル。相手はあの天才三沢君。このデュエル勝てるのか?




『うす。頭脳明晰ヒータ様だ』
「……前回の才色兼備より離れてない?」
『うるせぇ! てか、あの三沢って野郎強いぞ!』
「彼はイエローでも屈指のデュエリストだ。一筋縄では勝てない。
戦略も知力も一枚二枚上手だ……」
『負け腰でどうすんだよ! 
次回、「TURN6 決闘のあとには」』
「簡単に負けるつもりはないよ。僕は」
『勿論だ、2人で勝つぜ!』
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