ごすずんとエアちゃんは共に救われるべき   作:ルビコニアンソルトピラー

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 強制監査妨害はカットだ621


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 『これは……ある友人からの私的な依頼だ。「ウォッチポイント」と呼ばれる施設がある。地中に眠るコーラルの支脈を監視し、かつてはその流量制御も行っていた施設だ。お前にはそこを襲撃してもらう。目標は最奥部にあるセンシングバルブの破壊。当該施設は惑星封鎖機構のSGが警備に当たっている。企業達も表立っての手出しは避けるだろう』

 

 とうとうこの時がやってきた──なんて、不可思議な歓喜が込み上げる気がする。

 この任務は初めてのはずで、任務自体に特別なところは何もない潜入破壊工作のはずなのに。

 

 『つまりこの仕事は……俺たちだけで遂行しなければならない』

 

 ハンガーから輸送機へ積み込まれる機体の中で、そう念を押される。

 今までだってそんな仕事は多くあったが、ウォルターが殊更に言うということは、この仕事にはそれだけの特別性があるということだ。

 

 事実、この仕事は自分にとっても大きな転換点だ。──当然のことながら初めての仕事だというのに、そんな確信がある。

 

 『ところで……その機体構成はV.Iを模したものか?』

 

 輸送機に積み込まれた強化人間C4-621の乗機LOADER4は、「壁越え」の折に遭遇したV.Iフロイトと全く同一の機体構成に組み替えられていた。

 

 率直に言って、そんなに強くはないアセンブルだ。

 頭部から脚部までの四種、両手両肩の四種武器、内装三種、どれを取っても「もっと良いモノがある」と言わざるを得ない。いや、汎用性は凄まじいし、左肩のVvc-700LD(レーザードローン)なんかは唯一無二の性能なのだけれど。

 

 『……機体の判別には識別信号やライセンス情報を使う。外見だけを真似たところで、欺瞞効果は薄い。使い慣れた機体で──欺瞞目的ではないのか。何か考えがあっての事なら止めはしない』

 

 ウォルターは言葉を切り、一言だけ言い添えた。

 

 『だが、「壁越え」の時のような無茶はするな』

 

 

 ◇

 

 

 ウォッチポイント外縁部には、事前情報通りに惑星封鎖機構のSGが展開し、レーザー砲台まで配備されていた。

 企業が輸送ヘリ群に大部隊を載せてノコノコやってきたら、機体投下前に撃墜されて壊滅だろう。

 

 そして自分たちのように遠方でヘリから降り、通常巡航モードでふよふよやってきたとしても、巡回の歩哨MT部隊の目に留まる。

 

 『コード15、侵入者を捕捉』

 『発見されたか。証拠は残すな。目撃者は全て消していけ』

 

 ハンドラーの指示を受けるまでもなく、そのMTは敵機追従型のレーザードローンに包囲されている。直後、6発のレーザーを叩き込まれて爆散した。

 

 MT部隊の処理をドローンに任せ、大型輸送ヘリも一撃で撃墜するだろう大型レーザー砲台へアサルトライフルを叩き込む。装甲もダメージコントロール能力も輸送ヘリに勝るACとはいえ、コアパーツはLOCKSMITHと同じ中量中装甲のVP-40S。砲撃を喰らわないよう適宜遮蔽へ身を隠しながら。

 

 『敵は……AC単騎だと? どこの所属だ?』

 『この機体構成とペイントは──まさか、アーキバスのV.Iか?』

 

 傍受した通信から困惑の声が漏れてくる。

 

 この惑星の何処かに眠る集積コーラルを探す上で、ウォッチポイントの襲撃は絶対に必要な手順ではない。

 確かに、制御センター内にあるセンシングバルブを破壊し、ウォッチポイント内に残されたコーラルを解き放つことで、コーラルの群知性を利用して集積コーラルの大まかな位置を割り出すことはできる。

 

 だが、アーキバスのような人員や資源を十分に持っている企業としては、それほど拙速な手段を用いる必要はないはずだ。少なくとも現時点で、V.Iを投入するほど状況は逼迫していない。

 

 『詮索は後にしろ。コード78、応援を要請』

 

 単なるSG部隊の割には──いや、だからこそか。判断が的確だ。

 最精鋭の執行部隊ではないからこそ、V.Iという絶望的存在を相手取ることの愚かしさを理解している。

 

 即座の応援要請は正しい判断だ。たとえ襲撃者がV.Iではないとしても。

 

 だが──。

 

 『これは……!? 本部と繋がりません!』

 『応援は来ない。621、殲滅しろ』

 

 ハンドラーの言葉の直後、MT部隊最後の一機をレーザーブレードで斬り伏せた。

 

 『……調子は良好のようだな。次のエリアに進め』

 

 ウォッチポイント外縁部の掃討は恙なく進行し、SGの前線歩哨部隊を殲滅したLOADER4がABを噴いてセクターを進む。

 

 無機質な金属の人形から乗り手の感情など類推しようも無いが、どこか何か特別な衝動に突き動かされたような動きだった。

 

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