赤い詐欺   作:ソウクイ

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第2話

 

ヘリオポリス近郊。

 

宇宙を僅かに照らす爆発の光り。敵を倒すために飛び交う銃弾にミサイル。宇宙は大気がなく音の伝わらない無音の世界だが、艦内やコックピットの中では機械が再現した戦場の音が鳴り響いている。中立であり本来この宙域に居る筈のない連合軍、そしてプラントの建前として自警団、実質軍隊のザフトが戦闘を行っていた。

 

周囲に残骸が散らばっているがその殆どは連合のモノだ。

 

押しているのはザフト。数は連合の方が多く見えるがザフトが優勢。コーディネーターとナチュラルではコーディネーターの方が能力が高いがそれだけで数を覆せない。連合艦にザフト艦。艦の性能はそれほど大きな差はないと思われる。なら何で連合が一方的に負けているのか。

 

問題は艦載機。

ザフトはMS、人型兵器のジン、

連合はMA、戦闘機のメビウス。

 

ニュートロンジャマーにより、ミサイルなどの誘導兵器がマトモに使えない中だと接近戦を押し付けられる戦場。戦闘機が接近戦を想定されてるわけがない。メビウスは主力の兵器が使えず不利な距離で戦わなければいけない。コーディネイター云々を抜きにしても勝てるわけがない。

 

メビウス5機にジン一機が対等と言われる酷い戦力比、つまりは連合は単純計算でメビウスを五倍用意しないと互角に戦えない。数が多い連合だが五倍の差もない。いや5対1はMSの過大評価で戦力比は3対1が正しいとされるが……どのみち三倍もメビウスがないので変わらない。メビウスは奮闘はしているがザフトのMSに対して圧倒されていた。

 

この戦争で国力が上の連合相手に数が少ないザフトが優勢な理由がよくわかる惨状。連合が負けてないのが不思議なほどだ。

 

メビウスと言う護衛機もほぼ無くなり連合艦は無防備となり撃沈され始めている。もう少しでザフトの勝ちが決まる戦況。モニターに連合の姿がなくなっていくのを見てザフト側の戦艦のブリッジでは弛緩した空気が流れ始めている。もう戦闘が終わったかの様に雑談も始まっている。そんなザフト艦の戦域に近付く新たな反応があった。

 

「当艦の後方、6時の方向から所属不明機が高速で近付いて来てます」

 

その報告に奇襲かと弛緩していたブリッジに緊迫した空気が。

 

「敵か、直ぐに近くのジンに連絡を!それと艦を前進させろ!」

 

「ーー艦からジン各機に連絡!正体不明機が当艦後尾に接近中、急ぎ戻ってください!」

 

「メインエンジン始動!距離を離します!」

 

「相手の数は!」

慌ただしく命令が飛び交った。

 

「一機です!」

 

一機、奇襲だとしても一機ならそこまで危険もないか?慌てて指示を出した艦長は冷静となり椅子に座り直し聞いた。

 

冷静に考えると、奇襲だと考えたが今さらこのタイミングで連合が一機で奇襲をしかけてくるのだろうか。敵でない可能性もあると考える。ヘリオポリスも近く民間船が居ても可笑しくない。

 

「もしや民間船ではないのか?もしそうなら近付くなと伝えろ」

 

「いえ船ではないです。反応からしてMSです!」

 

艦長は首をかしげた

 

「MSなら味方ではないのか?」

 

「味方の識別信号を出していません」

 

「味方のMS以外なんだと言うのだ……」

 

「まさかヘリオポリスで開発してたという噂の連合のMSでは」

 

「そうだとしたら、何故一機で此方に来てるのだ」

 

「潜入部隊が連合MSの奪取に成功して戻って来たのでは?」

 

「奪取した機体だとしたら味方識別信号を出すだろう…」

 

「(奪取したのが識別信号が出せない状態の機体…いや万一識別信号出せないとしても通信を此方に入れるだろうし、随伴するジンもいるはず……そもそも潜入部隊の作戦予定時間を考えれば、予定が早まったとしてもこんな早くに来るわけがないな。……やはり敵……敵としても一機で来るとは自殺志願者か。死ぬのも覚悟の上なら最悪この艦に突攻するつもりかもしれんな。此方に奪われるぐらいならと、出来れば破壊せずに捕獲したいが…)……不明機と本艦との接触までにジンは何機これる?」

 

「今のままの速度で接近されると当艦に接触するまでには一機も間に合いません!」

 

「なに、そんなに接近を許したのか!?」

 

「速度が早いんです!!接近速度が、こちらのジンのおよそ三倍ほどの速度が出ています!」

 

「三倍!?…本当にそれはMSなのか。モニターにうつせないか?」

 

「少しお待ち下さい。後方の映像を正面モニターに出します」

 

全員がモニターの映像を見た。

 

「赤い光…あれが正体不明機か」

 

「動きが速すぎる。彗星では無いのだよな」

 

「MSらしい反応があります」

 

「念のために正体不明のMSに通信を送れ。これ以上接近したら敵と見なし攻撃をすると…」

 

 

 

 

 

 

この少し前……

 

 

シャアと名乗る誰かとラルフはOSを新しくしたMSのテストを中断させる。自然に起きた電波障害でなくニュートロンジャマーが発生してると判断したからだ。

 

『ヘリオポリスにも通信できませんね』

 

戦場が近くであるのだろうか。戦闘だと思えば…シャアの…生まれ変わってから備わったニュータイプの様な感覚が戦闘が起きている事を伝えている事をようやく理解した。いや本能的に理解するのを避けていたと言うべきか。

 

赤いMSのモノアイが左右に動く。同時に自分の感覚を研ぎ澄ますと不快感に方向によって強弱がある事に気づく。モノアイは不快感が強まる方角を見た。

 

宇宙の一角で星の光とは違う光を見つける。

パッと光って直ぐに消える短い発光が複数。

爆発の光だ

 

「11時の方向……爆発だな」

 

『11時ですか…………確かに、あれは、なにか爆発してる光ですね。やはり戦闘、海賊が出たんでしょうかね?』

 

『いや…海賊は違うだろう』

 

海賊がこんなヘリオポリス近くで態々襲うとも思えない。海賊がニュートロンジャマーを出して態々こんな所で襲うのか。それに爆発らしい光が多すぎる。行われてるのは小規模でなく大規模な戦闘だ。大規模な戦闘となると…ここは中立地帯で軍隊が戦争をしてはいけない場所だが……戦争でルールが破られることは良くあることだ。

 

『…どうします』

 

「…………関わりたくないが」

 

数秒ためてからこう言った。

 

「テストの続きのついでに確認しに行ってくる。君はここで待機しててくれ」

 

どう考えても海賊だろうと、ガンダム的に予想した最悪なパターンだろうと爆発地点を調べるのは相当に危険がある。しかし危険を承知で確認しに行きたいと思った。

 

『危険ですよ………と…反対してもダメそうですか。貴方の腕とそのMSなら何とかなると信じます。あまり無茶をしないで下さいよ』

 

「ああ、わかっている」

 

彼はそういって爆発の光が連続していた方向に機体を動かす。岩礁を蹴って流れてきたデブリも蹴って加速して岩礁とデブリの間を縫うように移動。あの速度でぶつかればMSの装甲でも耐えられない。地球の峠道で走る走り屋より危険な移動だ。

 

『わかってると言ったのに…』

 

自分の身体の様にMSを使える常識外れからすれば蹴るものが多くてMSの加速ははかどる。普通はデブリが多いと減速するものだがむしろ加速するという変態(ナチュラル)。その速度は改造されているとは言えジンのジャンクから産まれたMSなのに、通常のジンの三倍の移動速度が出ている。ほぼパイロットの腕によって

 

『……ザフトのコーディネーターだってあんな事出来ないでしょ』

 

あっという間に距離が離れてジャマーの影響でMSとの通信が不可能となる。ラルフは新しく流れてくるデブリの塊の一団を見つけた。

 

『それにしても……デブリが多いですね。流れて来る方向的にさっきの爆発してた残骸で…すね…ん?』

 

デブリを拡大してモニターに映して言葉につまる。モニターに映し出されたデブリがどう見ても……戦艦や戦闘機の一部。デブリが連合の兵器らしき残骸、ザフトのモノも少し混じっている。ならさっきの爆発の光は事故でも海賊でもなく…。

 

『はぁ……つまり…どっちも此処を中立扱いしてないと…』

 

 

 

 

 

そして場面は戻る。

 

シャアを名乗る彼の赤いMSは艦が目視できる距離に居る。砲門がありその外観はどう見ても軍艦、ザフトの戦艦だが…後方から接近して後部だけを見ても戦艦だと判らない。何処の艦かわからない。欲をかいて何処の艦か確認しようと接近しようと思うが……

 

『此方ザフト艦!そこのMS停止しろ!それ以上近付くと敵と見なし攻撃を開始する!』

 

通信が来た。

 

ザフトと名乗られ確認の手間を省かれる。ザフトが海賊退治をこんなところでしてたとも思えない。ならさっきの爆発は連合との戦闘と判断しても良いだろう。最悪な可能性が正解していた。…九割はそうだと思っていたが、言葉で伝えられてようやく現実を直視する事ができた。

 

 

此処で停止したらどうなるか。停止したら次にあるのは身元の確認。此処で民間人だと言って納得してもらえるか。MSは最新の軍用機と言う常識がある、そんなMSに乗るのが民間人?良くて傭兵、悪くて海賊扱い。ナチュラルとバレたら最悪か。仮に民間人と信じられても乗ってるMSはほぼ戦場跡のザフトのジンの残骸パーツから産まれたMS。彼等にとって戦友の遺品を好き勝手にした証拠物件。中立地帯で戦闘をしていた目撃者、消しても問題ない身元保証のないジャンク屋。

 

結論、停止したら終わりだ。

 

近付いたら攻撃をすると言っている。それならと艦から離れようと速度を減速。離れて止まるように見せ掛けて反転して引き返す事にした。

 

しかし呼び戻されたジンの一機が来る。速度を減速させた所で接近を許してしまう。

 

『あれが噂の連合の機体?悪趣味な色除いたらどうみてもジンの模造品じゃないか!ふざけやがって!』

 

どうやら相手のジンのパイロットは連合の物と判断している。ザフトはヘリオポリスで連合がMS開発されていると聞いて来ている。連合の機体を奪取しに来ているが味方の識別反応がない。進路を変えたが停止もしない。ジンのパイロットは敵であると結論付けた。

 

赤い機体のパイロットは殺意を感じ取った。

 

『ナチュラルがMSなんて生意気なんだよ!真っ赤な機体で正面からって舐めてるのか!』

 

デブリを蹴って加速しなければ速度はジンとほぼかわらない。減速した分、向こうのジンの方が早い。後方には逃げれない。赤い機体はジンに向かい加速した。

 

『戦う気か』

 

射撃態勢に入ると相手は真っ直ぐ向かってきている。良く見ると武装が一つも有るようにも見えない。ジンのパイロットは呆れた。

 

『馬鹿か。舐めてるとか以前の問題だな…』

 

ジンのパイロットはそう吐き捨てる。武装が完成してない?破れかぶれに格闘戦を仕掛けに来たんだろうか?憐れみの感情さえ浮かぶ。だが向かってくるなら落とすしかない。

 

接近戦に態々付き合う理由もない。狙いをすませ76ミリ重突撃機銃を容赦なく射つ。真っ直ぐ向かってくる相手、当てない方が難しい。

 

『な』

 

これまで直進していた赤いMSが突然横に動く。それはちょうどトリガーを引いた直後。

 

まるで予め射撃すると判っていたかの様に発射直前に赤い機体が動く。弾丸は当たること無く赤いMSの横を通り虚しく宇宙に消えていった。

 

『ッチ、運のいいやつ』

 

舌打ちはしたがまだ冷静だ。此方の考えがわかっていなければ出来ない動きをされたが、そんな訳が有るわけがない。偶々避けただけだと思い標準を定めて射撃を繰り返す。

 

発射された弾丸はまた赤い機体の横を流れた

 

『なんで』

 

2度目も、

 

『なんで避けるんだ!!』

 

3度目も同じ様に…

 

まるで此方の意志が読み取られてるかの様に、フェイントを混ぜても射撃する瞬間に避けられる。2回は偶然でも3度も続けば偶然とはならない。確実に動きを読んでいた。

 

『な、何なんだこいつ。近付けるのは不味い!』

 

恐怖から射撃を連続して避ける間も与えない様に射撃を続ける。銃身が焼き切れても構わないとばかりに、少なくとも接近はこれで出来なくなると…思ったが、まるで射撃の隙間を縫うように接近してくる。今度は操縦の技量の高さを見せつけられた。

 

『なんだよコイツは!?』

 

並みのコーディネーターどころかザフトエースの赤服を上回るような操縦技術。その操縦技術にプラスして此方の意図を察した様に直前に動き射撃をかわしもする。ナチュラル何かじゃないが、コーディネーターとも違う。得体の知れない相手、怪異にあったように感じた。

 

『落ちろ!落ちろよ!』

 

射撃を繰り返す。そんな事をしていれば直ぐに弾切れになる。予備の弾倉に変えようとするが、しかし弾倉の予備が有るところには何もない。

 

『くそ!さっきの戦闘で予備を使ったんだった』

 

後は両手刃の重斬刃しかない。相手の望み通りとなる接近戦、自分の能力にプライドのあるコーディネーター、相手に武装がないようにみえるが、それでも近づくのは不味い予感がしてしょうがない。しかし近くに艦がある。離れて艦の方に行かれたどうなるか…。武器が無くても体当たりでもされたら…。

 

『…相手は避けるのが上手いだけだ!接近戦なら!!』

 

ジンは突撃機銃を捨てて重斬刀を持ち前進する。まるで受けて立つと言わんばかりに赤い機体も合わせるように速度を上げた。

 

『武器もない癖に!』

 

お互いに距離を詰めれば瞬く間に距離は近付く。速度を緩めたり方向を変えたりしない。この速度でぶつかれば大破する。速度を落とすしかない。ジンが速度を落とすと…

『速度をあげた!?』

 

赤い機体が逆に急接近、このままだと正面衝突する。攻撃する事より避ける事を優先、ジンは衝突を避けるために機体の位置を急速に右に移動させる。咄嗟の動きだった。なのに赤い機体も右に追随してくる。これは…

 

(避けることを誘われた!)

 

追随してくるのに気付くのに遅れ意識に間ができる。それでもジンのパイロットは直ぐに行動する。流石はコーディネーターと言ったところか。

 

『…くらえ!』

 

ジンは急な動きに態勢を崩しながらも重斬刀を振る。追随してきた赤いMSに向かって!咄嗟の事なのにタイミングはあっている。ジンのパイロットは改心の出来だと自画自賛!これなら当たると確信した!実際に確実に当たると思えるタイミング"だった"。

 

赤い機体は上半身のスラスターを止め下半身のスラスターだけを吹かす。機体の上半身は後ろに仰け反る。上半身を狙った重斬刀の刀身をかわす。さらに赤い機体は上半身を後ろに向けると同時に片方の足を上に動かした。サマーソルトキック。回避と攻撃を両立させた生身でも難しい曲芸染みた動きをMSでやってのけた。

 

『ふざけ、ぐふぁぁ!!?』

 

赤い機体の足はジンの胴体、コックピットを蹴りつける。数十トンのMSの勢いをつけた蹴り、装甲の厚いコックピットのフレームが歪む程の甚大な衝撃。更に追い打ちのように一回転するだけで体勢を立て直した赤い機体がジンの背後に周りもう一度蹴りつけた。

 

赤いMSの足はデブリを蹴って移動する為に装甲が特に分厚くされていて、普通のジンに蹴られるよりも威力は高い。短時間に二度も蹴られパイロットは強烈に前後に揺さぶられる。自動車事故を二回連続で再現されるようなもの。幾らコーディネーターと言え無理だ。無事で居られるのは化け物だ。

 

ジンは蹴られた方向に流れていく。

 

『気絶したか?コーディネイターと言ってもどこぞの天パの様な化物ではないか』

 

化け物と思われる様な事をした人間の台詞。

 

そして流れて行くのを見ながら蹴った勢いを殺さずに離脱していく。離脱しながら何となく視覚はジンの方を向ける。パイロットが意識を失いジンはある方向に流されている。戦艦がある。側面から攻撃されないためか方向は此方に向いていて距離が殆ど離れてない。戦艦に何かするつもりもなかった。ジンを蹴ったのは止めと機体の移動に勢いをつけるためで…他には何の狙いもなかった。戦艦の方に蹴れば戦艦の邪魔に成れば良いかなと少しは思ったぐらいだ。

 

ただとても運が悪かった。

 

ジンはそんなに離れてなかった戦艦の方に流れていく…ブリッジのある場所に、戦艦はそんな直ぐに位置をかえられない。ジンを即座に破壊すれば良いのだが、パイロットが生きてそうな味方のジンを破壊するなんてことも咄嗟に出来なかった。

 

『ーー機!聞こえないのか!動け!本艦とぶつかる!急いで回避運動をとれ!!ぶつか、うわぁぁああ!!』

 

どんな確率だろう。艦のブリッジがある部分とガスッとジンは衝突する。まるでコントの様な見事な衝突。爆発はしてないが……ブリッジは潰れている。あの艦は動けないだろう。

 

MS1撃退、戦艦1行動不能。

見事な戦果を見て…

 

『不幸な事故だ』

 

悪質な轢き逃げの様な台詞を残し赤いMSは去っていく。ついでにジンの手放した重斬刃と銃も貰っていくという強盗行為も行っていた。

 

 

 

赤いMSが離脱しながら周囲を改めて観察すると疎らだが、何かと戦っている様子が見える。メビウスらしい機体も見える。連合艦とザフトが戦ってるんだろう。他のジンが近付いてくるのが見えたが、深追いするつもりもないのか戻っていった。

 

もし決着が着いていれば追撃もありこうも簡単に離脱出来なかったろう。運が良かったと思う。危険を知りながら状況を直に確認したいという欲求で遭遇した、初めて体験した一歩間違えたら死ぬという状況を切り抜け一つ息を吐く。それだけで平常になれた。

 

安全圏に出てから気付く。コーディネーターのジンに勝ててしまった事をだ。

 

生まれは特殊でもナチュラル、

赤いMSの性能はジンの少し上程度。

赤い機体をテストでよく動かしていたが別に特別な訓練を受けた訳でもない。

 

なのに勝てた。

 

相手が油断してくれていたお陰もあるが……産まれもった操縦の才能に…見えない何かが見えるような不思議な感覚、ニュータイプと思える力のお陰か。

 

 

才能とニュータイプの様な力は転生した時に特典でも付いたのか、偶然なのか、特殊な産まれのお陰なのか………考えても不快に成るだけだと、自分の輸送艦の方に戻りながら別なことを考えた。

 

確認する前に予想した通りザフトと連合がヘリオポリス近郊で戦闘をしていた。

 

どちらも何の意味もなく中立地帯で戦うなんて事もないだろう。何かしら中立を無視する事情があったと考えられる。両軍の事情や目的は何か……場所を考えればヘリオポリスに何か。

 

ヘリオポリスの中で連合かザフトが何かをしていたか………ガンダムとして考えるなら、連合が中立コロニーという建前に隠れて兵器の開発をしていた?

 

それならヘリオポリスが本命か。もし不正解でも戦闘がこんな間近で起きたなら、ヘリオポリスも危険な状態になる可能性は高い。普通なら巻き込まれないためにも、早くへリオポリスから去った方が良い。自分の艦に合流すればそのまま去れる。元よりもしもの時は去ろうと考えていた。そう…

 

「……考えていたんだがな」

 

……ヘリオポリスには知り合いがいる。少し話しただけだが学生たちも少し気にかかる。知らぬ振りをするべきか、どうするか……。仮にこのまま離れても誰も責めないだろう。

 

しかし、彼自身が自分を許せるかどうか。彼は二度目の人生を自由に生きる事を目標にしている…正確には自由の前に…後悔をしないようにという言葉もついていた。

 

……溜め息をはいた。

 

「…初代ガンダムとは違う状況になってて欲しいな……あとヘリオポリスにはドレンも連れていこう」

 

 

ラルフを巻き添えにすることを決めながら、出来ればヘリオポリスがまだ襲撃されてないことを祈るが、願いは空しくヘリオポリスの中でも既に戦闘は起きていた。そしてへリオポリスで………ガンダム世界だとどうやっても否定できない物証をその目で見てしまう。

 

 

 

 

 

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