赤い詐欺   作:ソウクイ

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第6話

 

 

戦争が起きてからジャンク屋はジャンク屋連合も組織し国でも迂闊に手が出せない規模がある。政治的にも影響力が強いのか、ジャンク屋連合のエンブレムをした艦は何処の国も受け入れないといけないという特権まである。そんなジャンク屋の評判については良いとは思えない。戦争で勢力が拡大した利益が何なのか考えれば…。

 

ジャンク屋は今起きてる戦争で急速に拡大している。その利益はなんなのか。戦争が起きた事で発生するのは破壊された兵器の回収だ。

 

戦時の兵器は最新式の高級品。何十億か。MSにバカスカ落とされるメビウス一機でも高級車よりも桁違いに高い、部品でも札束や宝石が落ちてる様なもの。莫大な予算で造った兵器の残骸をタダで取られる。経費はそんなに掛からず利益は莫大。勝手に中身が出てくる金山や油田を見つけたようなものか。一攫千金のチャンス、それは勢力も拡大するだろう。

 

連合、ザフトからすればジャンク屋は火事場泥棒か窃盗犯。放置されてる犯罪者と認識されてるだろう。

 

なんでジャンク屋は放置されたのか。地上とは違い宇宙だと手出しがし難いからか。戦争の片手間に潰すには数も規模も大きいからか。放置されてる内に大きくなり政治家を懐柔したのか、ジャンク屋連合は中立国に近い特権まで手に入れている。政府と癒着したマフィアの類いとしか思えない。

 

ジャンク屋連合そのものが潰されないにしても、一部だけでも見せしめに潰すなど十分にありえる。それを警戒しジャンク屋の中には拠点に防衛に長けて隠蔽に長けてる所を選んだ業者もいる。岩礁地帯やデブリ地帯や人が来ない場所などだ。

 

「なるほど、それで目的の業者は拠点に人が来ないユニウスセブンの跡地を選んだと……安全の為に地雷だらけの危険地帯に入ってるように思えるんだが?プラントの奴等も供養するのに行ったりするだろう」

 

説明を受けたカガリは真顔でそう言う。シャアもカガリの近くで一緒に聞いている。因みにシャアとカガリの間を遮る様にキサカが居る。理由は特に無いだろう。

 

「もしプラントにバレたら、当事者だけでなくジャンク屋全体の殲滅に乗り出したりしそうだな」

 

元から友好的な相手でないが、国でも迂闊に手を出すには危険なジャンク屋連合を敵に回す。優勢でも国力が何倍もの連合相手に戦ってるプラントに、そんな余裕があるとは思わないのが、連合との戦争中にはやるとは普通は思えないが、ユニウスセブンの仇に地球全土に喧嘩を売ったプラントなら…完全には否定できない。

 

「…ま、まぁ戦時中の今はユニウスセブンに供養に行くプラントの人間も居ないですし。バレる心配は先ず無いでしょう。それでどうします。ユニウスセブンの業者の所に行きます。それとも別のところにしますか?」

 

ユニウスセブンの業者の元に行くかどうか。ユニウスセブン跡は言うなれば墓場だ。

 

赤い人としてはガンダム的に亡霊、死後の意思など普通にありそうと思っている。死者が大量に出る戦場の後でジャンク品集めをしてて今更な話だが、それはそれとしてやはり縁起悪そうなのでユニウスセブンにはあまり入りたくない。絶対に嫌という訳でもないが、積極的に行きたくもない。ただ出来れば近場で済ましたいとも思う。

 

微妙なモノでどちらとも決めれず悩んだ。

 

「よし!ユニウスセブンに行くぞ!」

 

悩む男たちに業を煮やしキッパリと決めたのが部外者のカガリ。迷っている位なので特に反対はなかった。

 

この後、ジャンク品を集め艦内には集めたジャンク品が満載。シャア擬きの輸送艦と民間船はヘリオポリスから、地球、ユニウスセブンの方角に出発した。

 

そう民間船が艦についてきている。カガリがユニウスセブン方面に行くと伝えたらしい。向かう方向は同じだと船がついてくる事になった。

 

連合の艦隊と合流するらしい。ついてくる船には救出した兵士に連合のお偉いさんの娘が乗っている。あとへリオポリスに残されても困る捕虜のザフト兵士。立場としてカガリはこちらの船の方にも関わらないといけない。だから予定は変更され別れるまでは民間船の方に乗る予定だった。だったが……カガリはシャアの船に居た。

 

「何故此方に?別れるまでは向こうの民間船に乗る予定じゃなかったのですか」

 

「…止めた」

 

不機嫌そうな様子から誰かと喧嘩でもしたのかと思う。良くも悪くもカガリは真っ直ぐで何かあれば喧嘩をすることは想像することは容易。解らないのは、何でそんな喧嘩した相手を船に乗せてカガリが退避してくるのか不思議に思う。こんなのと言っては何だがカガリはオーブの権力者の娘だ。船はオーブのヘリオポリスの船だ。喧嘩をした相手が追い出されないか?

 

赤い人とカガリとの間に立ってるキサカを見る。

 

「その相手が連合国の事務次官の娘でな……」

 

よりにもよって喧嘩をしたと思われる相手が交流しようと思った相手。 不味いと思ってはいるのかカガリは気まずそうにしている。どちらが悪いのか判らないので二人は喧嘩した事については特に何も言わなかった。

 

それより赤い人には初耳な事があった。

 

「連合の事務次官の娘がヘリオポリスに居たのか…?それに事務次官の娘が何でこのタイミングでヘリオポリスから出るんだ」

 

「あー私も少し聞いただけなんですが、事務次官が連合の艦隊に乗って向かってきてるみたいですので、合流するつもりでは?」

 

「連合の艦隊に何で乗ってるんだ?」

 

「その、艦隊此方から出ていった新造戦艦の迎えらしいんですが、その戦艦に娘さんが乗って居ると誤解があったようで」

 

「どうしてそんな誤解をしたのかわからないが、娘の為に艦隊についてくるのは酷い職権乱用だな」

 

「連合意外と余裕あるんでしょうかね」

 

「あるんだろうな」

 

ラルフの皮肉に大人達は笑う。

 

「ヘリオポリスで開発していた船とMSの迎えの艦隊に同乗ね。巻き込んだオーブに何か言うのが先ではないか」

 

カガリは更に不機嫌そうに吐き捨てる。それを言ったらカガリも、へリオポリスに残るかへリオポリス襲撃について話すのにオーブに戻るべきでは?

 

「艦隊とはユニウスセブンの先辺りで合流できそうです。…そうなるとユニウスセブンでジャンク品を売り行くのは結構遅れますね」

 

船を送るのにユニウスセブンを通りすぎないといけない。なのでユニウスセブンまで引き返さないといけない。カガリはまだ不機嫌そうに発言した。

 

「ユニウスセブンで別れてアイツの船だけ艦隊の方に向かわせたらどうだ?」

 

カガリとしては良いと思ったがキサカが首をふる

 

「此方を護衛として宛にしてるんだ最後までついた方が良い。連合の事務次官の不況は買いたくないだろう」

 

ジャンクの残骸の横で寝た状態の赤い機体を見ながら言った。

 

「やはり護衛として宛にされてるんですか…MSがあるから」

 

一緒についてくる理由はそれしかないだろうと予想はさせられていた。

 

「護衛と宛にされても困るんだがな。このMSは観賞用で戦闘用でないぞ」

 

「いや、戦闘できないと言うのは無理だろう。ジン一機と戦艦を潰したと話が出回ってたし。何よりもヘリオポリスの外で複数のジンと戦闘してる映像も撮られて放送されたんだぞ」

 

運良く、いや運悪く救助活動でザフトの人間も助けている。その救助したザフトの人間がブリッジを偶然に潰した艦の乗員。赤いMSにMS一機と戦艦を潰されたと証言している。因みにブリッジの潰れた艦はへリオポリスにある。シャア達が回収したジャンクとしてオーブが買い取ってくれるらしい。

 

「真実は不幸な事故な事故なんだがな。逃げる時に偶然ぶつかって運悪くジンと船が落ちただけだ。あと映像については逃げ回ってただけで戦闘ではないんだが」

 

「……戦ってるように見えたが?キサカも戦ってるように見えたよな」

 

呆れたような半目でカガリに見られている。

「俺にも戦ってるようには見えたが…しかし…実際にこのMSに武装が無いのは確認してある……武器のないMSに護衛を期待するのは間違いだろう」

 

「武器なら有るだろ」

 

色々とあるジャンク品の中に武器らしいものはある。

 

「戦場で回収したジンの武装はありますが、残念ながらOSが武装に対応してないのでマトモに使えないですよ……戦闘に巻き込まれたりしたので使えるように変更したかったんですが」

 

「…武器に対応してないって」

 

「このMSのOSは大雑把にいえば普通のMSから武器を使うプログラムを取り除いたOSだ。例えばライフルを持っても構えることも照準を付けたりする事も出来ない」

 

「態々武器を使うプログラムを取り除いたのか…?」

 

「あぁ使わないモノを減らせば容量も軽くなるからね」

 

「……本当に戦闘に使うつもりが無かったんだな。別に良いんだが…観賞用かぁ」

 

「向こうに戦闘は出来ないから護衛は出来ないと説明をしてくるか?」

 

「……私としては形だけでも護衛を引き受けても良いのではと思いますよ。襲われる事は無い筈ですし。仮に戦えても一機だけです。そんなに過度な期待はしてないでしょう」

 

「……なぁアレは動かせないのか。そんなに損傷してないように見えるが」

 

カガリが指差した先に有るのはジャンク品に埋もれたジン。シャアに2度も蹴られたジンだ。救助活動中に漂っていたので鹵獲された。

 

因みに中身は生きていて捕虜となっている。ヘリオポリスに置いてかれず向こうの船に捕虜として乗ってる。ほぼ全滅した連合の救助者と同じ船に…どんな扱いをされてるかは考えない方が精神的にいいだろう。民間人の事務次官の娘が乗ってるなら酷いことをしないだろうきっと。

 

「あれですか?精密な検査はしてませんが恐らく軽い修理で動かせる状態になります。ですがOSはコーディネーター用です。コーディネーターでないとマトモに動かせませんから動かせるようになっても意味はないですよ」

 

カガリは首をかしげた。

 

「あの赤い機体と同じOSにしたらナチュラルもいけるんじゃないのか?外見は少し違うけどジンのリペア機なんだろ。まぁこのMSのOSだと武器は使えなくなるみたいだが、動けたら威嚇には成るだろう」

 

赤いMSを動かしてる不審者が検査でナチュラルだと確定している。なら赤いMSのOSをコピーしたら動かせると思う。

 

「同じプログラムにしても無理ですよ。元が同じといっても足の重量などが違いますし」

 

「そこら辺を調整したらどうなんだ」

 

「調整しても元のジンのOSより操縦困難ですよ」

 

「は?…コーディネーターが動かすモノより操縦が困難になると言うことか?」

 

「そうですね」

 

なら赤い機体を操縦してるヤツはなんだとなる。カガリはシャアの方を見た。

 

「……ナチュラル何だよな?」

 

検査結果を知っててもこう質問をした。

 

「分類としてはナチュラルだよ」

 

「分類ってなんだ?」

 

冗談にならない発言だったがカガリは冗談と受け取った。

 

航行は続く。

 

ラルフは売り物なら良い状態の方が高く売れるとジンを修理した。ラルフが修理したジンを動かせないかカガリが試したいと言い出す。売り物のジンだ。状態が良いので高く売れる。カガリをひじょーに乗せたくない。しかしラルフは権力の影とカガリの勢いに押しきられる。悲しいがオッサンは少女の頼みに弱いのだ。

なんで乗ろうと言い出したのか。

OSの問題がどうにか成りそうだからだ

 

元々のジンのOSではコーディネーターでしか使えない。赤いMSのOSはさらに酷い。

 

ならどうしたかと言うと…ラルフが少し前にデータの整理をしてた時に、初期に用意されたキラのOSが保存されてるのを見付けてしまったのだ。初めのは赤いヘルムの人がナチュラルだと聞いてたのでナチュラル用の試作として用意されたマトモなOS、ナチュラルでもマシに動かせるOS。これをカガリに知られた。

 

 

ナチュラルでも動かせると言っても試作品で完全でない。カガリもド素人な事を含めてマトモには動かせないだろう。まぁシャアの乗る赤いMSも補助につくので問題ない筈だった。慎重に動かせば問題はなかった。ちゃんとゆっくり動かせと再三に渡り注意もされていた。

 

「あんたなに考えてるの!?」

 

数十分後、意外と上手く動かせたので調子に乗り一気に動かして民間船にぶつける事故を起こしかけた少女がいた。当然だがぶつけられかけた船に乗ってた軍人やお嬢様に怒られた。勿論ラルフ達にも怒られた。

 

「いや失敗した失敗した。やっぱりMSは難しいな!!」

 

全く反省した様子がない。

 

「…MSを動かすのは禁止」

 

「そんな!」

 

暇潰しを封じられてカガリは暇になる。そして暇になりようやくシャアの艦に乗った目的に取りかかる気になったのか二人に話し掛けた。

 

「ちょっと話いいか」

 

赤い人の隣に座ろうとしたらキサカが間に挟まる。シャアはそういう趣味なのなのかと警戒する。ラルフはいよいよ乗った目的の重要な話が来るのかと身構えた。

 

「なぁ……中立のオーブが連合のヘリオポリスでMSを造ってた事についてどう思う?」

 

中立違反をしていた自国をカガリは良く思ってないようだ。自分達に聞くのは客観的にどう思うのか第三者の意見が知りたいのだろうか。シャアは少し考えてから答えた。

 

「巻き込まれた事には思うことはあるが……連合のMSを開発してた事には特に何とも思わないな」

 

此まで初代ガンダムに似てると思っておいて、中立コロニーで開発してると考えなかった自分が悪いとも思っている。カガリが聞きたいことと違う。

 

「中立国で連合の兵器を造るなんて問題あると思わないのか!?」

 

「中立国がどちらかの陣営の兵器開発をするのは昔から良くあることだろう」

 

「…よくある事だったか?」

 

「よくあるかは何とも言えませんが、歴史的にそういう中立国は幾つも存在してますよ」

 

「中立国なら兵器を開発してどちらにも売るイメージがあるな」

 

あくまでも彼の知る中立国のイメージで実際には不明だ。因みにこの世界ではプラントに食糧輸出をしてザフトの基地まで国内に造らせて中立だと言ってる国もある。

 

「中立をそんな風に思ってるのか……ならオーブの中立についてはどう思う」

 

「オーブか?中立自体は別に良いと思うが…」

 

中立と言うだけなら意味がない。第三者からも中立と認められる必要がある。認められてないと中立でなく孤立してるだけになる。

 

「……オーブが孤立してると?」

 

「実際の所は判らないが危うそうには見えるな」

 

「…なんでそう思うのか教えてくれ。遠慮はしなくても良い」

 

カガリは真剣な顔でたずねた。

 

オーブの立場。

 

普通の戦争なら中立国は普通に居ても問題ないが、今回の戦争はニュートロンジャマーによって問答無用に地球丸ごと巻き込まれる規模の戦争。

 

地球が一丸となってプラントと戦おうという事で連合が出来たのに、オーブ等は中立を宣言。他にも中立になった国はあるが、他の国はプラント寄りの中立だったり反連合だったりとスタンスが違う。多かれ少なかれ国益の為の中立、オーブは国の方針が中立だから中立という他の国からすれば意味不明だ。

 

オーブはエイプリールクライシス、ニュートロンジャマーで各国が甚大に被害を受けるなかで、地熱エネルギー利用をしていたオーブの被害は軽微。自分達は無事なのに他国を助けたという話も聞かない。オーブだけ独り勝ち状態、世界的な評判は良いとは思えない。

 

国民に好まれてないコーディネーターが多数居ることを知られている。

 

交戦国同士だと交渉も拗れると交渉するために第三国、中立国を通す場合もあるが、オーブは別にプラントとの関わりが深いという話も聞かない。むしろ今回のへリオポリス襲撃で最悪な関係。他に関係の深い中立国もあり交渉の緩衝の為の中立国として宛にする必要もない。戦線や戦場を選ぶ為の中立もあるが、宇宙から来るザフトと島国のオーブでは戦線に影響もない。プラントとしては分裂してる方が都合がいいとして、連合がオーブの中立を認める理由はどこに…?

 

無価値で放置されて中立もあり得るが…マスドライバー、地熱エネルギー、資源コロニーや宇宙の軍事施設、モルゲンレーテなど高い技術と価値はある。

 

中立国の味方を増やすにも、同じ中立国でも独り勝ちをしてるオーブの味方に為りたいと思うかどうか。 人は独り勝ちを許さない。仮に技術等で取引して中立国の味方を増やしたとしても、オーブの島国という立地的に他の中立国と連携は困難。

 

中立と認められる理由は特に無い。

味方がいるか怪しい。

好かれる要素はない。

奪うものはある。

 

結論、オーブの中立はとても危うい。

 

と、シャアは中立で大丈夫なのか不穏な点を淡々とあげ、最後にこういった。

 

「……遠慮しなくて良いとは言ったが、やっぱり少しは遠慮しろよ」

 

自国への遠慮のない辛口な評価を聞いてカガリはひきつった顔をするしかない。他国の人間からは自国はそう見えるかと、否定する所も思い付かない。

 

「其から考えたら兵器開発の協力ぐらいは仕方ないんじゃないかと思えますね。むしろ孤立気味なら裏で積極的に関わらないとダメでしょう」

 

「…オーブが孤立しないためには連合の兵器開発の協力は仕方ないと?」

 

カガリの声には明らかに怒気がこもっていた。

 

「え、ええ国を守るためには当然だとも思いますよ」

 

ラルフとしてはオーブを擁護したつもりだったのに怒るのは予想外だった。

 

オーブの中立に反した行動を責められない。それはありがたい。オーブの他人からみた評価を聞いて連合と裏で協力した事も理解は出来る。しかし許容はできなかった

 

「それでも中立はオーブの理念だ……理念を汚す行為はダメだ」

 

赤い人は何かを言いかけて口を閉ざす。先程遠慮をしろと言われたばかりだからだ。しかし言わなかった言葉は別の所からでた。

 

「理念って…はは、ただの中立に成るときの方便ですよね?」

 

ラルフが笑いながら言ってしまう。

 

因みに他から見たら建前に思えるが、侵略せず侵略されずを国是にしてその方針に引かれて集まった移民の国がオーブなので方便というのはとても酷い侮辱だ。熱烈な阪○ファン相手に関西に住んでるから阪○ファンのフリをしてるだけで、本当は巨○ファンなどと言うようなモノだ。

 

カガリは無言で拳を握ってラルフの元に向かったので、キサカは羽交い締めする事になった。

 

 

ユニウスセブン跡。

 

本来ならユニウスセブンに来るのは後回しだったが、進行方向にジャマーの発生が確認される。近くで戦闘が行われたと判断し早急に隠れる事になる。そして隠れる場所として選ばれたのがユニウスセブン。

 

此処まで来て後戻りも面倒だと先にジャンク品を売りに行くことにする。一時でも離れることに民間船のお嬢様達が難色を示すが、カガリのMSを動かす遊びに付き合うか聞くと黙って見送った。

 

そう民間船へ説明したユニウスセブンに行く理由は、カガリがMSを動かしたいと我が儘を言ったから…とした。

 

業者が居ることは連合の兵士と捕虜のザフト兵士に知られない方が良いと判断したからだ。離れる言い訳にされたカガリは不満顔をしたがなにも言わない。またMSを動かしたいと言ったのは本当だからか。

 

カガリはまたMSを動かす事はできた。

ドンドンとうまく動かせるようになっていく。

なので……大変なめにあっていた。

 

『少し其所の瓦礫を退けてください』

 

『わ、わかった』

 

残骸を掻き分けて進む輸送艦。小さなモノなら進行に問題ないが大きな残骸は赤いMSで退かしている。カガリもジンに乗ってぎこちない動きながら瓦礫を退かすのを手伝わされている。肉体労働、カガリはお姫様みたいな立場である…。

 

『ま、まだなのか』

 

まだそれほど時間は経ってないがカガリの疲労は濃いのか汗を掻いている。カガリは素人にしては筋は良いが、ナチュラルでも動かせるOSは所詮は試作品。こんなデブリばかりな高難度な所で満足に動かせる代物ではない。

 

『まだですねぇ。見付からないためにだいぶ奥辺りに拠点が有るそうで……どうしましたキサカさん』

 

『レーダーに反応がある』

 

『ジャンク屋の見張りですかね。反応は遠くないですが其方から何か見えませんか』

 

赤いMSが突然カガリのジンを引っ張る。赤い機体にカガリのジンは引っ張られ二機は残骸の影に隠れた。

 

「お、おい!いきなり引っ張るな!」

 

カガリからの文句に返答せず、赤いMSは残骸から少しだけ顔を出す形で無言である方向を指差した。

 

『向こうに何かあるのか?………あれ……MS、コイツと同じジンじゃないか』

 

赤いMSを真似るようにコッソリと残骸から頭だけを出して指の方向をみた。

 

『ジンがいるんですか』

 

『あぁ映像をそちらに送る』

 

赤いMSから送られてきた映像を見ると、カガリとは別のジンがユニウスセブン跡を移動している。此方には気づいてないようだ。

 

『……ドレン、ここの業者はジンを使っているのか?』

 

『ないですね。こんな所を使ってるだけあってナチュラルしか居ない業者の筈でしたし。ナチュラルでジンは使はないでしょう。』

 

『ドレン、MS素人の私がナチュラルだがジンを使ってるが』

 

カガリが突っ込んだ

 

『普通、ナチュラルがジンは動かせません。貴女が動かせるのは使ってるOSが特殊なおかげですよ。あとドレンじゃないです。』

 

『特殊って、このOSを作った奴は民間人の学生って言ってたろ。なら他でも造れるんじゃないのか?』

 

『作れたらそうですが…まだ何処の国もナチュラルがMSを動かせるOSが出来たと聞いたことがありませんしね』

 

『それだとこのOS特殊すぎないか??…って!そうじゃない!な、ならあのジンはザフトって事じゃないか!』

 

『こんな所にザフトのジンがなんで居るんでしょう』

 

『あのジン…何かを探してるように見えるな。装備も偵察用に見える』

 

赤いMSは顔だけ出してジンの様子を眺めていた。

 

『まさか此処にジャンク屋の業者が居るのがバレたんでしょうか…』

 

『有り得そうだな』

 

『………どうします』

 

『出来ればやり過ごしたいが、ん?』

 

『な!?』

 

ジンが爆発した。

 

カガリの角度からは解らなかったが赤い人には光が貫いたのが見えた。

 

『爆発物でもあったのか!?』

 

カガリは残骸の中の何かが原因なのかと周囲の残骸を警戒し、隠れていた残骸から離れてしまう。

 

残骸から離れたジン。

…"見られていた"。

 

赤い機体がカガリのジンを蹴った。

 

『うわぁぁ!?』

 

『カガリ!?何を…!!』

 

キサカが怒鳴りかけるが閃光がカガリのジンの居た場所を通った事で言葉が止まる。その閃光は金属の残骸を貫通している。もし蹴られて飛ばされてなければ……

 

『う、射たれかけたのか』

 

残骸から離れて護るようにカガリのジンの前に出る赤いMS。赤いMSが向いた先に何かがいる。其処には……

 

『あれは!ヘリオポリスで運んだMS!?』

 

ヘリオポリスで別れたストライクと呼ばれた機体。ストライクのビームライフルの銃口が赤いMSに向いている。ガンダムが赤いMSを狙っていた!

 

 

 

 

 

 

 

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