赤い人はマリューに艦隊との合流まで同乗を望まれる。艦隊と合流するまでアークエンジェルに同乗することに合意する。ガンダム知識抜きにもザフトに追われてるアークエンジェルとは関わりたくない。アークエンジェルがどうなろうとも関係ないとは思うが……キラ達、学生が乗せられてる事を知った…キラ達を放置していいものか…。
キラ達を自分の艦に乗せてヘリオポリスまで戻る提案もしたが……今は無理だと難色を示された。
マリューは艦隊と合流した後にならきっと解放できると言ってたが、マリューがそう言ったがどうなるか。特にMSに乗ったキラが解放されるか。乗って後悔するか。去って後悔するかの二択。……アークエンジェルに乗って後悔することにした。
『それでは私は向こうで買い取りの代金をもらいに行きます』
ドレンは、いや、ラルフは輸送艦と共にユニウスセブンに戻るつもりだ。その後にアークエンジェルから聞いた艦隊との合流予定地点まで向かう予定。
キサカ、カガリ、シャアと赤いMS、ジンをアークエンジェルに残される。赤いMSとジンがアークエンジェルの格納庫に、ストライク一機。ザフトの見掛けのMSの方が多い。ザフト艦だと誤解しそうだ。アークエンジェルの整備士が格納庫にある二機を微妙な目線で見ていた。
シャアはカガリとジンが何で残ったのか知らない。艦が去る段階になってカガリ達とMSがいるのに気付かされる。ブリッジの通信機を借りて輸送艦のラルフと通信をし聞いた。
「行くのは良いが、なぜ売るはずのジンが此方に?」
『カガリさんにオーブで買い取ると言われたので…向こうの出した買い取り価格の二倍で』
「二倍もか。そんなに気に入ったのか?」
道楽にしては高い買い物と思わせ、ラルフもシャアもウッカリと忘れてるが不完全でもナチュラルで素人のカガリでも動かせるOS入りのジン。今ならその価値は場所によってはジンそのモノよりも高い。気付いたキサカがカガリに言ってオーブで買い取らせる事にした。
因みにアークエンジェルでは、ジンを動かしてたカガリもコーディネーターだと誤解を受けてる。アークエンジェル内で知られたら確実に接収かOSのコピーを要求されただろう。
「買い取るのは良いが、あのお嬢さんと邪魔なのも此方に残るのか?」
立場的にいいんだろうか。中立国のトップ一族息女が連合の艦に自主的に乗って……もっと言えばオーブのヘリオポリスが中立に反した証拠の艦に乗って、キサカは反対したがカガリが無理に乗り込んだ。
『邪魔って…えぇそちらにいる方と話したいことが有るそうです』
「知り合いでも居たのか?」
『知りません。気になるなら本人に聞いてください。ではそちらを待たせてる様なので私はソロソロ離れます』
「なるべく早く追い付いて来てくれよ。遅れられたらアークエンジェルが何処かに送られるのについて行くことになる」
『貴方が彼等の頼みを聞いたからでしょう。貴方なら何処に送られても平気そうですが、出来るだけ急ぎます』
シャアとラルフは別れの挨拶を済ませるとアークエンジェルから輸送艦が離れていく。
「通信機を貸してくれてありがとう……君達も災難だな」
通信機前の椅子に座ってるのは連合の兵士ではない。未成年の少女だ。
「えぇ…本当に災難ですよ。いつの間にか通信の担当にさせられてるんですよ。他のみんなも人手が足りないって色んな所で仕事させられて、キラなんてMSに…」
アークエンジェルの通信を担当してるのはヘリオポリスの学生の1人のミリアリア。着替えが無いから連合の制服を着ている。ヘリオポリスが無事なのに連れ出されたせいか不満が顔に出ている。民間人で通信担当の少女、ガンダム的に言えばヒロインでない幼馴染みかフェードアウトするヒロイン枠かと失礼な事を思う。
「通信は終わったみたいね」
艦長席のマリューが話しかけてきた。
「あぁ使わせてくれて感謝する」
「では、これから用事がないなら艦内の見回りをしてもらえません。見回ってトラブルを見つけたら対処してください」
トラブルが起きてたら対処をしてくれという事だろうか。機密の塊の戦艦の艦内を回って?手伝って欲しいとは聞いてたが、フリーハンドか?部外者相手に頼む内容としては自由度が高過ぎないか?
「手伝いが欲しいとは聞いたが……部外者に頼むことか?」
「猫の手も借りたいんです。信用しますので頑張って下さい」
どこか凄みのある笑顔だ。自分も苦労してるんだお前も苦労しろ!という心が伝わるのは気のせいか?そんなに誰かに苦労を配りたいのか。艦長を任せられたストレスを発散したいのかもしれない。
「気が向いたら対処させて貰うよ」
赤い人はそう言ってブリッジを出た。
ナタルは難色をしめした声でマリューに声をかける
「良いのですか?」
「たぶん大丈夫よ。信用出来るって言ったのは本心だから」
ナタルにマリューはそう答えた。
ナタルは訝しげな顔をしている。顔も見せない怪しいジャンク屋を信用する?何を考えてるんだと思う。ストライクを届けた事もあるのでザフト側だとは思わないが信用はできない。手伝わせるのに在留する事を頼んだことから理解不能だ。人手が足りないとしても不穏な相手を態々いれるなど
ナタルの不満そうな様子にマリューは何故信用したのか詳しく話す。先ず艦隊と合流するまでの約束とはいえ何故彼はアークエンジェルに残ったのか。
「それは…アークエンジェルを探って利益があるから?」
「どんな利益?利益狙いならもっと前にストライクの強奪でもしてたわよ。…ヘリオポリスでその機会はあったわよ」
「……利益が狙いならストライクを奪われてると」
なら何故アークエンジェルに留まったか。
「残ったのはキラくん達が理由でしょうね」
「…学生達がですか?」
ナタルは思い返すと確かに学生達の事を気にしていたと思う。学生達をどうするか聞いてきたなど。
マリューは学生たちは艦隊との合流後には何とか解放すると答えたが、学生達を本当に解放するのか疑い学生達が解放されるか気にして残ったんだろうと、こう予想を立てた。
「予想ではですか?」
「予測だけど間違ってないと思うわよ」
「何故ですか?」
「えぇ彼ってヘリオポリスでキラ君達の様子を見に来てたのよ。ヘリオポリスがザフトに襲われて危険な状態だったのにね?その他にも…うん、詳しく言えないけどキラ君達を色々と助けてたのよね」
「は、はぁ…」
助けるため…キラ達が悪くないようにするために色々とマリューに被害が……その時にキラ達を捕まえない約束をしていた。結果的にキラ達を戦艦に乗せることになりマリューは約束は反古にしている。
「つまり、彼の目的は学生達が無事に解放されるか見届けるのだけが目的で…他に他意はないと信用されてると?」
「えぇ信用してるわ」
マリューには変人のジャンク屋だが、普通なら関わりたくないが一応は信用できると思われていた。
学生達を助けようとした彼なら、トラブルがあればきっと対処してくれるだろうと思う。元から乗ってた乗員は良いが、救助された連合兵士が荒れてる可能性も大いにあり大変だと思うが頼んだ。……自分を拘束した手際から荒れた事にも対処できると判断した。
「艦長が信用された理由は一応は判りました……判りましたが、しかし信用出来ても部外者を滞在させ、機密のあるアークエンジェルの中で部外者を自由にさせるのは…」
「……そこら辺は、学生達に協力してもらってる今だと今更だと思うし」
部外者の他国の学生達がアークエンジェル内で過ごし、一番機密にしないといけないストライクを何度も動かしてるのは他国の民間人。
確かに今更な話か。
ナタルは何とも言い難い顔をした。
「……」
赤い服の不審者はやることも無いので言われた通り、アークエンジェル艦内を見回っていた。
簡易の地図データだけ渡され見張りも居ない。この対応はマリューから信用をされてるのか疑問に思う。考えてみたら信用されてる訳はない。自分で思うのも何だが信用できる姿はしてない。立場も身元も判らないジャンク屋。会話も殆どしておらず信用される要素が全くない。
改めて話した感じだが艦長のマリューはお人好しだと思える。副長のナタルも厳しそうだが甘さも見えた。アークエンジェルのトップ二人。キラの話からアークエンジェルの軍人のイメージは悪かったが、二人に対しては人としては好感は持てた。人としては
さてトラブルがあるなら解決しないといけない。トラブル……
これまで初代ガンダムに似たような展開ばかり起きている。キラが主人公、白い悪魔と思える状態。この戦艦も初代ガンダムと同じ様と考えれば、マリューは初代ガンダムの老け顔の艦長の立場が該当する。該当する艦長は名艦長として有名にはなるが…色々と苦労をする。マリューが同じならこれから先もとても苦労をする。マリューの幸が薄そうに見えたのは気のせいだと思うことにしてあげた。
さてトラブル…
その該当する老け顔の艦長にはヒロイン?ヒロインがいる。ヒロインには親が決めた婚約者が居た。婚約者が離れてる内に艦長がそのヒロインを婚約者から結果的に寝取る。そのヒロインは戦艦に乗り込んだ民間人…婚約者は連邦の役人関係……
今回連れてきたお嬢様とアークエンジェルに連れ込まれたサイという学生は、実は親が決めた婚約の関係らしい。お嬢様の父親は連合で立場が高い役人。サイはヒロインと同じく戦艦に乗り込んだ民間人。男女逆だが該当してる部分が複数…。
マリューとサイの関係は大丈夫か。
老け顔艦長とヒロインには修羅場の描写はなかったがこちらはどうか。男女が逆転してるとドロドロした事に成りそうな気が…。
フレイ、マリュー、どちらか拗れないか…何故か拗れた姿が簡単に想像できた。恋愛何て自由にしろ勝手に拗れてろ…とも言えない。ガンダムシリーズでは女性が拗れると大概惨事になる。特に艦長のマリューが拗れたらどうなるか。
初代ガンダムとソコまで同じになるとは限らない。実際のところマリューと学生、サイに関係があるかどうか。無ければ杞憂で問題はない。
関係を確認するとしてどうやって確認するか。本人に直接聞くのは流石にダメだとして、知ってそうな知り合いが居る。サイの友人のキラに聞くのがいいだろう。……寝取りの気配が無いかどうか。
艦内を歩きながらトラブルとキラを探す。探してると……可笑しなものをみつけた。
「…………」
赤い人は部外者の自分がアークエンジェル内を好きに歩くのは可笑しいと思っていたが………ピンク色(敵国のトップの娘)が一人で歩くのは可笑しいどころの話でない。
軟禁されてた筈のラクス・クライン。
トラブルを見つけて対処を頼まれた…。
トラブルを見付けたら…
見なかったことにしたかった。
「あら、そちらを歩いているのはあの赤いMSの持ち主の方ですわね。少しよろしいでしょうか」
トラブルに見つかってしまった。
「…………何で出歩いてるので?」
軟禁されてる筈だ。拘束という意味合いもあるがラクス本人の安全の為でもある。連合の兵士に暴言ぐらいならまだ良い、下手をすれば暴行…又は何処かに連れこまれ尊厳を奪われてても可笑しくない立場だ。
「喉が乾いたのでお水を貰いたいのですが、誰も居られなかったので、お部屋はピンクちゃんに開けて貰いましたの」
「そうですか…」
どちらかと言えば赤い人はボケ側の人間だと自認している。ツッコミタイプでは無い。ハロからコードの様なモノが見える。マスコットに見せ掛けたハッキングツール……敵国の人間が重要機密の戦艦で持ってたら確実にアウトな代物を隠さず見せられた。軟禁が監禁に変わっても文句が言えない。
自分に危険がないと思ってるわけはないだろう。もし襲われてもコーディネーターとして身体能力に自信があり身の安全を守れると思ったのか……そうだとしたら危機感が薄い。
「……女性の一人歩きは危険ですよ。此処は気の荒れた男が沢山いる様な場所ですしね。例えば…もしこの場で私が襲ったらどうするんです?助けも来るか怪しいですよ」
助けを呼んでも助けどころか襲うのに参加する側になる可能性もある。苦手な相手だが少女が襲われるなんて事は気分的によろしくない。脅迫の様な忠告をした。
「それはこわいですわ……ご忠告感謝します。1人で歩くのは危険なのは判りましたわ」
神妙な顔で忠告を受け止めている。
これで戻るだろうと思った。
「では、女性一人だと危ないのでお水をご一緒に取りに連れて行って貰えませんか?」
優しく微笑みながらそんな事を言ってきた。
ヘルムの人はとても嫌そうな顔をした。
「私が案内するといって何処かに連れ込んだらどうするんです」
「その時は責任を取って貰います」
顔は優しく微笑んだまま、万一の時はどんな手を使ってでも責任を取らせるという凄味を感じさせる。シャアは降参とばかりに手を上げた。
「……地図のデータだと向こうに食堂が有るようなのでお連れしましょう。食堂なら水もあるでしょう」
食堂の理由、水もあるが食堂なら人が居る筈。
それと押し付ける誰かが居る筈、一石二鳥だ。
「ふふ、ありがとうございます」
ラクス(ピンクの歌姫)とシャア(赤い服の変質者)は伴って歩いて食堂に向かった。とてもお似合いな姿に見えるのは色合いのせいか。
「いやよ!なんで私が…だってコーディネーターでしょ!化け物じゃない!!」
お嬢様が何か騒いでいた。 あのお嬢様はコーディネーターの居るヘリオポリスに住んでたんでないんだろうか。
しかし化物…肉体は知らないがメンタル面では…
「何故納得したように此方をご覧になるのですか?此方が食堂ですのね」
ラクスはそう言いながら聞こえてきた発言に臆せずに食堂に足を踏み入れた。
「な、何で君が此処に!?」
「なんで出てるの!?」
「シャアさん連れ出したんですか!」
食堂にはキラを含めた学生たちがいる。学生達が居るが一緒に居そうなカガリは居ない。居れば先程の発言にぶちギレていただろう。 ピッキングして自力で出てきたと思われず赤い人が犯人扱いをされていた。
「……水を貰いに来たらしくてね。水を渡してあげてからラクス嬢を誰か部屋に連れて行ってくれるかな。キラくんがよさそうだな」
入って速攻でキラ(押し付ける役)をしっかり見据えてそう言う。いや本当は気まずそうにしてるのに気付き食堂を出ていく理由を渡したのだ。先程のお嬢様の発言をコーディネーターのキラが気にしてるのだろうと。
「え、えぇ…ボクがですか」
「あーキラこれ、水持ってきたから部屋で飲んで貰ってくれ」
「キラ頼んだぞ」
「う、うん」
雑用を押し付けた訳でない。学生達もキラの事を気遣いこの場から離れラクスを送るのを任せたのだ。暖かい友情。善意もあるがラクスを押し付けようとしてる汚い大人もいるが
「あ、の、ではボクが部屋まで送ります」
「キラ様でしたか?ありがとうございます」
美少女を前にドギマギした様子を見せている。
初々しい姿にホッコリとする。これで押し付けられた。ラクスは離れようとするシャアに向かいニッコリと笑った。
「エスコートは送ったら帰るときも送るのが礼儀ですよね、シャア様も来てくださいね?」
美少女からのお誘い。
シャアは勿論喜んで受けた(大本営発表)
三人は食堂を出た。
戻る時に赤い人からしたらどうでも良い雑談をする。二人は主に戦争がどうたらコーディネーターがどうたら話をしている。一人だけ青春な子供の会話に入れず手持ち無沙汰。聞き流していると二人はヘルムの人がこの戦争についてどう思ってるのか聞いてきた。
どう思ってるもなにも……規模が大きくやり過ぎなだけの戦争としか思わない。
「そうですか…やり過ぎ…ではコーディネーターとナチュラルが戦うことについては」
今の戦争の構図としてはそうだが、プラントがコーディネーターの代表みたいな言い方はどうかと思う。プラントはコーディネーターで構成されてるが、プラントはコーディネーターの一部にしか過ぎないし、そもそも最初に地球に居た多くのコーディネーターごと攻撃をしていて代表だと言えるわけもない。
ジオンが最初にスペースノイドのいるコロニー虐殺をして、その後にもスペースノイド代表みたいな顔をしたようなモノだと思う。
キラくんはコーディネーターだがプラントがコーディネーターの代表なんて思った事はあるか?
「…いえ…」
まぁコーディネーターを倒したいブルーコスモスの過激派だったか?コーディネーター嫌いからしたらコーディネーター全体が敵だと宣伝する為にも、プラントをコーディネーターの代表だとした方が都合がいいだろうな。
いやNジャマーで地球全てを攻撃した時点で、ブルーコスモスがなにもしなくてもコーディネーター全てが敵だと思われるかもしれないか。
「……ナチュラルをどう思ういますか」
いやナチュラルの私に聞くことか?
いやいや本当にナチュラルだよ。
何でキラくんまで疑う。
「ならコーディネイターをどう思いますか?」
どう思うかと言われても………人によって違う。
ジャンク屋で何人か関わる事もあったが普通に良い相手も居れば悪い相手もいた。印象としては関わりたくないと思う相手が比較的多いかな。ピンク色の髪の女の子をしっかりみながら言った。
向けられた方はむしろ好意的に笑った。
「この戦争を止める方法はなにかあると思いますか」
話がとんだな。
戦争を止める方法……さあ?
「少しは考えてみてくれませんか?」
考えてみてくださいと言われてもな……一番簡単な戦争を終らせる手段はどちらかの陣営が勝つことだろう。
他?
他だと……どちらかが妥協するしかない。
「…どの段階なら妥協すると思いますか」
どの段階か……どちらも敗戦間近にでも成らないと妥協するとは思えないな。
「元々の戦争の目的はプラントは独立。連合の戦争の目的は強奪されたプラントを取り戻す事ですし。目的として妥協の余地がないですよね」
それに……恨み辛みもあるからな。
「…血のバレンタインですわね」
まぁプラントからしたら恨み辛みはそれか。プラントがユニウスセブンで恨んでるのはわかるが、連合、いや地球側の恨みの方が深刻じゃないか。
「地球の方が…」
君に言うのもアレだが……地球側はNジャマーで億を越える人が死んでいるそうだ。ユニウスセブンの犠牲者が20万程だろう。死者だけでユニウスセブンの千倍だ。
「…千倍…」
宇宙暮らしの私達は被害とは無関係で殆ど情報が入らないから実感もわからないが……。
「確かに…地球に住んでる人の恨みは酷そうですね」
前にプラントのエネルギー施設が破壊されたやら、核でコロニーを破壊され殺されたという点で、ユニウスセブンの方が許されない何て主張もあるが、地球側からすれば被害者面するなと思われるだろう。特に連合とは関係ない国からは…
「……」
ラクスの辛そうな顔をみてシャアは話を戻す。
まぁ被害の恨みの大小を比べても話が拗れるだけか。とにかく地球もプラントもどちらも自分達の方が被害者だという認識がある。この被害の恨みのせいで戦争を続けようという意見も強くなる。特に地球の方は被害がまだ続いているらしいしな。Nジャマーは続いていて被害者は今もドンドンと増えている。エネルギー危機で経済の混乱も続いている。恨み辛みが何れだけ溜まってるか想像したくもない。簡単には妥協して戦争を止めてプラントの独立を許そうなんて議論はされると思えない。
だから……Nジャマーを何とかできるなら交渉の余地は有るかもな。
「Nジャマーをどうにかできたらですか?」
Nジャマーは今も甚大な被害を出している。言い換えればそれを止められるなら交渉の余地にもなると思わないか?
「…それはそうですね」
もしNジャマーをプラントが何とかする事が出来るなら、それを対価に交渉をしてくれる国もあるだろう。経済を回復するためなら連合も妥協しようという動きも出るかもしれない。連合と敵対しそうな国のNジャマーなら対応すると脅すのも良い。戦争を終える交渉に応じそうな条件はこれしか思い付かない。…核とは違った代替えのエネルギー源を用意できるか。軍事的に圧勝できる兵器でもあれば別だが…
まぁ仮に上手く交渉出来ても感情面で戦争を続けようとする勢力がどちらにも居る……それを何とか出来たら戦争も終らせられるかもな。
「……なるほど」
いや大雑把な無責任な素人意見だよ?
そんな深く考えた様子を見せられると怖いんだが。
少し感心したようなキラは良いとして、何かを考えるラクスを見ていやな予感を感じる。いや、子供が何か出きるわけがないか。気にしすぎだろう。…ラクスの父親が不穏だが流石にド素人の意見を参考にはしないだろう。そもそもの話、肝心のNジャマーを何とかする手段がそんな都合よく有るわけもない。無くてもプラントの技術力を背景にNジャマーを何とかする手段を開発してるという話でも交渉できるか?
底無し沼に嵌まるような感覚を感じ、話題を変えるのにキラにマリュー艦長の周辺で恋愛的な修羅場が無いか聞いた。
「え、何ですか突然、そんな事ないと思いますけど」
キラは心当たりは無いようだ。
ならサイという学生に修羅場の気配が無いか聞く。
「サイ…サイ?サイに修羅場?なんでそんな話が、それってフレイに………な、ないと思いますよ。しゅ、修羅場なんて」
キラの目は回遊魚の様に泳いでいる。なるほど何もないと……ラクスもアラアラという目線を向けていた。
ラクスを軟禁部屋に詰め込み。出ないように言い含めて動揺したままのキラとも別れた。
連合兵士の口論など小さなトラブルを幾つか見付けて解決する。口論してたのは救助した兵士で救助された恩があるお陰か連合兵士も素直に口論をおさめてくれた。他のトラブルも大したモノでなかった。…ラクスの件は無かったことにした。
マリューの居るブリッジに戻りラクスのことは除いて報告をする。ナタルから本当に対処に回ったのかという何とも言えない視線を向けられた。
今回はムウもブリッジにいたがお互いに無視をしている。良い大人があれだが、ムウが睨んだ状態でいるとマリューから注意をされお互いに無視する事にした。これでもまだマシになったのだ。
他人からみて何故仲が悪いのかわからない。
ムウ本人も嫌う理由がよく判らない。
赤い人は判っているが理由を言うつもりはなかった。
赤い人は報告してからマリューを見ながら直接本人に聞こうか悩んだ。
「ご苦労様です。あの何かあったんですか? 何か私に言いたげですが」
「…いや、大変な事が起きそうなフラグがね…」
マリューでは無いが修羅場関係が…
「大変な事?」
「第8艦隊の先発隊から通信です……ざ、ザフトに襲撃を受けてるそうです!!!!」
「なんだと!?」
ミリアリアの報告にブリッジが騒然とした。
「これが言ってた大変な事!?」
「全く違う。それより第8艦隊の先発隊は合流する艦隊だったか?」
「えぇ…まさか襲撃を受けるなんて」
「…襲われるのは合流する方だったか……」
これで合流がどうなるか判らない。合流後に離れる予定が完全に狂う。
「偶然ザフトと遭遇するとは思えないな。此方の艦が合流する前に向こうの方を先に潰すつもりか?」
「その可能性が高いな。どうする艦長」
「フラガ大尉、どうするとは?」
「合流を目指すのか。合流を諦めるのかだ」
「…それは…」
言い換えると危険を承知で助けにいくか、それとも、もう助からないと味方を見捨てるか。
「第8艦隊はアークエンジェルを助けに来ている。アークエンジェルが危険に飛び込むのは本末転倒でもあるが、艦隊を助けられれば戦力として宛にできる。見捨てれば戦わずに済むが戦力は増えない。どちらにもリスクとリターンがあるな…」
「…そうね」
難しい選択だが艦長の立場ならどちらかを選ばないといけない。
赤い人からしたら出来たら合流しない方がありがたい。戦闘には巻き込まれないからだ。それに…口には出さなかったが、此れまでの連合の押され具合を知ってると第8艦隊の先発隊が着くまでに無事か怪しい。
「……進路を第8艦隊が居る方向に、全速力で救援に向かいます!」
残念ながらマリューは合流を目指す事を選ぶ。どちらにもリスクとリターンが有るなら仲間を助ける方を選んだ。
キラは戦力としてストライクで戦う事を期待されてるだろう。キラ本人が友人の為に戦いを選ぶと考えられる。しかしキラが戦うとしても戦力が足りると思えない。
そうなると不安なのは…
「念のために言うが、前にも言ったが私のMSは戦闘は出来ないぞ。もう一機乗ってるジンも似たようなOSに変えてあるから戦闘には対応してない」
戦闘を望まれると思いマリューに釘を刺した。
「…そうでしたね……OSが武器に対応してないから戦闘もできない」
間違ってないが、ないが言い方に不穏さがなかったか?
そしてアークエンジェルが救援に向け航行中に…
「お願い!パパを助けて!!」
「………」
赤い髪のお嬢様に赤い人がすがり付かれた。