第二話 紅霧異変 始まり
季節は夏真っ盛り!!セミが鳴き、カエルが鳴き、夏の風物詩が幻想郷でも作られていた。
そんな夏の炎天下の中、夏油は寺子屋で慧音の授業の手伝いをしていた。
「良いか?かけ算というものは─」
慧音が解説をする中、一人寝落ち寸前の生徒がいた、氷の妖精チルノである。夏油は手のひらサイズの妖怪を召還するとチルノの側まで飛ばし妖怪に頬をつねらせる。
「いでででで!?ちょっと何すんのよ前髪先生!!」
「チルノ、授業中だぞ起きなさい」
チルノと夏油のやり取りを聞いて慧音が笑顔でチルノの方を見る。慧音は笑顔なのに怖かった。
「なんだチルノ寝てたのか?」
「ち、違うよけーね.....これはその....めーそーしてたんだよ!!」
「瞑想、そうか瞑想か.....なんかここ最近授業中頻繁に瞑想するよな、チルノはそんなに瞑想が好きなのか?ん?」
「あ、えと.........ごめんなさい」
チルノの謝罪を聞くと慧音は困ったように頭をかいた、一方夏油はチルノがここ最近、授業中寝ることが多い理由が気になった。
「チルノ、君は最近よく眠るけど、何か理由があるんじゃないか?君は試験の点は悪いが、授業中あまり居眠りするタイプじゃなかった、むしろ元気が有り余ってはしゃぐタイプだったろう」
夏油の質問にチルノの後ろの席にいる大妖精が答える。
「チルノちゃんは氷の妖精だから夏の暑さに弱いんです、特にこんな炎天下の中だと外にいるだけでかなり体力を消費しちゃって...」
「なるほど」
大妖精の説明を受けて慧音と夏油は何か解決案を考える。
「ふむ、それは困ったな...一時的に部屋に涼しくなる魔法でも張るか?いや、緊急時以外での里での魔術や妖術の使用は禁じられてるからな」
「う~ん......慧音先生、一旦今日はお休みで良いんじゃないですか?」
「!? 夏油先生それは」
夏油の発言に慧音は驚きルーミア、リグル、ミスティア、は歓喜した。夏油はその反応を見て話を続ける。
「このまま授業を進めてもチルノは辛いだけで何一つ頭に入らないでしょう、ならいっそのこと休みにして明日までに暑さ問題を私達で解決しましょう。幸い授業の内容は結構進んでますし、一日休んだくらい問題ないでしょう」
「それもそうだな....今日はこれで終わりとする!!各自、家でしっかり予習をする事、チルノはよく休むんだぞ!!」
「「「はーい!!」」」
夏油と慧音は五人を見送ると、早速作戦会議をする。
「まぁ、一番手っ取り早いのは冷やす魔法を教室にかけることですかね」
「そうだな、私は今から稗田家へ行くよ。今回の話をして魔術の使用許可を取ってくる」
「私も同行します慧音先生」
二人は襟を正すと寺子屋から出て、里の名家稗田邸へ赴く。
─突然、幻想郷の空が紅い霧に覆われる。
突如発生した霧に二人は驚愕する。
「なっ!?夏油これは!?」
「明らかに異変だ、それも幻想郷全土に渡る『大異変』!!」
「ああ、それにまずいぞ夏油....」
「どうしたんですか慧音先生!!」
「この霧、『妖気』を含んでいる!このまま里の人がこの霧を浴び続けたら....っ、夏油!!」
慧音の話を聞いた夏油は里の外に向けて走り出し、慧音に指示を飛ばす。
「慧音先生は里の人達に屋内に居るように呼び掛けてください!私は原因を調べに行きます!!!」
「わかった!気を付けろよ夏油!!」
慧音の声援を背に、夏油はエイ妖怪を出現させて素早く背中に乗り上空に飛び立つ。
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帰り道の道中だった大妖精とチルノも突然現れた紅い霧に驚いていた。
「これって異変だよね....何でこんな時に、チルノちゃんを休めなきゃいけないのに」
「うおぉぉ!!!!!!元気が出たぁぁぁああ!!」
「ええええぇぇえ!!!!??」
突然元気一杯になったチルノに大妖精は驚いた。
「チルノちゃん、急に元気になって大丈夫なの?」
「うん!大丈夫だよ大ちゃん!!!何か知らないけど元気になったよ!!!」
「何でいきなり.........あ、もしかしてあの霧が太陽を遮ったから?」
そう言って、大妖精は霧を見つめる。
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夏油が空を探索していると前方に二つの影が見えた、幼馴染みの霊夢と魔理沙だ、夏油は二人に追い付き、声をかける。
「二人共、異変の探索かい?」
「お!傑、ああそうだぜ、さすがにこれだけの事は見逃せねぇしな」
「確かにね、所で二人は何処へ?異変について何か心当たりがあるのかい?」
「霧の湖が怪しいわ」
霊夢がそう断言し、夏油は驚く。
「やはり心当たりがあるのかい霊夢!?」
「は?んなもん無いわよ、勘よ勘」
「勘か......信頼出来るね」
霊夢の説明を聞いて納得した夏油は二人と一緒に霧の湖に向かう。
しばらく三人で飛んでいると、前方に一つの影が割り込んできた、霧の影響で元気になったチルノである。
チルノは三人に向かって呼び掛ける。
「何してんの?あたいも混ぜてよ!!!あたい久しぶりに元気が溢れて暇なんだ!!!!」
チルノの出現に霊夢と魔理沙は顔を歪ませる。
「げ、チルノ...あんたに構ってる暇ないの散った散った」
「何でさ霊夢!!遊んでくれたって良いじゃん!!」
二人の間に夏油が割って入り、夏油の姿を見たチルノはハッとする。
「まぁ、霊夢落ち着いて」
「あ、前髪先生!!」
チルノが呼ぶ夏油のあだ名に霊夢と魔理沙は一斉に吹き出す。
「wふっ、まっ前フフっ、前髪先生www」
「イーヒッヒッヒ!!!良いあだ名じゃねぇの傑www!!」
「あの二人は後でシメるとして......チルノ、私達は今からこの異変を解決しに行かなければ行けないんだ、そこを退いてくれないかな?」
「え~、でもぉ」
夏油がチルノと話していると、チルノが飛んできた方角から大妖精が飛んでくる。
「待ってぇ~チルノちゃーん!!....あ、夏油先生!!」
「大妖精、君もいたのか」
「異変を解決しに行くんですよね?すみませんチルノちゃんが、駄目でしょ先生達の邪魔しちゃ!!」
「でも大ちゃん....」
「チルノちゃん?」ゴゴゴ.....
「うっ、わかったよ大ちゃん」
大妖精の圧に押されてチルノが折れる。夏油はそれを確認すると大妖精に問いかける。
「大妖精、少し良いかい?」
「あ、はい!」
「チルノは何でいきなり元気になったんだ?さっきまで確かに暑さに項垂れていたのに」
「それは....霧が太陽を遮ったからだと思います、太陽が届かなくなって少し涼しくなったからじゃないですかね」
「なるほど、ありがとう大妖精」
「は、はい!どういたしまして」
チルノと大妖精はそのまま何処へと遊びに行った。夏油は二人を見送ると霊夢と魔理沙に向き直る。
「二人共、この異変の目的の一つがわかった」
「! 一体何よ?」
霊夢の問いかけに夏油は霧を指差して答える。
「目的の一つは太陽光の遮断だと考えられる、霧に微量の妖気が含まれることから異変の主犯は恐らく妖怪、妖怪の殆どは夜行性....太陽を嫌うものが多いし説明が付く」
「だから嫌いな太陽を二度と出さない為に霧を張った......当たってる気がするわ」
「だとしたらすげぇ自己中なやつだな異変の主犯は」
「異変を起こすようなやつなんて、そんなんばっかよ」
「とにかく急ごう、早く解決しなきゃチルノの用に妖怪の活動が活発になって人間を襲い始めるかもしれない」
「そうね、飛ばすわよ二人共!!」
霊夢の掛け声と同時に三人は目一杯飛ばして霧の湖に向かう。
しばらく飛んでいると霧の湖に幻想郷ににつかない『真っ赤な洋館』が現れた。
三人は洋館の上で停止する。
「見るからに怪しいわね」
「真っ赤な霧に真っ赤な館」
「自分が犯人ですって主張してるみたいだね」
「よし、突撃するぜ!!」
飛んでいこうとする魔理沙を夏油が静止する。
「まて魔理沙、敵の内訳がわからない以上下手に突っ込むべきじゃない」
そう言って夏油はムカデの妖怪を三十匹ほど出現させて、館に突撃させる。
「まずは威力偵察だ」
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ムカデ妖怪を突撃させて数分、夏油が口を開く。
「大体わかった、館を守っているのは主に三人だ。そして三人共にかなり強い」
「それぞれ何処に居るの?」
「外に一人、正面玄関入って直ぐに一人、館の左側にある広い空間に一人だね」
「敵はそれだけか?」
「いや、敵の数は四人多く見て五人だろう、妖怪を祓った三人は恐らく護衛だ」
「なるほどな、霊夢何処が良い?」
「は?何言ってんのよ」
「どいつと
「まぁ、好きにしなさいよ私は何処からでも良いわ」
「じゃあ私は外の敵を相手しようかな、霊夢は正面玄関のヤツをよろしく」
「わかったわ」
作戦会議を終わらせると三人は館の門の前に降り立つ。
それと同時に門が開き一人の女性が出てくる、淡い緑色を主体としたチャイナドレスを着る、赤い髪を腰まで伸ばした女性だ。
女性は霊夢達向かって話しかける。
「博麗の巫女ご一行様ですね」
「ええそうよ、あんた達でしょこの霧出してるの?今やめたらぶちのめすだけにしてやるから消しなさい」
「それは出来ません」
「霧を出してることの否定はしないのね」
霊夢の言葉を聞いて女性は戦闘の構えを取る。それを見た夏油が霊夢と魔理沙の前に出て女性と対峙する。
夏油は余裕の表情をして女性に話しかける。
「君の相手は私がするから、二人は通させて貰うよ」
「三人共通すわけには行きません!!!私は門番です!!!!」
「いや、通るさ」
夏油の言葉と同時に数百体を越える妖怪が夏油の背後から出現し館へ雪崩れ込む。女性は咄嗟の事に対応できずに自身の防御しか行えず妖怪達の館への侵入を許してしまう。
妖怪が全て捌けると女性の前には夏油しか残っておらず、女性は冷や汗をかく。
(式神使い......じゃないよね、今の量の妖怪は?一体この人間は何者?)
「さぁ、始めようか...お姉さん」
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─ドゴォォオン!!!!─
派手を立てながら館の壁をぶち破って魔理沙は館の『図書館』に侵入する。
「お?傑の言っていた広い空間って図書館だったのか」
魔理沙が図書館を見渡していると、図書館の中心にある机で本を読んでいた紫と薄紫の縦じまが入っているゆったりとした服にそのの上から薄紫の服を着た、長い紫髪の女性と目が合う。
魔理沙は見下ろしながら女性に問いかける。
「よぉ!お前が異変の主犯か?太陽苦手そうだもんな」
「残念だけど....私は『主犯』じゃないわよ」
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霊夢は洋館の正面玄関を勢い良く開けて、ズカズカと遠慮無く中へ入っていく。
「そら!主犯さんは早く出てきた方が身のためよ!!」
瞬間、
「博麗霊夢様ですね」
「っ!?」
霊夢は直ぐにお祓い棒を背後に振るが、気づいた時には女性は居なかった。
霊夢が急いで周りを見回すと女性は既に玄関ホールの大階段に移動し、女性は霊夢に向けて不敵な笑みを浮かべていた。女性の謎の能力の正体を霊夢は考える。
(不気味な女ね....瞬間移動の能力?いや、そしたら私に気付かれず玄関ドアを閉めたのに説明がつないわ......一体何の能力なの?)
「あなたの相手は、わたくしがしますわ」
──三人の戦闘が始まる!!!
霊夢「子供の相手って疲れるわよね、前髪先生」
魔理沙「ほんと、ガキってこっちの言うことを何一つ聞きやがらねーもんな!前髪先生!」
夏油「でも、そんな子が成長する様を見るのはなかなか楽しい物だよ、後せめて傑先生と呼びなさい」
霊夢「はーい前髪先生w」
魔理沙「わかったぜ前髪先生w」
次回『第三話 紅霧異変 夏油VS美鈴』
夏油「お前ら絶対許さん」