夏油と美鈴が戦いを始めるのと同時刻。
紅き洋館、紅魔館の大図書館にて魔理沙は図書館の主『パチュリー・ノーレッジ』と向き合っていた。
パチュリーは読んでいた本を閉じると魔理沙に問いかける。
「随分派手な登場じゃない......扉が有るんだから扉から入ってきなさいよ」
「悪いな、派手な事が好きなもんで」
「迷惑なヤツね」
パチュリーが魔理沙の開けた穴に手を向ける。
見る見るうちに穴が修復していき、十秒もすればすっかり元通りになる。
魔理沙はその光景を見て息をのみ、パチュリーに向き直る。
「おまっ、魔法使いだったのか!!!」
「一応ね......ハァ、でかい声出さないでくれる?一々うるさいのよあなた」
魔理沙は自分の開けた大穴を涼しい顔して直してしまったパチュリーを見て、驚きと興奮を隠せずにいた。
(魔法の中でも高度な修復魔法を、あのスピードで、かつ正確に使う魔法使いは初めて見た...!!こいつはスゲェ!!)
魔理沙の興奮なんてつゆ知らず、パチュリーは座った体制のまま浮かび上がり魔理沙を睨み付ける。
「あんまり長く動くのはイヤだから早く初めましょう、あなた達のルールで戦ってあげるから早くかかって来なさい」
「弾幕勝負ってワケか、良いぜ!!楽しくなってきた!」
魔理沙は二つの光玉を出現させると、光玉からレーザーを発射しパチュリーを攻撃する。
パチュリーは手に持っていた本を再び開き、一つの魔方陣を出現させてレーザーを受け止める。
レーザーを受けてパチュリーはハァとため息をつく。
「所詮このレベルね.....」
次の瞬間、パチュリーの出現させた魔方陣が何十個に分裂し、分裂した魔方陣はそれぞれ雷や炎や風を纏い始める。
その光景を見た魔理沙は更に驚く。
「はぁ!?魔法の属性多すぎねぇか!?」
魔理沙が驚くのもしょうがない。
魔法にはそれぞれ属性があり、属性にはその人に向き不向きがあるのだ。実際に魔理沙は光と熱の魔法を愛用し、それ意外の扱いが苦手なのだ。
だからこそ、いきなり異なる三つの属性魔法を扱うパチュリーに驚いたのだ。
魔理沙の発言にパチュリーは冷静に答える。
「伊達に長生きはしてないのよ」
パチュリーが手を魔理沙に向けて振るうと、それぞれ炎、雷、風、を纏った魔方陣から一斉にそれらが魔理沙に向かって圧倒的な弾幕となり襲いかかる。
これこそがパチュリーの『火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力』である。
最早災害とも言える弾幕を魔理沙はパチュリーから逃げるような形で回避する、弾幕を張る余裕は魔理沙には無かった。
パチュリーの弾幕から必死に逃げながら、魔理沙はパチュリーの魔法使いとしての強さに尊敬と恐怖を覚える。
(こいつ凄すぎる!!あれだけの属性を涼しい顔して扱いやがる!!しかも一つ一つの威力がバカ高い!!!)
それでも魔理沙は笑みを崩さなかった、それどころか更に口角をつり上がらせる。
それは魔理沙の性格ゆえにだった。
(勝てるかわかんねぇ相手だ....正直ピンチだと思うけど...だからこそ!!)「燃えてきたぁ!!!!」
魔理沙は逃げに徹しながら手にミニ八卦炉を持つ。
(あれだけの魔法使いに弾幕の押し合いでは勝てねえ、それはあっちも分かってんだろ、だから今は逃げに徹して....隙を見てマスタースパークをぶち込む!!!)
逃げる魔理沙の背中を見て、パチュリーは考える。
(私の魔法を見て驚いた所からして彼女も魔法使い......でもレベルは中の下といった所かしら、飛行精度は中々のモノがあるけど反撃する余裕がない所を見るに、たかが知れるわね)「さっさと終わりにしましょう」
パチュリーは服のポケットからスペルカードを出すと、魔力を込めて力強くスペル名を宣誓する。
『火符「アグニレイディアンス」』
パチュリーを中心に炎の渦が作られ、更に加えて炎大弾が魔理沙に向かって発射される。
業火に燃える渦と大弾が魔理沙に襲いかかる。
追い詰められながらもそこそこ余裕があった魔理沙も、その光景を見て本気で焦る。
「ちょ!?嘘だろこの密度ぉ!!!?!!??ここ図書館だろ!?本燃えるぜ!!?」
「安心して、本達にはちゃんと保護魔法を掛けてるから」
魔理沙は必死に箒を操作するが完全には避けられずに、炎大弾が魔理沙の黒い帽子を貫き、大渦は箒を燃やし始める。
「ギヤァァ!!!熱っちぃ!!!!また燃やされたぁ!!!」
パチュリーは炎の渦の中心から魔理沙に問いかける。
「わかったでしょう?あなたは私には勝てない、実力不足なのよあなた.....大人しく帰った方が身のためよ」
「っ、冗談!!」
魔理沙は反転しパチュリーの炎と向きあう。
パチュリーは冷たい目線で魔理沙を見据え、炎の火力を上げる。
「終わったわね」
(本気は出さずに、
魔理沙はミニ八卦炉をパチュリーに向けて技名を叫ぶ。
『恋符「マスタースパーク」!!!!』
八卦炉から発射された極太のレーザーはパチュリーの炎を消し去り、パチュリー本人に向かっていく。
パチュリーは直ぐに魔法壁を生成しマスタースパークを防ぐ。
(!?何、この威力普通じゃない!!!)
パチュリーの生成した魔法壁に段々とビビが入っていき、パチュリーはここで初めて焦る。
(不味い!魔法壁が!!)
次の瞬間、魔法壁は完全に破壊される。
が、魔法壁を破壊するのと同時にマスタースパークは消えてしまう。
魔理沙とパチュリーは互いに汗をかく、パチュリーは焦りからくる汗、魔理沙は魔力消費からくる汗。
魔理沙はパチュリーの焦り顔を見てニヤリと笑う。
「
「っ!」
魔理沙は帽子と箒の炎を消すと、パチュリーを指差して宣誓する。
「私は後二手でお前に勝つ!!!」
「!? 戯れ言を!!」
「嘘じゃないぜ、さっきの競り合いを見て確信したんだ!!」
魔理沙の発言にパチュリーは顔を歪ませ、乱雑にポケットからスペルカードを一枚取り出す。
「残念だけど、もう一手だって打つことは出来ないわ!!」
パチュリーはスペルカードに魔力を込めてスペル名を宣誓する。
『水&木符「ウォーターエルフ」!!!!!』
スペルが発動し、水の弾と風の大弾が弾幕となって魔理沙に襲いかかる。
パチュリーの弾幕を前に魔理沙は不敵に笑う。
「へっ、先ずは一手目だ」
魔理沙は帽子の中からスペルカードを一枚取り出し、パチュリーの弾幕に突っ込む。
『魔符「スターダストレヴァリエ」!!!』
魔理沙から星型の弾幕が発射される。
パチュリーの水と木の弾幕と魔理沙の星の弾幕がぶつかり合う。
二つ弾幕はパチュリーの弾幕の方が圧倒的に強く、魔理沙の星型弾幕はどんどん削られていく。
だが魔理沙の狙いは弾幕で競り勝つ事じゃない、パチュリーの弾幕に
魔理沙の星弾幕がパチュリーの弾幕に人一人通れる穴を開ける。
その瞬間を魔理沙は見逃さない。
『恋符「マスタースパーク」!!』
魔理沙の発言と同時にパチュリーは急いで魔法壁を作る。
「残念だったわね!!!あなたの攻撃は魔法壁を破壊してもそれで終わり!!!私までは届かない!!」
「それは....どうかなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
魔理沙は叫びながらマスタースパークの反動で、パチュリーの弾幕の穴を通り真っ直ぐに突っ込んでいく。
魔法壁の前まで来ると魔理沙は箒から飛び上がる。
魔理沙の行動にパチュリーは驚愕する。
(
「弾幕勝負は弾幕を当てた方の勝ちなんだぜ!!!!」
魔理沙はパチュリーに向かって落ちていく、魔理沙は手に星型弾を生成すると思い切りパチュリー向かって振り抜く。
近距離からの攻撃にパチュリーは反応しきれず、魔理沙の投げた弾をもろに食らう。
それを確認した魔理沙は叫ぶ。
「勝ったぞぉぉぉ!!!」
そのまま魔理沙はパチュリーを巻き込んで地面まで真っ逆さまに落ちる。
「「きゃぁぁぁぁああ!!!??」」
ドッシーン!!!!という音と共に二人は墜落する。
「ほぉ~、イッテてて」
「むきゅ~」
魔理沙は何事も無いように立ち上がるが、体の弱いパチュリーは完全にのびてしまう。
それを見た魔理沙は洋服の汚れを叩きながらパチュリーに向かって語り掛ける。
「魔法使いでも体は鍛えた方が良いぜ」
「ぅぅ...」
と、そこに、背中に悪魔然とした羽を付け白いシャツに黒褐色のベストを着た赤い長髪の女性『小悪魔』が、本棚の影から出てきてパチュリーの元に駆け寄る。
「パチュリー様大丈夫ですか!?」
「お、お前もこいつの仲間か?」
「ひっ!?私はただのパチュリー様の手伝いですぅ~、パチュリー様に勝ったような人と戦う気は私にはありませ~ん!!!見逃してくださーい!!」
怯えながら答える小悪魔を見て魔理沙はプッと笑う。
「な~んだ、料理して食ってやろうと思ったのに」
「ひぃ~、勘弁してくださいぃぃ!!」
「冗談だよ冗談!!」
魔理沙は地面に落ちたミニ八卦炉と竹箒を持つと小悪魔に向かって語り掛ける。
「じゃ、勝ったのは私だし、先に行かせて貰うぜ!」
魔理沙は力強く歩き、大図書館を後にする。
─紅魔館大図書館 弾幕勝負 勝者 霧雨魔理沙
霊夢「ふとした時に物が無くなる時があるわよね、本当にアレ大迷惑よね」
魔理沙「あ~、分かるぜ霊夢。いきなり大事な物がどっか行って無くなるんだよな!!探しても無いんだよなアレ」
夏油「しかも、そんな所で!?って所でいきなり見つかるからねアレ、本当に大変だよね」
霊夢「ほんっとよ!!この前なんかお祓い棒が無いかと思えば、何故か調理器具に紛れていたからね!私入れた覚えないのに!!」
次回『第五話 紅霧異変 霊夢VS咲夜』
夏油「あれ、そういえば私の靴どこ行った?」