東方夏油伝   作:N/K

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第五話 紅霧異変 霊夢VS咲夜

 

 

 

 紅魔館の玄関ホールで、霊夢は館のメイド『十六夜咲夜』と対峙していた。

 

 

「あんたこの館の住人?」

 

 

「はい、メイド長をしております十六夜咲夜です、以後お見知りおきを」

 

 

「メイドって事はあんたを雇ってる奴が居るって訳ね.....そいつが異変の主犯かしら?」

 

 

「そうです、この異変は我が主『レミリア・スカーレット』お嬢様によって引き起こされたものです」

 

 

「あっそ、じゃあ早く案内してくれる?あんたみたいな()()に構ってる暇無いのよ」

 

 

「三下?」

 

 

 咲夜は霊夢の発言に眉をひそめ、霊夢はふてぶてしい態度のまま咲夜に語り掛ける。

 

 

「あら、意味が分からなかったかしら?見逃してやるから、さっさと主犯の元に案内しろって言ってんのよ」

 

 

「それは出来ません、さっき言いましたが霊夢様、私はあなたの相手をする為に降りてきたのです、お嬢様が私に課した命令は『館に侵入したモノを追い返す事』、よってあなたを紅魔館(ココ)から追い返します」

 

 

 咲夜はメイド服から隠し持っていたナイフを取り出し、戦闘体制を取る。

 霊夢もお祓い箒を前に構えて戦闘体制を取る。

 咲夜は霊夢に向けて余裕の笑みを浮かべて語り掛ける。

 

 

「強気に出てるけど、本当は焦ってるんじゃないのですか?まだ私がどんな能力を持ってるか、分かりませんもんね」

 

 

「っ!!」

 

 

 咲夜はフッと微笑むとその場を飛び上がり、霊夢に向かってナイフを投げる。

 霊夢は避けるまでもなくお祓い棒でナイフを叩き落とす。

 

 

「ハッ、こんなナイフ(おもちゃ)で私を追い返せると?」

 

 

「えぇ、追い返せますわ」

 

 

 咲夜は早くも一枚のスペルカードを取り出し、カードに刻まれた術式を発動させる。

 

 

 

 

 

『幻象「ルナクロック」』

 

 

 

 

 

 スペルカードが鈍く輝き。

 次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なんですって!?」

 

 

 霊夢は突然現れたナイフを横に飛んで避けるが、ナイフの一本が霊夢のスカートを掠める。

 

 

「っ!!」(突然ナイフが!?あれがあの女のスペルカード、無数のナイフを飛ばす技.....不可解なのはナイフを発射するタイミングを確認できなかったこと、スペルを掲てから()()()()()()()()()()()()()()、気づいた時にはナイフは私の周りに投擲され切っていた)

 

 

 霊夢は地面に突き刺さったナイフを軽く蹴る。

 

 

(認識阻害系の能力じゃないわね.......少なくともこのナイフは本物、私に催眠能力を掛けて自分の動きを分からなくしたわけでもない....私が何かしらの能力を掛けられた感じはしない)「あなた、人里で手品師でもしなさいな、当たるわよ!!」

 

 

「悪い冗談ですわ、私の事を『人間』が理解出来る筈が無い、貴女が私の能力を理解出来ないようにね....私の事を理解出来るのはこの世でただの一人お嬢様だけよ」

 

 

「随分と熱中してるのねご主人様に」(とはいえ、能力が理解出来ないのも事実....何とかしなきゃね)

 

 

 咲夜の能力を考察する霊夢に、咲夜は冷たく言い放つ。

 

 

「私の能力について色々考えてるようだけど、諦めた方が良いわよ博麗霊夢、貴女は何も理解出来ないまま負けるのよ」

 

 

「何勝った気でいるのよ、そういうセリフは勝ってから言うものよ!!!!!」

 

 

 霊夢は御札を拡散して打ち出し、咲夜を攻撃する。

 御札が炸裂し爆煙が立ち上る、咲夜は何事も無く爆煙から飛び出す。

 霊夢は更に御札を打ち出して弾幕を形成する。

 咲夜は地面を蹴り、壁を蹴り、縦横無尽に館内を走り回って霊夢の弾幕を回避する。

 霊夢は弾幕を操作して咲夜を挟み撃ちの形に追い込む。

 

 

(弾幕の挟み撃ち!これで何かわかる!!)

 

 

 咲夜はそのまま弾幕の直撃を受ける。

 しかし、霊夢は違和感を感じる。

 

 

「? 当たった感覚が無かった!?」

 

 

「当たって無いからね」

 

 

 咲夜は既に霊夢の真上に移動していた。

 咲夜はナイフを霊夢に向かって投げる。

 霊夢は直ぐにナイフを避ける、霊夢は咲夜から距離を取りながら能力の考察を再開させる。

 

 

(またいつの間にか移動していた!?私はあいつから一瞬たりとも目を離さなかったのに、移動したのを直前まで気付かなかったなんて!)

 

 

「まだまだ!」

 

 

 咲夜が更にナイフを霊夢に向かって投げ、霊夢は御札を打ち出して応戦する。

 玄関ホールで無数のナイフと御札が飛び交う。

 咲夜と霊夢は互いの攻撃を動き回りながら、ギリギリで避け続ける。

 

 

(咲夜(あいつ)、素の身体能力も中々ね....弾幕勝負とはいえ私と互角にやり合うとは)

 

 

(博麗霊夢、勘とも言うべきか..勝負の流れを読む力がズバ抜けてるわね、私の攻撃に対応してくるなんて...!!お嬢様が警戒するだけある)「でも、貴女はここでリタイアよ!!」

 

 

 咲夜はポケットから一枚スペルカードを取り出す。

 霊夢はそれを見ると咲夜から距離を取る。

 が、咲夜は霊夢を見て力強く叫ぶ。

 

 

「無駄よ!貴女は既に!!私の射程距離内から出られない!!!」

 

 

 

 

 

『幻幽「ジャック・ザ・ルドビレ」!!!』

 

 

 

 

 

 無数の赤弾幕が霊夢に向けて発射され、次の瞬間再び突然無数のナイフが現れる。

 

 

「また気づかない内にナイフが!!」

 

 

 霊夢はお祓い棒で防御しながら、玄関ホールを走り回って咲夜の弾幕を回避する。

 

 

(赤弾幕は大した事無いけど、問題は突然現れるナイフ!!あれは一体!?)

 

 

 ふと、霊夢は違和感を感じる。

 

 

(この玄関ホール何か....!!)「試してみる価値あるわね!!」

 

 

 霊夢は向かってくるナイフをお祓い棒で叩き落として、咲夜と向き合い袖から一枚のスペルカードを取り出す。

 

 

「やられっぱなしは癪なのよ!!」

 

 

 霊夢はスペルカードに霊力を流し込み、技を発動させる。

 

 

 

 

 

『霊符「夢想封印」!!!』

 

 

 

 

 

 スペルの発動と共に霊夢から四つの光弾が生成されて、咲夜のナイフを弾き飛ばす。

 四つの光弾はナイフを全て弾くと玄関ホール全体を動き回り、咲夜を狙う。

 咲夜は落ち着いて光弾を回避する。

 

 

「狙いが大雑把よ、博麗霊夢!そんなんじゃ私には永遠に当たらないわよ!!」

 

 

 咲夜の発言を聞くと、霊夢は光弾を操作し空中で静止させる。

 そして霊夢は口を開く。

 

 

「えぇ大雑把よ、だって狙って無いもの」

 

 

「なんですって?」

 

 

「この夢想封印はあんたを狙う為に出したんじゃないわ、あんたの能力を解くために出したのよ」

 

 

「私の能力を?フフ、それで?わかったのかしら?」

 

 

「お陰様で、完全に理解したわ」

 

 

 霊夢の発言に咲夜は動揺する。

 

 

「ご冗談を...」

 

 

「冗談じゃないわ.....それじゃ分かりやすく解説しましょうか」

 

 

「何ですって!?」

 

 

「まず、突然現れるナイフを見て私は二つの可能性を考えた、一つ『対象を私に取った催眠能力』二つ『この空間を対象に取った空間操作能力』、まず一つ目の催眠能力だけど、これは直ぐに無い事がわかったわ、仮にも巫女だからね呪いや幻術を解いたり見たりするのは得意なの、だから少なくとも私に何かした訳じゃないのは直ぐにわかった、必然と一つ目の催眠能力の線は消える。じゃあ、二つ目の空間操作能力と私は推察した、先ず疑問に思ったのはこの玄関ホールの広さ、あんたが打った二枚目のスペルカードを避けながら思ったの、『この玄関ホールは広すぎる』ってね、だから私は確かめた、夢想封印で光弾を出し、大きく動かす事でこの玄関ホールの大体の大きさを把握する、次に私が外で見たこの館の外観から玄関ホールの大きさを推察する、すると推察できる大きさと実際の大きさに二倍以上の差が出来た。この時点でこの玄関ホールは何かしらの能力で広くなっている事が分かる...この能力をあんたの能力と仮定すると」

 

 

 霊夢の発言より先に咲夜が最後のスペルカードを発動させる。

 

 

 

 

 

『幻世「ザ・ワールド」!!!!!』

 

 

 

 

 

 咲夜の能力が発動し、この世の全ては静止する。

 

 これが紅魔館メイド長十六夜咲夜の能力『時間を操る程度の能力』である。

 

 咲夜は止まった時の世界でナイフを構えて霊夢に向き合う。

 

 

「驚いたわ、人間で私の能力の核心にここまで迫って来たのは貴女が初めてよ博麗霊夢」

 

 

 咲夜はナイフを霊夢に向かって投げる、投げたナイフは霊夢に当たる直前で止まる、咲夜は飛び上がり霊夢の全方位に無数のナイフを投げていく。

 咲夜は霊夢をナイフで囲い終わると地面に降り立ち、霊夢に語り掛ける。

 

 

「博麗霊夢、私の能力の核心に迫ったのは驚いたけど、どっち道、わかった所で時の世界に入門出来ない貴女じゃ私には勝てないわ」

 

 

 咲夜は止まった懐中時計を取り出して呟く。

 

 

「時は動き出す」

 

 

 咲夜の呟きと同時に時計の針は動き出し、世界も動き始める。

 咲夜の投げたナイフ達も霊夢めがけて飛んでいく。

 が、霊夢は至って冷静に咲夜に語り掛ける。

 

 

「話は最後まで聞きなさいよ」

 

 

 瞬間、霊夢を中心に光の柱が立ち上り、霊夢めがけて投げられたナイフは全て弾かれる。

 咲夜は更に動揺する。

 

 

「何が!?」

 

 

「気付かなかったの?あんたがスペルを発動する()()()私はスペルを発動させていたのよ」

 

 

 よく見ると霊夢の手には一枚のスペルカードが握られていた。

 

 

 

 

 

『夢符「封魔陣」』

 

 

 

 

 

 霊夢から立ち上る光の柱は霊夢が技名を呟くと消える。

 更に霊夢は空中に静止させた四つの光弾に手を向け、指をならす。

 すると、光弾は弾け無数の御札となって辺りに散らばる。

 咲夜は咄嗟に御札を避けるが、御札の一枚を踏んでしまう、瞬間、御札から光の鎖が出て咲夜の足を固定し、それを皮切りに御札達は咲夜の全身に張り付き咲夜をがっちりと固定する。

 

 

「っ!!これは!?」

 

 

「連続しての能力の使用は出来ないみたいね」

 

 

 拘束された咲夜に霊夢は歩いて接近する。

 

 

「さて、解説の続きをしましょうか。あんたの能力についてだけど、この空間に何かしらの作用を働いている事がわかった、そこで私はあんたの能力を『空間を操作する程度の能力』だと考えた。が、それだと私に気付かれず玄関ドアを閉めたり、ナイフを突然出現させるのに説明がつかない、ならこの考察は違う、じゃあ何か?次に私が考えたのは『時間』」

 

 

「っ!!」

 

 

(反応有り、図星ね)「人が一歩分の空間を動くには動く分だけの時間が必要、空間が有るから時間が流れるし、時間が有るから空間を動ける、時間と空間はとても密接に繋がっている、なら時間を操作すれば空間も操作出来て、外観よりも玄関ホールも広く出来るんじゃないかと私は考えた、実際、時間操作の能力と考えると今まで起こった事象に説明が付く、時間を止めてその間に動いたってね。言うなれば『時間を操る程度の能力』って所ね」

 

 

「........驚いたわ、その通りよ私は時間を操れる」

 

 

「でも、拘束されては何も出来ない、大人しく諦めなさい」

 

 

「くっ!......それでも、お嬢様の『願い』の為に私は!!負けられないのよ!!!」

 

 

 咲夜は拘束を解こうともがく、霊夢は咲夜の目の前まで移動すると咲夜に向けて一枚のスペルカードを突きつける。

 

 

「あんたらがどんな考えで異変を起こしたか知らないけど、あの霧は妖気を含んでいる、私やあんたみたいな鍛えた人間には関係無いけど一般人には毒と同じ!あの霧が有るだけで体調を崩したり、最悪死に至る!」

 

 

「っ!」

 

 

「人里に被害が出るより前に、この異変は私が解決する!!」

 

 

 霊夢はスペルカードに霊力を込めて、ゼロ距離で技を発動する。

 

 

 

 

 

『霊符「夢想封印」!!!!』

 

 

 

 

 

「っ!!!時よ止まれ!!!」

 

 

 咲夜の叫びと共に咲夜以外の全てが停止する。

 咲夜は万力の力を込めて光の鎖を千切ろうとするが、光の鎖はびくともしない。

 

 

「駄目!?ほどけない!!??...不味い、時間が?!?!」

 

 

 停止した時間が動き出し、咲夜は霊夢の生成した光弾に包まれる。

 

 

「すみません、お嬢様...」

 

 

 咲夜の懺悔と共に光弾が勢いよく炸裂する。

 夢想封印の爆心地の中心に咲夜は気絶して倒れる。

 

 霊夢は服に付いたすすを払うと、小さな声で呟く。

 

 

「別に私は積極的に人を助けようとは思わない、博麗の巫女の肩書きとか知ったこっちゃないわ、それでもあいつに......あいつらに............失望される事はしたくないから......邪魔するなら人間だろうと容赦しないわ」

 

 

 霊夢は玄関ホールの階段を上がっていく。

 

 

紅魔館玄関ホール 弾幕勝負 勝者 博麗霊夢

 

 

────────────────────────────

 

 

 紅魔館最上階の部屋、豪華な装飾が施された椅子に少女は座っていた。

 

 

「美鈴、パチェ、咲夜、敵は思ったよりやるわね」

 

 

 バァァァーン!!!という音と共に扉が開く。

 少女はドアの方を紅い瞳で見つめる、扉の奥には玄関ホールから上がってきた霊夢が立っていた。

 霊夢は部屋に入っていき椅子に座る少女に話し掛ける。

 

 

「あんたがこの異変の主犯かしら?」

 

 

「えぇ、その通りよ博麗霊夢」

 

 

 少女は背中からコウモリのような羽を出し、空に浮かび上がる。ピンク色の衣装に身を包む青髪の少女は霊夢を見下ろして話し出す。

 

 

「私はこの紅魔館の主、『レミリア・スカーレット』、今夜は楽しい夜になりそうね」

 

 

「早速()る気って訳ね、上等よ!!」

 

 

 霊夢はお祓い棒をレミリアに向けて構える。

 

 

─紅魔館 最終決戦が始まる!!

 

 




夏油「所で二人は好きな異性のタイプとか有るのかい?」
魔理沙「突然どうしたよ傑?」
夏油「いや突然、無性に気になってね」
魔理沙「あー、たまに有るよな変な事が気になるの!ま、私は好きなタイプとかは無いかな~、強いて言うなら私より強い事が最低条件かな~」
夏油「成る程~、霊夢は?」
霊夢「えっ、私!?」

次回『第六話 紅霧異変 悪魔解放』

霊夢「..........特に無いわよ」
夏油(何だ、今の間は?)
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