東方夏油伝   作:N/K

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第八話 紅霧異変 共同戦線

 

 

 

─紅魔館大図書館

 

 

 本来静かなるこの場所は、魑魅魍魎の跋扈する戦場へと変わっていた。

 

 

「こんな雑魚並べても意味ないよ!お兄さん!!」

 

 

 夏油の出す妖怪達を鏖殺しながら二人のフランは夏油に近づく、そんなフラン達の前に二つの影が現れる。

 『紅美鈴』と『十六夜咲夜』、二人の従者が主人(フラン)の前に立ちはだかる。

 

 

「地下へお戻りを!妹様!」

 

 

「それの回答はもうしたよ!!!」

 

 

 フラン1が咲夜に炎の剣を振るい、咲夜を切り裂こうとする直前で動きが止まる。

 

 

「時は止まる...」

 

 

 咲夜が時間を止めたのだ。

 咲夜は止まっているフラン1の後ろに回り込み、時間は動き出す。

 

 

「こっちでしょ」

 

 

「!」

 

 

 フラン1は後ろを向いて咲夜の手を掴むと、そのまま咲夜を引き付けて殴り飛ばす。

 

 

「うぐっ!!」

 

 

「動きが読めるよ! 咲夜!!」

 

 

 フラン1と咲夜が戦う反対側で、美鈴とフラン3が激しい格闘戦をしていた。

 

 

「はっ、たぁ!!!」

 

 

「やっぱりやるね美鈴!!」

 

 

 フラン3は美鈴から一旦距離を取り、─ドォン!!!!─という音と共に美鈴に突っ込む。

 

 

(っ、早い!)

 

 

 フラン3は美鈴にパンチを繰り出す。

 美鈴は右手でパンチを流すと、左手でフラン3の腕を掴み肘撃ちでカウンターを決め、カウンターで怯んだ隙に蹴りの連打を喰らわせ、更に右ストレートで殴り飛ばす。

 

 夏油は後ろから見て戦況を分析する。

 

 

(美鈴さんはフラン嬢と格闘戦は互角以上、あれなら何匹か妖怪を宛がえば時間を稼げる!!今手が必要なのは咲夜さんか!!)

 

 

 夏油はフラン1と戦っている咲夜の元に向かう。

 

 一方、咲夜はフラン1相手に劣勢状態に追い込まれていた。

 

 

「ほらほらどうしたの咲夜!!!」

 

 

 フラン1は咲夜目掛けて弾幕を放つ。

 

 

「くっ、時よ止まれ!」

 

 

 瞬間、咲夜以外の全てが停止する。

 停止した空間の中で咲夜はフラン1の弾幕を回り込んで避ける、と同時に停止限界時間が迫り、時間停止が解除される。

 

 

「ちぇー本当に面倒だな、咲夜の能力は」

 

 

「ハァ、ハァ」(『お嬢様の願い』の為にも妹様に銀のナイフは使えない....とはいえ、このままだと妹様にじわじわと殺される)

 

 

「そら、もう一度行くよ咲夜!!」

 

 

 フラン1は咲夜に追撃をしようとする。

 その瞬間、地面の中からワーム型の妖怪が出てきて、フラン1を飲み込む。

 

 

「これは...」

 

 

「咲夜さん!!」 

 

 

「夏油様、これは?」

 

 

「ただの時間稼ぎですよ!それよりもその辺りに三節棍が、赤い棒が落ちていませんか!」

 

 

「!......落ちてるわ!!!」

 

 

「ください!!」

 

 

 咲夜は夏油に三節棍を投げ渡す。

 と、同時にワーム型妖怪が爆散し、妖怪の肉片の中からフラン1が出てくる。

 

 

「あれ~、お兄さんじゃん.....抉れた肩で頑張るね」

 

 

「.....男の子なんでね、我慢強いのさ」

 

 

「ハッ! その肩で何秒持つかな!お兄さんさぁ!!」

 

 

 フラン1は大図書館内を目に見えない速度で飛び回り、夏油と咲夜を翻弄する。

 

 

「っ!! 速い、時を止めますか!?」

 

 

「いや、必要ない、貴女の能力はもっと先に使うんだ」

 

 

「? もっと先?」

 

 

 フラン1は夏油の背中に回り込んで炎の剣を振りかぶる。

 

 

(ろくに右腕を使えない癖に、散々痛め付けてくれた礼よ!!)「じゃあね、お兄さ─」

 

 

─メキィ!!─

 

 

 瞬間、夏油の振るった三節棍がフラン1にめり込む。

 夏油は、そのまま勢いを付けてフラン1を三節棍で殴りぬける。

 フラン1は地面をバウンドしながら勢い良く吹き飛んでいく。

 

 

(バカな!! 右肩を抉られてこんな....!!)

 

 

 とても右肩を抉れたとは思えない夏油のパワーにフラン1は疑問を感じるが、フラン1は夏油を見て理解する。

 

 

「右肩から腕にかけてタコの腕が!?」

 

 

 夏油の抉れた右肩から腕には、タコ妖怪の腕が巻き付いていた。

 

 

「そう、タコ妖怪の腕を補助機代わりにしてね、タコ妖怪の腕を動かせば、連動して私の右腕も動かすことが出来る」

 

 

「成る程! 賢しいね!!」

 

 

 フラン1は夏油に突っ込み、再びフラン1の炎の剣と夏油の三節棍がぶつかり合う。

 

─ドオォォォン!!!─

 

 大図書館に鈍い音が響き渡る。

 美鈴とフラン3の拳がぶつかった音だ。

 フラン3と美鈴は反動でお互いが吹き飛ぶ。

 

 

「ハァ、ハァ、少し見ない間に随分強くなられましたね妹様」

 

 

「そうかな?変わった気は無いけどね」

 

 

「いや、見違えましたよ」

 

 

「美鈴にそう言って貰えると嬉しいな!!」

 

 

 フラン3は美鈴目掛けて駆け出し、美鈴は構えを取り直す。

 

 

(炎の剣(レーヴァテイン)を消した!?純粋な徒手空拳で戦う気ですか、妹様!)

 

 

「行くよ!!美鈴!!!」

 

 

 フラン3は美鈴目掛けてパンチのラッシュを繰り出し、美鈴も拳のラッシュで応える。

 

 

─ドドドドドドドドドドドドドドド!!!!─

 

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「たぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 無数の拳が交差する、十秒、二十秒、途方に長い時間の中拳はぶつかり合い。

 

 先に限界が来たのは美鈴だった。

 フラン3の拳とぶつかった美鈴の拳は血を吹き出し、遂に力負けをしてしまう。

 

 

「うぐっ!? しまった!!」

 

 

「そこだよ!!美鈴!!!」

 

 

 フラン3は怯んだ美鈴目掛けて炎の剣を出現させて斬りかかる。

 美鈴はボロボロの腕でフラン3の剣を受け止める。

 

 

─ジュゥゥゥゥゥ!!!─

 

 

「ぐっ、アアア!!」

 

 

「あちゃぁ、火傷するよ美鈴!!」

 

 

 炎の剣を受け止めた美鈴の手はどんどん焼けていく、美鈴は痛みに顔を歪ませる。

 美鈴は炎の剣を受け止めながら考える。

 

 

(ノルマまで後、少しな筈、これを耐えれば...!!!)

 

 

 美鈴は腕に力を込めて剣を固定する。

 

 一方、夏油&咲夜はフラン1に対して何とか互角の立ち回りをしていた。

 

 

「技のキレが落ちてるよ、お兄さん!!」

 

 

「くっ!!」

 

 

 夏油は三節棍を横に振ってフラン1を攻撃するが、フラン1はそれをしゃがんで回避し夏油に炎の剣を振るう、が、フラン1目掛けてナイフが投げ込まれ、フラン1は後ろに飛んでナイフを避ける。

 フラン1の夏油に向けた攻撃は不発に終わる。

 

 

「さっきからずっとこのパターン、お兄さんが攻めて咲夜がサポート、それじゃ私は倒せないよ?」

 

 

(くそっ、もうそろそろ十五分な筈、まだか?)

 

 

 夏油が冷や汗をかいて考える。

 

 ふと、戦地の中に一人の悪魔が入ってくる。パチュリーのお手伝いをしている『小悪魔』だ。

 小悪魔は今にも消え入りそうな声で叫ぶ。

 

 

「パ、パチュリー様が復活しました!」

 

 

 小悪魔の宣言が戦地に響く。

 

 宣言を聞いて、一番最初に動いたのは夏油だった。

 夏油はフラン1目掛けて走り出す。

 

 

「来るかい!!お兄さん!!」

 

 

 フラン1は向かってくる夏油に炎の剣を振るい、夏油はそれを三節棍で払いのけると、三節棍を捨ててフラン1の懐に入り込む、フランも炎の剣を消すと夏油の右肩を左手で突き刺さす。

 夏油の右肩からは鮮血が吹き出す。

 

 

「アッハッハッハ!!バカ正直に突っ込むからこうなる!!」

 

 

「っ....!! 元より右手は捨てていたさ!!」

 

 

「!」

 

 

 夏油は呪力を左手に集中させる。

 

 

「お返しだよ...!!」

 

 

─ボグゥ!!!─

 

 

 夏油は渾身の力でフラン1にアッパーカットを喰らわせる。

 諸に喰らったフラン1は宙を舞う。

 

 フラン1の様子にフラン3は気を取られる、その隙を美鈴は見逃さなかった。

 

 

「戦闘中によそ見はダメですよ!妹様!!」

 

 

 美鈴は万力の力でフラン3の炎の剣をへし折る。

 

 

「ずえぁぁぁぁ!!!」

 

 

─バキィ!!!─

 

 

 美鈴はフラン3に回し蹴りを喰らわせて、フラン1の方へ吹き飛ばす。

 空中で二人のフランは衝突し地面に落ちる、そして咲夜が駆け出す。

 

 

「今よ!!時よ止まれ!!!」

 

 

 咲夜以外の全てが停止し、咲夜は二人のフランの服目掛けてナイフを投げ、フラン達の服を地面に磔にして固定する。

 

 

「こんな拘束妹様なら数秒で解けますけど、大事なのはその数秒間!!......今、時は動き出す!」

 

 

「!」

 

 

 時の始動と共にフラン達は置かれた状況を理解し動こうとするが咲夜のナイフがそれを邪魔しフラン達の動きが一瞬止まる。

 その一瞬がフラン達の命運を分けた。

 咲夜は彼女の名前を叫ぶ。

 

 

 

「今です! パチュリー様!!」

 

 

 

 フラン達の数メートル後ろには、既に本を開いていた全快のパチュリーが立っていた。

 

 

「暴走も終わりよ、フラン!!」

 

 

 パチュリーがフラン達に向けて手を伸ばすと、本から雨雲が出てきてフラン達二人を囲むと嵐の如き大雨を降らせる。

 

 

「さっきとは訳が違うわよ!!フラン!!あなたはこの檻から抜け出せない!!!」

 

 

「っっ、ふざけないで......」

 

 

 フランは雨の檻の中で唇を噛み締める。

 

 

 

 

 

「この程度の檻で、私を閉じ込めれると思わないでよ!!!!」

 

 

 

 

 

 二人のフラン達は周りに出鱈目に弾幕をばらまき、大図書館全体を攻撃する。

 

 

「くっ、フラン!!」

 

 

「お止まりを!妹様!!」

 

 

「皆さん!!」

 

 

 夏油は大図書館にいる人達全員の前に妖怪を出現させてフラン達の攻撃から守る。

 フラン達の踏襲を浴びながら、夏油は叫ぶ。

 

 

 

「今だ!撃て!魔理沙!!」

 

 

 

 夏油の叫びと共に、パチュリーの背中から魔理沙が飛び出す。

 魔理沙はミニ八卦炉をフラン達に向ける。

 

 

「応よ!!!たんと喰らいな!!フランドール!!!」

 

 

 魔理沙は手に持つミニ八卦炉に魔力を込める。

 

 

 この一撃は魔理沙が十五分の間に掌印、呪詞共に省略せずに執り行った、本来弾幕ルールの中ではあり得ない、完全なる『100%の─

 

 

 

 

 

 

『恋符「マスタースパーク」』

 

 

 

 

 

 

 瞬間、大図書館は目映い七色の光に包まれる。

 

 

 

────────────────────────────

 

 

 

─紅魔館最上階

 

 

 この場所で戦う霊夢とレミリアの戦いにも決着が付こうとしていた。

 

 

「これで終わりね!ガキんちょ!!」

 

 

「くっ、ここまでとは....」

 

 

 霊夢は動きが止まったレミリアに向かってスペルカードを向ける。

 

 

 

 

 

『霊符「夢想封─』

 

─ビキッ!─

 

 

 

 

 

 霊夢のスペルカードが発動する前に床がひび割れる。霊夢とレミリアは突然の事態に驚く。

 

 

「「は?」」

 

 

 最上階も七色の光に包まれる。

 

 

────────────────────────────

 

 

─幻想郷 夏 その日、霧の湖に建つ紅き洋館『紅魔館』は、七色の光を発し....爆散したのだった。

 

 




美鈴「パチュリー様!たまには一緒に運動でもしませんか?」
パチュリー「そうね、軽い運動なら良いわよ」
美鈴「じゃあ、ラジオ体操からしましょう!ほら腕を伸ばしてー」
パチュリー「イッチ、ニ!? ゴハァ!!!」
美鈴「パチュリー様ぁぁぁ!!!」

次回『第九話 紅霧異変 嘆きのフラン』

美鈴「まさかここまで身体が弱いなんて...」
パチュリー「むきゅ~.....」
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