ボクたちはリーンボックス、ラステイションと旅をしてきた。その成果はリーンボックス、ラステイションの守護女神の協力……プラネテューヌ奪還への協力を取り付けることに成功した。
現在は拠点で情報交換をしている。アイエフさんの報告によれば、バズール現象はマジェコンヌが人為的に起こしている可能性があること。マジフォンの製造工場がシーリィ及び灰色の女神に破壊されていたことが情報として出された。
そして提出されたのがディスクの破片。これ、どこかで見たな……まぁいいか。解析はアンリさんが進めるということで話はまとまった。それじゃあ今度は本当にプラネテューヌ奪還の計画を練るところまで来たらしい。
ボクの思案は完全にあの灰色の女神だ。少なくともボクは一緒にいたから灰色の女神=ボクという構図にはならない以上女神化したくない理由の一つは減っている。でも、まだだ。まだあの灰色の女神が諸悪の根源の可能性もあるし、マジェコンヌが諸悪の根源の可能性だって存分にある。いずれにせよまだボクはギアたちの前では本気は隠さないといけない。そんな中、けたたましい警報の音が鳴る。
「またバズール現象……?いい加減飽きてきたよ」
「いえ、これは……もっと大変な事態ですね」
「え?」
きょとんとするギア。バズール現象よりも大変な事態なら、たぶんモンスターが山ほど来るとかバズール現象が複数とかじゃないか?
「大変です!この拠点をめがけてモンスターが大挙して押し寄せてきます!その数、1万程度……!」
「い、いちまん……!?」
「すっごいいっぱい……!」
「ひとり2000体の計算か……この拠点を守るのは……無理だね」
「はい。まずは避難民の皆さんを避難させます。アイエフさん、先導をお願いできますか?」
「わかりましたイストワール様」
「ボクたちは避難の邪魔にならないようにモンスターを倒せばいいね」
「うん。マホちゃん、アンリちゃん。避難誘導のほう、お願いするね」
それだけ言って、ボクたちは拠点前100m地点でモンスターを待ち構えることにした。
こんな規模なら、きっとほかの守護女神の面々も来るだろう。だから、本当に時間稼ぎが目的でもいい。とはいえ1万ともなると……
「壮観だね」
「出てくる感想がそれ?余裕そうじゃない」
「くたくたに疲れてるけどね」
「わたしたちは」
「だいじょーぶ!」
「みんな、来るよ!」
そんな感じで戦闘を始めたのはもうかれこれ何時間前だろうか。一人2000体の計算だとしても、数えるのはもう50くらいで飽きて辞めた。動けはするけれど、明確にキレが落ちてきているのは事実。ボクの紅月と蒼陽がいくら切り替えで戦闘距離を変えられるとはいっても、純粋な数のごり押しは一番きつい。お父さんもお母さんもこれに対する対処はないって言うくらいにはきつい。明確に減ってはいるんだろうけど、そんな気がしない。なんなら後ろからも来て囲まれつつあるのかもしれない。確認に回せる体力はもう残ってないな……幸いさっきの通信で避難は全員終わったとのことだし、とっとと撤退して芝生の上でもいいからゴロゴロしたいね……!
「っ!はぁ、はぁ……!」
「つかれた……」
「もうひと踏ん張りよロム!ラム!そっち2体行ったわ!」
「もう4体いるんだけどー!」
「援護するよ!夕ちゃん!」
「エクスポート……!ローテーションするよ、3,2,1!」
もう全員気力がない。連携で辛うじて陣形を維持しているくらいだ。でも、今のローテーションで情報はとれた。確実に囲まれている。一番薄いところを突くにしても、避難民側の方向じゃないとまずい。だけれどももうそれがどこの方角かなんてわからなくなっていた。いや、女神化して飛んでいるギアたちならわかるか。なら……その心配より自分の心配をした方がいいだろう。
そんな時だ、不意に横からモンスターが吹き飛ばされてきたのは。
「新手……!」
吹き飛ばされてきたモンスターを切りながら、その方向を見る。
「違う、あれは……!」
『おねえちゃん!』
水色の髪をなびかせ、大きな斧でモンスターを蹴散らしていくブランさんだった。ということは……!
「お待たせしましたわ!」
「さぁ、とっとと片づけるわよ!」
ベールさんとノワールさんも合流し、モンスターはどんどん蹴散らされていく。
そしてついに1万のモンスターは全て殲滅されたのだった。
「皆さん、お疲れさまでした。本当に……本当に大変だったでしょうに……」
「はい……でも皆さん無事でよかった……」
ぐったりと芝生に寝転ぶボクはもう正直限界だった。数日間の肉体労働と3日連続の激戦。シャワーを浴びこそすれ、湯船にゆっくり漬かってはいないからもう全身ガタガタといってよさそうだった。今日こそ湯船に入ろうと思ったのに、その拠点は放棄しちゃったし……やばい、どうしよ。
「それで?これからどうするの?」
「はい。まずは避難民の皆さんを雨風のしのげるところに案内しようかなと思っています」
「……悠長ね」
「でも、放っておくわけにはいかない」
「ノワールの言うこともブランの言うことも一理ありますわね……」
「わたしはもうとっととプラネテューヌを奪還しに行った方がいいと思うわよ?」
「ですがノワールさん、プラネテューヌは現在バズール現象が頻発しておりモンスターも大量にいます。守護女神だからといって正面からいくのは無理があります」
「でも1万くらいの量ならなんとかなるというか追加されなきゃなんとかなることはわかるわけだけど……つまりバズール現象を止めまくったらというか起こさせなくすればいいんじゃ……ほら、それができそうなものはアイエフさんがくれたわけだし」
「そうね……このディスクの破片は確かにバズール現象を起こす振動を出しているわ。けれどその振動を……振動?」
「そうか!逆位相をぶつければ振動は弱くなる!」
「振動が引き金ならそれで解決する……!マホ!」
「あんりーはデータ持ってきて!あーしは早速解析とプログラムを作るよ~!」
とまぁ、ちょちょっとつついたらさっきまでの疲労はどこへやら解決の道を思いついたらしい。ボクも振動という単語で気づいたけど、なんならバズール現象は空間が振動してるなんてことも頭に入っていたのに、逆位相をぶつけるなんて発想は全く出てこなかった。こういう頭の使い方は、まだまだお父さんに及びそうにない。あぁ、ゴロゴロしてたら急に眠くなってきた……少し、眠ろう……
次回「プラネテューヌ奪還作戦」
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