並列世界の放浪者   作:Feldelt

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半年以上ぶりにネプシスを進めたのでようやく投稿できました……!


第五話 雄大なる大地を踏みしめて

リーンボックス到着。

ボクの記憶の中にあるのはあのリーンボックスだから参考にはならないだろうけど……それでもここは静かすぎる。

 

「なーんか静かだねー」

「イストワールさんの言った通り、外出禁止令が出てるからなんでしょうけど……」

「まるで街から人がいなくなっちゃったみたいね」

 

周辺を観察する。人はいるけれど拠点にいる人同様隅っこでうずくまっているのみ。なんだろう、この押しつぶされるような重苦しい空気は。

 

「まずは教会なんだろうけど……」

 

違和感のほうが大きい。外出禁止とはいえ、いわゆる不要不急のしか縛れないはずだ。仕事で外に出る人間を女神の命で止めるのは国家の運営を自分で止めることに繋がる。別次元とはいえ、あのベールさんがそんな浅薄なことをするはずがない。だから……ラムちゃんの言う通り本当に人がいなくなったとしか考えられない。サントハイムのお城みたいに。

 

「夕ちゃん?」

「どうしたの……?」

 

ギアとロムちゃんの心配そうな声が聞こえる。でもこの違和感は拭えない。人がいないのに、どこにでも人がいるような……ボクの感覚が『見られている』と言っている。何に?誰に?下手にあたりを見回すのももしこっちを見てるのが敵なら気取られたと思わせてしまう。武器を出すなんてもってのほかだ。いやな汗が頬を伝う。できることなら今すぐ座標改竄を使いたい気分だけど……使えるほどのシェアがまだない。変身ですらまだままならないんだから……!

 

「わ、わ!みんつぶ見て!?」

「みんつぶ……?」

「あーしらのことがめっちゃつぶやかれてる!レス追い付かないって~」

「……なるほどね……」

 

見られているという感覚の正体はこれか。

だとしたら……

 

「マホ、そのみんつぶってやつをボクのケータイに入れて」

「おけまる~!わ、ゆーゆーのこのスマホ、マジフォンとはまた違う構造してる!けど使い方はだいたい一緒だし……ほい!」

「お父さんが言っていた、情報は全てにおいて有利になるための資源だってね」

 

拡張モニタとARキーボードを展開する。高速情報処理モードとかいうここら辺の機能はなんかお母さんがネプギアさんとノリノリになりながら作ったって言ってて使うことは今の今までなかったんだけど……情報処理が早くなるのなら使えるに越したことはない。

 

「わ、すごい!拡張現実にモニターとキーボードを浮かび上がらせてデバイスを疑似的にパソコンとして使えるようにしてるんだ!」

「詳しいことはボクにはわからないけどね……マホ、この膨大なつぶやきから必要そうなものだけ抜き取ってみたから精査してみて」

「おけまる~!」

 

高速情報処理モードをオフにして一息つく。

 

「ん~、ワンチャンなしよりのありなのがこれかな~」

「どれどれ……ベールさんのことを知ってるから話がしたいって……」

「そうと決まれば善は急げだ、行こう」

「ちょ、ゆーゆー!?みんつぶの向こう側の人に会うのは危ないよ!?」

「大丈夫、ボクのほうが危険な自信はある」

 

グロウ-Cを取り出して見せる。それだけでマホはうひゃ~なんて言いながらドン引きしてるもんだから肩をすくめるんだけど……

 

「第一、変なことしてこようものなら返り討ちにできるでしょ?ノーリスクハイリターンなら乗るしかないよ」

「夕、アンタたまに怖い考えするわよね……」

「ラムちゃんさんせー!ロムちゃんになにかしようものならわたしがボコボコにしてやるんだから!」

「わ、わたしも……ラムちゃんのこと、まもる……!」

「それじゃあ行くよ、時間が惜しいからね」

 

 


 

 

指定されたポイントに向かうとそこには捕縛されている人間と捕縛している人間が一人ずつ。

 

「アイエフさん!?」

「遅かったじゃないネプギア。まぁでも好都合よ」

「好都合……?その人は?」

「あぁ、こいつは犯罪組織マジェコンヌの残党よ」

 

マホ以外全員の表情が変わる。ボクだってそうだ。お母さんから聞いた。犯罪組織マジェコンヌ……ボクが生まれる前にボクの次元を追い詰めた元凶、お父さんが魔剣を使うことになった原因そのもの。

 

「ッ!」

「やめなさい!」

 

反射的にボクは持っていたグロウ-Cをその残党に向けていた。わかってる。こいつはボクの次元とは全く関係がない。それでも、同じ名前の同じような組織がお父さんを、お母さんを苦しめたという事実がボクには許せなかった。八つ当たりなんだ、こんなことは何も生まない。

 

「……すぅ……はぁ……大丈夫、反射的に出ただけだから……」

「ゆーゆー……?顔怖いよ?」

「ボクの両親も犯罪組織に苦しめられてさ、だから……うん、関係ないんだけどね、ボクの問題なんだ。もっと突き詰めると、ボクが背負うものでもないんだ。でもね、マホ。やり場のないものもあるんだよ……」

 

マホのほうを見て話す。落ち着けと心で何度も言いながら。

だが落ち着きを失ったやつが増える。

 

「マホ……?う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「何!?急に暴れるんじゃないわよ!」

「ゆ、許してくれ……俺は、言われたとおりに……!」

 

うわごとのように声を出すその残党はマホに対しての恐怖しか感じられない。

じゃあその恐怖の根源はなんだ?マホは残党から自身の記憶のことを聞こうとしてるが無理だろう。言語が通じないという恐怖ではない。けど、明確に……マホという存在に対する恐怖が見て取れる。

 

「えっと……たしかこーいうときってふぁんねる!っていうのよね?」

「ふぁんねる!」

「それ、ファンブルじゃないの?」

「どちらにせよ精神がイカレそうになってることは確か、だね……」

 

ボクとしてはまだ気になるところ、引っかかるところがあるけれど、今の本題はここじゃない。

 

「……アイエフさん、教えてください。ベールさんのこと」

「えぇ、わかったわネプギア」

 

捕縛された男は引き渡され、アイエフさんはボクたちと一緒に教会への道を歩く。

なんでもアイエフさんはこれから教会にカチコミ、もとい侵入しに行くらしい。なんでも今は教会も閉まっているのだとか。

また、リーンボックスのシェアがやや薄いことについては家守こもりという存在が今女神グリーンハートに成り代わるようなレベルにまで国民に浸透しているということだった。

確かに、国策に協力的なインフルエンサーがいるならば政はうまくいくと思うけれど……これもボクは引っかかっている。家守こもり……女神の協力を求めることに対して障害となりかねないって思うと、正体を暴かないと……

 

 




次回、第六話「突入」

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