並列世界の放浪者   作:Feldelt

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第七話 突撃、隣の……?

指定されたポイントは巧妙にカモフラージュされた洞窟だった。

洞窟の中に同じように配達された段ボールが山積みになっているのを見たらそれはそれで罠じゃないかと身構えてたりもしたが、ギアが調べたところ全部が新品未開封。お金だけ払って中身を手に入れてないだなんて、配達の意味はあるのかなんて思ったけど……その理由は洞窟の中を歩き進めていたらわかった。

 

「モンスターが多いね……」

 

蒼陽ですれ違いざまにモンスターを両断しながら進む。何体倒したかなんてもう覚えていない。幸い、対して強くないから一般の業者が護衛を連れて進むにはさっきの段ボールの山のあたりがちょうどいいところだろう。だけどその先も洞窟は続く。

 

「いったい、こんなところに住んでるなんて何考えているのよ……」

「人間じゃない可能性が微レ存って感じ」

 

行軍は止まらない程度なのが不幸中の幸いではある。だけど、奥に見えたものは、ボクの警戒を一気に引き上げた。

 

「あいつは……っ!」

「夕ちゃん……?」

 

前に拠点近くでバズール現象が起きたとき、高エネルギー反応があったその正体が視界に映った機械兵だと話した。

 

「けど、あれはゆうが倒したんでしょ?」

「まぁね。けどめちゃくちゃ疲れたから……手伝ってもらえると嬉しいかな」

 

『家守こもり』の近くにいる以上、女神化してあいつを倒すなんてことはしたくない。さらに言えばボクはまだギアたちに女神であることを言ってないから……変な誤解をされる可能性がまだある。なら、協力を頼んだ方がいい。

 

「ふふん、ラムちゃんとロムちゃんにまかせなさーい!」

「うごきをとめるよ……!」

「私たちもいくよ、ユニちゃん!」

「えぇ!」

 

氷と雷。二種類の魔法の援護を横目に大剣化した紅月を機械兵めがけて振るう。横薙ぎの一閃は機械兵の周囲に浮いてる盾っぽい板で防がれるけど、おかげで背中はがら空き。ユニのグレネードが直撃して機械兵のバランスを崩し、爆炎を払うようにギアががら空きの背中にビームソードを突き立てる。

 

「インポート、からのエクスポート……!」

 

紅月を短剣に戻し、蒼陽を銃剣にして機械兵の顔にビームをねじ込む。

 

「これで……」

「おしまい……っ!」

 

とどめと言わんばかりに氷塊が落ちてくる。ボロボロになった機械兵は盾で氷塊を防御するも、盾自体をユニが撃ち続け、本体をボクとギアが攻撃することでついに機械兵は盾ごと氷塊に押しつぶされる。

 

「ふー……終わった終わった」

 

膝に着いた土埃を払いながら、動かなくなった機械兵に追撃を与えていく。

やっぱり、罠か……?そう思考が振り切れるまえに、どこからか声がかかる。

 

「わぁ、皆さん強いですね」

「誰ッ!?」

 

反射的にグロウ-Cを抜き、周囲を見回す。スピーカー越しの声だ。だけど反響で音の発生源はわからない。

 

「そんな警戒しないでください。私はこの施設のAIです」

 

AI。人工知能。人の手によって造られたものがなぜこんな洞窟めいたダンジョンに存在しているのか。ボクの疑問はそこだ。施設とも言っていた。ということは、ここには確実に「何か」がある。

 

「えーあい……?」

「人工知能のことね。でも施設って……」

「では、説明いたしましょう」

 

そのAI曰く、ここはかつて人間が何かを製造する施設であり、その製造ラインをチェックするのがAIの仕事だったと。だけれども人間がこの施設から離れ、暇を持て余した結果『家守こもり』として活動を始めたと。

結果として守護女神に成り代わってるというユニからの指摘については、ただベールさんが仕事をさぼっていたという事実が判明し、本人はそんなことは一切考えておらず結果としてそうなったというものだった。はぁ。

 

「まとめると、だいたいベールさんが悪いってことになるね」

「ゆーゆーまとめサンガツ!」

「いやいや、いくらなんでも語弊があるわよ……」

「とはいえ、『家守こもり』の正体もわかってかつ今後のリーンボックスの内政についても安心できそうなものではあるし……一件落着かしらね」

「そうですね。家守こもりさんには本来の仕事に戻っていただいてくれれば、それでいいかと思います」

 

正直言ってボクは拍子抜けしたのだけれど、そんな緩んだ気に付け入るように警報音が鳴り響く。

 

「わ、なになにー!?」

「あらーむ……?」

 

大方、施設の防衛システムが発動したのだろう。だがなぜ今になって?まさか……

 

「こもりさん!これ止められないんですか!?」

「すみません、無理です」

 

ギアの呼びかけは届かなかった。曰く、AI本来の仕事を思い出したと。

人間に近づき、人間の弱点を知り、人間を効率よく処分するための機械の製造。

それが本来の仕事だと。

 

「チッ……だったら片っ端から壊すしかないね」

「待ちなさい夕!そんなこと今からやったって広すぎるわよ!」

「それ以外の選択肢なんて……!」

 

脳内には女神化という選択肢まで出てきた。人間を処分するためのAI……?そんなもの、のさばらせておくわけにはいかない。だったら……!

 

「逃走。その選択を推奨します」

 

グロウ-Cの引き金を引く直前に、新手の声が聞こえる。今度は誰だ……!

 

「ロボット……?」

 

まるでどこぞのオルフェゴールみたいな見た目をしているロボットはそれだけ言って施設の奥に進んでいく。

 

「待って、ロボットさん!」

「ネプギア!?」

「わからない、でも、嫌な予感がするから……!」

 

何かに駆られたようにギアはロボットを追っていく。ボクもみんなと目くばせした後にギアを追っていく。

何が一体どうなっているんだ……!

 

 

 

 

 

 

 




次回、第八話「そこにAIはあるのか」

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