教授の長い話を聞いていた。
大学にて受ける学科を心理学にし、極力楽に生きようと考えていたが、そうは問屋がおろさないらしい。
リュウザキ「退屈だな……。」
大学に入ればまた変われると思っていたがそうでもなかったようだ。
むしろ高校時代のバイトの方がまだ有意義だった。
飲食店だったが、古株のお客さん含めて楽しい居場所だった。
両親が誰かも分からず、施設の前に置かれていたらしい。
施設の人や小学、中学以来の数少ない友人とも仲良くなっていったがそれでも上手く距離感が掴めなかった。
故に彼にとって両親とはバイト先に勤めていた店長老夫婦と二人の気さくな年上の店員だ。
………俺がバイトをやめて数ヶ月で店じまいになり、どうなってるかはもう分からないが。
やはりあそこ以外での人との距離感が少し苦手だった。
「……であるからして……。」
教授、その話は昨日もしたって。
ちゃんとメモしてるから。ちゃんと記憶してるから……いや、大事な基礎だからこそか?
などと思いながら過ごし、授業が終わる。
そしていつもの様に午後6時くらいに帰る。
アパートで暮らし始めて、そこまで経ってないがホームシックというのがこういうことなのかと言うのは3日ほどで知り、4日目で慣れた。
よく施設でいちばん優しくしてくれた……姉のような人が仕送りという名目でお金をくれる。
申し訳ないという気持ちもあったが、その厚意をふいにするわけにもいかず受け取っている。
リュウザキ「いずれ返さないとな……。」
こういうやり取りでのトラブルは避けたい。
施設の人が相手なら尚のことだ。
そしてしばらくゲームなどをしていた暇を潰していた時、インターホンが鳴った。
時計を見ればもうすぐ10時。
そろそろ切り上げようと思っていたので好都合である。
ただ、相手によるが。
リュウザキはセーブをしてゲームを終え、玄関に向かう。
この手の時間に来るのは大抵ろくなものじゃない。
無駄に長い宗教勧誘の話か、勘違いでこっちにイチャモンつける相手かだ。
そしてリュウザキは扉を開ける。
???「あ、こんばんわ!つかぬ事を聞きますけど、もしかして
リュウザキ「あ、そういうのいいんで。」
俺は開けた瞬間迷わず扉を閉めた。
リュウザキ(………なんか変な人だったな。)
そう思いながらヘッドフォンをつけようとした時、ものすごい勢いで扉をガンガン叩いてきた。
???「ちょ!?な、なんでですか!!開けてくださいよ!!ねぇ!龍崎さんなんでしょ!!お願い開けて〜!!あーけーてー!!!」
メンヘラ彼女の別れ際か。
面倒な事はある程度はスルーするにかぎ……ん?
リュウザキ(待て、ここで俺がスルーしたらどうなる?)
少女大声で騒ぐ。
大家さんに少女見つかる。
少女事情説明。
大家さん激怒。
俺、誤解されたまま惨めな人生になる。
………なるほど、詰み1歩手前か。
リュウザキは渋々扉を開けた。
???「あ!やっと開けてくれた!!」
そう言って少女が部屋にあがりこもうとしたので俺はそれを一旦引き止める。
???「え?なんですかリュウザキさん?」
リュウザキ「「お邪魔します」は?」
???「……あ。……お邪魔します……。」
来訪者を中に招き入れて質問する。
リュウザキ「で、君何者?少なくとも俺は君みたいな子は知らないんだけど。あ、これお茶とお菓子どうぞ。」
???「ありがとうございます!もきゅもきゅ……もぎゅるらふぬぬ………。」
リュウザキ「あーストップ、食べ物を口に含んだまま話さない。何言ってるか分からないから。」
少女はそれもそうかと言うような顔をしてお茶で流し込んだ。
???「ぷはー。失礼しました。改めまして……。」
コホンと少女が咳払いする。
ハガネ「私は
ふとハガネが手を伸ばしてきた。
リュウザキ「……よろしく。」
思うことはたくさんあったが、それよりも聞きたいことに関する興味の方が大きかった。
故に俺は……握手に応じた。
この出会いが俺を変えるきっかけとなると信じて。
お久しぶりです。
Wandarelでございます。
今回からなんと、完全オリジナル作品
「寸胴洗いの受難」を書くこととなりました!
とても不定期更新ではありますが、どうかよろしくお願いいたします!