金の桃を食べた東家の長男   作:フォーミラー

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第一話 金の桃

 

時は数十年前に突如して日本各地にて門が出現し、その先に広がる異空間、魔都。その魔都から醜鬼という怪物が現れ人々に襲い多く命を奪っていった。

 

そんな人類を魔都の脅威から守るため作られた組織

『魔都防衛隊』

通称:魔防隊

隊員は全員『桃』の力を得た女性であり、一番組~十番組までの九つの組に構成されており、魔都を八つの方角に区分し、中央を含めたそれぞれの担当の場所に配置されている。

魔防隊には四番組を存在しない。それは『四』の数字は縁起が悪いと言う理由からである。

 

しかし、突如として四番組は設立された。それは前代未聞の男が桃の力を得たからである。

四番組は設立してから、その男を筆頭に一人一人の女性の戦闘力は各組の組長各の強さに匹敵し、魔防隊最強の精鋭部隊へと昇り詰めたほどである。

 

 

 

___________________________________________________

 

 

東家

魔防隊の歴史と深く繋がっている女系一族であり、総組長を輩出や優秀な魔防隊の隊員など何人も出している。

東家は本家と分家に分かれており、本家の人間は漢字が三文字という風習がある。

東家 現当主は東 海桐花(とべら)であり、「東は強大たるべし」を信条とする超実力主義の家である。

 

東家に一人の男子が生まれた。

 

名は、東 悟

 

東家の長男にして産まれ後に『東の異能』と呼ばれる様になった男である。

  

 

 

   *

 

 

 

『女に産んであげれなくてごめんなさい』 

 

母さんから言われた言葉である。俺は物心つき始めた頃、最初に聞いた言葉であった。 

 

俺は母さんに俺のことを見てもらいたく、一生懸命色んな事を頑張った。

勉強はクラスでは常に一番になって、スポーツでは男女含めて総合一位になり、格闘では桃の力を得た女性すら倒すほどにまで頑張った。

 

しかし、母さんは俺のことを見てくれなかった。

 

 『母さん見て!!テストで全教科百点取ったよ!!』

 

 『...そう』

 

母に全教科の百点と書かれた答案を見せるが母は見向きもせず、軽く返事をしただけだった。

 

 

 『母さん!!スポーツ総合一位取ったよ!!ほらこれトロフィー!!』

 

 『...そうね』

 

 

又もや、母はトロフィー持った俺には見向きもせず、返事をしただけだった。

 

 

 『ハァ...ハァ...母さん。りう師匠に武術を教わって...桃の力を持つ子たちにも勝ったよ。』

 

 『そう...それで...』

 

 『え?』

 

 『桃の力を持った子たちに勝って魔防隊にでも入るの?』

 

 『ち..違う...俺は..』

 

 『なら余計なことはしないでちょうだい。』

 

 『ご...ごめん...なさい。』

 

 

そんな母さんは、俺がどれだけ頑張ったところで全く俺の頑張りを見ようともしてくれなかった。

 

そして、俺は部屋へ塞ぎ込んでいた。

 

 

 「俺は...ただ息子として見てほしいだけなんだ。」

 

 『よくやった偉いね』

 

 『流石、私の息子だわ』

 

 

だだその言葉が欲しかった。一人の息子として見て欲しかった。だけど、母さんは俺のことを息子として見ようとしなかった。あの瞳は赤の他人を見る時の冷たい瞳だった。

 

そう塞ぎ込んでいると俺の部屋をノックする音が聞こえた。

 

 

 「失礼します。若様」

 

 「...氷羅螺(つらら)か。いいぞ入って...」

 

 「はい、失礼します。」

 

 

俺の部屋に礼儀正しく入って来た女性は、母さんと瓜二つの女性であった。

 

彼女は、東 氷羅螺 

 

母の双子の妹であり、母とは対極的で白い髪で青い瞳の女性であった。そんな氷羅螺は俺の世話係をしており、九番組の組員で氷を操る能力である。

 

 

 「...いかがでしたか?お母様は?」

 

 「ハァ...ダメだった...見てもくれなかったよ。」

 

 「...そうでしたか。申し訳ございません。」

 

 「いいよ別に...今にも始まったことじゃないし」

 

 「...はい」

 

 

暫し二人の間に無言が続き、少しは気まずくなったところで俺は氷羅螺にある事を切り出した。

 

 

 「なぁ..氷羅螺...母さんは俺のこと息子としてもう見てくれないんじゃないかと思っているんだ。」

 

 「...」

 

 「だってそうだろ。どれだけ頑張っても一位を取っても桃の力を持った子たちに勝っても一度も見てくれないんだ。」

 

 「...」

 

 「別に氷羅螺を責めてる訳じゃない。寧ろ感謝しているくらいだ。」

 

 「母さんが俺のことを見てもらうためにいっぱいサポートてくれたし、りう師匠にも会わせてもらってくれたしな。」

 

 「...」

 

 「でも...それでも母さんは......俺を見てくれなかった。」

 

 

俺は自分が思い詰めていることを、氷羅螺に言っているとどんどんと涙が止まらくなってきた。そんな泣いている俺に氷羅螺はそっと俺の頭を優しく抱きしめて自分の胸に当ててきた。 

 

 

 「大丈夫よ。悟。姉さんが貴方を見てなくても私は貴方のこと沢山見てきたのだから」

 

 「...氷羅螺」

 

 

俺は少し驚いていた。いつも丁寧に礼儀正しく俺に接してきた氷羅螺が言葉を崩し抱き寄せてきたのだから

 

 

 「悟。貴方も知っているように私は子を産めない体なの」

 

 

そう氷羅螺は子を産むことができない体であったのだ。それで姉である風舞希は魔防隊の仕事を中心にして、息子の世話は妹の氷羅螺に任せればいいと海桐花から言われ世話係を始めた。

 

 

 「貴方の世話をしていく内に、私は貴方のことを実の息子のように思い始めたの。」

 

 「つ...氷羅螺、お...俺は...」

 

 「大丈夫もう...いいのよ。よく頑張ったね。流石、私の息子」

 

 「う...う...うううぅ!!。母さん!!」

 

 

俺は思いっきり氷羅螺の胸の中で泣いた。今まで気持ちが溢れ、一番言って欲しかった言葉を聞いて様々な感情が一気にこみ上げてきて泣いた。

 

それからしばらくしてから俺は泣き止み氷羅螺から離れた。

 

 

 「ありがとう。氷羅螺、色々と吹っ切れたよ。」 

 

 「うふふ、あらあら『母さん』と言って下さらないのですか?」

 

 「うっ...勘弁してくれ、まだ流石に恥ずい。」

 

 「ふふ、そうですか。」

 

 「...でもこれでわかった。母さん...いや風舞希は、俺を産んだけの生みの親で、氷羅螺は俺を見てくれて愛情を持って育てくれた育ての親で唯一の母だ。」

 

 「これからも色々とあるがよろしく。母さん」

 

 「えぇ、いいつでも頼っていいわよ。悟」

 

 

だが、そんな二人だけの雰囲気をいきなり壊す者が現れた。

 

 

 「遅~~~~~い!!」

 

 「いつまで待たせるのじゃ!!氷羅螺!!悟を呼び出すに何分かかっておる!!」

 

 

そう言って俺の部屋の扉を蹴飛ばして入って来たのは中学生ぐらいの少女であった。

 

 

 「うるせぇな。若作りババア、扉壊すよ。」

 

 「そんなことはどうでもよい!!」

 

 「いや!!よくねぇ!!俺の部屋だぞ!!」

 

 

そう扉を壊して入ってきたのは

 

東家の現当主に魔防隊の総隊長 東 海桐花である。

 

桃の能力は、東の星霜(うたかた)

生命力を操る能力。

他者から生命力を吸い取る事ができ、それを自分に還元することで若返りをしている。 

または、余剰に蓄えた生命力を他者に分けることで治癒などでき、戦闘でも恐ろしく直接摑まれば一気に生命力を吸い取れてしまうほどの効果を発揮する。

それと「溜め」は必要になるが一定範囲内にいる敵と認識した者の生命力を吸い取ることも可能である。 

 

 

 「えぇい!!そんなものは後で直してもらえばよかろう!!今はこっちだ!!早う来い!!」

 

 「ちょっ...ちょっと待て!!ババア!!」

 

 

俺は有無も言わずに、ババアに腕を摑まれて引きずられていった。    

 

 

 

   * 

 

 

 

俺はババアになかば強制的にある場所(・・・・)につれて来られてエレベーターに乗り地下深くに進んでいた。

 

 

 「おい、ババアこんなところに連れ出して今だに何の説明も無しか」

 

 「...まったく、氷羅螺はなんも話しておらんかったようじゃな。」

 

 「あぁ...こっちにも色々とあったからな。」

 

 「まぁ、金庫のあるところに着いたらそこで話すからもうちょっと待つのじゃ。」

 

 「今ここで話すのはダメなのか?」

 

 「ああ...色々と機密があるからの。」

 

 「...わかったけど、早く終わらせてくれよ。俺、ここ嫌いなんだからよ」

 

 「それはお主次第じゃな。」

 

 「俺次第?」

 

 

俺がババアに無理矢理つれて来られた場所は、『陰陽寮』と呼ばれる場所である。

 

政府によって設立され、魔防隊とは別の組織であり、「魔都の存在は国の利益になる」と言う国の方針で決められ、魔都・桃・醜鬼について研究している組織であるが、黒い噂も絶えない組織でもある。

 

 

 「着いたぞ。ここが金庫じゃ」

 

 「...いや、金庫ってよりもシェルターの間違いじゃないのか?」

 

 

俺が来たところ陰陽寮の最下層と言われる場所であり、目の前に途轍もなく分厚そうに見える鋼鉄の扉が目の前にあり、巫女服を着た女性が迎えに来た。 

 

 

 「お待ちしておりました。総組長」

 

 「うむ、すまぬの。...時間は問題ないかの?総理」

 

 「えぇ、こちらも先ほど着きましたので。」

 

 「!!...総理って、マジかよ。」

 

 「海桐花殿、彼が例の子ですか?」

 

 「うむ、こ奴がわしの孫の悟じゃ。ほれお前も挨拶せんか。」

 

 「初めまして総理。東家 長男 東悟です。」

 

 「ええ、今日はよろしくね悟君。」

 

 「...はい」

 

 「挨拶も終わったところで総組長、総理お願いいたします。」

 

 「うむ」

 

 「ええ」

 

 

ひと通りの挨拶が終わったところにさっき女性が二人に声をかけ、ババアは内ポケットから鍵を取り出し、総理は護衛の女性が持っていたブリーフケースの中から鍵を受け取り、少し進んだところの台座に二人同時に鍵を差し回した瞬間目の前の大扉が開く。

 

 

 「何をしておるゆくぞ。悟」

 

 「....ああ」

 

 

俺は金庫の扉が開くのを見ているとババアに言われ、言われるがまま足を進めたが 

 

 

 「ん?空っぽじゃねぇか。」

 

 「奥を見てみよ。」

 

 「奥?」

 

 

俺は金庫の中に入るとそこは暗く何も無いように見えたが、海桐花に言われ奥を見た。

 

そこには、金色に光り輝く桃(・・・・・・・・)が丁寧に置かれてあった。

 

 

 「...金の桃?」

 

 「そうじゃ。この金の桃は今から50年ぐらい前に出張班の者たちが持ち帰っていた希少な桃じゃ。」

 

 「...何でそんな希少で機密性の高い桃を俺に見せるのだ。」

 

 「うむ説明するとだな...」

 

 

ババアが言うには、この金の桃が見つかってから様々な研究を行っていたのが、結局研究してわかったのが男性はもちろん女性も金の桃を食べても能力が発現しないと言うもので、何故か金の桃を齧った部分は再生することがわかった。

 

そして研究がこれ以上のことが分からず、20年ぐらい研究が一時停滞してしまった。

 

そこである事件が起きた。それはある魔防隊の組長が更に力を欲しようと金の桃を食べた事件であった。

 

しかし、その組長は力を得るどころか、破裂して死んでしまった。 

  

それから金の桃に関しての情報は魔防隊の総組長と陰陽寮の一部の関係者と一部の政治家しか知らない。

 

 

 「...で、その話をして俺をここに呼んだことに何の関係があるんだ。」

 

 「結局のところ、男性が普通の桃を食べようが、金の桃を食べようが、能力を得ることはできない。これが結論だろ。」

 

 「うむ、これはわしの勘じゃが、お主なら金の桃を食べてもいけるっと思ったからじゃ」

 

 「勘かよ。良くそれで陰陽寮の連中と総理を説得で来たな。ババア」

 

 「まぁ、そう言わずに一口齧れ」

 

 「...くだらねぇ、結果が分かり切ったこと一々やるかよ。帰るぞ。」

 

 

俺はそう言って振り返り来た道を帰ろうとした瞬間 

 

急に多くの女性たちが囲んできた。その服装は魔防隊の軍服とは、また違う軍服の女性たちであった。 

 

 

 「!!...何だこいつら!!いつの間に...!!」

 

 「フフ、帰ってはだめよ。坊や..」

 

 「...っ!!」

 

 

俺は女性たちに囲まれ、その中央にいる妖艶な笑みで話しかけてきた女性に危機感を覚え咄嗟に距離を取り構えた。 

 

 

 「おや、私の微かな殺気に気づいたの中々やるねぇ」

 

 「おい!!ババア!!何だこれは!!」

 

 「うむ、こ奴らは陰陽寮お抱えの特殊部隊『懲罰部隊』じゃ。」

 

 「『懲罰部隊』?...ちっ、簡単に言えば暗殺部隊みたいなものか!!。」

 

 「まぁ、平たく言えばそうじゃの。」

 

 「この部隊が設立した理由はさっき話した事件が経緯じゃ。」

 

 

ババアは吞気にこの部隊ことを説明しだした。

 

 

 「魔防隊を裏切った者の始末や、他国のスパイの始末など、まぁ表沙汰にできない裏に生きる。非公式の部隊じゃ。」

 

 「...で、何で俺を囲む?金の桃のことを知ったからか?」

 

 「いいや、お主が金の桃を食べぬからじゃ」

 

 「たったそれだけで!!俺を始末するのか!!」

 

 「すまぬな...悟、実はさっきの話に誤りがあるんじゃ。」

 

 「誤りだと?」

 

 「あぁ...実は男が金の桃を食べても桃の力は得ないのはもちろん、桃を食べた男性は死ぬんじゃ。」

 

 「なっ!!ふざけんな!!

 

 「それを知って俺に金の桃を食べさせようとしたのか!!」

 

 「まぁまぁ、落ちつけ悟。何も無いって訳じゃない」

 

 「もし、お主が金の桃を食べて生きており、能力を得ておったら、お主を魔防隊の四番組、組長にする。」

 

 「何?」

 

 「くくく、悪話ではないじゃろ。もちろん組長以外にもお前が望む物も可能な限りを与えよ。」

 

 「ほれ、返答は?」

 

 

ババアは俺に色々と提案してきたがそんなのは決まっている。

 

 

 「断る」

 

 「何?」

 

 

俺は即座にババアの提案を蹴った。それに対してババア眉を潜めた。まさか即答で断られるとは思ってもいなかったみたいだ。

 

 

 「何故じゃ?これ程の好条件じゃぞ。」

 

 「まず、その条件全ては俺が金の桃を食べて生きており、なおかつ能力を得ていたらの話だ。」

 

 「それに男で尚且つ桃の能力を得た者を陰陽寮の連中が見逃さない。俺は実験動物のように弄くる気だろ。」

 

 「...今回の件は、お主にそうはせぬよ。私から強く陰陽寮の者には言っておる。私の大事な孫なのだからな」

 

 「信用できんな。俺のことを思うのなら何故死ぬとわかっている桃を食わせようとする?」

 

 「...それは、」

 

 「もういいでしょうか?総組長」

 

 

俺とババアの話の途中にさっきの女性が入ってきた。

 

 

 「どんなに説得しようとも彼は桃を食べないようですよ。」

 

 「黙っておれ!!十華(とうか)!!まだ終わっておらぬ!!」

 

 「だが、彼はどんなに言っても曲げないと思いますよ。ねぇ」

 

 「ああ、そうだ」

 

 「悟...」

 

 「では、ここからは私たち懲罰部隊の番です。」

 

   

彼女の言葉を合図に俺を囲んでおる女性たちは構え始めたが、まだ攻撃しては来なかった。

 

 

 「最後に聞くけど桃を食べ気あるかい?」

 

 「はっ、お断りだ。...おばさん」

 

 「...そう残念。無理矢理にでも食べさすわ。...彼を拘束なさい!!」 

 

 

 『はっ!!』

 

 「かかってこい!!クズども!!

 

 

彼女は最後に桃を食べることを勧めてきたが、俺はそれを拒み相手を挑発し、彼女の合図で周りに待機してた隊員は一斉に俺に襲い掛かってくる。

俺も負けじと咆え彼女たちに襲い掛かっていく。 

 

 

 




:プロフィール
名前:東 悟
身長:190cm
誕生日:12月7日
見た目は五条悟に似ているが、黒髪で黒い瞳である。
武術をりう師匠から教わっており、彼女の弟子たちと能力あり戦って余裕で勝っている。
 

名前:東 氷羅螺
身長:171cm
誕生日:4月16日 
プロポーションは風舞希と同じだが、対極的で白い髪で青い瞳である。
九番の組員で桃の能力は氷を操る。


名前:十華
身長:185cm
誕生日:3月26日
陰陽寮直属の懲罰部隊の総隊長。
かなりの実力者


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