俺が魔法少女になるんだよ!   作:赤しゃり

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アウトレイジな奴ら ③

「お……ラァ!!!」

 

セキさんが上から降り降ろされた円盤型の籠手を力任せにカチ上げる。

上からの押し込みはかなり重いが、それでもセキさんなら磁力も噛ませて十分押し返せる威力だ。

 

「おい、紫陽! 無事か!?」

 

「へ、い……きぃ……!」

 

『セキさん、変わってほしいっす!!』

 

「待て花子、オレだっていら立ってんだよ!!」

 

紫陽さんの身体はどういうわけか床に固定されているかのように動かせない。

十中八九敵の魔法によるものだろう、先ほどの籠手の重さから考えると思い当たるのは上から押し付けるような力……

 

「……重力、か?」

 

「無礼、無礼が過ぎるぞ赤いの。 我を前によそ見など」

 

背後から再び振り下ろされた一撃を振り返りもせずにセキさんが受ける。

身体は1つでも中身は5人だ、私達の死角はない。

 

「うるせぇよ何様だ、ちなみにオレはオレ様だ。 まずは名乗りやがれよ宇宙野郎」

 

『セキの字、キレるのは勝手やけど冷静さは忘れちゃあかんで』

 

『自分達も出番が欲しいのデスけどー?』

 

『そうよね~一人だけなんて酷い話よね~』

 

「だぁ黙ってろ外野! こいつの相手はオレ一人で十分だよ!!」

 

「王を前に何たる不遜!」

 

憤りを露わにする自称王様が乱暴に鍔ぜりあった円盤を無理やり押し込む。

それと同時に何かを感じ取ったセキさんが転がって避けると同時に、天井の一部がひしゃげて潰れた。

元いた場所を埋め尽くすかのように瓦礫が降り注ぐ、異様なのは鉄筋が埋め込まれた瓦礫が床に叩きつけられて程なく自壊しながら更に沈み込むその姿だろう。

 

「なるほど、逃げ遅れていたらオレ達もああなるってわけか」

 

「ふん、運がいい……だがこれはどうだ?」

 

薄く笑い、相手が円盤をスッと撫でるとベアリング式の外円部が高速で回転を始める。

やがて淵から黒い影が滲みだし、遠心力で弾き飛ばされるとそれは黒い球体となって相手の周囲に浮かび始める。

本体である魔法少女を中心に回転するそれは小さな惑星のようだ。

 

「超重力素子で編まれた魔力の惑星、同じように躱せるとは思わぬことだ」

 

「うるっせぇよ、重力なのか魔力なのかどっちかにしとけ」

 

「その減らず口もここまでと知れ! 我が名は魔法少女ギャラクシオン、偉大なる名を覚えてあの世へぎゃっふん!!」

 

身体に小さな黒球を纏わりつかせて余裕綽々の表情を見せていたギャラクシオン、その背に扉だったものの残骸が衝突する。

ただの残骸なら魔法少女相手にまともなダメージは通らないだろう、だからこそこちらもただの瓦礫をぶつけるはずがない。

 

「――――あら~駄目よ~? 獲物の前で舌なめずりなんて三流のやる事だから~」

 

「う、ぐぐ……き、貴様は……()()!?」

 

 

 

――――――――…………

――――……

――…

 

 

我が相対していたのは赤い特攻服を身にまとった魔法少女だった。

不遜極まりない目つき、片手に握る得物は電気が固まってできた長剣のようなもの。

幻覚などではない、間違えるはずもない、後ろで倒れるアンサーとやらも加勢できるような魔法は持っていないはずだ。

 

なら我の目の前に立つ青い和装の魔法少女は一体どこの誰だ?

 

「ごめんなさ~い、あなたみたいな相手に1vs1で戦えるほど強くはないの、私たち」

 

笑いながら青き魔法少女が振り回しているの……竿だろうか?

長剣と同じく電気を集めて形どった先に、先ほど我の背を強かに打ち付けた瓦礫が電気の糸によって巻き取られている。

魔力を帯びた釣り糸、なるほどダメージを受けた合点がいった、だが所詮一度限りの不意打ち。

 

「小癪な……だが同じような手段が我に通じるとでもへぶへぶあばふぎゃぁん!!」

 

「うふふふ~、誰がルアーは1本だけと言ったかしら?」

 

青き魔法少女が竿を引くと、さらなる衝撃が後頭部を襲う。

サビキ釣りの如くいつの間にか枝分かれしていた釣り糸の先に括りつけられた瓦礫たちによる追撃、2度目の衝撃に思わずもんどりうつ。

 

「で、ごめんなさい聞いてなかったのだけど……同じ手段が、何かしら?」

 

「お、おのれおのれおのれぇー!! 三度目はないぞ釣り人風情がー!!」

 

怒髪天を衝く怒りに身を起こし、さらなる数の黒球を生み出す。

光速で体の周囲を旋回する球体はいわば超重力のミキサー、先ほどのように死角から瓦礫を叩きつけようとこの高速回線の前に塵と砕けるだけの事。

 

「さあ今度こそ消えるが良い! 我が究極にして至高の力を持って……」

 

「あー、まあ的が増えただけデスね」

 

「……は?」

 

次の瞬間、周囲を旋回していた球体が電撃を散らしてはじけ飛ぶ。

1つ、2つ、3つ、面白いほどに弾け続ける黒球はやがてすべてが尽き、無防備な我の姿が晒されてしまった。

 

「下手な鉄砲何とやら、デェス。 チョージューリョクだろうと魔力には魔力を当てれば良いんデスよ」

 

「………………くっ、キサマァ!!」

 

闇雲に手を伸ばし、敵を押し潰さんためにはじめと同じく広域の重力波を放つ。

だがそれが間違いだったのだろう、先ほどまで青かった魔法少女は紫に、更には黄色に色を変えて我へと接敵する。

重力波を放つよりも先に斧を構えて跳躍――――いや、馬鹿め。 空中なら身動きが取れまい。

 

「ふはははは! 捕らえたぞ愚か者め……」

 

……待て、ここからどうする? 我が偉大なる魔法は下方へ押し付ける力、頭上を取られたまま使った所で効果は薄い。

あ、待って、これもしかしてかなり。

 

「ま、まずいのではああああああああああああ!!?!?!!!?!」

 

「今更気づいても遅いわアホンダラァ!!」

 

そして雷のような音と衝撃と共に、我の意識はプツリと途絶えた。

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