二つの世界のウィンリィが入れ替わって、それぞれの世界で頑張る話   作:ウルトラオタク

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今回、原作のウィンリィの優しいところと、肝っ玉が座った男勝りなところを目指して書きました。

そして、原作の旅を経て精神的に成長してるイメージで書いています。


異郷の夢……②

 

結局、エドは何も言わずに行ってしまった。

 

私の知るエドは子供のくせに無理に大人ぶろうとする奴で、どんなに辛いことがあろうと私の前では強がってみせた。

 

でも、あのエドは今にも折れそうなくらい危うげで、私の知るエド以上に等身大の少年に見えた。

 

そして、目の前のアルもだ。

 

私の知るアルはとても穏やかで、繊細な面も持ち合わせていたが、意外にもちゃっかりしていて、さりげなく人を揶揄う強かさを持った、兄同様の芯の強い少年だった。

 

でも、このアルも鎧の姿でもわかりやすいくらい辛そうで、根が大人びた彼よりも幼く見えた。

 

ウィンリィ「アル……何があったの?

 

エドがあんなふうにあんたにあたるなんてただ事じゃない。」

 

アル「…………………」

 

ウィンリィ「……私に言えない内容?」

 

アル「…………ごめん……ウィンリィ……ごめん……」

 

ウィンリィ「無理しないで………とても辛そうなの……十分伝わったから。」

 

今にも折れそうなアルに、無理に聞くのは気が引けてしまった。

 

ウィンリィ「全く……エドったら。後片付けくらいちゃんとしなさいよね。」

 

子供なんだから、と少しだけ文句言いながら私はゴミ袋を拝借し、散らばった飼料をその中に入れていった。

 

流石によその人の家を飼料まみれにしたままにするのは気が引けた。

 

ウィンリィ「取り敢えず、エドを探しましょう。あのバカどこほっつき歩いてるんだか……」

 

ついでに、少し部屋を掃除(後で何かしらの作業をするとのことだから、掃除しないだろうこいつらに代わって申し訳程度だが埃の方も掃除した。)した後、あいつを探すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィンリィ「あのバカ……何考えてんのよ…!!

 

先ほど軍の方へ行って見たが、そこにはマスタングさんとリザさんもいた。

 

マスタングさんは私が知ってるあの人よりもどこか冷たい感じで、リザさんに至っては、私は初対面だと言う。

 

一度、マスタングさんがエド達を国家錬金術師に勧誘しにきた時にリザさんとも会ってるはずなのに……

 

だけど、今はエドだ。

 

先ほどリザさんから聞いたら、エドは先ほどマスタングさんに銀時計を渡して、国家錬金術師を辞めたと言うのだ。

 

なんでも、最近セントラルを騒がしている殺人鬼を探すには今任されてる作業をする暇なんてない……との理由だ。

 

弟の体を戻す為に覚悟を決めたのではなかったのか。

 

いつものガムシャラに突き進むあんたはどこに行ったんだ。

 

………今回、あんた達に何があったのか私にはわからない。

 

聞いても、当事者じゃない私じゃどうこう言えないかもしれない。

 

だけど………あんた達に元の体に戻りたいって気持ちは誰よりも知ってるから……国家錬金術師を辞めることだけは見過ごせない…!!

 

私はエドを探してセントラルの街を駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

エド「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ウィンリィ「!?

 

エド!?」

 

セントラルの軍の方へ向かっていたら、エドの悲鳴が聞こえた。

 

どこから聞こえたのかを探して見たら、大きな冷凍車を見つけた。

 

まさか……!!

 

私は一抹の不安を抱きながらその中へ駆け込んだ。

 

中は冷凍庫なだけありとても寒く、豚肉がぶら下げられていて不気味だった。

 

それでも、エドが心配で私は奥へ進む。

 

すると、金属同士を勢いよくぶつけるような音と気味の悪い笑い声が聞こえてきた。

 

その音の方へ走っていくと、なんとエドがエプロンを着た男に襲われていたのだ。

 

その男は、肉用の包丁を何度もエドに振り下ろしていて、その度にエドの機械鎧とぶつかり、火花を散らしていた。

 

ウィンリィ「エドォ!!」

 

バリー「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ…!!!」

 

エド「うっ……くっ……!!!」

 

いつもの力強さは感じられず、包丁から身を守るので精一杯のエド。

 

私は、たまらず二人の近くまで走り、包丁を持った男の手前にあった豚肉を勢いよく蹴り飛ばした。

 

ウィンリィ「エドから……離れなさいよ!!!」

 

小学生の体では大きな豚肉を勢いよく動かすのは難しいと思ったが、流石に女装をつけて蹴りを入れたら大きく揺らすことができた。

 

バリー「おおっ!!!?」

 

男が豚肉に突き飛ばされて、同時にエドまで男と同じ方向に倒れてしまった。

 

肉切り包丁は弾みで吹き飛ばされたが、エドの右腕の機械鎧にはいつもの錬金術で作られた刃物が付けられている。

 

そして、男は頭をぶつけたのかすぐに立ち上がれず、エドは男の狂気に当てられて怯えている。

 

その後、エドが行おうとした行動に、私は大きく目を見開いた。

 

エド「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

刃物のついた機械鎧が男に振り下ろされようとしている……ダメ……!!

 

ウィンリィ「エド!!ダメェェェェ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカッ…!!!

 

 

エド「どけ……どけよぉぉぉぉ!!!」

 

ウィンリィ「エド……落ち着いて!!

 

もう……大丈夫だから…!!!」

 

私は力の限り勢いをつけてエドに飛びついて、強く抱きしめた。

 

咄嗟に機械鎧の腕と胴体ごと抱きしめた。

 

無理矢理でも、今のエドに刃物を振るわせてたまるか。

 

その思いで、私はエドを抱きしめた。

 

混乱するエドは、私だとわからないのか何度も右手や両足を動かしてもがいていた。

 

右腕に至っては何度も私の背中に叩きつけられているから、とても痛かった。

 

それでも……私は右腕をエドの首に回して、頭を掴むと、より近く抱き寄せる。

 

エドに、人を殺してほしくなかった。

 

その一心で、私はエドに語りかける。

 

エド「うわぁぁぁぁ!!!!!」

 

ウィンリィ「エド…エド…!!!

 

痛かったよね……怖かったよね……!!でも……それ以上は……ダメ……!!

 

あんたの手は……体を取り戻すための……未来を創るためのものでしょ……!!

 

だから……殺しちゃダメ…!!!」

 

エド「あぁ…!あぁぁ……!

 

………あ………

 

ウィン……リィ……?」

 

漸く声が届いたのかな、エドは泣きながら、だけど先ほどの興奮状態が治った小さな声で私の名前を呼んだ。

 

ウィンリィ「漸く気づいたの?

 

…………心配したよ。」

 

エドから体を離すと、涙を流しているのが見えた。

 

機械鎧のリハビリが終わってから、ずっと見ることのなかったエドの涙……それを、こんな形でまた見ることになるとは思わなかった。

 

漸くわかった。

 

このエドは、私の知らないもう一人のエドなんだ、と。

 

だって、私の知ってるあいつと違いすぎるんだから、錬金術師みたいな思考じゃない私でも分かる。

 

だけど……それでもエドであることに変わりはないから笑っていてほしい……確かにそう思った。

 

ウィンリィ「ほら、早く行こう?アルと仲直りしないとね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリー「くっそ………!!

 

ガキがぁぁ……ふざけた真似しやがって………!!」

 

後ろから聞こえる不気味な低い声に振り返る。あの肉包丁の男だ。頭を抑えてるからまだ痛みが引いてないみたいだけど、上半身を起こせるくらいには無事みたいだ。

 

バリー「クソッ…………!!

 

最悪だ……!!冷凍車まで嗅ぎつけてきたこいつを切り刻んでどこかに捨てちまえば俺の正体……バレずに済んだのに……!!!」

 

ウィンリィ「……あんた、なんなのよ。」

 

不思議と、自分でも低い声が出たと思う。

 

人を殺そうとしておいてなんとも思わないなんて……

 

もしかして、エドが探してたって言う殺人犯なの……?

 

バリー「へへへ……可愛いお嬢さんじゃないか……!!俺はバリー………

 

人間を切り分けて殺すのが好きなただの肉屋だよ……!!」

 

バリー…………もしかして、前にリンやアルが会ったっていうバリー・ザ・…………なんとかって名前のやつの事?

 

ウィンリィ「どうしてエドを殺そうとしての……?

 

人間を殺すのが好きだなんて……正気じゃない……!!」

 

バリー「さっき、その国家錬金術師のガキも言ってたっけなぁ……!!

 

簡単な話だよ……!!

 

人が人を殺す理由……それは人は人を殺したいからだ……!!」

 

ウィンリィ「………………!!」

 

バリー「人はどうして戦争で人を殺せるか?

 

なんで自分とは違う、差別している人種の人間を殺せるか?

 

それは人を殺したいって快楽に集約されるんだよ……!!!

 

俺も、喧嘩のはずみで妻を斬り殺した時に気づいたのさ……!!!

 

人間は誰しも人を殺せる……戦争も差別も建前に過ぎないのさ!!!

 

実際、そのガキだってそうだろう?

 

そのガキ、その時で国家錬金術師なんだってなぁ!!!

 

国家錬金術師になった奴は皆、戦場に駆り出され、人間兵器として大義名分のもと人を殺せる!!

 

だからこそそのガキも国家錬金術師の資格を」

 

 

 

ウィンリィ「勝手なことを言うなぁ!!!!!」

 

ズガァァァァァァン!!!!!

 

バリー「ぶへぇぇぇぇぇ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の光景を、エドは目を丸くして、驚愕を隠せずにいた。

 

ウィンリィが、鬼の形相でどこからか出したスパナを振り下ろし、バリーの鼻っ柱をぶちのめしていたのだから。




……シリアス展開から最後の流れ……うまく行ったかなぁ…………

次回は、原作の旅を経たウィンリィだからこそ言える言葉を書きたいと思います!
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