二つの世界のウィンリィが入れ替わって、それぞれの世界で頑張る話   作:ウルトラオタク

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今回の実験用作品は、最後のシーンを書きたいが為に始めました。


異郷の夢……③

ウィンリィ「勝手なことを言うなぁ!!!!!」

 

ズガァァァァァァン!!!!!

 

バリー「ぶへぇぇぇぇぇ!!!?」

 

目の前の男の勝手な言い分に、私は手に持ってたスパナを振り下ろした。スパナが鼻にクリティカルヒットしたことにより、男は白目を剥きながらその場に倒れた。

 

隣で、エドが驚いたような顔をしていたと思う。

 

もうその時点でその男は気絶していたけど、構わずに私は大声で叫んだ。

 

ウィンリィ「エドは………エドはそんなことのために国家錬金術師になったんじゃない!!!

 

腕と足を失って……アルを鎧の姿にしてしまったことに罪悪感を感じて…!!

 

それでも……それでも元に戻るために立ち上がる覚悟を決めて…前に進むために国家錬金術師になったのよ!!

 

あんたみたいなのと一緒にしないで!!!」

 

ふぅ……ふぅ……と、無意識に呼吸を整えようとしたけど、湧き上がった怒りを抑えるので精一杯だった。

 

エドは、ただトリシャおばさまに…お母さんにもう一度会いたかった。それだけだったのに、体を奪われて、弟のアルをも失うところだった。

 

それでも……アルだけでも元の戻そうと、国家錬金術師になることを決意したんだ。

 

機械鎧の手術に耐えて、死ぬかもしれない戦場を経験して、私には一言も言わないけど辛い思いを沢山して……それでもアルと一緒に最後まで命懸けの旅を潜り抜けてきた。

 

その決意だけは…絶対に侮辱させない……私がバカにすることを許さない…!!!

 

エド「……ウィンリィ……もういい……もういいよ………」

 

後ろから、エドが私の右手を掴んだ。温もりを感じる、左手で……

 

ウィンリィ「エド………」

 

振り向いたら、エドは涙の跡が残ってはいたけど、無理に作ったような笑顔を私に向けていた。

 

そして、不意に驚いたような顔をして、また笑う。

 

エド「………!

 

バカだなぁ………なんでお前が泣くんだよ………」

 

ウィンリィ「………!」

 

言われて初めて私は自分が泣いていることに気づいた。

 

……あの時はエド達の代わりに……って言ったけど、今は違う。

 

私が泣く理由………

 

ウィンリィ「バカね………!!

 

半分でも………一割くらいでもいいから………あんた達の辛いって思い、私にも分けなさいよ………!!」

 

………今は、エドの悲しみを少しでも共有したい。

 

大切な幼馴染だから。また、悲しみを乗り越えて、心からの笑顔を見せてほしいから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、あの肉屋の男は逮捕された。

 

エドは、国家錬金術師の試験を勉強していた時にお世話になった家の、妹のように思っていた子を殺されたことから、その男が犯人じゃないかと思い探していてらしい。

 

結局、その女の子を殺した犯人じゃなかったみたいだけど………

 

あと、その女の子のことについてはそれ以上聞かなかったが、もし辛くなったら教えて、と言うだけにした。

 

いつもなら、何も言わないことに関して形だけの悪態を言うけど、このエドに対してはとても言えなかった。

 

私の知るエドは、どんなに辛いことがあっても最後まで体を取り戻すことをあきらずに突き進む、真っ直ぐな奴だった。

 

だけど、このエドは私の知るエドよりも小さく見えて、今にも押しつぶされそうなくらい追い詰められてて、それでも無理矢理に悲しみを押し殺して生きてる、儚い存在に感じた。

 

そして、私はそんな彼にどう言葉をかければいいか分からず、どうすればいいのか迷っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件から暫くした後、私はマスタングさんやリザさんに会いに行った。他の軍の人と一緒の駆けつけて来てくれていたことからそのお礼を言うためだ。

 

そして、エドに銀時計を返してまた国家錬金術師でいられるようにしてくれていた。

 

本当なら、戦争に駆り出されることになるかもしれない国家錬金術師になることは喜ぶことじゃない。

 

だけど、エド達が旅をするにはまだ必要な称号だったから、配慮してくれたマスタングさんには感謝しかない。

 

だけど、マスタングさんは礼を言われるほどのことはしてない、と厳しめにそう言った。

 

このマスタングさんも、私の知るその人と比べて厳格な雰囲気だと思った。

 

私に優しく微笑みかけてくれていたリザさんも、よりキリッとした感じだったし。

 

だけど………ふと見せる二人の悲しげな、だけど私のよく知る二人と変わらない温かい瞳がどこか印象的だった。

 

ウィンリィ「これからも、あいつらのことよろしくお願いします。

 

こんなこと頼めるの……多分マスタングさん達しかいないから!!」

 

前の世界で、2人がお世話になったこともあって、私はそう伝えた。

 

その言葉にマスタングさんとリザさんは一瞬驚いた顔をして、だけど、少しだけ嬉しそうに微笑みながら見送ってくれた。

 

2人に会えたことは嬉しかったけど、ヒューズさんはすでにセントラルを離れていたため会う事は叶わなかった。

 

残念だなぁ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼンブールへ帰るために私は汽車の前に立っていた。

 

エドとアルも見送りに来てくれているが、二人ともとても暗い雰囲気だった。

 

少しでも、元気を出してほしい。私はそう思い、いつもばっちゃんが言ってた言葉を言う。

 

ウィンリィ「私もばっちゃんも二人が元の体に戻るのをいつでも待ってるからさ、たまにはご飯を食べに帰って来なさいよ。」

 

いつもなら、へいへい、と面倒くさがりながらも、どこか嬉しそうに返すのがエドだ。

 

だけど、エドは何かを決意したような顔をして、はっきりと言った。

 

エド「俺達は…帰らない。」

 

ウィンリィ「……え?」

 

エド「あの時………家を燃やした時からもう帰らないって決めたんだ。

 

もう……帰る場所はない………」

 

………何よそれ。

 

帰る場所はもうないって……なんでそんなに悲しいこと言うのよ………

 

何でもかんでも自分たちで背負い込んで……!!

 

こっちの気も知らないで…!!!

 

ウィンリィ「………もう……帰るつもりもないの……?」

 

エド「……ああ。

 

もう後戻りしないって…決めたんだ。もう俺達の家はどこにも……」

 

ウィンリィ「嫌よ。」

 

エド「…………は?」

 

ウィンリィ「そんなの、私が嫌!!!」

 

私は、荷物を置いて二人の前に立つ。

 

エドとアルが、なんだか親に叱られる子供のように怯えてるように見えたけど、構わない。

 

ウィンリィ「アル、悪いんだけどちょっと屈んで!」

 

アル「えっ……どうして…」

 

ウィンリィ「いいから屈む!!」

 

アル「はい!!」

 

アルが慌てて屈むのを見ると、私は両腕を力一杯広げて、

 

二人の首に回しながら強く抱きついた。

 

エド「ウィ……ウィンリィ………!?」

 

アル「ど………どうしたの…!!?」

 

二人が驚いてるけど、私は返事せずに、言いたいことを言った。

 

泣き声になってたと思うけど……頑張って言った。

 

ウィンリィ「……がう……!!!

 

後戻りしない……ことと……帰る場所が……ないことは……違う……!!!」

 

エド「ウィ………」

 

ウィンリィ「何もないみたいに……言わないでよ……!!

 

私だって……キョウダイじゃないけど……!!あんた達の家族だよ……!?

 

あんた達が大事なんだよ……!?

 

あんた達が良くても………!!あんた達がいない未来なんて……私は嫌………!!!」

 

エド「………!!!」

 

ウィンリィ「何年掛かったって良い…!!ヨボヨボのお爺ちゃんになるくらい時間が経ったっていい…!!!

 

あんた達の為なら私もなんだってするもん…!!あんた達の重荷……一緒に持てるくらいには弱くないもん……!!

 

だから………エドもアルも元の体に戻って帰ってきてよ…!!」

 

 

 

 

 

この二人が、私の知らない二人がどんな旅をしてきたのかわからない。どんな思いをしてきたのかわからない。

 

だけど、二人だけで全部背負い込むのは間違ってる……!!

 

だから、私は言った。世界が違っていても、変わらない願いと言う名の欲を。

 

 

 

 

 

 

 

エド「………簡単に言いやがって……俺だって……俺だってできるならそうしたいよ……!!

 

 

だけど……だけど……俺はもう………!!!」

 

ウィンリィ「……それに……2人の願いはもう2人だけのものじゃない…!!」

 

エド・アル「えっ…?」

 

ウィンリィ「わからなくても良いから聴いて……!!

 

まだわからないかもしれないけど………これから沢山の出会いが二人を待ってる……!!

 

その人達はきっと……二人が元の姿に戻ることを一緒に願ってくれるから……二人を支えてくれるから……!!!

 

その人達の思いに応えるためにも必ず……必ず全部取り戻して帰ってきて……!!!

 

私も、二人が望むならそばで支えるから……!!」

 

エド「…………………ウィンリィ。汽車がもう出る。だから……」

 

ウィンリィ「うん…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

………バカだな、私は………

 

この二人が、私の知る二人ではないって気づいてるのに………全く同じことが起こるとは限らないのに………

 

変なやつって思われちゃったかな……何言ってんだこいつって思われちゃったかな………

 

後から自己嫌悪のような感情に襲われながらも荷物を持って、汽車に乗った。

 

二人に背を向けて、そのまま奥の方へ進もう。

 

そう思った時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エド「…………ウィンリィ!!」

 

ウィンリィ「………!!」

 

振り返ると、エドが、泣きそうな顔で…下手くそな笑顔を浮かべながら私を見てるのが見えた。

 

どうしたのかな……と思ってると、エドは言葉を紡ぐ。

 

エド「俺たち自身さ……!!これから何が起こるのかわからない……!!

 

そんで、どう変わってくかわからない……!!

 

だけどさ……!!お前がバリーの奴に怒ってくれて……そんで、俺達に帰ってきてほしいって言ってくれて……すげえ嬉しかった…!!

 

元気出た……ありがとうな…!!」

 

ウィンリィ「…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バカ………だったら、もっと嬉しそうにしてよ……そんな無理して作ったのじゃなくて……

 

もっと、絶対に帰ってくるって真っ直ぐに笑いながら言ってよ……!!

 

ウィンリィ「信じてるから……!!私、二人が戻るのも、帰ってくるのも信じてるからね!!!

 

もし、旅が終わった後も帰って来なかったらスパナなんだからね!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後に、汽車のドアが閉まり、駅を離れて行った。

 

ウィンリィ「絶対だよ………絶対なんだから………!!!」

 

私は、ドアに額をつけながらそう呟いた。

 

どこの世界の二人でも、最後には戻って帰ってきてほしい…そう思わずにはいられなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エド「バカだな……自分のことみたいに泣きやがって………」

 

アル「だけどさ、兄さん………僕、鎧の体のはずなのに、なんだか温かい気持ちになったよ。」

 

エド「………そうか。」

 

アル「それと……なんだかウィンリィが、昔よりも大人なお姉さんみたいに感じたけど、気のせいかな……?」

 

エド「……わかんねえ。

 

だけど………すごく温かかった。

 

どうしてわからなかったんだろうな。………あいつが、俺たちが元に戻るのを誰よりも信じてくれてること………」

 

二人がそんな会話をしていたことを、私が気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィンリィ「…!!

 

ここ……どうして私……汽車で寝てたはず……

 

 

 

……!!?背が……胸も……!!戻ってる…!!」

 

目が覚めると、私は元の姿で、ベッドの上にいた。

 

カレンダーを見ると、私があの夢の世界にいた時から時間が過ぎていないことがわかった。

 

……すごくリアルな夢……だけど、もしかしたら歩んでいたかもしれない、エドとアルの姿を見ることになるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィンリィ「………あれ?私……なんで泣いてるの………?」

 

 

 

 

 

 

 

夢から覚めた私は、なぜか寂しかった。

 

 

もう二度と大切な人に会えないような、そんな喪失感が胸の中で暴れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下に急いで降りて、リビングで寝起きのままエドと対面して、お互いに涙を流しながら抱きしめ合うまで数十秒前……

 




ものすごく駆け足で申し訳ありません……


取り敢えず、次回で最後です。

………上手くまとめられたら良いな……
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