アラサーおっさんが剣と魔法の異世界を精神コマンドで攻略する(お試し短編版)   作:サクラ井ムツキ

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※版権キャラは出てきません、スパロボのシステムを異世界転生用にアレンジして冒険するお試し短編です。ハーメルンのシステムは把握するためのテスト投稿も兼ねていますのでご了承下さい。


0001話:異世界をひらめきと根性で切り抜ける(始まりの草原)

駒形(こまがた)番太(ばんた)さん、これから貴方は私が与えたスキルで剣と魔法の世界"コフラスワールド"を生き抜いてください、それではお達者で」

 

 腰に届くほど長くて美しい金髪の女神としか言いようがない美女にそう言われて気づいたらだだっ広い草原に俺はいた。昨日は新作のスパロボが発売されたばかりでずっと徹夜でやり込んでいたが、眠気に勝てなくなってエナドリをがぶ飲みして心臓が急に痛くなったのが最後の記憶だ。

(ひょっとして本当に俺は徹夜とエナドリで35歳の人生にとどめを刺して、あの美女が女神様で異世界転生させられたのでは?)

 突拍子もない考えだが山ばかりの日本ではお目にかかれないほど何処までいっても平原なのだ、アスファルトの道路や電柱などの文明を感じさせるものが何も無いのがここを異世界と思わせるのに十分だった。

 

「試しにやってみるかステータスオープン」

 ネット小説のお決まりのセリフを口にすると何もない目の前の空中に半透明のタブレットのようなウインドウが浮かび上がった

 

 

名前:バンタ・コマガタ

種族:ヒューマン

職業:迷い人

年齢:35

性別:男

 

 

LV:1

HP:500/500

MP:30/30

SP:100//100

EXP:0/500

 

腕力:8

頑強:7

敏捷:7

技量:6

運勢:1

魔力:1

 

スキル

健康

翻訳

アイテムボックス

マップ

 

ユニークスキル

精神コマンド

能力養成

修理

補給

 

 ざっと上から目を通すが種族のヒューマンはなんだろうと思ったらさらに詳しい解説が別ウインドウで表示された、どうやらコフラスワールドの一般的な人間種族の一種らしい。じゃあエルフとかいるんだろうか?。職業の迷い人も間違っていないが地球のフリーターとか書かれてもしょうがないが。

 

 次にステータスの数値だが、平均と比べて高いのか低いのかわからないがSPという項目とその下にある精神コマンドというスキルにひょっとしてという思いが募り先に見たくなるがまずは健康を調べると腐った食べ物や生水等の弱い毒を無効にし、コフラス特有の病気に強くなるようだった。

 

 翻訳はコフラスでの会話だけでなく読み書きにも対応し、アイテムボックスは自分で倒した相手なら自動で戦利品を回収する機能が付いている、マップには近場を移す周辺マップと全体マップの二種類があり、それによるとここは"始まりの草原"と呼ばれている場所で、全体マップはまだ行っていない場所は表示されていないが、北の方向に始まりの街"スタートス"という場所があるのを教えてくれた。

 

 立っていても時間がもったいないのでスタートスを目指しながら精神コマンドの詳細を見ていくとひらめきや必中などスパロボでおなじみの精神コマンドが並んでいた、流石に1ターンの間が10分等の現実的?な内容に変更されている。しかも驚くことに6種類どころかシリーズ全ての精神コマンドがあるんじゃないかと思うぐらい沢山並んでいる。どんな攻撃も一度だけ必ず回避する"ひらめき"と一度だけどんなダメージも最低数値の10に抑える"不屈"、2つのメジャーな防御系コマンドを試しに使おうと思いながらステータス画面を指でタップしようとしたら、現在使用中の精神コマンドというウインドウが別に出現してひらめきと不屈が使用中なのがわかる。どうやらステータス画面を操作しなくても念じるだけで発動出来るらしい。

 

 2つのコマンドの消費SPは共に10なのでSPの表示が80/100になっていた。SPの項目を注視してると「50秒後にSP5回復」という表示が追加で現れ、50の数値がドンドン減って回復までの時間をカウントダウンしてくれている。精神コマンドは大体わかった、次は能力養成を見ようと思った時だった。

 

「ええい、ゴブリン共、アッチへ行け!」

前方が小高い丘になって先のほうが見えなかったが丘の向こうから人の声が聞こえてきた、日本語ではないがスキルのおかげで日本語のように聞こえる。精神コマンドに夢中になって見ていなかった周辺マップウインドウを見ると白い点が3つとソレを囲うかのように赤い点がいくつもある。

 

 丘の頂上に上がると子供のような背丈と緑色の肌に、短い一本角のゴブリンとしか言いようがないモンスターが幌馬車を囲んで石を投げたり棒切れを振り回していた。視界にゴブリンを捉えたためか"敵部隊一覧表"というウインドウが現れて合計10匹のゴブリンの存在を教えてくれる。レベルはほとんど1だが1匹だけレベル5のボスクラスの奴が居て、他が棒切れの中サビついてはいるが片手剣を振り回して後方から言葉にならない声を叫んでる。どうやらモンスターに翻訳スキルの効果は適用されないらしい。幌馬車の御者台には中年男性が片手に手綱を持ち、片手に槍を持ってゴブリンを牽制しているが、駆け足ぐらいの速度しかでない幌馬車を引くロバの足に限界が見える。

 

(まずは偵察でゴブリンのステータスを確認だ)

 今すぐにでも飛び出したい気持ちを抑えて丘の上から身を隠しながら様子をうかがう、素手の俺が無策のまま行ってもたいした戦力にはならないだろうし今は相手の力量と自分のスキルを把握すべきだ。敵のステータスを表示する偵察の消費SPは1で10匹全部だと10だがSPは全回復していたのでHPを把握するためにも10消費する。

 

SP:90//100

 

 ゴブリンのHPを見ると軒並み80や70の100未満のザコばかりだがレベル5のボスだけ120と少し高い。俺は戦闘に向いてそうな精神コマンドと残りSPを考えて最適な精神コマンドの候補を考える。

 

「いやああ!!助けてええ!」

 若い女性の叫び声が聞こえてよく見ると幌馬車の後ろにゴブリンが飛び乗って、10代後半ぐらいの少女がカバンを振り回してゴブリンを幌馬車から落とそうとしている。今すぐにでも救出しなければ丘の上からでは間に合わないだろう。

 

「コレでも喰らえゴブリン共"激怒"!!」

激怒は消費SP70で敵全てに10~1000のランダムダメージを与える精神コマンドだ、スパロボではダメージ量は微々たるもので、攻撃を加えることでマップの奥にいる動かない敵を動かすのが実際の使用目的だがHPの低いゴブリン共には効果てきめんで何処からともなく小さな雷が落ちてレベル1のゴブリンは全て黒焦げになって撃墜される。残ったのはレベル5のゴブリンだけで運良くHPが10だけ残っていた。

 

(確実に倒したいがもう激怒は使えない、だったら"加速"だ)

丘の上から駆け下りながら消費SP5の加速を使って俺は幌馬車の前に急接近する。本来は移動力を3~5マス増やす効果だが、この異世界用に一瞬で30メートル以内の距離を移動するという効果に変わっていた。ボスゴブリンが焦げた体をコチラ向いて片手剣を振りかぶる、正直怖いが正面に立って身構えると戦闘開始前ウインドウが出て相手の命中率は0%、コッチの攻撃は100%で当たって撃墜可能の文字まで浮かんでるので遠慮なく前に出て握りこぶしを振りかぶる。

 

「ギギー!!」

 ボスゴブリンが片手剣を振り回すが俺の体が勝手に動いて回避する、そして攻撃を外した無防備なボスゴブリンの顔面に握りこぶしを叩き込む。変な声を上げながらボスゴブリンは後ろに倒れ込んでピクピク体を震わせたと思ったらまったく動かなくなった。

 

「いやあ助かりました、あの雷は魔法ですか?」

 御者台から中年男性が降りてきて話しかけてくる、なんと答えようか迷っていると荷台から少女も降りて来る。

 

「あ、申し遅れましたが私は行商人のブライアン、コッチは娘のリーザです」

「本当に助かりました、ゴブリンが荷台に登った時は死んじゃうかと思いました」

 ブライアンは少し太めだがリーザはほっそりしてスマートな見た目だ。

 

「えっと俺の名前はバンタです、さっきのは俺のスキルの一種ですね」

 偵察でブライアンのステータスを覗くと鑑定というスキルがあったのでスキルを話題に出すのはおかしくないと思い話題に出す。

 

「バンタ様ですか、もしスータトスに向かうのでしたら私の幌馬車で送りますよ、是非我が家で助けていただいたお礼がしたいのです」

 お礼……どうせ街に向かうのは同じだしお礼があるなら受け取っていこうと思い俺は了承の返事をする。

 

「申し訳ありませんがその片手剣以外は置いていきましょう、ゴブリンは素材にはなりませんし討伐証明以上のお礼は必ずしますのでよろしければ荷台に乗ってお待ち下さい。ロバが少し傷ついているのでポーションで回復させますので」

「ポーション?良かったら俺のスキルで治してみましょうか?」

 ボスゴブリンの側に鞘も落ちていたので片手剣を拾って持っていたがゴブリンの死体は捨てておこう。それよりポーションがもったいないと思ってアチコチに傷があるロバに触れて修理コマンドの使用を意識する、するとロバと幌馬車が淡い光に包まれてロバどころか穴の空いた幌部分などが直っていき、修理コマンドに再使用まで後1分と表示が出ていた。

 

「幌馬車ごと直しちゃうなんてスゴイ!バンタ様は何者なんですか?!」

 目を爛々と輝かせてリーザが俺に詰め寄る。

「アハハ、馬車の中でゆっくり話すよ、ちょっと俺もわかってない部分があるからね」

 そうですねと言いながらリーザが俺の手を取ってはしゃぎながら幌馬車に向かう、女の子に手を掴まれるなんて初めてだから俺は少しドキドキしながら幌馬車に乗り込んだ。ゴブリンを倒してレベルアップしたステータスを確認したいがリーザに見られてて腰を据えてじっくり出来そうにない。ワクワクして色々聞きたそうなリーザに何を話して何を隠すべきか考えながら俺は荷台の中に座り込んだ。




2023.09.18
1:感想で指摘のあった文章ソフトが自動挿入していた改行を削除。
2:ボロパスワールドをコフラスワールドに変更。
3:片手剣を拾ってその他を放置する描写を追加。
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