過酷な世界でヒスりたくない   作:腹切りたい焼き

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早く投稿出来ました(当社比)

感想の返信にてブルアカふぇす始まる前にと言ってましたが、私のブルアカふぇす参戦は明日なので実質セーフ。
ということで勘弁してください。

今回は番外編的な話4話となります。
本当であれば本編で描写したかったのですが、私の遅筆と冗長になってしまうためこのような形式に分けました。
今後も本編で書くには短かったたり入れづらかったりするものはこういう形式で描写しようと思います。

また1月下旬から仕事が忙しくなり、最悪28連勤になりそうなので次回投稿は確実に遅れると思います。

2/21追記
【夢の中のお茶会】のモザイクの中のセリフと一部セリフの言い回しを変更しました。


10.四方山話 ゲヘナ学園編

【教室での日常】

 

「カナちゃん、はろはろ~!」

 

「おはよう、カナタ」

 

 

 朝教室へ入ると、隣の席である夜桜(よざくら)キララとその近くの席の旗見(はたみ)エリカが気付き挨拶をする。

 

 2人とは復学してから知り合ったんだが、男子生徒(珍生物)に周囲が遠巻きに見ている中夜桜が話しかけてきてそのコミュ力を前にあっという間に仲良くなってしまった。

 

 …これが距離感が近くて優しいギャル。前世で都市伝説扱いされてるだけあって、オレじゃなきゃ勘違いしてたね。恐ろしい生物だ。

 

 

「おはよう。夜桜、旗見」

 

「今日もお疲れだね」

 

「あーまあ。泊まりだったからな、昨日」

 

 

 昨日は万魔殿から押し付けられた書類を処理するために泊まりで対応していた。

 

 まあまあ量ある上に期限も今日の朝まで押し付けられたのが昨日の昼間とかいうクソスケジュール。空崎委員長にバレるとまた巻き取るだろうから天雨行政官と結託して仕事があること自体を隠蔽し、2人でキレながら徹夜でなんとかした。お陰で2時間ぐらいしか寝てない。

 

 やっぱ風紀委員会ってブラックだわ。半分ぐらい万魔殿のせいだけど。

 

 

「…一応だけど、朝ちゃんとシャワー浴びてるし服も新しいのにしてるからな」

 

「別に気にしてないよ。それに…うん、いい匂いするし!」

 

 

 なんでわざわざ近付いてオレの臭いを嗅ぐんだコイツ! 近寄るな勘違いする! てかお前の方がいい匂いだろうが!

 

 視線で旗見に助けを求めると、困ったように笑いながら引き離してくれた。

 

 夜桜に悪気がないせいで正面から言いづらいしどっちかというと悪いのオレの方だし、なんとなく察してくれてる旗見にはいつも助けられている。

 

 

「ほら、カナタ困ってるから」

 

「えー。でも、いい匂いだよ。なんかシトラスっぽい感じの!」

 

「…確かにそうだね。シャンプーっぽくはない感じ」

 

 

 引き離されても食い下がる夜桜に同調して、今度は旗見もオレの臭いを嗅ぎ始めた。

 

 勘弁してくれと思いつつ、匂いの原因についても思い当たることがあったので距離を取りつつ仕方なく答える。

 

 

「多分ファブリックミスト。風紀委員やってるとどうしても硝煙臭くなるから使ってんだ。いつもは夜かけてるから匂いも薄くなってるんだけど、今日は朝かけたから多分残ってるんだと思う」

 

「あー、気にする子多いもんね。でも、カナタってそういうの気にするタイプだったんだ」

 

「そーだよ! だってほら、カナちゃんって爪いつも綺麗だし眉毛とかもちゃんと整えてるし。ほら!」

 

「本当だ。爪綺麗だね」

 

 

 今度は手を取られ、旗見の目の前までに持ってかれて観察される。

 

 …なんとも居心地が悪い。HSSのせいである程度距離感を意識しているせいもあって、相手からグイグイ来られるとどう対処したらいいか分からない。

 

 2人が苦手ってわけじゃないけど、シチュエーション的に()()ものがある。

 

 まあ、こいつらがそういう気がないのは分かってるし。興味が向いてるのはオレの爪。意識するだけ無駄だ。

 

 

「まあ、最低限身形は気にしてるから」

 

 

 キヴォトス自体女ばっかりだし、そんな中で身形を整えないのはかなり厳しい。

 

 髪の毛がボサボサとか無精髭とか爪に噛んだ形跡があってボロボロとか。そういうファッションもあるんだろうけど、一般的に清潔感のない格好は一緒にいることすら忌避される。異性が相手だと猶更。

 

 嫌な話、相手がそれを許容して一緒にいてくれても周囲から後ろ指を指される。そのとき誹謗中傷されるのは自分だけじゃなくて、一緒にてくれる相手もだ。

 

 人間なんてつつけるものがあればつついて嘲る生き物だ。腹の内で何考えてるかなんて、例え血の繋がった家族でさえ分からない。

 

 だからこそ、身形は分からないなりにしっかりしているつもりだ。それで銀鏡とか陸八魔とか、一緒にいてくれる奴らを馬鹿にされるのは我慢ならないしな。

 

 ……まあ、それ以外にも理由はあるんだけど。

 

 

「トップコートどこの使ってるの?」

 

「今はサミュエラ*1使ってる」

 

「サミュエラ!? マジで!?」

 

「貰い物でな。いつもはもっと安いの使ってるぞ」

 

「今持ってる? 見せて!」

 

 

 高級ブランドのせいで食い気味で言われ、カバンの中からポーチを取り出してその中からサミュエラのトップコートを渡す。

 

 すると夜桜がでかい声で言ったせいか、化粧品に興味を持つ他のクラスメイトも集まり出す。

 

 

「うわ、本当にサミュエラだ。これ高いんだよね」

 

「ねね、ちょっとだけ使わせてくんない?」

 

「バカ。高いんだから止めなって」

 

「オレの使いかけでもいいなら別にいいぞ」

 

「マジで!? ありがと!」

 

「私も使いたい! ちょっとマニキュア落としてくる!」

 

「1限始まる前には戻って来きなよー」

 

「あ、カナちゃんもこの化粧水使ってるんだ。これいいよね!」

 

「分かる。値段の割に結構いいよな」

 

「乳液とかクリームまで持ち歩てるの?」

 

「勝手にポーチん中まで見んな。昨日泊まりだったから、一式持ってきたんだよ。1日やらないのも気持ち悪いし」

 

「美容は1日にしてならずだからね──」

 

「いったいどこ目線なのよ…」

 

 

 結局1限が始まる直前までクラスメイトとの会話が続き、昼休みや放課後も美容トークに花が咲いた。

 

 お陰で前よりクラスに馴染むことが出来たけど、夜桜のせいでカナちゃん呼びで定着して複雑な気持ちになった。チクショウ。

 

 

 

 

 

【丹花イブキは可愛い後輩】

 

「あっ! カナタ先輩だ!」

 

 

 昼飯を食って風紀委員会の部室へ戻る途中、中庭を通ると快活な声で呼ばれた。

 

 聞き覚えのある幼げな声にそちらを向くと、イブキが手を振りながら小走りで近付いて来る。

 

 

「こんにちは、イブキ」

 

「こんにちは!」

 

 

 元気に挨拶を返してくれたイブキの頭を軽く撫でた。

 

 イブキとはあれから何度か会っていて、幸いなことに見かければ声を掛けてくれるぐらいには懐かれている。そのときから苗字呼びではなく名前で呼んでほしいと言われ、断る理由もないので今は名前で呼んでいる。

 

 風紀委員会と万魔殿という立場はあれど、子供に対して政治的対立を持ち出す程オレも下種じゃない。

 

 交友関係に口出すつもりはないのか羽沼マコトも何も言ってこないし、悪い影響を与えないよう先輩として接している。

 

 

「何か描いてたのか?」

 

「うん。この前の猫ちゃんがいたの!」

 

 

 イブキの手にスケッチブックがあったので訊くと、さっきまで描いていたらしいページをこちらへ向けた。

 

 クレヨンで描かれている三毛猫の絵は模様など特徴を捉えていて、素直に感心する。

 

 これで数学も得意だし、天才児というと安っぽいけどポテンシャルの違いを感じた。

 

 …前に数学教えてもらったときはなんとも言えない気持ちになった。もっと勉強しよ。

 

 

「おお、上手だな。あの猫元気だった?」

 

「うん! でも、もう校舎の方にいっちゃった」

 

「一目見たかったけど、元気そうなら良かった」

 

 

 正直また脱走したのかと思いつつ、元気そうなのを聞いて安心する。

 

 車に撥ねられて、ってこともあるし無事なら良かった。

 

 

「他にも描いたんだよ!」

 

 

 そう言ってベンチの方に腕を引っ張られ、他のページに描かれた絵も見せられる。

 

 部室に戻って書類の続きやりたいんだけど、休憩時間が終わるにはまだ余裕があるし袖にするのも悪いのでタイミング見て戻るか。

 

 ベンチに座り、その隣に座ったイブキからスケッチブックを受け取って1枚ずつ捲っていく。

 

 犬に猫といった子供らしいものから、羽沼マコトや棗など万魔殿のメンバーの似顔絵が描かれている。どれもクレヨンで描かれていて、だけど特徴をしっかりと捉えている上手な絵だ。

 

 描かれている絵に対して1つずつコメントしつつどこで描いたとかのエピソードを聞きながらゆっくり見ていく。

 

 …こうして見ると、羽沼マコトもイブキに対してはいい先輩のようで楽しそうに描かれている。その5パーセントでも風紀委員会に優しくしてくれればいいんだけど。

 

 そうしてイブキの絵を見ているが…さっきから視線を感じる。

 

 チラチラ見ている感じじゃなくてがっつり見られてる感じだけど、中庭にいる生徒からはそういう素振りをしているのはいない。殺気はないから大丈夫なんだろうけど、いい気持ちはしない。

 

 ふと視界の横でチカッと光を反射した。そこか。

 

 制服の胸ポケットから寮の鍵を取り出し、ダーツのようにやや離れたところの茂みに飛ばした。

 

 

「痛っ!」

 

 

 するとヒットしたようで、茂みから軽い声が上がる。

 

 そちらの方を睨むと観念したのか、おでこを押さえつつカメラを持った元宮が茂みから出てきた。

 

 

「いたた…。バレちゃったか」

 

「チアキ先輩!」

 

 

 …とりあえず変な輩じゃなくて良かったけど、万魔殿からの監視か?

 

 まあ、監視が付くのは仕方ないけど。

 

 

「なんでそんなとこに潜んでんだよ」

 

「イブキちゃんのベストショットを逃すわけにはいかないからね!」

 

 

 ふふんと胸を張る元宮の頭にもう一撃入れてやろうかと思ったけど、イブキの教育に悪いので息を吐いて我慢する。

 

 とりあえずぶつけた鍵を元宮に持ってこさせた。

 

 

「写真撮るならせめて許可取れ。取り締まるぞ」

 

「イブキちゃんピース!」

 

「ピース!」

 

「カナタ君も~?」

 

「ピース──って聞けや」

 

 

 つい流れで写真を撮られたけど、誤魔化されねぇからな。

 

 

「仕方ないな~。後で写真あげるから」

 

「い──まあ貰っとく…」

 

 

 イブキの手前、写真いらないとは言えず貰うことにした。

 

 断って「イブキ(自分)と一緒に撮った写真なんかいらない」なんて捉えてしまったら悪いし。

 

 それにしても話を聞け。理性飛んでんのか。バーサーカーか。

 

 話の通じなさに頭が痛くなってると、学園のチャイムが鳴り始めた。

 

 不味い。書類はともかく、この後会議あるんだよな。

 

 

「ごめんなイブキ。これから風紀委員会に戻って仕事の続きしなきゃいけないんだ」

 

「カナタ先輩、行っちゃうの…」

 

 

 悲し気に言うのでちょっとだけ罪悪感が生まれるけど、すっぽかすわけにもいけない。

 

 

「ごめんな。また今度、一緒に見てもいいか?」

 

「うん、約束だよ!」

 

「元宮、悪いけどイブキのこと頼むわ」

 

「うん、任せて」

 

「ありがとな」

 

 

 お礼を言ってから、風紀委員会の部室へ向けて走り出す。

 

 背後から「お仕事頑張って!」とイブキの声を受け、少し振り返って手を振ったりしていたけどなんとか会議には間に合った。

 

 まあ書類の処理が後回しになったので、その日は空崎委員長と天雨行政官の3人でまた残業する破目になったけど。

 

 そこに元宮がさっきの写真を渡しに来て、天雨行政官に万魔殿との繋がりを疑われて詰められたのは別の話。

 

 

 

 

 

【カナタも男の子】

 

「なんだ、これは?」

 

 

 自室で床に正座させられたオレに銀鏡が()()を目の前に突き出す。

 

 『魅惑の手ブラジーンズ~クール系美女編~』

 

 そう銘打ち、目付きの鋭い美女が手ブラジーンズ姿の表紙を飾る雑誌は──紛れもなくオレが持つエロ本だった。

 

 風紀委員会の仕事が長引き、銀鏡が先に寮に戻ってご飯を作ってくれるというので鍵を渡してオレが戻ると不機嫌な銀鏡が玄関で仁王立ち。手洗いうがいの後、着替えもそこそこに正座させられて今の状況だ。

 

 恐らくは、オレの失態。そのエロ本は見覚えがある。昨日買って使()()()奴に間違いない。

 

 使った後──確か机の上に置いて寝た。翌日銀鏡が来る予定はなかったし、後で片付けようと思ったんだ。仕事してたせいですっかり忘れてた。

 

 

「『魅惑の手ブラジーンズ~クール系美女編~』、だな」

 

「読み上げろとは言ってないだろ!?」

 

 

 言い逃れは出来ないと悟り、正直に打ち明けたけどキレ気味にエロ本を床に叩きつけられる。

 

 

「ああっ!」

 

「ああっ、じゃない! 大体、その…そういうの苦手じゃなかったのか!?」

 

「? いや、別にそんなことないぞ。オレが嫌なのは知り合いでヒスることであって、まあ……そっちの欲がないわけじゃないし」

 

 

 そもそもの話、ヒステリアモードになれるということは性欲があるってことだ。

 

 そして今は思春期真っ盛りのこの体。周囲が何かと美少女美人揃いな上バカみたいな服着てるの*2がいたり距離感近いの*3がいたりと、そういう方面では大変よろしくない環境である。

 

 そんな環境で煩悩を払って我慢するなんて出来るはずもなく、健全な範囲で処理しているのだ。

 

 

「それにだ。知り合いとかで考えるんじゃなくて、本とかだから健全だろ? 変に我慢して不純異性交遊するよりはいいと思うんだ」

 

「確かにそれはそうなんだけど…」

 

 

 優しく、正論であるかのように言いくるめを始める。

 

 銀鏡は真面目だから、多少アレでも筋が通ってれば言いくるめられるチャンスは大きい。

 

 

「──って、そもそも学生が18禁持ってちゃダメだろ!」

 

っち

 

「舌打ちしたな!?」

 

「気のせいだろ」

 

 

 根本的なところに気付きやがったな。

 

 そもそもこのエロ本の入手経路は一般の書店じゃなくてブラックマーケットだ。一般の書店でも買えるけど、品揃えとかで考えたらやっぱりブラックマーケットの方が多い。

 

 ちなみに電子書籍を買わないのはクラッキング対策だ。万が一クラッキングされて性癖ばら撒かれるのも嫌だし、今じゃ明星ヒマリに見張られてる可能性もあるからデータで残せない。正直データの方が都合がいいんだけど、性癖暴かれるよりはマシだ。

 

 

「それにて、てぶ──こんなのアブノーマルだろヘンタイ!」

 

「──ちょっと待った」

 

 

 どうにかやり過ごそうと頭を回していたけど、銀鏡の発言でスッと頭が冷える。

 

 これだけはどうしても言わなければいけない。

 

 

「手ぶらジーンズは一般性癖だ」

 

「大声で何言ってるんだお前は!?」

 

 

 銀鏡は否定したけど、これだけは譲れない。

 

 手ぶらジーンズとは、上半身は裸で胸を隠し、一方下半身はジーンズという露出はないがヒップラインが出てエロティックも表現出来るという二刀流のフェチズムだ。

 

 上半身は裸ということもあり、分かりやすく目が行く。手ぶらは軽く乳首と横乳を隠すだけでもいいが、思わず隠す力が力んで胸の形が変わっているのも実に良い。出来れば両腕じゃなくて片腕だけで隠してもらえると非常に好み。後胸だけに目が行くかもしれないが、胸を隠すことによって綺麗な肌や鼠径部なども見ることが出来る王道の性癖。

 

 しかし手ぶらジーンズという英知をより高い段階へ押し上げるのが下半身だ。下半身はジーンズで露出がなく視線が向き辛いが、ピッチリしたジーンズを穿くことによってヒップラインが強調され直接的ではないエロさが表現される。上半身とは違い隠されているが、隠されそれでも主張するギャップがより手ぶらジーンズを昇華させる。

 

 当然表情も大切で、オレは可愛い系よりも美人系の方が顔立ちが好きってものあるけどお堅い感じの美人が頬を赤らめながら大切な部分を隠すっていうシチュエーションは非常に健康にいい。

 

 お堅い美人がやるとなると、ジーンズではなくスラックスにするとキャリアウーマン的な雰囲気があってまた別のシチュエーションが見えてくる。

 

 前世で友達と性癖を語り合って、熱くなって殴り合いになったのを思い出すぜ。*4

 

 

「いいか銀鏡。異常性癖ってのは、幼児性愛(ペドフィリア)とか身体欠損性愛(アクロトモフィリア)とかそういうヤバめの奴だ。手ぶらジーンズはヤバくない。一般性癖だ」

 

「シチュエーションがアブノーマルって言ってるんだよ!」

 

「っ! そんなわけないだろ!」

 

「なんでそんなに力強いんだ! ここ最近で一番だぞ!」

 

 

 まさか前世でも友達に言われたことを銀鏡に言われるとは思わなかった。

 

 だが、誰になんと言われようと手ぶらジーンズは一般性癖だ。これだけは譲れない。

 

 

「ともかく、この本は没収だ! 他にも持ってるのあったら出せ!」

 

「横暴だ!」

 

 

 と抵抗するも虚しく自分で出すか家探しされるかの2択を迫られ、仕方なく隠したコレクションを差し出した。

 

 …てかなんで女友達にエロ本検閲されてんだ。このシチュエーションの方がアブノーマルでは?

 

 

「…ちなみになんだけど、褐色系とかそういうのは持ってないの?」

 

「持ってるわけないだろ」

 

 

 その日のうちにオレのエロ本はすべて処分され、翌日の晩飯はゴーヤチャンプルーゴーヤ多めだった。

 

 友達とか知り合いを連想するのはなるべく避けてるだけなのに…

 

 

 

 

 

【夢の中のお茶会】

 

「君は『七つの古則』、その五つ目を知っているかい?」

 

 

 豪華なテーブルの向かい側に座る少女がそう問いかけてくる。

 

 外は星空が綺麗な深夜だけど、テーブルの上には紅茶やお菓子が並んでいてまるでお茶会みたいだ。

 

 そして何故か、オレはこの状況に違和感を覚えていない。

 

 

「『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することは出来るのか』、でしたっけ?」

 

 

 だから唐突な質問にも、すんなりと答えてしまう。

 

 

「そう。他の古則もまたそうであるように、少々理解に困る言葉だ。1つの解釈として、『楽園の存在証明に対するパラドックス』であると見ることも出来る」

 

「もし楽園があるなら、そこは完璧で幸せに満ちている。だから楽園に辿り着いた人間は楽園から出ることはなく、逆に楽園の外にいたらそこは真の楽園じゃなかった。そういう矛盾する問い掛けですね」

 

「どこにも存在せず、探すことも能わぬ夢想家が描く、甘い虚像。そんな名前を冠した『エデン条約』もそんな風に思わないかい?」

 

「いえ、思いません」

 

 

 オレから否定の言葉が出てくるとは思わなかったのかもしれない、少女の目が少し見開く。

 

 

「何故、そう断言出来るんだい?」

 

「先生がいますから」

 

 

 例え楽園の存在が不確かだとしても、『エデン条約』は上手く行く。先生がそう導いてくれる。

 

 

そうか。やはりそうなってしまうんだね

 

 

 だけど、彼女は諦めたように目を伏せた。

 

 なんて言ったのかは分からない。ただそれを聞き返す程の時間がないこともなんとなく理解している。

 

 

「こうして君と会えたのは、難解な謎解きの答えがたまたま手元にあるような偶然だ。次はない」

 

 

 そう断言する彼女の言葉に、何故かオレも同じ確信を持っていた。

 

 こうしてここで会うことは二度とない。

 

 

「君にはきっと、辛く、苦しく、目を逸らし続けているものを直視しなければならない日が来る。いや、そうすることも出来ないかもしれない」

 

 

 視界がぼやける。音が遠くなる。意識が朦朧とする。

 

 

「だか─、は──気付いて───。今─ままでは君は──────」

 

 

 

 

 

 

*1
ブルーアーカイブにて登場する高級化粧品メーカー。尚トップコートがあるのは拙作での捏造設定。

*2
お前だぞ行政官。

*3
誰にでも優しいギャルだから、仕方ないね。

*4
CORE PRIDE並感。




クール系で真面目な彼女に羞恥の表情で手ぶらジーンズをしてもらいたい人生だった。
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