ということで、今回よりエデン条約編突入です。
しかし調印式より先に片付けなければいけない話題があります。そう、補習テストです。
調印式直行するとは言ってないのでセーフということで何卒…
今まで一から書いていましたが、原作に合流したお陰で参考文献もありセリフ回しとかで悩むことが少なくなりそうで安心しています。
しかし引き続き仕事が繁忙期なのと三月で今の職場を去ることとなったので引き継ぎ資料も作らないとで引き続き忙しく、土日ぐらいでしか執筆時間取れないので投稿頻度は期待しないでください。
それにモンハンもやりたいので…
後今更にはなりますが、拙作オリ主であるカナタくんの原作知識を拙作初投稿である2023年9月で固定します。
執筆スピードが遅いせいでデカグラマトンだったり新規プレイアブルだったりメインストーリー更新など追加情報が多く、拙作初期の頃と食い違うところが出てしまうのが理由です。
ちなみに拙作初投稿後に開催された新規イベントがTTT(イチカ・カスミイベ)となります。拙作の投稿頻度低すぎぃ…
取り急ぎ完結目指して投稿を続ける意思表示として、あらすじの続くか分からない表記は削除致しました。
これからも決して高頻度で更新出来ないとは思いますが、時間潰し程度に楽しんでいただければ幸いです。
11.島流し先はゴミ箱の中
トリニティ総合学園。
ゲヘナ学園と同じくキヴォトス三大学園の1つで、その名の通り複数の学園が統合して出来た学校だ。
校舎が宮殿ぽかったり礼拝堂があったりなど、ミッション系のお嬢様学校という感じで傍から見れば生徒も優雅で善良なイメージを抱く。
そのせいか荒っぽいゲヘナとは昔から相性が悪く、エデン条約が結ばれても蟠りはしばらく解消しないだろう。エデン条約が結ばれていない今は敵地と言っても過言じゃないかもしれない。
…さて、いい加減現実逃避は辞めよう。
視界に入った腕時計の時間を見た後、顔を上げて
そう、今オレはトリニティ総合学園にいる。今日からここで正式な復学を賭けたテストを受けることになっている。
いやまさか、補習テスト受けるだけなのにわざわざトリニティまで行かされるとは思わなかった。大学の共通テストも会場が高校になったりするし、そんなもんか。
いやそうはならねぇだろ。
なんでゲヘナのオレがトリニティで補習テスト受けなきゃいけないんだよ! おかしいだろうが!
しかもエデン条約締結前だから1番ピリついてる時期だし、この時期に補習テストってことは
…全部羽沼マコトのせいだ。エデン条約落ち着いたら覚えてろよクソ狸が。
「あのー遠山カナタさんっすか?」
どうしてくれようかと考えていると、不意に声を掛けられた。
黒いセーラー服に長い黒髪、糸目と独特な砕けた口調。直接話したことはないけど、その特徴からすぐに誰であるか思い当たる。
「はい。ゲヘナ学園2年風紀委員会所属、遠山カナタです。忙しい時期に申し訳御座いません」
「私は仲正イチカっす。そんな堅苦しくなくていいっすよ」
「…じゃあ、お言葉に甘えて。宜しく、仲正さん」
評判通り接しやすい人物のようで、無駄に力まなくていいと分かって肩の力を抜く。
ティーパーティーからの指示か正義実現委員会から指示かは分からないけど、腹の内は別としてちゃんと案内してくれそうなのが出てきてくれて助かった。
正直仲正イチカのことはあまり知らない。オレが『ブルーアーカイブ』をプレイしていた頃はまだプレイアブル化してなかったし、エデン条約編の最後に出てきた糸目のキャラってぐらいの印象しかない。社交性が高いってのも正義実現委員会関連で集めてた情報の中にあった程度だ。
まあ実際仲裁役として出張ることはよくあるみたいだし、将来的には外交の窓口として仲正イチカと接することもある。変に刺激するようなことを言わなきゃ大丈夫だろう。
そんな具合に自己紹介が終わり、正義実現委員会の部室へ向かいトリニティ総合学園へ足を踏み入れた。
「…やっぱりゲヘナとは違うな」
「そうなんすか?」
歩きながら学園内を眺め、思わず呟くと仲正が聞き返す。
独り言のつもりだったけど、返事しないのも感じ悪いか。
「校舎の作りとか庭園とか、雰囲気がな。それに何より…」
「何より?」
「突っかかってくる生徒がいない」
今こうして歩いてる中でジロジロ周りから見られてるけど、襲ってくるやつは1人もいない。もしゲヘナでトリニティ生が出歩いていたらほぼ確実に絡まれる。
まあ、同じゲヘナの生徒でも因縁付けられるんだけど。風紀委員の制服を着ていたら猶更。
「まあ、変わらないものもあるけど」
「例えば?」
「あれとか」
指差す方向では、校舎の奥の方から立ち込める煙。銃撃音とか爆破音とかしてないから、既に誰かと盛大にやり合った後なんだろう。
…思い出した。確か補習授業部の顔合わせのとき、
どういう理由で暴れてたかは覚えてないけど、籠城して結構善戦していたらしいのはなんとなく覚えてる。
そんな調子で雑談を続けていると、仲正イチカが繫々とオレの顔を見ていることに気付く。
「どうした?」
「いや、遠山さんってどっかで見たことある気がするんっすよね…」
「気のせいじゃないか?」
と答えたものの、内心冷や汗をかいていた。
直接的な面識はないが、仲正とは『武装探偵』として活動していた時期に1回やりあってる。そのときは夜中でこっちは逃げに徹していたからしっかり顔を合わせることはなかったけど、オレは依頼と称して騙し討ちしてきた相手に報復行為で施設爆破とかしてたからバレるのは非常に不味い。なんとか誤魔化さないと。
「キヴォトスで男とか珍しいし、顔合わせたことあるなら忘れ辛いだろ」
「うーん。それもそうっすね…」
「オレとしても仲正さんみたいな綺麗な瞳の相手、忘れるはずないからな」
「…はは、口が上手いっすねー」
「ちょっと待った。今のなし」
話逸らそうとしたら完全に失敗した。
いや目的は成功したけど、オレの社会的地位が低下した気がする。
クソッ。これも全部羽沼マコトのせいだ。奴さえオレをトリニティに送り込まなければこんなことにならなかったのに!
「さて、着いたっすよ」
若干気まずくなりつつも正義実現委員会の部室に到着し、仲正がその扉を開ける。
「戻りましたっす」
「イチカ、おかえりなさい。その人が?」
中には既にメンバーが揃っており、一斉にこちらに視線が集中する。
「初めまして。ゲヘナ学園2年生風紀委員会所属、遠山カナタと申します」
「ゲ、ゲヘナ!? なんでゲヘナがここにいるのよ!」
自己紹介と同時に下江コハルが噛みついてきた。
まあ、自分の先輩に連れられてゲヘナが来たらトリニティとしては驚くだろう。
「…彼もティーパーティーの依頼で補習授業を受けてもらうことになっています」
「ふん! 風紀委員会なのに補習授業なんて恥ずかしい! やっぱりゲヘナはバカが多いのね!」
…やっべぇ。すっごい殴りたい。
そういえば初期の下江コハルってこんな感じのクソガキだったな。後々のいい面が目立つせいで忘れてた。
「でもいいザマね! 悪党と変態とゲヘナの組み合わせ! そこに『バカ』の称号が付くなんて、私なら一緒にいるだけで羞恥心で死んじゃいそう!」
トリニティらしく人を貶して笑う様に呆れつつ、この後来るであろう沙汰を待つ。
「その…非常に言いにくいのですが、下江コハルさんもその…補習授業部です」
「……え、私っ!?」
『バカ』の宣告を受け、酷く狼狽する下江コハルをとりあえず放置しまずこの場で1番に挨拶しなければいけない相手へ近付く。
「羽川副委員長、こんな時期に御迷惑をお掛けして申し訳御座いません。迷惑を掛けないよう努めますので、短い期間ですが宜しくお願い致します」
「え、ええ。気にしないでください。こちらも命令ですので。何かトラブルがありましたら連絡してください」
「ありがとう御座います」
弁えた態度を取られたせいか少し困惑していたけど、色眼鏡ありだとしても最悪の第一印象は避けられたようだ。
ただでさえゲヘナというだけで印象悪いのに、既に羽沼マコトがやらかしている*1し
こっちの次期風紀委員長は銀鏡だろうし、アイツもアイツでトリニティのことは面倒臭い相手だと思ってる。結果オレが苦労することになろうとも、口を出せる立場に居座れるのは都合がいい。
…ブラックマーケットでもこうして猫被ることは何度もしてきたけど、やっぱり慣れるもんじゃない。得意不得意言ってる場合じゃないから仕方ないけど、顔色見るのは疲れるな。
とりあえず正義実現委員会には筋通して挨拶したし、次に先生へと向き合う。
「初めまして、先生。今回は御迷惑をお掛けします」
「迷惑なんかじゃないよ。宜しくね、カナタ」
にっこりと笑い優しい言葉をかけてくる先生に軽く頭を下げる。
特出した雰囲気はなくて、むしろ目の下のクマだったりやや疲れ気味に見えるせいか頼りないように見える。だけどこの人にキヴォトスの存続がかかってて、多分それを自覚することはない。
『大切なのは経験ではなく選択』ってのは『ブルーアーカイブ』のプロローグに出てきた言葉だけど、間違えばバッドエンドに進む
…と言いたいところだけど、今回ばかりはそうも言ってられない。なんたって今オレが巻き込まれてるのは確実にエデン条約の前編にあたる補習授業部編。つまりは原作にイレギュラーであるオレが介入している形だ。
本来ならトリニティの内輪揉めで終わる話で、ゲヘナは直接関係ない。それなのにオレが万魔殿の指示でトリニティに行かされたということは──羽沼マコトがオレを排除しようと暗躍したと考えるのが自然。
…いや、羽沼マコトのことだし
そっちに関しては今考えても仕方ないけど、1番の問題はエデン条約の推進派代表である空崎委員長じゃなくて羽沼マコトからの命令ってことだ。
補習授業部はトリニティ内にいる裏切り者を
その場合お互いが出来ることと言えば、補習テストでの妨害工作が有力だろう。どう出てくるかは想定しか出来ないけど、原作よりも妨害が激しくなるはず。本当に嫌がらせは1級品だ。
オレの記憶が正しければ、補習授業部の4人は『ブルーアーカイブ』の本編でもエデン条約後に大きな影響を与える人物が多い。彼女たちが退学すれば、少なく見積もってもエデン条約の調印式で詰む。それに無実の生徒を退学に追いやったとして桐藤ナギサも失権するだろうし、
だからこそ変数を入れずに進めるのがベストなんだけど、オレ自身が変数になって
ぐるぐると最悪な状況が頭を巡って途方に暮れると、先生がニコニコとオレに視線を向けていることに気が付く。
「…どうかしましたか?」
「ごめんね。イオリから聞いていた通りだと思って」
銀鏡から聞いていた通り……
絶対碌なこと言われてないな。
オレがゲヘナに戻ってからは銀鏡が先生に会ってた感じなかったから、時期的にまだ出奔していたアビドス編かその後辺り。
だとしたら不満とか溜まってた頃だろうし、すっごい文句言われてそう。
「…ちなみになんて言ってました?」
「んー、ナイショ」
興味本位で訊いてみるも断られてしまう。
まあ、無理に追及することじゃないし知らぬが仏ってこともある。ただでさえ面倒な状況がしばらく続くのに無駄に気分を落ち込ませる必要はない。
色んな不安と不確定要素が綯い交ぜになったせいで憂鬱になりながら、こうしてオレのトリニティでの生活が始まった。
カナタくんの島流し理由は追々書きます。