2話投降後、評価バーが赤色になりました。
個人的には黄色行けばいいと考えていたので、嬉しい半分週1ペースでしか投稿出来なくて申し訳なさ半分です。
また、新しいキャラとの関わりを作るのも納得行くような関係性を作れず、前回繋ぎ発言したのでアルをメインに書きました。
仕事量が以前よりも増えてしまい、金曜日まで一切かけていなかったせいで駆け足になってしまいました。申し訳御座いません。
時刻は夕方。オレはゲヘナ自治区内にある主要駅の改札前で陸八魔を待っていた。
以前ご飯に誘ってしばらく、ばったり出会うこともなかったからこちらから陸八魔のスマホに電話して約束した。といっても電話の相手は何故か
…それにしても、もう少しラフな服買った方が良かったかな。
『武装探偵』を名乗ってから公私が混ざることが多くなってしまい、そもそもファッションに興味もないので兼用で使えるジャケットを着ることが多く今日も黒のラフなジャケットを羽織っている。ズボンもぴっちりしてるのが苦手でプライベートに履けるのはチノパンぐらいしかなくて、前世では考えられないようなちょっと気合の入った感じの服装になってしまった。本当はパーカーとかが楽なんだけど、買いに行くのが面倒で結局今日まで来てしまった。銃に関しては前世からの感覚でショルダーホルスターにしたいけど、見せびらかしてないと強盗に会うし無駄に目立つから腰にぶら下げてる状態だ。
まあ、今更悩んでも仕方がないか。そんな相手でもないし。
時間潰しに眺めていたスマホの時刻を見ると、まだ約束の時間まで30分以上ある。早く来過ぎたけど、一応オレはゲヘナ学園を退学している身だ。これまでも仕事で何回も自治区内に入っているから慣れているとはいえ、風紀委員会に見つかって揉め事になるのも面倒だし進入ルートはある程度人目に付きづらいところを通っている。それに陸八魔もゲヘナ自治区なら来やすいし、問題が起きて拘束されることがあってもまだゲヘナ学園に席を置いている陸八魔ならややこしいことにはならない。なんなら短期間で出所してくるだろうし。原作内で明確に書かれてないだけで、美食研究会とか温泉開発部が野に放たれてるのって拘束されても万魔殿が風紀委員会への嫌がらせですぐに釈放されてるからだろうし。
「あ、あら、もう来ていたの?」
と思っていると、声を掛けられる。視線をスマホから上げると陸八魔がいた。
服装は…うん。いつもの朱色のコートを羽織った社長スタイルだ。まあオレもジャケットが普段着だし、そこまで気にすることでもなかったか。
「おう。ゲヘナに入るのも一応気ぃ遣うからな。少し早めに着いてた」
「もー! そうじゃないでしょ! そこは『今来たところ』っていうところじゃん!」
誰か…というか聞き覚えのある声で苦情が聞こえてきた。気付かれないようにちらりと視線だけを向けると、支柱の裏から浅黄と
なんかを言ってる割にはこっちに来るわけでもないし、陸八魔も気付いてる様子ないしとりあえず放置でいいか。あんまり昼食ってないからオレも腹減ったし、そっちが先だ。
「とりあえず歩こうぜ。焼肉でいい?」
このままここで雑談しているのも仕方がないので駅を離れ、焼き肉屋へ入り窓際のボックス席に案内される。
焼き肉屋自体はそこまで高いところじゃないけど、チェーン店では割と美味しいところだ。オレも金があれば月イチで来るぐらいには来ている。
注文はタッチパネル式で、とりあえず牛タンは頼み陸八魔の意見を聞きながら次々注文していく。
「あーそうだ。持ち帰りの焼肉弁当頼むから、浅黄たちに渡しといてくれ」
「…随分気前がいいわね。何か私たちに仕事が――」
「アビドスで赤字出してんだろ。大人しく奢られとけ」
「なんで知ってるのよ!?」
いやでも目立つシャーレの先生の情報を集めていれば、『物語』のどのあたりかは大方目星が付く。その過程で便利屋68の話もあったので、原作通り赤字出した挙句カイザー相手に大立ち回りした話も聞いていた。そして、カイザーPMC理事が失脚した話も。つまりアビドス編が終了したのだ。
前に陸八魔に会ったときが1か月とちょっと前ぐらいだったので、その間に解決したらしい。
オレもこの前竜華門主からの依頼を無事完遂して、懐が温まってる。黒見セリカに対する監視もあって少し差し引かれてるけど、経費も想定内に収まったし十分な金額だ。しばらくは無理に大きい仕事を取らなくても暮らしていける。
黒見セリカの件も最悪の状況にもならず、本編通り誘拐後シャーレの先生たちの力で救出された。その後も本編通りにゲヘナ、トリニティの協力でカイザーPMCを打倒した。アビドス復興委員会も欠員がいない。
そんな感じでオレもアビドス編に関わることもなく、今のところ原作通りの流れになっている。多分。
「シャーレの先生の情報集めてたらな」
「先生の情報?」
「同じヘイローを持たない男だし、急に出来た超法規的機関だ。気になるだろ?」
そう。このキヴォトスの先生の性別は男だった。まあ、原作の先生の性別が明言されていないので何かの参考になるわけじゃないんだけど、便利屋先生*1に似た眼鏡をかけた優男だ。実際の先生の容姿やプレナパテスの容姿がよく分かってない以上、結局はバッドエンド世界線かどうかの判断材料にはならない。
そんな建前を陸八魔に話すと、注文していた肉が届いたので焼き始める。
まずは牛タン。トングでロースターの上に敷き、肉が焼ける音と匂いが広がる。焼肉はやっぱりタンが一番好きだ。自宅じゃなかなか出来ないロースターや炭火で焼く、お店でしか気軽に食べられない牛タンは本当に好きだ。…あー、酒飲みたくなってきた。お店だと堂々とお酒飲めないの不具合だよな。
「まあそれは置いといて、カイザーコーポレーション相手に随分やりあったみたいだな」
「…アビドスにあるラーメン屋には良くしてもらったもの。PMCが何よ」
格好つけてるところなんだが、白目向いて前言撤回出来なくて流れで戦ったの知ってるんだからな。
陸八魔とはもう4年近い付き合いになるけど、オレには陸八魔が憧れるアウトローってのがなんなのか分からない。
でも、陸八魔は浅黄や鬼方さん、伊草の生活を背負ってる。どういう経緯で便利屋68が結成されたのか知らないけど、社長として雇い主にいいように扱われないように立ち回って、仲間から強く信頼されてる。周りに巻き込まれて白目剥いてパニクって、でも自分が憧れたものを突き通せる。
そういうのはオレにはない。銀鏡から逃げて1人で仕事して背負うものもなくて、もしかすると良い未来になるかもしれないと分かっているけど行動しない。なりたい自分も目標もなくて、責任を持てず惰性で生きている。
オレが最初に陸八魔アルを知ったのは『ブルーアーカイブ』の彼女だ。画面の向こうの存在で実態がなくて、最初は冷めた目で見ていた。だけど実際に陸八魔と友達になって、自分のやりたいことを突き通す姿を見て、信頼する仲間がいて。オレには出来ないことをやっていて。…きっとオレは、彼女を尊敬してるんだと思う。
まあ、絶対に口には出さないけどな! 調子に乗るだろうし!
ただ、率直な感想言うぐらいならいいか。このぐらい伊草に言われ慣れてるだろうし。
「…そういうの、本当に格好いいと思うよ」
「ふふっ。当然よ!」
「まあ、これから気をつけろよ。カイザーがアビドスを狙った理由、カイザーPMC理事より
そう言うと、一瞬で冷や汗が額に滲む。こういうところは本当に面白い。
原作ではそういう描写はなかったと思うけど、便利屋業をやる以上いずれはカイザー関連とかち合うときはあると思う。そうなったら表立って狙うことはなくても、便利屋68にとってマイナスになるよう動かれる可能性は十二分にある。
「か、カイザーが何よ! アウトローなんだから、恨まれること1つや2つじゃ足りないわよ!」
開き直って叫ぶ陸八魔に「そりゃそうだ」と答える。
オレだって目の敵にされている連中はいる。カイザーもその1つだ。まあ、いずれやり合う可能性が高いし、敵対組織が1つ2ついようがビビってられない。
「そ、そう言えばカナタ。この前のことだけど…」
この前? そう聞き返そうとしたとき、爆音とともに席横の窓ガラスが粉砕した。
咄嗟に頭を庇い回避行動を取ったけど、そこまで強くなかったからか破片が飛び散っただけだった。
「陸八魔、大丈夫か?」
陸八魔に視線を向けると、肉の上にガラスが飛び散ってるのが見えた。ああ、勿体ない。
「大丈夫よ! なんなのよ、もう! まさかカイザー!?」
破壊された窓ガラス越しに外を見ると、作業員がつけているようなヘルメットを装着したゲヘナ生徒が複数人。温泉開発部だ。
それに対峙するように陸八魔を除く便利屋68のメンバーがいた。
「もー、今いいところなんだから邪魔しないで欲しいなー!」
「アル様の邪魔をするなんて許さない許さない許さない――!」
「はぁ…なんでこうなるのかな」
「邪魔って、お前たちが私たちの開発作業を邪魔したんだろうがー!」
状況は分からんけど、多分温泉開発部が飲食店のあるこの市街地で温泉開発しようとしてたんだろうことは分かった。
「な、なんでみんないるのよ!?」
「最初からいたぞ」
「なんですってー!?」
またしても白目を剥く陸八魔。
駅からずっとついてきてたし、特に触れなかったけど焼き肉屋に入ってしばらくは店内にいたのは気付いてたけど、目を離した隙にいなくなっていた。
「とりあえず外に出て、加勢に行くわよ!」
「ああ、そうだな。こんなところに温泉作られても迷惑だ」
とりあえず、焼肉を台無しにした根本的な原因の温泉開発部はぶっ飛ばす。知らん奴らに御馳走を台無しにされて軽く許す程オレも優しい人間じゃない。
懐からデザートイーグルを抜き、壊れた窓ガラスから外に飛び出す。
「カナタは後ろで援護をお願い!」
「了解。頼んだ」
陸八魔の指示に大人しく従い、後方へ下がる。
さてと、さっさと終わらせてとんずらしよう。どうせ風紀委員会も来るだろうし。
やや気力なく銃口を温泉開発部に向け、頭に狙いを定めて引き金を引いた。
――――――――――
戦いは一方的な蹂躙で勝利を収めた。
温泉開発部側に
ひと息吐いて陸八魔たちに視線を向けると
陸八魔と浅黄はなんか揉めてる? みたいだった。
「ムツキ~! なんで付いてきてるのよ!」
「えー酷いよアルちゃん。なんで私だけなのー」
「元々カナタとの約束の時間とか決めたのムツキでしょう!」
「でも、アビドスにいるときから電話かけようとしたりしなかったりしてるし、カナちゃんからの電話でピンと来たんだよね!」
「絶対面白がってるじゃない!」
まあ、幼馴染の遠慮ないやり取りって感じだな。流石に喧嘩別れとか想像つかないし、大丈夫だろ。
「とりあえずここから離れよ。流石に風紀委員会が来そう」
「それもそうですね。どっかで食い直します?」
「やった! カナちゃんの奢り?」
「カナちゃん言うな。まあ、いいよ。奢るわ」
若干図々しいが、奢ることに拒否感はない。そもそも便利屋68全員誘っておけば良かったとは思っていた。
便利屋68の中じゃ陸八魔が一番気が知れてるだけで、浅黄とも同級生だし鬼方さんや伊草とも仲が悪いわけじゃない。
「とりあえずさっきのところの清算してくるから、先に行っててくれ。合流は後で――」
「このまま終わってたまるか! 温泉ばんざーい!」
しまった!
全員気絶したと思って気が逸れていたせいで、温泉開発部員が手に持つスイッチを押される。
直後オレらの近くの地面が爆発する。
不味い、と思った瞬間には強烈な爆風を受けて浮遊感が――
――――――――
――――
――
体中の痛みを感じながら意識が浮上する。
あー、最悪だ。口の中ジャリジャリするし、目もチカチカして見えづらい。背中も痛いけど、骨イってないよな? 気軽に爆発物扱いやがって。これだからテロリストは嫌いなんだよ。
起き上がろうとして、やっと上に重いものが乗っているのに気が付く。全体的に柔らかくて、特に胸のあたりが特に心地いい。いい匂いもして、どこかで嗅いだことがあるような甘い匂い。
「…陸八魔?」
「っ!」
そう呟くと、柔らかいものが上半身からどいた。
目が慣れ始めて、しばらくすると陸八魔の顔が見える。さっきまで被さっていたのは陸八魔だったのか。
被さった状態からどいたのはいいけど、結局馬乗りの状態で動けないのは変わりない。…それに、乗ってるのがお腹じゃなくてちょっと下腹部辺りなのがよろしくない。
「とりあえず、どいてもらって「か、カナタ!」…なんだ」
「動かないで! 頭から血が出てるわ!」
ポケットから出したハンカチを額に押し当てられて、ピリっとした痛みを感じる。まあ、仕方ないところはある。けど、今はそれどころじゃない。
少しだけ前かがみになったせいで、少しだけ陸八魔のいる位置が後ろにずれて股間に! 際どい!
がっつり触れてるわけじゃないけど、前世今世含めて初めての直接的でもどかしい刺激に鼓動が早まる。
「い、今はいい! とりあえずどいてくれ!」
「ダメよ! 少なくとも頭を打ってるのよ!」
こんなときに常識発揮しやがって、このアウトロー!
相手は陸八魔だ。陸八魔! 竜華門主よりも色気のない陸八魔ぁ!!
後浅黄ぃ! ニヤニヤ笑ってるの見えてるからな! 助けろ! いや、お前まで来ると状況悪化しそうだからやっぱ来るな! 助けて鬼方さん!
我慢は続けてるけど、いずれは限界が来る。強行突破するしかない。
無我夢中で手を伸ばして――
「ひゃっ!」
脇腹を掴んでしまい、驚いた陸八魔から可愛らしい声が漏れる。
恥ずかしそうに頬を赤らめてオレ見つめる姿に心臓が跳ねた。
今まで本当に、陸八魔に『女』を感じたことはなかった。だけど、際どい今の体勢がそうさせるのか、年相応に恥じらうその表情がオレに向けられたことを理解しているからなのか。
それを自覚したらもう抗えない。
湧き上がる感覚がオレを支配して――
「――カナタ?」
懐かしい声が聞こえた。
長い間ずっと近くで聞いていた声。
顔を声のした方に向けると、忘れるはずもない彼女がいた。
加筆修正前(前回はオリ主が馬乗りになって胸を揉んだところにイオリと再会)でしたが、イオリの印象的にマイルドな方向にしました。
代わりにオリ主を確実に逃げられない体勢に追い込みました。どうにかしろ(他人事)