過酷な世界でヒスりたくない   作:腹切りたい焼き

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お久しぶりです(小声)。
唯一丸一日執筆に費やせる日をぎっくり腰で潰した腰よわよわ筆者です。

早いもので、今年も残り僅かとなりました。
満足出来るものが表現出来ず、すぐ筆を折る癖があった私ですが期間が開いても更新しようと頑張れたのは皆さまのお陰です。
来年はもう少し更新頻度を上げられるよう頑張ります。
またメモ帳を整理していたところ、最初期に手慰みで書いたIFルートのプロットがあったので余裕があればそちらも書いてみたいです。

今回更新分は元々難産の自覚があって、時間も取れないのに何度も書き直ししておりました。
今回学んだことは、
・修羅場ってこれでいいの?
・複数人キャラを動かすの難しすぎんだろ!
ってことです。
もうこれ以上悩むと、それこそリメイクレベルの修正になりそうなので振り返らないことにします。


5.共通敵が男子のときの女子の結束力は異常(偏見)

「私たち金ないんだよ。恵んでくれよ」

 

 

 ニヤニヤと下品に笑いながら、スケバンの1人がオレに銃口を向ける。

 

 キヴォトスに来て、こういうことは何度かあった。

 

 ヘイローを持たない、銃弾1つで死ぬ生徒。しかもアンドロイドや犬どもとも違い耐久性がないことはゲヘナ中に広まっていた。だから不良生徒がこうしてカツアゲをしに集まってくる。

 

 心底どうでもよかった。

 

 なんかの漫画で、人間の長所は適応が出来ること。欠点は物事に慣れてしまい、それが当然と受け入れることが出来ることっていうのを見たことがある。

 

 そのセリフの通り、オレはキヴォトスの暮らしに慣れ始めていた。それと同時にカツアゲされることにも慣れ始めていた。最初の頃は恐怖心もあったけど、数をこなせば慣れてしまう。

 

 1度死んだ自覚があるからか、どうしても死にたくないと思えなくなった。

 

 今死んでも次があるんじゃないかと。前例がオレの考えを麻痺させる。

 

 前世では後1年もすれば大学を卒業して社会人になっていた。煩わしいものから逃げられると思った。だけど死んで、結局別の煩わしいものがあった。

 

 斜に構えてる自覚はあるけど、単純にどうでもよくなった。

 

 

「撃てよ」

 

「は?」

 

 

 口にした言葉にスケバンたちは硬直する。今まで金を渡してたから、余程予想外だったんだんだろう。

 

 1度口にすれば後はもう軽い言葉になって、挑発する言葉がするする出てくる。

 

 

「面倒くせぇな。銃チラつかせて、殺す覚悟すらねぇのに」

 

「いや、殺すのは…」

 

「な。流石にそこまでは…」

 

「ゴタゴタ言ってんな! さっさと殺してみろよ!」

 

「ちょっ! 離せ!」

 

 

 スケバンが構えた銃の胴体を掴み、無理矢理オレの額に当てる。スケバンは慌てて銃を振るけど、両手で掴んで体ごと振って離さない。

 

 直後、体があっけなく吹っ飛ばされて壁に叩きつけられる。見るともう1人のスケバンが流石に不味いと思ってか、オレを突き飛ばしていた。

 

 

「行こうぜ。こいつやべぇよ」

 

 

 そう吐き捨て、スケバンたちはそそくさと立ち去る。

 

 

「ゴホッ!ゴホッ…ってぇ」

 

 

 背中を打った痛みで咳き込み、立つ気力もなくその場に座り込む。

 

 視界の端に少し震えてる自分の手が映って、やっぱりビビってたのかと失笑する。ああ言ったものの、死にたいわけがない。

 

 だけど、こういうことがあるたび胸の中にあるくだらない感情が湧き上がる。

 

 なんで、生まれ変わってまでこんな煩わしいことが多いのか。

 

 どうして、こんな救いようのない世界にいるのか。

 

 こんなことなら、苦しんだ自覚があっても人生を終われた方が幸せだった。

 

 そんなクソみたいな感情が胸の辺りに渦を巻いて、喉元にヘドロがこびりついたような不快感を覚える。

 

 胸が苦しくなって、上手く酸素を取り込めなくて、マイナスな思考に頭が侵され始める。

 

 …大丈夫だ。しばらく放っておけば落ち着く。昔からそうだ。

 

 壁に背中を預けて深呼吸し、忌々しい程青い空を仰ぐ。

 

 

「ねえ、大丈夫!?」

 

 

 慌てた様子で誰かが駆け寄ってくる。

 

 キヴォトスだってガラの悪いやつらしかいないわけじゃない。気絶したオレを病院に運んでくれる人だっている。

 

 親切にも声をかけてくれた人の方へ視線を向けて、驚きのあまり目を見開いた。

 

 銀髪をツインテールに纏めた褐色の少女。オレが知っている彼女よりも幼いけど、間違いない。

 

 銀鏡イオリ。

 

 これがオレと彼女の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 なんて思い出してる場合じゃないんだよなぁ!

 

 に、逃げたい。陸八魔だったらどうせなんだかんだで逃げ切るだろうし、今すぐこいつらほっぽり出して帰りたい!

 

 少し前にしんみり「まだ友達だと思ってくれてるかな…」とか格好つけてたけど、もっとこう、心の準備が整ったときにだな…。

 

 ただ不幸中の幸い、銀鏡に遭遇した衝撃でヒステリアモードに成りかけてたのに落ち着き始めた。逃げるだけならヒステリアモードに成れば確実だけど、対異性でヒスった経験が少なすぎてどんな態度取るか分からない。状況を丸め込もうとして話が変な方向に向くのだけは勘弁だ。

 

 

「けほっ。アルちゃん大丈夫? って、イオリだ。アビドス以来?」

 

「…どんな状況?」

 

 

 土煙の中から便利屋の面々が合流してくる。ちなみに伊草はオレらの体勢を見てあわあわしてる。

 

 空崎委員長はいないけど他の風紀委員はいるので、睨み合う形になった。

 

 オレは陸八魔に馬乗りになられて動けない。と、とりあえず第一印象だ。もしかすると銀鏡もそこまで怒ってないかもしれないし、ミスんなきゃまだ挽回出来るかも。

 

 

「あーその、ひ、久しぶり?」

 

 

 気軽に挨拶してみるものの、自分でも分かるぐらい顔が引き攣ってる。

 

 ちらりと銀鏡の表情を窺うけど、角度的によく見えない。

 

 

「なんで、そいつらと一緒にいるの?」

 

 

 静かに、僅かに肩を震わせながらそう問いかけてくる。

 

 いや、お前はこう、もっと感情を爆発させるタイプだろ! そんな自制されると逆に怖いんだけど!?

 

 落ち着け。いきなり銃ぶっ放してこないだけまだ冷静だ。言葉を選べば道はまだあるはず。

 

 

「あー、銀鏡はあんまり知らないかもだけど「――パートナーだからよ」」

 

 

 オレの言葉を遮り、陸八魔が口を開く。その言葉に銀鏡の肩がピクリと跳ねる。

 

 

「便利屋68と…いえ、私とカナタはとっても大切なパートナー同士だもの。一緒にいるのは当然よ」

 

 

 勝ち誇ったかのような表情で銀鏡に宣言する陸八魔。

 

 待て。待て、陸八魔。空気を読め。この状況で感情的な銀鏡を煽るのは不味い。

 

 

「カ、カナタ、嘘だよな…? 確かにブラックマーケットにいるって話は聞いてたけど、便利屋と手を組んでるなんて聞いてないぞ!」

 

「あーその…あれだ。うん…」

 

「目を逸らすな! 風紀委員だろ!」

 

 

 弁明出来ないから仕方ないだろ!

 

 仕事を取ってくるけど人手がないオレと腕はあるけど仕事が少ない便利屋68、会社としてお互いの補えてるし個人的にも仲がいいからデメリットが少ない。個人経営とはいえ、メリットが多い話を無視出来る程好き勝手にやれるわけじゃない。金は稼げるときに稼いでおきたいし、個人的な交友を除外しても空崎委員長抜きとはいえ風紀委員会を相手取れる便利屋68とは友好関係でいたい。

 

 銀鏡に話が伝わってないのは、風紀委員会が関与してくるような案件は少なくしてアングラ多めにしたからだと思う。風紀委員会にはなるべく直接的に目を付けられることがないように警戒してたから、結局バレたとはいえ効果はあったみたいだ。

 

 

「くふふっ。イオリには悪いけど、カナちゃんいないと私たちも困っちゃうから渡せないな~」

 

「お前は黙ってろ! 兎に角、反省室で話を聞かせてもらうからな!」

 

 

 頼む…! 静かにしてくれ浅黄っ。これ以上煽るなっ…!

 

 どうすればいい。どうすればこの状況を切り抜けられる。まずは今の体勢をどうにかする必要があるし、下手に背中を見せれる程甘い相手じゃない。このまま戦闘が始まることは期待出来るけど、今の体勢が邪魔をする。言葉でどうこう出来る程口上手いわけじゃないし…

 

 足りない頭をフル回転させてこの状況を切り抜ける方法を考えていると、少し頬を赤らめた陸八魔と目が合ってから何かを覚悟したように1度目を閉じてから銀鏡に視線を向ける。

 

 

「ムツキの言う通り、カナタは渡さないわ。それに、例え貴方に連れて行かれたとしてもカナタが風紀委員会に戻ることはもうないよ」

 

「どういうこと?」

 

 

 やけに自信満々に断言する様子に銀鏡が訝しむ。

 

 まあ、確かに風紀委員会には戻りづらいけど、陸八魔に断言されるってのはなんか違和感がある…なんだろう、嫌な予感がしてきた。

 

 

「こ、この前カナタから告白されたもの! もうカナタは身も心もアウトロー、これからも公私共に良いパートナーなのよ!」

 

「…こ、告白!?」

 

「告白!?」

 

「「え?」」

 

「え? あ…」

 

 

 陸八魔のとんでも発言に思わず声を上げてしまい、周囲の視線がオレに集まる。しかもとんでもなく冷たいのが。

 

 いや、だけど身に覚えないんだって! 百歩譲って告白したとして、ついさっきまでそっち方面で意識したことないやつに告白するとかないし、さらに言えば告白しといて覚えてないとか流石にない。それにヒステリアモードを制御出来ない状態じゃどうしようもない。

 

 

「…一応訊くけれど、覚えてるわよね?」

 

「…おう」

 

「私の目を見て言いなさいよ!」

 

「…最低」

 

「うわぁ…」

 

「カナタって、イオリ先輩がよく言ってた人だよね…」

 

「可哀そう…」

 

 

 銀鏡だけじゃなく、風紀委員たちも口々にオレを非難し始める。

 

 前世での経験則だけど、女子ってのは共通敵が出来たときの結託が早すぎる。まあ、オレも結構アレなこと口走った自覚あるから弁明出来ないんだけど。

 

 

「ふぅん…」

 

 

 ひゅっ、と喉から変な音が出た。

 

 視線を向けると浅黄がニヤつきながら、でも目が明らかに笑っていない表情で近付いてくる。心なしか言葉にいつもの抑揚がない気もする。

 

 

「とりあえず話してよ、カナちゃん」

 

「…うっす」

 

 

 大人しく頷く。浅黄も怖いけど、それ以上に伊草のが怖い。「アル様に嘘を吐いた…?」と呟きながら、とんでもない目でオレを見ている。早急に誤解を解かないと爆破されること必須だ。

 

 生命の危機を感じて鬼方さんに視線で助けを求めるけど、気持ちいつもより目を細めていて無視された。

 

 思い出せ。オレはいつ陸八魔に告白した? 今まで会ったときまではそんな素振りなかったし、直近だと…山海経の帰りだっけか。さっき浅黄が陸八魔の様子がどうの言ってたのがアビドスに行く前って話だったはずだから、多分合ってる。あのときって陸八魔を飯に誘ったぐらいでしかも一方的な感じでもあった。後はつるぺたロリの竜華門主より色気を感じない…あ。

 

 

「思い出したみたいだな」

 

 

 オレが思い至ったことに目敏く銀鏡が気付く。

 

 いや、そんなつもりはなかったんだ。単純に色気なくてヒスりそうにないから安心するってだけの話だったし。

 

 もっといい言い回しはないかと思うけど、周囲がそれを許さない。てか、気付いたら便利屋VS風紀委員じゃなくて、オレを糾弾する場になってる気がする。陸八魔もオレが逃げられないよう体重かけて簡単に脱出出来ないように体勢を変えている。もう逃げ場はないし、時間もない。

 

 …よし、開き直ろう。

 

 逆転の発想だ。ガチで謝罪したらオレだけが悪い感じになる。まあ責められるのは仕方ないけど、オレだけが吊るし上げられるのは後が怖い。なら開き直って、この場を切り抜ける!

 

 

「…確かに言った。山海経の帰り、苦手な人に会った後でな。その人と比べて陸八魔は一緒にいると安心するって言った」

 

 

 陸八魔の言葉を認めて、尚且つ誰かが言葉を発する前に先に声を張り上げる。

 

 

「しかし! オレが人に軽口で告白するタイプだと思うか浅黄ぃ!」

 

 

 浅黄の方を見て、そう問いかける。こっからはもう捲し立てて都合のいい着地地点まで話を誘導するしかない!

 

 

「陸八魔とはなんだかんだ中等部からの付き合いで、趣味嗜好もある程度分かってるつもりだ。告白するとすれば高級レストランの夜景が一望出来るような席とか、それに合わせてプレゼントを用意するとかムードを重要視するだろう。それに知っての通り、オレはリスクは1%でも少なければ良いと備えるタイプだ。そんなオレが! 下準備もなく、リスクの高い行為を実行すると思うか!?」

 

「う〜ん。確かにカナちゃんなら必要以上に準備するかも?」

 

「備えあれば憂いなし。挑むにしても、わざわざ勝算の低い状態で挑むなんて言語道断。…今回に関してはオレの言い方も良くなかった。悪かった、陸八魔」

 

「え、ええ。私も変に勘違いしてしまってごめんなさい」

 

「謝らないでくれ。それに勘違いしないで欲しいんだが、オレは友人として、ビジネスパートナーとして、個人として好意的に思っている。これからも良い関係でいたい」

 

 

 伊草も納得してくれたのか「カナタさんがアル様に嘘吐かないですよね!」と笑顔になっており、鬼方さんはやや呆れたように溜め息を吐いてるけど、これで便利屋側の説得は達成した。多分。銀鏡は…ちょっと引いてる感じあるけど、さっき程攻めるような感じはない。

 

 「とりあえず立ちたいから、退いてもらってもいいか?」と陸八魔に言い、ハンカチを借りつつ立ち上がる。

 

 さて、こっからこの場を切り抜けるにはどうするべきか。この距離で正面衝突は分が悪いし避けたい。温泉開発部の掘削を未然に防いだのを盾に見逃してもらえるよう訊くか? いや、真面目な銀鏡のことだ。そこらへんの融通は利きにくいだろう。

 

 なら手段は1つ、逃走だ。煙幕を張って、銃撃に関してはオレが防弾チョッキを着ていないことを宣言すれば向こうは立場上銃撃を控えるしかない。

 

 風紀委員から見えないよう体で隠しつつ便利屋に向け、人差し指を曲げ第2関節あたりに親指を添えるハンドサイン──3秒後に煙幕を使う──を送る。アイコンタクトはバレる距離なので使わず、伝わってる前提でアクションを起こす。

 

 3──

 

 

『イオリ、遠山カナタに注意を。発煙弾を隠し持っている可能性があります』

 

 

 っ!?

 

 突如聞こえた声の指示により、銀鏡がすぐさまオレに銃口を向ける。これじゃ流石に発煙弾を使えない。

 

 諦めて発煙弾から手を放すと、ホログラムが出現し1人の少女が映し出される。

 

 

『初めまして、遠山カナタ。知っていると思いますが、ゲヘナ学園の行政官の天雨(あまう)アコです』

 

「…どうも」

 

 

 ここでわざわざ天雨アコが出てくるとは予想外だ。オレが風紀委員会にいた頃に話したこともない相手だ。それに便利屋と温泉開発部の小競り合いでわざわざ出てくるなんて、メリットが少ないはず。

 

 

「アコちゃん、どうしたの? 今日忙しいって言ってたのに」

 

『それどころではないので。イオリ、便利屋はどうでもいいので遠山カナタの捕獲を最優先に』

 

「嫌に厳しい対応ですね。オレ、なるべくゲヘナでは活動しないようにしてたんですけど」

 

『それも問題ですけれど、もっと重要な案件です』

 

 

 ここまで行政官がオレに執着する理由はなんだ? 元とはいえ、風紀委員会からブラックマーケットに拠点を置いたから? そんなのは過去を漁ればいくらでも出てきそうだ。それとも他自治区で動き過ぎたこと? 傭兵紛いとはいえ、一般生徒からの依頼も受け付けてる。トリニティ総合学園からも数件受けたこともあるし、エデン条約絡みで下手に絡んで欲しくなかったってところか。一応それ気にして、屁理屈捏ねて金払わないトリニティ生徒に対する取り立てとかしてないんだけど。

 

 自分の中で回答を纏めていると、天雨行政官が口を開く。

 

 

──貴方、もう少しで留年しますよ

 

 

 留年。学校において進級出来ず、もう1年同じ学年をやり直すこと。

 

 いや待て。なんで退学してんのに留年しなきゃいけねぇんだよ。

 

 

「オレ、去年退学してるんですけど」

 

『ゲヘナにその記録はありません。まったく、風紀委員会に所属してるのに長らくサボった挙句留年するなんてヒナ委員長に迷惑が掛かるんですからね!』

 

「いやいや、確かに万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の部室に退学届置きましたから」

 

『なら、退学証明書はありますか?』

 

「…すぐに部屋引き払ったので、届いてません」

 

『なら駄目ですね』

 

 

 チクショウ! 言われれば、退学した証明ってなんも出来ねぇんだなオレ! 気にも留めなかったわ!

 

 頭を抱えると、ポンと鬼方さんに優しく肩を叩かれる。

 

 

「その、大丈夫。私も留年してるから。1年ぐらい大丈夫だよ」

 

「その…リアクションしづらいっす」

 

「くふふ、これからは私のことムツキ先輩って呼んでね!」

 

「まだ留年してねぇだろ浅黄ぃ!」

 

 

 ここぞとばかりに乗ってきやがって! まだ大丈夫なはずだから! 多分!

 

 いや、別に元々退学したつもりなんだから留年もクソもないだろ。退学届を出し直せばいい。

 

 

「分かりました。後日改めて退学届出しに行くので、それで宜しいですか?」

 

 

 これでスッキリ解決すると思いほっとすると、何故か眉間に皺を寄せて天雨行政官から明らかな苛立ちが見られる。

 

 

『面倒くさいですね! イオリ! 気絶させてでも連行しなさい!』

 

「なんでそうなるんですか…」

 

「うん。分かった」

 

「銀鏡!?」

 

 

 不味いと思い背を見せて逃走しようとするも、背後からタックル気味に飛びつかれて羽交い絞めにされる。そして背中に感じる柔らかい2つの感触──

 

 

「り、陸八魔! 陸八魔! 助けてくれ! 力強ぇなチクショウ!」

 

「暴れるな! どの道話は聞きたいんだ! 大人しく連行されろ!」

 

『ああ、今回については便利屋のみなさんは解散して問題ありません。こちらが用があるのは彼だけなので』

 

「このっ! 退学届出すつってんだろ横乳! なんの恨みで復学強制されなきゃいけねぇんだ!」

 

『はあ!? 今私のことなんて言いました!?』

 

「そんなバカみたいな服着てんだから妥当だろ!」

 

『このっ──! 絶対連れてきなさいイオリ! 失敗したら反省文100枚は書かせます!』

 

「なっ! 流石に理不尽じゃない!?」

 

 

 天雨行政官にわざと悪態を吐いて気を紛らわせようとしたり、陸八魔に助けを求めるけどもう無理だ。実際には周りの状況すら碌に把握出来ていない。こんな状況において、オレの意識は背中に感じる銀鏡の2つのふくらみに持っていかれていた。

 

 天雨行政官と比べると慎ましいものサイズだ。でも、男にはない柔らかさがそこにはある。

 

 ふと、『遠山キンジ』が初めて『神崎・H・アリア』*1の胸を感じたときの感想を思い出す。胸は小さくても、丸くて大きくなくても、柔らかいものだと。こうして体感して、本当のことだったと理解出来た。

 

 ドクンと、体の芯が熱くなる感覚。血が沸騰するような、体の内側から湧き上がる感覚を自覚して──

 

 

「このっ、いい加減にしろ!」

 

 

 浮遊感を感じ、景色が逆さになる。

 

 

「ぁ──」

 

 

 頭に強い衝撃が走り、口から僅かな悲鳴が漏れる。

 

 

「あ、ごめんカナタ! だいじょう──」

 

 

 バックドロップとか容赦ねぇな──

 

 ちかちかする視界と遠くなる聴覚の中、心配する銀鏡や陸八魔たちの言葉がうっすら聞こえて、ぷつりと意識が途絶えた。

 

 

*1
緋弾のアリアのメインヒロイン。幼児体型で貧乳。




ハルカを動かせなくて申し訳ない…
同時に6人動かそうとするのってこんなにも難しいんですね。諦めました。

後、修羅場がこれでいいのか分からない。
youtubeとか偉大な先人が書くものが湿気凄かったりドロドロしてたりして、自分の中でそれが基準になっているのでこれで良いのかずっと悩んでました。
結果アルとイオリだし、某湿度四天王みたいな湿度感じないからいいやってことにしてます。
解釈違いはあると思いますが、申し訳御座いませんとしか言えないです。
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