ガンダムビルドダイバーツバキ   作:レイメイミナ

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計画⑧:接近戦

 アマツが早速切り離されてしまった。加えてサモネさんは狙撃するため、ビリーヴ先輩は挟み撃ちのために解散。結局レシアと二人きりである。

 

 で、問題はこの目の前のデカブツなわけなんだけど…………。

 

「……一人でなんて、随分余裕ですね。カグラ先生」

「まぁね。貴様ら如き、このTR-6アテナ一機でまとめて塵にしてくれるわ!!」

 

 大型の手足に黄金に輝くスラスターユニット、そしてそれらを繋ぐ小さなコア。そのアンバランスさが異物感を出し、僕らを威嚇する。

 

「ハイゼンスレイIIをベースにクスィーのユニットを……面白くって恐ろしい発想ね……!」

「うん。まともにはやり合えない」

「ほらほら、来なさい人の子よ」

 

 そう言いながら、絶対に近づける気なんてなさそうに両肩のビームキャノンを放つ。こんな様じゃライフルは効かないだろうから、バズーカに持ち替えて応戦。放ったバズーカの弾はどこからか飛んできたミサイルに破壊された。

 

「は!?」

「焦るなッ!!」

 

 横からアデラバルデのシールドが飛んでいって防御用のバリアを形成、ロゼア目掛けて飛んできていたミサイルを受け止めた。

 

 攻撃が苛烈すぎる……! ライフルもバズーカも効かないとなると、もう弱点は……!

 

 僕はバインダーを動かして、素早くアテナの裏側に回り込む。そして、黄金のスラスターに向かってバズーカとビームバルカンを撃ち込んだ。アテナは旋回してバリアで受け止め、そのボディには傷一つ付かない。

 

「無駄だよ。君らじゃ決定的な攻撃はできません」

「そうかな?」

「はい?」

 

 アテナの背中に、アデラバルデの予備の腕が接近。もうひとつの腕が放ったビームによって接触寸前で爆破し、それはスラスターを巻き込んだ。

 

「あちょ、嘘っ!?」

「よしっ!!」

 

 即興で乗ってくれて助かった!

 

 誘爆するユニットは本体を巻き込む前に切り離され、それと同時にメインウェポンであろうビームキャノンも墜落した。

 

「やはり脚のだけでも飛べるのね……!」

「くうっ、サモネちゃんがこちらにいればこんなことには……!」

 

 泣き言を言っている今がチャンスだ。僕はバズーカを捨て、ビームサーベルを引き抜き接近した。相手は腕のシールドからビームサーベルを発生させて応戦。鍔迫り合いは、多少こっちの方が不利…………かも!

 

「ぐあっ!!」

「なんのこれしきぃ!」

 

 吹っ飛ばされる直前、照準を定めたアデラバルデが見える。

 

「今!」

 

 インドラが放つ砲撃もビームバリアで容易く……ではないが防がれた。

 

「くっ……!」

「残念でし、たぁ!!」

 

 ミサイルと共にアテナがアデルバルデを狙う。先んじてアデラバルデがロゼアへとクローを射出、スラスターを吹かしながらワイヤーを巻き取って離脱した。

 

「回避が上手いね、でもファンネルミサイルには意味がない!」

 

 ミサイルがこちらに向かってくる。あれ、もしかしてリアルタイムで追ってくるの!?

 

「仕方ないわね、ツバキ! サーベルを投げなさい!」

「いきなり何言ってんの!?」

「早く!」

「……あーもう!」

 

 レシアの言う通りに、手に持っていたビームサーベルをミサイル群に向かって投げ込んだ。すると、アデラバルデがビームガンを放ってビームサーベルに上手く当てる。サーベルを形成していたビームと撃ち込まれたビームが屈折、拡散してミサイルを次々に破壊した。

 

「ビーム・コンヒューズ!?」

「全部撃ち落としちゃった……」

 

 レシアの方がガンダム知識が多いので彼女に賭けたが、どうやら正解だったらしい。何はともあれ、これで再びチャンスが来た。

 

「ッ、はああああッ!!」

 

 残ったもう一本のビームサーベルを引き抜き、アテナに突っ込む。近接に応じるしかないアテナは左のサーベルで受け止める。激しい火花が散る中、右腕による追撃を僕はシールドで防御した。

 

「やるねっ……! でもこれでどっちも抑えた!」

「そうと思ったら、大間違いッ!!」

 

 左腕をなんとか動かして、勢いを付けてシールドで頭部を殴打する。シールドの突起によって頭部は潰れ、メインカメラはもう使い物にはならないだろう。我ながら結構博打を打った。

 

「ごわぁッ!!?」

「これで、終わりッ!!」

 

 体勢を崩したアテナに、トドメの横薙ぎを喰らわせる。真っ二つになったアテナは、跡形もなく爆発した。

 

「…………、いやまだ……!」

 

 煙の中から何かが飛び出す。脱出ポッドの類いだ! このまま逃すわけにはいかない。なんて往生際の悪い顧問なんだ。

 

「へへっ、やっぱりあたしって、不可能を可能に──!」

 

 追撃しようとした瞬間、脱出ポッドが上からのビームによって貫かれる。

 

「…………え?」

 

 上を見上げると、そこにはフライトユニットに乗った白色の機体……『K1アストレイ』がライフルを構えていた。

 

「ツバキさん」

「あ、はい」

「お見事でした。けど、カグラさんにトドメを刺すのはあなたでも病気でもなく、私です。覚えておいてくださいね」

「…………はい」

 

 そうニッコリ笑顔で話してくるサモネさんを相手に、僕は頷くしかなかった。

 

────────────────────

 

「……見てよあれ。あの距離でプリムローズぶち抜いたんだよ、すごいよね」

「はあ…………」

 

 ツバキのフォローに入ろうと動いた直後、突如強襲してきた機体によって地上に下ろされてしまった。レシアは、目の前の光景に冷や汗を垂らす。

 

 目の前にいる機体は、見たところ黒いだけのνガンダム。しかも、構造的にエントリーグレードの機体だ。EGは総合性能がHGの八割程度になるという仕様があり、このアデラバルデにとっては取るに足らない相手と言っていい。

 

 しかしながら、その機体に登場している人物がその事実を霧のように消し去った。

 

 GBNでは知らない人を探す方が難しい有名G-tuberにして、フォース『ビルドリバイバル』のリーダー、カスミ。

 

 彼の駆る機体はシルバーカラーのユニコーン、ルシファーと、真っ黒な最新テレビシリーズの主人公機、ビビッドガンダム・ゼロの二つだけとレシアは聞いていたが、どうやらここで三機目の登場らしい。情報がないので、エコプラのような黒さも相まって不気味である。

 

「怖いよね。あの距離からあの精密さだよ、いつでもオレを狙えるわけだ」

「……そうね」

「怖い。怖すぎ。震えが止まらん」

「そうは思えないのだけど……」

 

 さっきからこの人は不気味なくらい話しかけてくるし、声に抑揚がない。時間稼ぎが目的にしては、何をしてくる気配もない。人数割り当て的に、あちら側はレイメイのシルヴィーツヴァイまたはアノマロカリスのスカルライダーがフリーだから、そのどちらかを待っているかもしれない。どう来るにせよ、レシアは警戒を怠らないに越したことはないと思い、各種センサーのレベルをワンランク上げた。

 

「ハハハ。これはね、あまりの恐怖を前に表情筋が硬直して抑揚つけられなくなってるんだよ」

「えぇ……」

「うおォン、今のオレはまるで人間機械音声。言うなればそう中の人を得た初音ミ…………ここだとハロロか?」

 

 やばい。

 

 この人トークが微妙に寒い……。

 

 まぁいい、適当に流しておこう……と思いながら、レシアは戦闘に備える。先の戦いでイーシュヴァラをひとつ失ってしまったが、フィンファンネルもないようなνガンダムに遅れを取るような状態ではないはず。

 

 先手必勝、レシアはインドラを早速最大出力でνガンダムに向けて撃ち込んだ。

 

「………………、なっ」

 

 爆発が起きた数刻の後、煙から素早く機体が飛び出した。

 

 黒いνガンダム。驚くべきことに、まったくの無傷での特攻。

 

「くっ、速い!?」

 

 機体の性能差だけでは戦力というものを測ることはできない……、かの男はそう言っていた。

 

 EGにも関わらず、この運動性。あっという間に懐に入られる直前というところで、レシアはそれを実感した。

 

 ビームサーベルによる斬りかかりと同時に割り込んだアンビカーが、彼の攻撃を阻む。

 

「反応早い、けど。それだけ」

「ッ!!」

 

 後ろに回り込ませたイーシュヴァラのビームを避けるようにνガンダムがジャンプ、流れるようにビームライフルでイーシュヴァラが撃墜される。レシアはそれを認識したタイミングでアラートを聞き、いつの間にかすぐ横に来ていたνガンダムに戦慄した。

 

「ッ、くッ……!!」

 

 斬撃の予備動作を見て、すぐに右腕のイーシュヴァラを分離。分離とぴったり同じタイミングで、右の付け根から肩を切り離された。

 

 右腕が破壊されたが、ベースであるダリルバルデからしてみればイーシュヴァラの接続部位をひとつ失った程度の損傷だ。特に砲撃仕様であるアデラバルデには、左右の違いなどさほど気にはならない。レシアは自身にそう言い聞かせ、すぐにグスサー・イーシュヴァラを左手に接続し反撃に出た。

 

「遅い」

 

 さっきまでの軽薄な空気は今や影さえわからない。

 

 反撃の一撃は軽々しく避けられ、上からビームライフルの砲口を向けられる。左肩のアンビカーで防ぎつつ、射撃時の隙を狙ってインドラで反撃。死角だったにも関わらず勘づかれ回避されたが、避け切れずライフルは破壊。

 

 νガンダムはビームサーベルを引き抜いて、アデラバルデへと突撃。レシアは反応が遅れたが、辛うじてAIが機能しイーシュヴァラのサーベルが急所に割って入った。弾き返すと、νガンダムは怯まずシールドを前に向けてタックルを食らわせてきた。

 

「ッ……!!」

「……っし」

 

 体勢を崩したアデラバルデ、サーベルを構えるνガンダム、絶体絶命のピンチの中…………レシアの脳は過去最高の働きを見せた。

 

「うおっ!?」

 

 アデラバルデの持つペレットマインが炸裂。直撃こそしなかったものの、トドメの一撃は免れた。その後すぐにアンビカーを飛ばしνガンダムを追い詰める。

 

「なる、ほ……どっ!! 目肥えてたこれ!」

「はぁぁっ!!!」

 

 近接戦を自ら行う。レシアはこれをはしたない行為として、できるだけ避けるようにしてきた。だが、ツバキとのバトルがその認識を変えたのだ。

 

 インドラがνガンダムの頭部を掠める。その頃には既にもうアデラバルデとの距離が一桁に近く、この時点でνガンダムが斬撃を回避することは不可能であった。νガンダムを操るカスミはそれを悟ったのか、盾で守ろうという行動すらしない。

 

 イーシュヴァラのサーベルが、νガンダムのコクピットすぐ横を貫く。ジェネレーターの被弾判定であるため、完全に即死である。

 

「決まっ──!」

 

 勝利を確信したレシアの上空から、光が降り注ぐ。

 

 二つのビームがアデラバルデのジェネレーターを貫通。その事実に、出かけた勝利の言葉は引っ込み、レシアはただ呆然となってしまう。

 

「な、フィンファンネルは、ないんじゃ……」

「そんなこと一言も言ってないよ。これはガンプラバトルなんで、好きに盛らせてもらってまーす」

 

 二機、共に爆発。各プレイヤーに撃墜判定のアナウンスが下された。

 

 その爆発と同時に、上空を飛んでいたコンテナが地上へ落下。そのまま、データの海へと還っていったのだった。

 




カグラ「アノマロの弟子つえー……」

RX-124HS/MF105X-A ガンダムTR-6アテナ
カグラがイチカと共にビルドしたガンプラ。
ハイゼンスレイIIにフルドドIIとミノフスキー・フライトユニットを換装し、手足のユニットも専用のものに変更された。素体のTR-6は前機体のバイカスタムのものをそのまま使っているが、無改造であるためバイカスタムに戻したり、掛け合わせたりできる。
武装はバルカン砲二門、コンポジットシールドブースター二基、小型シールド兼ボックス・ビームサーベル二基、ファンネルミサイル、ビームバリア。

RX-93E N.e.w.ガンダム
カスミが私製エコプラで制作した黒いνガンダム。
白装甲が丸々エコプラになっており、ヒロトが制作したプルトアーマーのリスペクトモデルとして盛り込んだ「EP装甲」により、性能が抑えられたEGだとしてもあまりある運動性を確保した。加えて、EGには無いフィンファンネルに代わりビビッドガンダム・ゼロのコンテナビットをそのまま搭載している。
武装はバルカン砲二門、ビームライフル、ハイパー・バズーカ、シールド、シールド裏グレネードランチャー、ビームサーベル二基、コンテナ内ファンネル、コンテナ内ビームマグナム。
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