鍛えられた武術に、呪術が勝てるわけないだろッッ‼︎   作:チチメカ

1 / 10
大道鋼とか言う一般人のヤベェおっさんを見て、思いつきました。
力を抜いて見て下さい。


第一話・退屈

 

 

 

 

 

技を持って武を行使し、武を持って敵を制す。

 

      男の生はこの武を極める事にある。

 

 

 

 

儂の親父は、儂にそう告げて死ぬまで儂に武を教え続けた。別に苦でもない。儂も親父も願いは一緒だった。生後5ヶ月から鍛錬が始まり、小学生程で木々を薙ぎ倒し、中学頃では岩を砕いた。

 

「ただ強くなりたい」

 

その為ならなんでも吸収した。鍛錬を積み、近くの道場へ武を学びに行った。大体が三ヶ月すると、学べるものが消え、また次へゆく。

日本を周り様々な武を学んだ末、海外へと飛び出し、中国大陸、ユーラシアを己の身一つで踏破し、欧州の武を会得して、アメリカへも参った。最後には親父との一騎打ちの末、親父は絶命し熊に襲われたと言って警察が引き取り儂の武の終着点に至った。

儂の人生は武で始まり、武で終わる。そう。それだけが儂の人生の指標であり、それだけが儂の人生そのものだった。

 

しかし……足りない

 

儂には決定的な何かが足りなかった。

 

武を極め、格闘技も、剣技も、槍術も、矢術も、CQC、中国諸拳法、ボクシング、フェンシング、アーチェリーetc...etc....ETCッッ!!!!!

全てを極め、遂に齢六十年。儂は退屈していた。途轍もないほど、もはやこの完璧な御体に唯一今だに被害を与えている唯一なる物こそ、この退屈であった。

 

足らぬ。足らぬ。足らぬ。足らぬッッ!

 

拳がぶつかりあい!骨がひしめき!血とゲロを吐いて殴り合い!漢と漢のロマンの戦いィ!

この闘争心は、全ての武を完成させた儂の戦いへの欲求を抑える蓋を悉く破壊し、もう既に限界を迎えていた。

 

だが、そんなある日。

 

五感を研ぎ澄ませ、目を瞑り木々生い茂る山を、全速力で駆け降りる訓練をしていた時だ。

違和感を感じた。儂は空気や風、そしてこの世界に漂うオーラと呼べるものを感じ取る。チャクラーだとか、そう言うものは会得できなかったが、今ではなんとなくわかる。このオーラ…時たまに異常なものを感じ取るのだ。

だが、今回はその中でも異常だ。

 

なんと勇ましき覇気じゃァ!

 

目を全力で見開き、その存在を目に映さんと見る。だが、そこには何もない。ただの森が写っている。しかし、感じる。感じるのだ。

この武を極めた儂だからわかるッ!

これは、闘争の匂いじゃ…!勇ましき武勇の匂いじゃ…!

 

その瞬間、そのオーラが儂めがけて攻撃を行なったことを理解した。空を切り、見えない何かが、儂めがけて鞭のようなものを振り回す。

直ぐにこれを交わし、六十度を超える角度を持った山の森の中で体勢を立て直す。

こうなると、目から飛んでくる情報というものは役に立たない。儂は目を瞑り、五感を研ぎ澄ませる。

 

円を書くように、儂の周囲を周り攻撃の隙を狙っている。妖怪か?魔物か?もっとも、既にその答えは必要としていなかった。儂はただ退屈を殺す、劇薬を探していた。これを!これをッッ!

 

「儂は求めておった…退屈しておった…」

 

ついに、見えぬ何かが覚悟を決め、儂の首を目掛けて触手を伸ばす。しかし…

 

「だがァ!これでもう終わりじゃァァ!!!!!」

 

飛んできた触手を、右手の甲で払い除け、左手でその触手を掴み全力でこちらは引っ張り込む。

正の八角、大拳を敵の腹に打ち込む。そして、森中にこだまする破裂音。

この楽しき時間はついに終わってしまったのだ。

 

訓練を続けて、崖を下っていく。山の麓に着いた時、儂は気づいた。いや、逆になぜ今まで気づかなかったのだろうか。この山に溢れる、埋めつくほどの、あのオーラ達を。

 

 

 

 

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

ジメジメとした熱が広がる7月の中旬、呪術高専からの依頼で五条悟、夏油傑は某県の山奥へと足を運んでいた。

 

「面倒くせぇな〜、なんでわざわざこんなど田舎に来なくちゃならねぇんだよ」

 

「仕方ないよ悟。この付近では、特級呪霊の出現が度々起こっている。その原因を探るためにも、私たちが二人で協力して…」

 

「うるせぇな、それくらいわかってる」

 

山の周りには村の一つもない。だから、別にザコのことを機にする必要はない。悟はそう思っていた。だが、山に近づくにつれて、理解する。

 

「うわ、これマジで面倒くさい奴じゃん」

 

「これは…凄いね」

 

山を覆い尽くすほどの、呪霊の圧。なぜこんな事になるまで放置したのかと、悪態をついてしまうほどに、その山は呪霊で溢れていた。

そして、二人は耳にする。

 

…!」

 

「おい、傑なんか聞こえねぇ?」

 

「何…?いや、本当だ」

 

「…ケ‼︎」

 

傑も耳を澄ませると、確かに例の山の麓から男のかすかな声が聞こえる。

 

「人はいないはずじゃなかったのかよ!」

 

「これはヤバい、急ぐよ悟」

 

「分かってる!」

 

二人は急ぐ、類稀なるその脚力で現場に向かう。だが近づくにつれて、二人はこの声の異様さに、気づき始めた。たった一人の男の声、しかしその声は止むことがなくただ戦っているように、雄叫びを上げている。

 

「悟、私たちより先に呪術師が来たって情報は?」

 

「そんなのねぇ、なんだよこれ」

 

少し経って、声が消え。それと同時に二人は山の麓へとたどり着いた。

 

二人は遂に目にした。

 

「オラァァァァァァ‼︎‼︎儂の勝ちジャァァァォォァ!!!!!」

 

一級や二級呪霊の屍の上で叫ぶ、一人の老人の姿を。

 




なにこれ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。