鍛えられた武術に、呪術が勝てるわけないだろッッ‼︎ 作:チチメカ
五条と夏油の口調に苦戦する人間なんて、私だけじゃないか?
''目に見えぬ何か''を破壊するのに時間はそれほど要しなかった。五感を最大限利用し、''何か''以外の全てを理解する事で、その場に浮き出るシルエットを把握する。見つけて仕舞えばこちらのものだ。
連続ジャブ、背負い投げ、突きなどの簡単な技でも、何かは意図も容易く崩れていく。山を駆け回り、倒した数が50になった時、儂は気づいてしまった。
''また…退屈を感じてしまっている''と…
崖のような角度の山を駆け上がり、八極拳の突きで、敵の腹に風穴を開ける。手刀で違う敵を切り伏せ、投石で遠くの敵の頭を撃ち抜く。
発散方法にはなったであろう。しかし、これは強敵ではない。先程の血沸き肉踊る闘争は何処へやら。儂はここでこの闘争すら退屈凌ぎに過ぎないことに気づいたのだ。
もう良い。
さっさと終わらして訓練に戻ろう。
山の中の奴らを適当に山の麓に誘い込む。
そして、遂に決した。
「オラァァァァァァ‼︎‼︎儂の勝ちジャァァァォォァ!!!!!」
勝鬨を上げ、力無く空を見上げる。暗い、闇き曇天が空を覆い尽くし、空の星々も、月の光たちも届く事なく、ただ空虚に感じる。
溜め息を吐き、周囲を見渡す。
その時、天啓か!神からの祝福か!これまでの武を神が認めたのか?!そこに立っていたのは、とんでもないほどの
「なんと…なんと覇気か?!」
口角が上がってしまう。あのような益荒男を二人と見たなら、儂の心意気は決まってしまった。
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五条悟はこの奇怪な状況に、混乱していた。
六眼はその者の呪力量は術式を看破する。詰まるところ、相手の呪術に関する情報は筒抜けになる。であるからこそ、悟は理解ができなかった。
…なんだこいつ、
しかし、それでは現状が説明できない。何故、この呪霊の血まみれの老人が、呪霊の屍の上で雄叫びをあげているのか。
「悟、何か分からないか?」
「…あいつ、パンピーだぞ」
「嘘だろう?!」
何が起きているのか…悟は頭を働かせ、考えようとする。しかし、少ししてからそれすら止める。
「面倒くさ、もういいじゃん。あいつ保護して終わりだろ?」
「…そうだね、その老人が非呪術師なら、保護してこの任務は終わりでいいだろう」
二人は、老人に近づく。だが、その瞬間。二人は足を止める。
「おい、あのジジイ…なんか構えてねぇ?」
「それに…何だこれは…?!」
二人は自ら足を止めた。呪術によるものでも、術式によるものでもない。ただ、自然に二人の足がこの男を前にして止まったのだ。
「坊主ども」
老人は既に二人に気づいていた。その眼光が、二人に向いた時、二人は瞬時に理解した。
この男はヤバイと。
鍛えられた身体、程良く無駄なく着いた筋肉に、一瞬の隙のない御体。
呪力ではない、純粋な漢としての器‼︎
「…何だよジジイ」
「待て悟、術式を使うな」
老人は二人を見下ろす。
「名前は何と言うんじゃ」
「何だよ、何で言う必要ねぇだろ」
「悟…私達は呪術高専から来ました、夏油傑です」
「おい、傑。高専の事…」
「いや、別にいいだろう。呪霊を倒したなら知ってるはずさ」
傑は、老人の下敷きとなっている呪霊を確認する。一級…準一級…二級呪霊。この山が、何故こんな強力な呪霊を内包していたのか、そして、何故このような男がここにいるのか。
「高専?呪霊?何を言っておる」
「「…は?」」
怪訝な顔で二人を老人が見下ろす。
「いやいやいや!ジジイ、何?本当に見えてねぇの?」
「ん?あぁ、これか?見えとらんな」
「じゃぁ、どうやって倒した
「そんな事よりィ‼︎」
老人が急に怒鳴り口調で、傑の声をかき消す。
「坊主ども、お前ら強いじゃろ」
「…は?」
「…え?」
「強いじゃろ?」
「まぁ、最強だけど」
「…そんな事より、お話を
「それならァァ!!!!!」
またもや、掻き消される傑の声。流石に腹が立ち始める。このよく分からない状況、わざわざ暑い中、この山の中まで歩いてきてストレスが溜まっていた。それに、話の聞かないよく分からないジジイ…
ウザいな…」
「何じゃ、腹が立ってるのか?」
本当に小さい声で呟いたのに、
「なら、話は早い!」
「…おい、まさかお前」
「そのまさかじゃァ」
老人は笑う。口角を全力であげ、まるで玩具を手にした子供の様に満面の笑みで、叫ぶ。
「
二人は気づいた。いや、もう既に分かっていたのだろう。そう…
この男はやばいと。
次回、戦闘回です。