鍛えられた武術に、呪術が勝てるわけないだろッッ‼︎   作:チチメカ

6 / 10
少し短め


幕間・禪院扇の変化

 

妻と娘が固まっていた。

それを見た扇は、何も起こることはなく、ただ3人に「少し難しかったか、またあとでわかりやすく伝えよう」とだけ言うと、当主部屋へと足を運んだ。

 

部屋に行く最中、様々な人々が扇を指差し、ボソボソの呟く、嘲け、嗤い、煽て、貶す。そんな言葉が、全て扇ただ一人に向けられる。

 

だが、扇は一つも表情を変えず、ただ歩いていた。それだけじゃ無い、もはやその表情は柔らかかったと言っても良い。その表情には、一切の怒りはなく、仏スマイル全開で、縁側を歩いていた。

 

ふと、床を見ると、下女が床を磨いている。

 

「そこの君、その雑巾を貸してくれないか」

 

下女は、扇を見た瞬間、恐れをなしたかのように目を伏せ、雑巾を手渡す。何をするのかと、下女が扇を見つめると、突如扇は床をもの凄い速度で磨き始めたのだ。大きな縁側が、ものの15秒で磨き終わってしまった。

 

そうして、扇は雑巾を下女に返すと、当主の部屋までと、また足を運び始めた。

 

それを、下女は呆気に取られたように見送ったと言う。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

「遅かったな」

 

「えぇ、下女が雑巾掛けをしていたもので、私もやってみたくなった」

 

「はぁ?」

 

禪院家当主…禪院直毘人は素っ頓狂な声を出してしまう。此奴は何を言っているのか、本当に禪院扇なのか?

 

「兄さん、私の事疑ってるでしょう」

 

「…気づいておったか」

 

「えぇ、まぁ、流石に」

 

今まで、見た事ない、憑き物が落ちたかのような良い笑顔。この、奇々怪界な状況で、直毘人は唯一の打開策を考えた。

 

「扇、訓練所に来い。お前が本物か見極めてやる」

 

「…それでいいでしょう」

 

仕方ないと言った顔で、扇は正座を崩し、障子を開ける。その瞬間。

 

「「「「うわっ」」」」

 

まるで雪崩のように、四人の男が力無く崩れる。

盗み聞きせんとした炳の男達を直毘人は呆れたように、その男達を見つめ、扇はそれを見て声を出して笑った。

 

…さて、そこから直ぐに場所は変わった。

訓練所にて、扇と直毘人は対峙していた。方や、呪術界の大御所御三家のうちの一つ、禪院家現当主と、当主になりきれず、ましてや非呪術師に負けたその弟(出来損ない)

 

ただ扇が本物である事を証明するだけの、軽い茶番。だが、それは一変した。

 

「よし、術式を見せてみろ扇」

 

予備の方を適当に見繕い、扇に手渡す。しかし、扇は受け取ろうとしない。

 

「…うむ、ありがとう兄さん。だが、もうそれは私には、必要無くなった」

 

「…何?!」

 

瞬間、扇の錫杖から火が上がる。次に、体全体が火に包まれ、その外観は火によって見ることができなくなる。

 

皆がその炎と''呪力量''に唖然とするなか、炎の中からとある声が聞こえ始めた。まるでお経の様な言葉の数々。火が収まり始め、扇の姿が顕になる。そこにあったのは…

 

「誰や…お前」

 

その場にいた直哉は思わずそう口に出した。パッとせえへん筈の、男。術式も呪力も以前とは比べ物にならない。

 

真っ赤な炎が神の様に頭を燃やし、その表情は今まで見た扇の中で一番苛烈で、強烈であった。

 

正しく、怒りの顔。修羅の顔。

 

「これが、阿修羅猊下から頂いた新しい姿だ」

 

その姿に、誰もが驚愕し、禪院扇という人間を再確認したと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…これを境に禪院家に新たな派閥が生まれた。後に、その派閥は非呪術師にも拡大し、日本中で扇はこう呼ばれる様になる。

 

ー京都禪院宗 開祖 禪院扇

 

と…

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、大鬼は大阪へのたどり着いた。

道の最中、知らない老け顔の男に襲われたが、大阪に来た時にはその男の存在など、記憶から消えており、戦えそうな呪霊を探して大阪中を歩き回っていた。

 

だが…

 

「つまらんな」

 

強そうな物は一つもない。一つ殴って仕舞えば倒せる程の呪霊のみだ。なんとつまらないことか。

 

意気消沈の末に、適当にその場で立ち尽くす。右手には適当に家から持ってきた茶椀を持ってである。

 

すると、外国人や何も知らない人々がこの茶碗に金を入れてくれる。まるで、物乞いの様な物であった。…詰まるところ、この大鬼強。仏教徒でもなんでもないのである。

 

その後、ある程度金を手に入れた大鬼はそこらでお好み焼きとラーメンを食べた末、格安ビジネスホテルで一泊した。

 

……その次の日、大鬼はまた出会うこととなる。

二人の最強に。




何故、扇がこうなったのかを説明します。
大鬼との戦闘の後、プライドと尊厳を粉々にされた末、禪院家では居場所を失い、自分より弱い者からも蔑まれる状態に陥った禪院扇はとてつもないストレスを短い期間で急激に感じることになりました。

そのせいで、食事も取れず、睡眠も取れず、謎の幻聴までも聴こえることによって廃人一歩手前まで、陥った末発狂。
まるで、示し合わせたかの様に、たまたま大鬼強の元家まで来てしまいます。

中に入り、真理(笑)に気づいた扇は、これまでの負ったストレス…負のエネルギーが一気に表面化し、呪力量が増加。
それと同時に、発狂からの真理(笑)に気づいたことによって、常識が変化。術式の解釈も変化したと言う設定です。

ご都合主義満載ですが許して()

評価、感想などよろしくお願いします
あればあるほど、やる気が湧いてきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。