王戦物語~聖剣抜いたのでヒロインみんなを笑顔にします~ 作:ビスマルク
昔の漫画だけれどアイシールド21が好きです
セナ鈴がね、いいんだよね。互いに理解者って感じで、何より等身大の青春って感じで……
セナ君のたまに見せる男らしい表情が素晴らしくカッコいい……
そしてアンケート実施からのヒロイン力爆上げイベントを挟む暴挙
作者の卑劣な策だ……
長かった会議も終わり自室に戻る僕、その後ろには見慣れたメイド服を着たヒカリと、いつもの聖女の服を着ているアリシアがいる。
ともに先程の会議で最後に話題になった件について色々と言いたいだろうになぜか口にしない。いやまぁ理由は恥ずかしいからだろうけどわざわざ口にしたりしない。
女性には常に気を使えと母さんから叩き込まれているからね。藪をつついて蛇を出すような真似はしたくないし。
「しかし結婚ねぇ……各地から申し出が多いとかって言ってたけど実感湧かないや」
「トーマ君はちょっと前まで平民でしたからそうでしょうね。そういう私もあまりこう言う話は聞かないんですけど」
僕の呟きに苦笑しながらそう答えるアリシアはこの二週間街に出る度にそういう話題を振られまくって慣れたのか復帰が早かった。ヒカリの方はその顔を見る限りまだまだ復帰は遠そうだけれど。
「婚姻関係を結べればこの国初の王族の身内という絶対的なアドバンテージが得られますから血眼になるのもおかしくはないです。ただそういう申し出をするという事自体がトーマ君からしたらあまり面白くない、ということに気付いていないんですけど……」
「そうだねー、必要だとは分かってるけどそういう結びつきは個人的に嫌だし。ぶっちゃけ本来の人生から外れて王様やって、その上で結婚相手まで決められるとか僕はごめんだよ」
剣王をやること自体にはとっくに納得してるし、その為に傷つくのも責任を取るのも仕方ない。それが役目だというのも分かっているしそれをしないとみんなに迷惑がかかるという事も既に実感している。
ただ結婚とかそういうのは自分の意志で決めさせてもらう。それが剣王になるに至って決めておいた一つのことだ。それ以外だったらまぁいいかもしれないが。
僕がカプ厨になったのは好きな人と結ばれて幸せな表情をする彼らのように誰かを幸せにしてみたいという憧れも大いにある。そんな僕が望まぬ結婚をするのもさせるのも嫌である。絶対にだ。
「権威が足りないって言う人もいるかもしれないけど僕の傍には権威の塊のアリシアがずっといるしね」
「トーマ君の役に立つなら聖女の名前も本望です、なーんて」
かつては出来なかった聖女の名前を使った軽口も笑ってするようになったアリシアの表情は非常に明るい。自惚れでなければその笑顔には僕が関わっており、それはとても誇らしいことだと思う。
ただし、だ。
「アリシア、それさ。遠回しにプロポーズされてるようなもんだって気付いてるか?ずっと一緒にいるって言われてんぞ」
「へっ?…………にゃっっっっっっ!?!!?!!!?」
顔を赤くしたままのヒカリがツッコミを入れ、その内容を理解したのか驚いた猫のような声を出して頭から煙を出して意識を飛ばすアリシア。彼女を見ているとたまに揶揄いたくなる欲求を抑えることが出来なくなりそうで困る。
「ずっと一緒と言えばヒカリもだよ。ここまで来たら最後まで付き合ってもらうから……その分人生満足させるからさ」
「へーへー。言われるまでもなく付き合ってやるよ、最期までな」
最後の字が違うようにも思うがここら辺は同意見でよかった。本来の人生だったら結婚するような年齢になったらヒカリに申し入れようとしていたし、ここまで来てくれた彼女を捨てるなんてことも出来ない。
彼女が本来の主人公だとしてもそれはもうIFの世界の話。主人公ヒカルはおらず、ここにいるのはただの僕が好きな女の子である。
そう思うと僕が剣王になれてよかったとも思う。彼女にこんな重荷背負わせて自分は何も出来ないとか死にたいと何度思っても足りなさそうである。
まぁこの国では結婚は15の成人からと決まっている。ただし法としては、という事で実質その前に婚姻関係になる人達も多い。人口が力という事もあって多産推奨という事で複数の婚姻関係になることも出来るらしい。らしいというのは本来の僕には全く縁のない話だったのでまるで把握していないという事だ。
とはいえこの立場になってしまえば先程の会議でも出た婚姻の話が出てくるわけで。そういうわけではもうさっさと決めた方が早いという話もある。
剣王の再誕とその剣王の婚姻、その上『王戦』での勝利。この流れに乗っていい話が続けば民衆の多くから支持を得られるという打算もある、とはデプロン大臣からの入れ知恵だ。
結局のところ僕の気持ち一つだとは言っていた。僕の誕生日は12月、今から半年以上先の話になるのでそれまでに決めてほしいとも言われた。
「悩みは尽きないしぃ。もう街に繰り出して色んなカップルを見ていたい……、存分に気ぶりたい……」
「あー、ストレスが一気にきて限界になったか?こうなるとあんまり頭働かなくなるし暴走しやすくなるんだよなこいつ」
誰も見ていないことをいいことに肩を落としながら歩く。普段は誰かの目がある為しっかりしなければという思いで頑張っていたが息抜きをどこかで挟みたい。
変装でもして街に繰り出すか、わりと本気で悩みながら自室のドアを開ける。この後は仕事もないのでみんなでトランプでもやろうという話になっているのだ。
「お、おかえりなさいませ、ごしゅじんさま……!!」
どこかで見たことあるメイド服を着た魔道具マニアクソ強エルフがそこにはいた。常に被っている黒い鍔の広いとんがり帽子の代わりに白いカチューシャをつけて。普段は常にミニスカートで丸見えだった脚は白いロングスカートに隠れており、見えないからこその想像力を掻き立てられる。
動くのに邪魔だったかエメラルドグリーンの髪をまとめ上げており、うなじがちらちら見えるのも普段と違ってとてもいい。そして何より今までずっと日の当たらない『魔霧の森』ですんでいた為新雪のごとき白い肌が羞恥心から赤くなっており、その小柄な体躯と合わさってとても可愛らしい。
そう、その場にいたのは最近魔法研究室で働いて欲望を満たしていたはずのエルフ、キャロルだった。
「…………ねぇ、何とか言ってくれない?恥ずかしいんだけど……」
「ごめん、見惚れてた。凄い可愛いし、普段と正反対って言える格好が凄くギャップで萌えるし、その長い髪に隠れてたうなじとか本当もう綺麗だし、照れてるところとかいつもと違って凄い美少女に見える。普段は知的で神秘的な雰囲気で美少女ではあるんだけどそれ以上に頼りになる感じがするけど、それとは別でメイド服のキャロルは綺麗というか神秘さは減ってるけどその分可愛いって言葉がよく似合って」
「分かった!!分かったからもうやめて!!!!恥ずかしくて死にそうだからっ!!!!!」
まだまだ言い足りないのだが止められたなら仕方ない。ただでさえ赤くなっていた白い肌がもう熱を発しているのではないかと思わせるくらいになっている。
だがしかしなぜ彼女はこんな格好をしているんだろう。キャロルがメイド服を着る理由など僕には皆目見当がつかない。
「で、なんでメイド服?」
「なんかコイツ、トリコピスラちゃんを改造しようとしてクラリスにブチギレられたんだよ。それで何かしらの罰をってことで、一番嫌がりそうな一週間メイド研修することになった」
「改造って、何しようとしてるのさ」
聞いて損したというかいつも通り魔道具マニアを拗らせたようだった。灰色の目をヤバくしながらスラちゃんににじり寄るキャロルの姿が目に浮かぶようだ。
そしてクラリスちゃんはスラちゃんのことを心底溺愛している為本気で怒ったのだろう。それこそ上司命令でここまでするほどに。
給料とこれからの魔道具生活を人質にされ彼女は逆らうことも出来ずにこうしてメイド服を着て僕の部屋で待機していた、と。
……なんで僕の部屋?
「……だって、大勢に見られるよりかは、貴方が一番馬鹿にしなさそうだし。実際褒めてくれたし……」
真っ赤な顔をしてそんなこと言われると魅了されそうになるからやめてほしい。どうにもキャロルは自分がとんでもない美少女だって自覚がないようだ。
まぁ軽く聞いただけでかなり過酷な人生を送っていたようだから仕方ないのかもしれないが。迫害も経験しているのならばそりゃ自信もなくなるというものだろう。
「まぁそういうことならいいや。こっちもキャロルに聞きたいことがあったし丁度良かった。最近忙しくてあんまり時間とれなかったしね」
「聞きたいこと?」
いや本当に色々とあって大変だったのだ。『王戦』の勝利によるヤランリ王国とのやり取りとか何していいか分からないのにその場にいなければいけなかったし。アリシアとの関係を持て囃す民衆を落ち着かせるために色々と骨を折ったり。
後者はまるで意味がなかった上に「分かってる分かってる。今はそういうことにしたいってことね。モー年頃なんだから」みたいな空気になってしまった。アリシアが街に遊びに行く時オマケを良く貰うようになったのもその影響なのだろう。とうの聖女様は恥ずかしさで毎度赤くなって帰ってくるが。
「それで何を聞きたいわけ?私に聞くってことは魔道具関係だと思うけど」
「うん、その通り。前の『王戦』で気になることが出来ちゃってね」
ヒカリが淹れてくれた紅茶を飲みながら椅子に座って話をする。トランプで遊ぶ予定だったがこうしてキャロルがいるのならば先に色々と聞いておきたい。遊びだすとそちらに夢中になって絶対に話を聞くことを忘れるので。そのことをヒカリもアリシアも分かってくれてるのか口を挟むことなく二人でトランプをし始めてる。
何かを賭けているのかその目は真剣そのものだが。「今度の休みの日、どっちが一緒に行くかを賭けるか」「いいですよ。だけどヒカリさん相手でも負けてあげませんからねっ」とか聞こえない。聞こえないったら聞こえない。聞いたら顔が赤くなる。
「『魔霧の森』では結局使えるようにならなかった第三能力。これが使えるようになったっぽいんだよね。だからその詳細を知りたくてさ」
「ふーん、それで私を探したと。それじゃ見させてもらおうかしらね」
慣れたことのようにその灰色の目は髪と同じエメラルドに光りだす。キャロルの魔眼が発動する時はどうしてもこうして変化してしまい、それはカラーコンタクトとかでも隠せないらしい。
僕はその目を綺麗だと以前言ったし、心の底からそう思っているが彼女はその目で色々と合ったらしくあんまり好きではないらしい。それでも知的好奇心には勝てずしょっちゅう使っているらしいが。
様々なもの、それこそ人の魂すら見通すその目は当然のごとく聖剣すら見抜く。だがその目をもってしてもこの聖剣の第四能力までしか把握できず、さらにその能力の詳細も僕次第で変わるらしいので度々こうして見てもらわないと能力の把握すら難しいのだ。
「――――なるほどね。第三能力は「適応力」よ。あらゆる環境、刺激、外からの影響に適応して生存する能力。またとんでもない物身につけたわね。前に見た時は「治癒力」だったんだけどやっぱり変異してたわ」
「適応力」、あまり強いようには聞こえないが……。
「何がとんでもないか分かってないようだから説明してあげるわ。そうね、例えばだけど貴方に致死量の毒を飲ませるとしましょう」
「例えが物凄い物騒なんですが」
「夢の中とはいえ何回か試したでしょ。そのおかげでシオン・エースとの戦いでもなんとか勝てたんだし」
ううむ、確かにそれを言われると弱い。あの槍とシオンの魔法によるコンボは本来であれば即座に五感の内一つを完全に奪う効果を持っていたらしい。それがあんなに不完全に影響を及ぼしたのは僕が付けた毒耐性による影響がとても大きいと言える。おかげで即座に全て奪われることもなく、五感全てが降調子になる程度で済んだ。
事前に毒耐性を付けてなければまず間違いなく負けていたことを考えると非常に危うい勝負だったと言えるだろう。
「その毒耐性を強めたような力よ、これ。致死量の毒を摂取したとしても即座に死なないくらいに肉体を「適応」させる。その上で時間をかけることで完全に無毒化して、以後その毒はもう効かないようになるって言う対毒殺には最適解みたいな力」
「それを聞くと強く思うね。それじゃああの『王戦』の最後の最後で視界が開けたのは」
「「適応」が完了したから、でしょうね。それでも強力だったからまずは視力を優先して治したってところかしら」
『聖剣』には意志があるように思ったことは何度かあるが、これを聞くと判断力さえあるように聞こえる。これを作った人は一体どんな人物なのか気になってしょうがないが、資料がまるで残っておらずなぜ『聖剣』と呼ばれているかすら分かっていない。
「しかもこれは環境にも「適応」するわ。また例えるとするといきなり山の山頂に放り出されるとするでしょう」
「高山病で死にかねないね」
「それが一切起きないわ。環境による死もないよう肉体が「適応」する。水の中に突っ込まれても窒息死する前に「適応」して水中で呼吸できるようになるでしょ。当然「適応」する為には魔力が必要になるし、自動じゃなくて能動的に使ったり適応するまでの速度を早めるならその分だけ魔力が必要になる」
「でも僕は魔力だけなら」
「そう、はっきり言って規格外。適応のために使った魔力も即座に回復していくから魔力切れもないでしょうね」
聞けば聞くほど強く思える。なるほど、確かにこれはキャロルがとんでもない力というのにも納得がいく。生存という一点においてはこれ以上の能力はないだろう。
ただ一つだけ疑問が残る。
「この能力の発現条件がまるで分からないんだよなぁ。これから先どうやれば第四能力とか解放できるんだか」
「ん?そんなの簡単じゃない。ほら、原因はあそこにいるわよ」
キャロルが視線を向ける先にはババ抜きで負けてうーうー唸っているアリシアがいた。
聖剣第三能力「適応」
あらゆる環境及び外的要因に適応し、生存する力を上げる力
水中ならばその圧力と呼吸を適応するし、毒ならば即死しない適応力を即座に作り出す。ただし完全に適応するのにはかなりの時間がかかる上使ってる間常に魔力を消費していく超燃費の悪い能力。勝つ為ではなく生き残る為の力であり目覚めさせた人間の願いが具現化した力。シオンとの戦いではその力の片鱗を見せ、視力を回復させて勝利の最後の一手となった
ちなみにトーマ君の魔力量と魔力回復量は比喩抜きで世界一レベルなのでいくら使っても問題ない。彼を殺すなら純粋に物理で殺しに行くしかない
評価感想くれるとテンションぶち上げで続きを書けますのでよろしくお願いします!!
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