王戦物語~聖剣抜いたのでヒロインみんなを笑顔にします~ 作:ビスマルク
聖剣の力の引き出し方を聞いたらなぜかアリシアを指差したキャロル。彼女が関係しているとしたらやはり『聖女』という称号があるからだろうか?
「あー、何考えてるか本当分かりやすいわね。だけど不正解よ」
「そんなに僕って顔に出やすい?分かりやすすぎない???」
なぜ何も言ってないのにこんなに他人の思考を読み取ることが出来るんだろうこの人達。ヒカリもそうだけどこんなに読まれるとなると『王戦』で不利になりそうだから直したくなるんだが。
「安心しなさいな。戦ってる時は必死過ぎていつもの緩い感じじゃないから読めないわよ。こういう安心しきってる空間にいるとそのぶん分かりやすくなってるけど」
「いや本当なんでそんなに分かるの?一言も言ってないのに」
「そんな直しようのないことよりどういうことだ?トーマの聖剣の力が解放されたのがアリシアのおかげって」
「正確に言うと第三能力が覚醒したのは聖女さんのおかげね。第一能力の「聖剣が手元に戻る」は初期能力、最初から使える力だけど第二能力からは条件をクリアしないと覚醒しないって感じね」
キャロルはいつもの癖で帽子の唾を掴もうとするがそこに帽子はなく、あるのはメイドのカチューシャのみ。現在の格好を思い出してちょっぴり不機嫌になりつつ彼女は続きを話し始める。
「要するに所有者と仲のいい相手との心の結びつきの強さによって能力が覚醒、強化されていくのよ。第二能力が覚醒したのは銀髪メイドさんのおかげ、第三能力の覚醒は聖女さんって感じでね」
「あー、そう言われると「適応」が発現したのは……」
「映像見てたけど聖女さんの「がんばれっ!!!!!!!」の次の瞬間には覚醒してたわ。あれで聖剣の能力覚醒の条件をクリアしたのね」
あの時は必死過ぎて分からなかったがそう言う事だったのか……。自分の力だけで勝てたとは思っていなかったが思っていた以上に僕はみんなに助けられていたらしい。
聖剣の力を使う時、常に僕はヒカリとアリシアに助けられていると考えればそれはとても嬉しいのだが、男としてちょっと情けない気もしてくるので複雑な気分だ。
「うぅぅうぅうぅ~~~~~~!!!!」
「それでそっちの聖女さんはなんで唸ってるの?」
「街に行った時からかわれた時のこと思い出したんだろ。キスシーンまで完備だったし」
あれ、ソードリアのあらゆる地域に定期的に放送されてるらしいんだよね……。求心力を上げる為というお題目の元外堀をどんどん埋められていってる気がしてならない。
王様にプライベートはないんでしょうか?
「見られるのも仕事なところあるでしょ。お城から演説したりとかもしたじゃない」
「やらなきゃいけないからやっただけだしなぁ。まぁ姿も見えない王様よりは何やってるか分かってる方が親しみも持てていいとは思うけどね」
「親しみやすすぎる、って言うのも問題が起きやすいけどねぇ」
「今更変えるのは無理だから諦めよう、そこは」
人間早々変われるものではないのだ。僕の性格はそれこそ文字通り生まれる前からこんな感じなので本当にどうしようもない。
さて、話がずれていったがとりあえず気を取り直して修正しないと。
「で、聖剣の力を覚醒させていく為にはヒカリとアリシアと仲良くなればいいの?」
「銀髪メイドさんと聖女さんじゃ覚醒はしないわ。出来るのは元からの力の強化、ってところね。前者なら身体強化及び直感の第二能力が。後者とならあらゆる状況環境に適応する力がそれぞれ強くなるの」
要するに仲良くなった人一人につき一つの能力が覚醒する。その力を強くするにはそれ以上に仲良くなるしかない。新たな力を覚醒させたければ新しく誰かと仲良くなる必要がある。
「って感じでいいの?」
「簡単にまとめるとそんな感じね。他にも細かい条件はあるんだけど……そこに関しては気にしても意味ないし」
「なるほどなぁ……。しっかし改めて面倒な条件だなこの聖剣……」
これ聖剣の力を完全に覚醒して使いこなしてたと言われる『初代剣王』ってとんでもないプレイボーイだったのではなかろうか。僕とはまるで似ても似つかない、口を開けば女の子を口説いているような超天然な王様の可能性が非常に高くなってきた気がする。
「僕とは似ても似つかない女の子口説きまくる王様……いやでもその場合血が残ってないとか色々と疑問が残るな……そもそも聖剣をぶっ刺したのってどんな理由があるんだ……?」
考えがまとまらない。情報が足りないのか視点が違うのか。
そもそも死人のことをどうやっても確認は出来ないのだから考えるだけ無駄なのかもしれない。
それでも考えないといけないと直感が叫んでいる。聖剣の力による直感ではなく、何故かこの件に関してちゃんと考えておかないと痛い目を見ると嫌な予感が止まらないのだ。
「私、トーマにさっき言われた事思い出したんだけどアレで口説いてないつもりなの?」
「コイツの場合本音を口にしてるだけだからな。脳内を垂れ流しにしてるだけで口説いてるつもりは欠片も微塵もこれっぽちもないんだわ。そしてそれが口説き文句になってる事実に気付いてない」
「あの、それって一番厄介なパターン、なのでは……?」
「アタシの苦労、分かってくれそうな親友が出来てよかったと思ってる。これからも一緒に頑張ろうな!!」
「うぅぅ……そういうどうしようもない所も好きになっちゃいましたしぃ……」
「アンタらも大変ねぇ。ま、私は外から楽しく見守らせてもらうとするわ」
とはいえまるで情報のない今はやはり考えても仕方ないと結論が出る。これ以上を知るには『初代剣王』のことをもっと調べないといけない。
そうなると『魔王』が君臨している『マライジク帝国』に存在するあの場所に行く必要がある。ただその場合『王戦』して立ち入り許可を貰わないといけないと。
「結局現状は強くなるしか出来ないかぁ。足止めをくらうのは好きじゃないけど、しょうがない」
とりあえず気を取り直すことにして目の前の問題を解決していこう。最初の『王戦』は何とか勝利することは出来たがこのままで勝ち続けれると思うほど僕はうぬぼれてはいない。
前回の戦いだってギリギリの上、第三能力の覚醒というイレギュラーがあったから勝てたようなものだ。あれがなければ負けてここにアリシアはいなかったかもしれない。
「しっかし強くなるとは言ったもののどうしたものか。騎士団の訓練には参加したり特別メニューこなしたりはしているけど」
「強くなりたいの?だったら簡単じゃない」
紅茶を飲みながらロングスカートに隠した脚を組んだキャロルが当然のごとく言い放つ。そんなに簡単に僕の悩みを解決できるとは、流石は天才魔女というべきか……!!
「その辺にいる仲良くなりたい女の子を口説いてきなさい。そうすれば第四能力が覚醒して強くなれるわ」
「キャロルに聞いた僕が馬鹿だったって感想を持ちそうになるから弁明してほしいんだけど」
「弁明も何も……」
彼女はケーキの切れ端をフォークに乗せながら当然、その考えが最良だと信じて疑っていない。確かにそれが最速ではあるのだろうが……。
「手っ取り早く力を手にするなら女の子口説けば終わりよ。王様に口説かれれば大体はいけるでしょ、前の『王戦』の映像見てるから人の良さは分かってるだろうし」
「絶対嫌だ」
「……即答するわね」
当然だ。それをしたら僕が何のために戦っているのかわからなくなってしまう。
「僕は仲良くなった誰かが笑ってられるように戦って勝ちたいんであって、勝つ為に仲良くなろうなんてしたら目的が逆転しちゃうじゃないか。それにそれは誰かの好意を利用することで、僕は絶対そう言う事はしたくない」
「甘ちゃんねぇ、それでそのうち余裕なくなる可能性もあるって分かってる?」
「分かってる、つもりではあるよ。ただ追い詰められて余裕がなくなっても誰も巻き込まないように頑張るだけだ。僕は一と全を天秤にかけて、一を捨てるようなことはしたくない」
どうせなら天秤ごと持っていきたい。何故僕が一を諦めなければならないのか、諦めるという言葉は僕の辞書には載っていないし、絶望なんて言葉も載ってない。
「最期の最後まで抗って、それでダメだとしても後悔はするだろうけど少なくても一人の女の子を利用したなんて後ろめたさとは無縁でいられるだろうしね」
「ふーん。ま、そこは貴方の自由にすればいいんじゃない?私はそのうち後悔すると思うけどねー。もっと早くやっておけばよかった、って感じで」
「僕にだって羞恥心はあるし。というかそんなことやってるとばれたらどっかから母さんが殺しに来そうだし」
母さんはそういうところ本当に厳しかったからな……。人の心を弄ぶような奴は許さないし、そんなことを息子がしてると分かったら即座にぶっ殺しに来るだろう。
そして僕は母さんの恐怖を心に深く刻み込まれている為抵抗は出来ないだろう。そんなんで死んだらそれこそ亡霊になるくらい未練を持つこと請け合いだ。
「あっ、それと気になったんだけど仲良くなるってなんで女の子限定なのさ?男はどうなの?」
「んー?だってそれだと最後まで出来ないじゃない」
最後……?なんか聞きたくない話題になった気がする。聖剣の力がなくても分かるくらい嫌な方に向かってる気が。
そんな僕の直感を知ってか知らずかキャロルはこちらに視線を向けてるヒカリとアリシアの二人を背中越しに親指で指差して。
「だからセッ○スよセッ○ス。これすれば最大まで一気に強化されるでしょ」
「ブーーーッ!!!!!」
とんでもないこと言いやがったぞこの魔道具マニアクソ強エルフ!!!案の定指差されていた二人もその言葉に真っ赤になっているではないか。
というかそんなことそう簡単に受け入れられるわけが
「ま、まぁトーマがどうしてもって言うなら……。お、遅かれ早かれだし!!」
「わ、私も、トーマ君が望む、なら、大丈夫でしゅ……!!」
「そこで受け入れないでほしいなぁ!?」
「あははははははははははははははははははははははっ!!!!いやぁ、こういう愉悦もあるのね!!!勉強になったわ!!!!」
僕には女心が分からぬ。僕は、カプ厨である。酒場で育ち、犬と猫のカップルを眺めながら暮らして来た。けれどもからかってくる者に対しては、人一倍に敏感であった。
このエルフがいつか誰かを好きになったならその姿を映像にして永久保存して一生羞恥心に悶えさせてやる。誰かこの恋愛ごとに対して完全に他人事なエルフを堕としてくれ……!!
その後その場にいた四人でトランプで遊んだが、色々と頭がいっぱいだった僕達はこのエルフに敗北を喫したのであった。
こんなこと言ってる恋愛ごとなんて私とは縁遠いと思っている美少女を攻略して恋心に埋もれるくらいいっぱいいっぱいになってる姿がとても見たい
評価感想くれるとテンションぶち上げで続きを書けますのでよろしくお願いします!!
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