王戦物語~聖剣抜いたのでヒロインみんなを笑顔にします~ 作:ビスマルク
アンディ!!!ん!!!!がっごいいんん!!!!しゅきいぃいいいいいいい!!!!!
今週のアンデラはカプ厨として絶対見過ごせない奴ですよ……!!!
「ねぇ、『王戦』って滅多にないんじゃなかったっけ?なんで一ヵ月程度でまた始まりそうになってるの?しかも同じ国から申し込まれるとか」
「前例はある、としか言えませんなぁ」
現在執務室で書類仕事をしていた僕の所にデプロン大臣が再びヤランリ王国からの挑戦があったと報告しに来てくれた。
ちなみに書類仕事とは言うが読みやすい書類にサインをしていくだけの簡単なものになっている。分からないことは事前に聞きに行ったりするが、流石は長年王様がおらずとも国を回してきた人材。みんながみんな優秀なのでサインくらいしかやることないとも言える。
「『王戦』つってもよぉ、もうシオンが来て負けてんじゃんか。次は『槍王』自身が来るって話なのかよデプロンのおっさん?」
「いや、流石にそれならば断わっておる。どのような好条件を重ねられようと勝ち目のない戦いをするわけにはいかないからの」
「まぁ確かに今の僕じゃ本物の『王』には勝てないよねぇ」
僕は一応『剣王』ではあるが聖剣の力を完全に使いこなせてるとも言わないし、経験や戦闘力自体が他の『王』に勝ててる部分はないと断言できる。
これまで各地で行われていた『王戦』を調べてもらった結果、元からあったそれは確信に変わった。データと目撃証言だけでも現時点では勝ち目はない。
『竜王』は生まれ持った種族の強みを完璧に使いこなしている。背中に翼を持ち、空を飛び息をするように一つの魔法を極めその肌にある鱗は名剣でさえ防ぐ。その身体は戦うことに特化しており、彼が治めている国は強さこそが正義だ。
『銃王』はこの世界で唯一銃を使う存在だ。遠距離戦において右に出る者はおらず、『竜王』でさえ貫かれる銃の威力は恐ろしいの一言。しかもその銃は変形可能であり、他にも隠した切り札があると言われている。
『万王』は魔道具の使い手だ。話によればその身体能力は僕よりも低いが、他の『王』でさえ翻弄するレベルの数々の魔道具を駆使して戦う。ありとあらゆる状況に対応する魔道具と、それを十全に扱える頭脳。魔道具の天才であるクラリスちゃんをも超える頭脳が一番の武器。
『狂王』はその名の通り狂った王だ。その国は酷く荒れており、国民はその怒りを買わない事だけを祈りつつ過ごしていると言われている。他国からの出入りも非常に厳しくその国の情報を集めることさえ難しい。そんな国の彼の『王』は純粋な身体能力だけで『竜王』を殴り飛ばしたことさえある。
『魔王』はあらゆる魔法を使う存在。『万王』と共に万能性という意味ではこの二人が頂点に立っているだろう。全ての魔法を統べると呼ばれている『魔王』の前では全ての魔法は支配され逆に利用される。その上正体不明の魔眼まで持っており、その力が発揮した時は全ての『王』を超えるとも言われる。
そして前回『王戦』を行い、今回も申し込んできたヤランリ王国の『槍王』。彼女はもう既に80を超えてなお君臨している女傑。本人は最近表に出てきていないが、その後継者達が他国に『王戦』を挑むことが多く、その指導力は他国の追随を許さないだろう。そしてその槍一本で他の『王』と鎬を削っているという時点でその強さは予想できる。
「どいつもこいつもヤバい奴らで、出来る限り関わりたくないよ。出来ることなら戦うこともしたくない。というかもう少しみんな内政頑張ろうよ……せっかく平和なんだし」
「友好的な国はありますが、それでも『狂王』を始めとして関われば損をする国もありますからなぁ。いつどこから挑まれるか分からない以上強さを求めなければいけないのは王の義務、という事になります」
分かっていてもげんなりせざるを得ない。多分弱者にとってこの世界、というかこの国は非常に生き易いんだろう。戦争の為に無理矢理人を集められることもないし、戦争がないからこそ騎士達が定期巡回をし盗賊の発生などを防ぐ。
そして人がいなくならないから農業などにも力を入れることが出来、魔法研究室の作った魔道具によってその生産量もまた徐々に多くなっており不作になっても飢え死にする人間は非常に少ないと思われる。
他国、特に『狂王』の所に比べればかなりマシなのだ。それも『王戦』というシステムがあるから、というと僕のポジションが一気に負担が重いものに思えてくるから不思議だ。
ちなみにソードリアと友好的な関係を築いているのは『万王』と『魔王』の所だという。彼らはとても理性的で取引も『王戦』を行うまでもなく話し合いで決まることが多いとか。脚を向けて眠ることが出来ないくらい感謝している。
「それでヤランリ王国は何を求めてきてるの?」
「シオン殿の返却です。こちらが勝利した場合は何を要求してきてもいいと」
「それって前回の『王戦』の意義全部なくすことじゃない?いや鉱山とかは残るけどさ、彼女も一応戦利品ってことで色々と役職与えて働いてもらおうとしてたんだけど」
「ぶっちゃけ断ってもいいんじゃねぇの?こっちがあちら側から貰って嬉しい物なんてないだろうし」
うん、確かにそれが一番なのだ。勝てばヤランリ王国から白紙の小切手を貰うようなものだが、そこまでして欲しいのが言っては何だが敗者になったシオン一人だけ。どうにもきな臭いというか、何かしらの目的があると言っているようなものだ。
そこまでシオンが大事なら彼女が自分自身を賭けるなんてことを許すはずがなかったはず。それを分かっていてなお『王戦』を申し込んできたという事は……。
「……もしかして、他の槍王候補がその『王戦』を申し込んできたとか?槍王の許可なしに」
「槍王殿の許可は下りているようです。そもそも彼の王は全てのことに対しほとんど興味をなくしており、国がどうなろうと構わないと考えているとの噂が出る程です」
「受ける理由が欠片もねぇなぁ……」
そう、こんな申し出を受ける理由はない……と言いたいところだが今回のこれはあちら側からしてみれば受けなければおかしいほどの好条件だ。
前回は聖女、つまりアリシアを賭けろと言われていた。彼女はこの国の人間であり重要な人材である為対価がどんなものであれ申し出を入れる方がおかしい。破格の魔石鉱山という対価があったからこそ、それを受けざるを得ない状況になっていたわけだ。いわば苦渋の決断ということ。
それに比べて今回はどうだろうか?シオンは元々ヤランリ王国の人間であり、いなくなれば困るというほどでもないのは確かだ。
僕は彼女に役職を与えてその力を生かしてもらい平和に暮らしてもらおうと思っていたが、それはあくまで僕個人の意思であり、ヤランリ王国側からしてみればそこまでするなんて思っていないだろう。
負けた場合失うのはいなくて当たり前のシオン一人だけ。それに比べて勝利した場合はヤランリ王国に対して好きに要求を通していいという。こんなもの受けなければ嘘だというくらいには破格の条件だ。使い方によればこの国に更なる富を築き、民衆の生活はより楽になるかもしれない。
「王としては受けた方がいいんだろうけど……経験を積む、って点でもいいし。ただ人材を賭けるのはどうにも個人的には受け入れがたいって言うか」
これに関しては僕が王として甘すぎるのかもしれない。アリシアならともかくシオンならば欠けても問題ないと判断してこの『王戦』を受けるべきかもしれない。
それでもどうにも好きになれないし、こういうことで彼女達の自由を奪うのも嫌なのだ。笑っていてほしい人の中にはもうシオンもシエルさんも入っているのだから。
「……はぁ、やっぱり甘過ぎる奴に王様なんて務まらないのかなぁ」
「そこを支えるのが臣下の役目でしょう。陛下の許可さえあるならば、私の方からシオン殿に今回の話を持っていきます」
「僕から言った方が筋なんだろうけど……あんまり今は頭回ってないって分かるレベルだからなぁ」
「もう夕方だし、飯の前にひとっ風呂入ってきたらどうだ?今はまだ湯が入ってすぐだろうし、他の連中も文句は言わないだろ。偶には独占したって」
「んー……。そうしようかなぁ。普段はあんまり一人で入らないけど、たまにはいいかもだね」
ちなみにこの国は水資源にも恵まれている上、ここら辺は天然の温泉を引いている。当然王城にも大浴場が存在し、騎士団員達は毎日鍛錬終わりに入ったり、メイド達が休憩時間に入ったりしている。
僕も毎日入っているが、その時は騎士団員達と同じタイミングなことが多い。何せほぼ毎日彼らと一緒に体力作り&模擬戦をやっているので。あと裸の付き合いって結構仲良くなるのに効果的なんだよね、変な意味じゃないけど。
男湯女湯で分けられている為物語であるように間違えて入ってしまう、なんてこともない。男としてのロマンがないのは少し残念だが、ヒカリ達の綺麗な身体を誰かに見られる可能性など欠片も残したくないのでこれはこれでいいのだろう。
「それじゃあ僕は一回さっぱりしてくるね。そうすればいい考えも浮かぶかもしれないし。デプロン大臣はシオンに話をしておいて。僕としては出来る限り受けるつもりはないとも」
「御意です」
「そんじゃコック長達に風呂出たら飯にするって言ってくるなー」
そうやって部屋を出て二人と別れた僕は大浴場に向かう。脚を広げて入れるお風呂というのは非常に気分がいい。しかも今日は独り占め出来るのだから不思議と気分が高揚してくる。
新しい服を用意して裸になり風呂場に入る。ちなみにこの時聖剣は鞘にいれたまま風呂場に持ち込む。一定以上離れると自動的に飛んでくるのでこういう時も一緒じゃないとどこで距離が離れた判定になって飛んでくるか分かったもんじゃないから。騎士団員からは物騒だと笑われたこともある。
「お待ちしておりました、剣王トーマ様。貴方と重要な話をしたいんです」
風呂に入ろうとすればそこには湯気に隠れて先客がいた。出来る限り現実から目を逸らしたいが、そこにいたのは間違いなく女性で。
普段の元気な姿とはまるで違う、無表情をその顔に張り付けたその彼女は、シオンの母親であるシエルさんだった。
評価感想くれるとテンションぶち上げで続きを書けますのでよろしくお願いします!!!!