王戦物語~聖剣抜いたのでヒロインみんなを笑顔にします~   作:ビスマルク

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活動報告にも書きましたが、仕事がクッソ忙しくてモチベも下がってしまってます。

その為投稿が遅れると思いますが、その内元の速度に戻したいです。

でも今の残業が来年三月まで続くとか言ってるからどうなるかはまるでわかんないですごめんなさい



ギスギス母娘

 

 それはとある日の昼下がりのこと。

 

「母さん、そっちのジャガイモ取ってくれ」

「あ、えっと、うん、分かってるわ」

 

 それはとある日の鍛錬後のこと。

 

「お疲れ様シオン。はい、タオルで拭いてあげる」

「ああ、うん、自分でやるから大丈夫だ」

「そ、そう……」

「や、やっぱり拭いてもらおうかな」

「分かったわ」

 

 それはとある日の休日のこと。

 

「シオン、買い物行くなら一緒に……」

「あー、すまない母さん。これから行くところは一人で行きたいんだ」

「そ、うなの。急に言っちゃってごめんなさい」

「いや、私の方こそ断ってごめん」

 

 そんなやり取りを陰から見ていた結果。

 

「ねぇ、あの二人仲直りしたはずなのにギクシャクし過ぎて見ててもどかしいから何とかしたいんだけどなんか案とかない?」

「放っといてやれよ……」

 

 僕はあの二人が以前のようになれるように頑張ることを決意したのだった。いや余計なお世話とか言うかもしれないけど本当にもどかしいんだもん。

 

 二人とも仲良くしたいのが見て取れるのに秘密にしていたことの罪悪感とか、本物と偽物が分かっても親子だって認めたけどそれはそれで複雑な気持ちがあるって大変な感情があったり。

 

 これはもう外から刺激を与えることで状況を進展させない限りどうにもならないことが確定しているようなもんである。

 

「えっと、トーマ君?こういうことは時間が解決してくれると思いますよ?」

「時間が解決する事って大抵はその時間を短縮できる方法があるんだよね。それを探す前から諦めるのは僕らしくないって話だよっ!!」

 

 ベッドの上の住人であるはずの僕でさえこれだけのギスギスした光景を見ているのだから周囲からしたらもっと見る頻度は多いだろう。今もヒカリとアリシアに止められてはいるが、僕が止められた程度で止まっているような人間だったら今までやってきたことの大半は行われてないんだよね。

 

 やると決めたら一直線。何があっても止まらず欲しい未来を作って掴み取るのが僕のやり方だ。絶対あの二人をすぐにでも仲直りさせて以前と同じ気安い母娘関係に戻してやる……!!

 

「なんでそこまでするかなぁ……」

「だって明らかにあの二人もっと仲良くできるはずなのに、歩み寄りたいと思ってるのにその一歩が遠いわけで。だったらこっちから背を押してあげればすぐに仲良くできるでしょ。幸せになれそうなのになり切れてないならそりゃ手伝いたくなるよ」

「トーマ君のそういうところは昔から変わってないんでしょうね……」

「ああ、当然のごとく変わってない。本当にお節介な奴なんだよこいつ」

 

 苦笑いしながら言っている二人の言っていることももっともだろう。確かに余計なお世話だろうが、それでも幸せな時間というのは多ければ多いほどいいのだけは間違いなく真理だと思っている。放っておけばそのうち勝手に関係を修復して以前のような家族に戻れるはずだがそれまでの時間は短ければ短いほどいいに決まっている。

 

 だがこの計画を確実に成功させる為には人手が必要になる。多くの人がいればその分だけアイディアが生まれ作戦の成功率もまたそれに比例して上がっていくのだから。それに僕達にはヤランリ王国出の二人の情報が少ない。以前の彼女達を知らなければそもそも目標地点に辿り着いているかどうかすら分からなくなる。

 

 つまり必要なのは過去の知識。それを知る為の仲間を求め僕達はシオンとシエルさんの仲を取り持つ為に部屋に辿り着いた。

 

 とりあえず礼儀としてノックをするが返事はない。再びノックしても何もない。三回目をしようとしたら防音であるはずの部屋の中から大きな音が鳴り響いてきた為慌ててドアを開けて中を確認する。

 

「失礼しまーす!!」

「ああもう!!なんでこんなに書類が送られてきてるのよ!!!!って何勝手に入ってきてるの!?」

 

 大きな音を立てたのは現『槍王』であるジュリアだった。周囲にはおそらくヤランリ王国から送られてきたであろう書類が散らばっている。彼女が蹴り倒したであろうそれは宙に舞い上がっておりこれを処理するのは一苦労どころじゃすまないだろうなという感想を抱かせる。

 

 書類の中に倒れ込んでいるレイラとライラの双子の姉妹もいる。この二人も手伝っていたのだろうが知識があっても大変だろうに多分彼女達には書類処理の経験もない。まさに八方ふさがりという奴だ。

 

「私は今忙しいの!!ヤランリ王国からの報告書でもう本当に埋もれるかと……!!」

「…………何百枚も来てた。小さいジュリアは埋まるくらいには来てた」

「どれだけ問題を抱えてたんだよお前らの国」

「あのクズが王だった時点で想像はつくだろう。大体その想像通りだ。思い描いたような汚職と賄賂が蔓延る最悪な場所だ。まともな奴も大抵はそれに染まってしまうから本当に今は人材が足りない」

「あわわわ……!!」

 

 頼まれたことや役割を果たすことを当たり前と考えているだろうジュリア達にとってもこれはきついだろう。地面に散らばった書類を拾い上げて中身を確認して僕でも処理できるものだと理解する。王様やってるとこういう書類仕事にも慣れるんだよね。いや慣れるくらい仕事に追い詰められるのは嫌いなんだけど。

 

「ヒカリー、確か内務大臣がこの街に来てたよね。まだ残ってたっけ」

「あー、お前のサインが必須の書類と現状の説明しに来てたなそういえば。街で土産買って帰るって話で予定にもだいぶ余裕あったしまだいるだろ」

「それじゃあ悪いけど今から連れてきてもらえるかな。隣国への支援って名目で書類全部やっちゃうから人手いるってことで」

「了解ー」

 

 瞬間ヒカリの身体に風が纏われて窓から物凄い勢いで飛び出していく。その速さは素の僕では全く追いつけないほどの速度で彼女の才能の高さとその修練によって身に着けた練度が良く見える。

 

 ただ長めとはいえスカートのまま飛び出すのはやめた方がいいと思うのは僕だけだろうか。周囲に男が僕しかいなかったとはいえその素敵なスカートが捲れて真っ白い素晴らしき物が見えてしまっていた。多分彼女は気付いてないと思うので眼福とだけ思っておこう。

 

「トーマ君?」

「はい、何でもありません」

 

 隣にいるアリシアが満面の笑みで僕を追い詰めてくる。僕が何に拝みだしたのかを悟ったのだろう。うん、つい先日ああいう話をした男が別の女性の下着に拝むというのは中々に酷いことだろう。でも男の本能なので許してほしい。本能には逆らえんのです……。

 

「なんか展開速くて追いつけないんだけど、どういうこと?」

「…………剣王達が書類仕事を手伝ってくれるってこと。やったぜ」

「いやいやいや!!!他国にうちの書類任せられるわけないでしょ!?勝手なことしないでってば!!」

「うーん、言ってることは正論になるんだろうけど……ジュリア、隈が酷いよ?随分と寝てないんじゃないかな」

 

 ジュリアは苛立っているがその原因は僕の勝手な行動以上に寝不足な点だろう。寝てない状態って何に対しても苛立っちゃうからね。僕も剣王になって最初の頃はそんな感じだった覚えがあるので強くは言えないけど。

 

「折角可愛いのにそんな顔色悪くしてたら勿体ないって。『槍王』やり始めたばっかりで今が重要だって言うのは分かるけど寿命削るような仕事してたら周りも心配するよ。少なくとも僕は心配するし」

「ああ、それに関しては私も同感だ。私もジュリアは可愛いと思う」

「…………愚姉、同意すべきはそこじゃない」

「ん?ああ、確かにそうだな。折角可愛いのにもったいない」

「…………この前の『王戦』から真面目成分が血と一緒に流れ落ちたのかもしれない。これはもう駄目だ……聖女、治療できる?」

「すみません。私ではこういうことは無理です……。本人の問題ですし、ヒカリちゃんにも言いましたけど元からあるこうだと決まっていることは……」

 

 言い淀んでいるアリシアに対して両膝と両手を地面につけてうなだれるライラの姿はとても悲壮感に満ちていた。双子の妹であり世界屈指の膂力を誇る彼女にそうさせた張本人ははてなマークを浮かべているレイラだったが以前はそこでそういう反応をする人には見えなかったんだけどなぁ……もっとシオンみたいにしっかりしたタイプとばかり。

 

 だがそれを気にする前に言いたいことが一つだけある。

 

「最近遠慮がなくなってきたよねアリシア。それはすごくいいことだと思うけどもう少し優しかったら僕はもっと嬉しいんだけど」

「優しくしたら無茶しませんか?」

「無理ですごめんなさい」

 

 その質問に対しては即座に謝罪する事しか出来ない。彼女には大変迷惑をかけている自覚はあるが止めようにも止められないものはある。

 

 正直言ってこの先も同じように無茶する事態になるという確信があるのだ。出来ない約束などしてはいけない。それが大切な人との約束であればなおさらだ。 

 

「で、結局何が目的なのよ。私に借りを作って何を手伝わせようっていうの。今回は、今回だけは!!手伝ってもらう関係上やってあげても構わないわ」

「え、いいの?結構押しかけ同然だって自覚はあったんだけど……」

「だって協力しないとアンタ付きまといそうだし。それだったらもうさっさと覚悟決めた方が楽だわ。で、何をさせたいのよ」

 

 こういうところの切り替えの早さが彼女の優秀さを表しているんだよなぁ。僕はこんな風に切り替えることは出来ない。多分ずっと引きずって他のことに影響を与えてしまう。それが僕らしさではあるとは思っているがジュリアのこういうところを尊敬する気持ちは変わらないだろう。

 

 協力してくる意志を見せてくれたのは僥倖だ。だから気が変わらないうちにこちらの目的を明かすべきだろう。きっと快く協力……してくれるかは微妙だな、うん。ジュリアはシオンのことを嫌ってる節があるから。

 

「というわけでこれよりシオン&シエルさんの仲修復計画を発令します!!!」

「なんでそれで私の部屋にまで来てるわけ???」

 

 案の定彼女の顔には疑問符ばかりが浮かんでいるのだった。

 

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